第七話『いとかなし』より分岐 姉弟ルート
こういうことが起きてもよかったと思うの。
男バージョンの方で思いついたのに、画面が映えるからと言う理由で女バージョンで書くことになりました。
正直、作者は二人まとめて嫁に来いと言いたいです。
残酷な表現が含まれています。
前半?は『いとかなし』をコピーしてきたものですが、話の流れ的に必要だと思った部分だけを残したつもりです。
人によってはコピー部分イラネって思ってるかもしれませんが、そういう場合は流し読みでロシィの慟哭辺りまで進めて、毒を飲むシーン辺りからお楽しみください。
話のちょうど半分あたりからになるかと思います。
以上を見て、問題ないという方は、引き続きどうぞ!
IF いとかなし (ケーキ)
(上部略)
バシャン!と水をかけられ、無理矢理叩き起こされた時、オレはどこぞの廃屋にいた
「気分はどうだえ?」
「…最悪だ」
「そうか、それなら良かったえ!」
目の前の電伝虫から響く声には覚えがある…たしか…奴隷を生きたまま捌いて内臓を引きずり出したり、親に子供を食わせたり、毒を使う以外でも猟奇的なことを沢山起こしていたやつで…
…母上に懸想しているようで…声をかけては、困らせていた…
ああ…あとロシィが女の子だったら貰ってやったのに、とか言っていたな…
そうか…コイツからオレを逃すために…!
なのにオレは…ッ!!
すみません、父上…もしかしたらすべて、無駄にするかもしれません…
これから起きる事を予想して震えそうになる身体を、根性で抑えつける…
「エッゲッゲッ!まさか、ひとりのガキのせいでここまで手間取るとは思わなかったえ…でも、逃げ続ける獲物を追わせるのは中々楽しかったえ!」
「それは、僥倖…」
糸を伸ばして廃屋の内外を探れば、三十人は
ああ、もう、駄目なのかもしれない…っ
「…お前はほんとに可愛くないえ。お前の弟はまだ可愛げがあったえ!」
舌なめずりの音に、血の気が引いた
「弟には手を出すな…!弟に手を出した奴は、神だろうと殺してやる…ッ!!」
まさかロシィも一緒に…!?
それともロシィの前でオレを暴くつもりか…!?
オレの前にロシィを暴いて泣き叫ぶオレで楽しむ事も考えられる…
クソッ!
腐った豚め!
絶対ッ、絶対貴様だけは赦してなるものか…ッ!!!
拘束を引き千切って、逃げるつもりで暴れるけれど、寸での所で周りを囲んでいた男に組み伏せられる
海楼石を押し付けられ、顔を殴られるが睨み付けるのだけはやめない
身体から力が抜ける…男達を振り払おうにも押さえ付けられている四肢は欠片も動かせやしない
「ふん!悪魔でも血を分けた弟は可愛いのかえ?」
クズがオレを嘲笑する
「当たり前だろう!?オレは、弟を護るためなら悪魔にだってなってやる…!!!」
あの子をオレの
プチッ、プチッと腕が鳴る…でも気にせずに力を込め続ければ腕が動くようになって…
オレに海楼石を押し付けている男を吹っ飛ばすことができた
「そうかえ、そうかえ!なら…お前が余の命令を三つ聞いてくれたら、余の名誉にかけてお前の弟には手を出さないと誓ってやるえ!余はもちろん、余の奴隷にも手は出させないえ。余がお前の弟に手を出す様政府や海軍を頼る事もしないと誓うえ。どうだえ?やるかえ?」
こいつの言葉は信用ならない…が、ロシィの安全だけでも保障できるかもしれないことは魅力的過ぎる…
いま、この状況のことを思えば、話に乗らないわけにはいかないだろうし…
こいつらは秘密基地がある場所を特定していたのだ
覚悟してくれているとはいえ、ギャングのみんなをオレたちの因縁に巻き込みたくない…
でも、何を命令されるのか…
オレの貞操と、ロシィを巻き込まないことを秤にかければ結果は自ずと見えて…
「…わかった…取引だ。命令を聞けば、お前は直接的にも間接的にもロシィには手を出さないと誓うんだな?」
残る男達も糸を繰って壁に縛り付ける…無理をしたせいか、腕の痛みが酷い…まさか本当にどこか切れているのか?
