星になったヒーロー 作:日暮 蛍
「俺が素っ裸でガロウをぶん殴った?!」
「はい、私が見た限りではそうでした。サイタマ様は何も覚えていらっしゃらないのですか?」
「んー。気がついたらコレ握ってて、ズボンの股が弾け飛んでた。」
「怪奇現象ですね。」
「呪われたのでは? 不気味な血がついてますし。」
露出した部分をアズマのマントで隠した事でまだ若干顔の赤みがあるが落ち着きを取り戻したアズマはサイタマとジェノスについ先程起きた事を説明したのだが、当の本人は何も覚えていない様子だ。
「そもそも、これはいったい何なのでしょうか?」
「俺のコアに酷似しているな。」
「コアって、ジェノス君の心臓みたいなものだよね? ...でもジェノス君はちゃんと生きてる。どういう事?」
「サブコネクターにつなげて作動するか試してみよう。」
「えっ大丈夫?」
「ウイルスへの対応策はきちんとしてある。問題無い。」
サブコネクターを伸ばして繋げるとサイタマの持っているコアが光る。
「動いた!」
「どういう事でしょう? 本物のよう」
その時、サイタマと共に時空を超えたコアの中にある大量の記憶がジェノスの中に流れ込む。
「オイ! オイ!」
「...ハッ!」
「どうしたジェノス!?」
「やっぱり何か悪影響が?!」
自身の知らない記憶が流れ込み少しの間黙り込んでいたジェノスを心配して声をかけるサイタマとアズマ。
「す、すみません。ちょっとめまいが。」
記憶を見て、ジェノスは確信した。これは間違いなく自分のコアだと。
ガロウの手によってアズマが死に、ジェノスも命を落とす瞬間の記憶を見せられたジェノスは取り乱す事なく確かに起きた事だと受け止め、これは起こり得た未来の記憶だと推察する。
「先生。先生は憶えていないんですか。
「何が。」
「このコアに残る記憶によれば先生もこれも未来から来たことになります。」
「は??」
「え??」
唐突な未来から来たというジェノスの発言にサイタマもアズマも困惑する。
その後、ジェノスはどうやってサイタマが未来からやって来たのかという説明を始めたのだが、時間逆行そのものには複雑怪奇で様々な説がある為どうしても話が長くなり、専門用語が頻発する為、サイタマは話が耳に入らず右から左へと流していった。
「つまり、サイタマ様は凄く頑張ったって事?」
「その通りだ。」
それを察したアズマは割と雑にまとめた。
「んー。ナルホドぉ。...ま、まあその話はともかくとして。いつも通りで安心した!」
何一つ憶えていないサイタマだったが、取り敢えずジェノスとアズマが無事な事には変わりないので安心する。
アズマの方はジェノスの話を聞いて、自分なりに情報の整理を行い、ある結論に行き着く。
「...つまり私は、またサイタマ様に助けられたって事か。...そっか。」
「また?」
「いえ、お気になさらず。」
初めてサイタマと出会えた頃を思い出して、アズマは微笑んだ。
「先生。やっぱり先生はギリギリでかけつけて皆を救うんですね。さすがはヒーローです。」
ジェノスの発言にアズマは何度も頷く。
「え?? 何だ急に? いつも大体間に合ってねーけど。」
「いえ。間に合ったんですよ。」
2人は納得している様子ではあったが、当の本人であるサイタマは困惑するだけだった。
「ところで、ガロウはどうなったんだ?」
「サイタマ様に殴られた後、倒れたままだと思います。」
「様子を見にいってみるか。」
「はい。」
サイタマ、ジェノス、アズマはガロウがいる方へと向かっていった。