顔には出さないように強がって、冷静であるよう、努める
これ以上、コイツに愉悦の材料を渡してなるものかっ!
「余の名誉にかけて、お前が三つの命令を聞けば、直接的にも間接的にもドンキホーテ・ロシナンテには手を出さないと誓ってやるえ」
電伝虫越しに、契約の言葉が響く…
オレを悪魔と呼んだからには、覚悟しての事だろうな…?
悪魔は、契約破りを許しはしねぇんだぜ…?
言葉を違えたなら、その日を貴様の命日にしてやる…
オレの
ほんの一瞬でも海楼石を外してくれれば、あとはほら、彼に任せればいい…
ああ、そうだ…糸を間に挟めば海楼石だって無効化できるかもしれない…今までは、考えもしなかったけど…
「…取引成立だ。最初の命令はなんだ?」
どうせオレで愉悦を得るようなことなのだろうが…聞かないわけにもいかない
出来る事なら…まだ“そんなこと”は命じないでもらいたいんだけどさ…
「余は、ワノ国の文化が面白いと思っているんだえ。それで一度見てみたいものがあるんだえ。お前もワノ国の文化はわかるだろうえ?」
マリージョアで手に入らないものなんてあまり無いからな…ワノ国の本などもいくらかあるにはあった…
当然、ワノ国出身の奴隷も…
「…ああ。ワノ国の文字が読める程度には…」
ワノ国の言葉は日本語と大差ないから、ただ読むのには苦労しなかった
ただ、どちらかと言えば古文に近いため、内容の解読には手間取ったけど
…まさかとは思うけど…四十八手とか…言わないよね…?
「なら丁度いいえ!余に、土下座して見せるえ。地に頭を擦り付けて、下々民らしく、余に敬意を見せるんだえ!!」
え…土下座…?土下座でいいの…?
正直、ちょっと呆けてしまいそうになった
土下座程度、オレが考えていた事に比べれば大した事じゃないから、いくらでもしてやるよ!
それでも相手の望みはオレの気分を害することだろうから、敢えて悔しそうな表情を浮かべながら、ゆっくりと土下座していく
「…これで、よろしいでしょうか…」
あとは綺麗な土下座になっていることを望むばかりだ…文句を付けられて、なかったことにされてはたまらない
「エッゲッゲッゲッゲッ!!良い様だえ…!生意気な下々民には頭を下げさせて、どちらが上かわからせてやるのが心優しい余の厚意だえ!!」
どこが、優しい、つもりだ?
優しいという言葉は、うちの両親にこそ相応しい…!
アンタみたいな他人の苦痛で快楽を得るようなクズが優しい訳が無いだろう!?
「ありがとう、ございます…!聖の優しさに、わが身の、矮小さを…思い知りました…ッ!」
それでも怒りを抑えて、相手に敬意を払うフリを続ける…今度は演技ではなく本当に悔しそうな顔になっていると思うが
「そうだろえ?そうだろえ!?次の、命令は…」
子供のように嬉しそうに、機嫌を良くしたヤツの声が響く…
ああ…気持ち悪い…その声は不快すぎる…
早く家に帰ってロシィに癒されたい…もう、最後、かもしれないし…
…帰ったら逃げようとしても捕まえて、そして思う存分抱きしめる事にしよう…
帰れるかどうかは…わからないけど…
「…っ」
…無駄に溜めるヤツに、イライラが募る
早く、何をすればいいのか教えて、オレを解放してくれ…!
こんな気持ちのまま時間が過ぎていくのは辛くて辛くて仕方が無い
絶対に帰れないと解っているなら舌を噛み切るコトだって選択肢にあげそうな精神状態に、吐気がする
「余は、ホーミングの首が欲しいえ。だから、お前、取ってくるえ」
「…え?」
なにをいわれたのか、わからなかった
思わず、顔を上げて電伝虫を見つめる
「頭が高いえッ!!」
響いた怒号にハッとして再び頭を下げた
「申し訳ありません…!」
こぼした謝罪に心が篭っているはずもなくて、オレはただ、やけに大きくなっていく心臓の音に、流れる冷や汗に、動揺を隠せなかった
「お前、弟のためなら悪魔にでもなるって言ったえ?なら、悪魔になるえ。弟の為に父を殺してくるえ!それができたら弟だけは助けてやるえ!!」
せかいが、ほうかいする、そんなおとが、きこえた
弟の為に父を殺すなど、正気の沙汰じゃない…!
ガチガチと、震えがとまらない…
これは、げんじつなのか…?
傷めた腕が熱を持って、悪夢であって欲しいとの考えを否定する
ああ、でも…じかんさえあれば…
「…期限、は…」
時間さえあれば、逃げられる…!
この国から逃げられる程度の船なら準備できている
時間まで誤魔化して、逃げてしまえば、コイツの言うことに従わなくても良い…!!
そう思ったけれど、現実は非情で…
「余は心優しいから、明日の正午まで待ってやるえ!でも、逃げられるとは思わない方がいいえ。海軍の軍艦にこの国を包囲させているえ、逃げようとすればバスターコールを発動させてやるえ!!」
この国の人々を人質にされ、オレの目論みは潰される
「…ッ!」
オレたちに暴力を振るってきたこの国の人々に対しては、正直いい思いは抱いていない…
でも、だからと言って、彼らを見捨てて、逃げるのか…?
逃げ場の無いことに、絶望して、膝を付いて崩れ落ちる
もう、どうすればいいのか、わからない…!
「ドフラミンゴを放してやるえ。明日、どんな結果になっているか、楽しみだえ!!エ~ッゲッゲッゲッゲッ!!!!」
殺してやる…ッ!!殺してやる…ッ!!!貴様だけは、絶対に!!オレの命に代えようとも!!見つけ出して、惨たらしく殺してやるッ!!!!!
口の中は血の味がして、硬い石の床に立てた爪が軋む
燃え滾る憎悪に、自分が人間では無いナニカになってしまった気がした…
翌日の、正午少し前…
オレは昨日の廃墟に程近い場所にいた
「兄上…っ!兄上、やめて!兄上…ッ!!」
ヴェルゴに見張りを頼んだのに、どうしてここに…!
父に向けている銃身がぶれる
「…ッ」
駆け寄ってきたロシィが父上に縋りつく…
でも、もう…決まったことなんだ
「ドフラミンゴ…」
父がオレの名を呼ぶ…
「ロシナンテ…」
せめてその瞬間を見せないよう、父がロシィを強く、強く、抱きかかえた…
「私が父親で、ごめんな」
たしかに、目が合って、告げられた言葉が、胸に突き刺さる
父上、愛していました…
ごめんなさい
パァーン!!
「…ッ!…ッ!!!あ、あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
せめて、安らかに…
「まさか!まさか本当に父親を殺すとは思わなかったえ!!!さすが悪魔だえ!!清々したえ!!!!!」
狂喜乱舞するヤツの声が聞こえる…
手の感覚も、足の感覚も、なにもない
なにも、かんじない…
「次の命令は…?」
もう、すきにすればいい
でも、おまえはかならずころしてやる…
ただ、機械的に、最後の命令を待つ
それがおまえのはらのうえでおどることだろうと…かまわない
オレにくびさえついていれば、そののどをかみきれる
ただ、おまえを、ころしたい
「ああ、そうだえそうだえ、忘れるところだったえ!…そこに、お前の弟に飲ませてやろうと準備していた酒があるえ。それを飲み干すえ!」
「わかり、ました…」
ヤツがそう言うと周りにいた男達の一人が瓶に入った酒とゴブレットを持ってきた
瓶の口を塞いでいたコルクを引き抜いて、ゴブレットに注いだ…
そのゴブレットを受け取って中身を確認する…
中身はワインのようだが、ワインとは香りが違う
もう、どうなってもいい…
ゴブレットの中身を一気に煽ると、喉が、焼けた
思っていたものとは違う…
まさか…まだ、バレていないのか…?
ゴブレットを差し出し、二杯目を注いでもらう…
これで、半分ほどか…
躊躇する事無く、二杯目も一気にいく
バレていないのなら…父はなんのために…
左手で、口を押さえて、中身を戻してしまわないようにしながら、三杯目を要求する
心なしか、周りの男たちが動揺しているように見られる…
覚悟を決めて、三杯目も流し込む
いよいよ男たちが煩くなってきた…
そうか…コイツはただ単にオレたちを苦しめたくて…
一滴遺さずゴブレットに注いでもらって、四杯目…これで、最後だ
喉の奥が痛くて堪らない…
それでも…!
空になったゴブレットを、男に返す
「ま゛ん゛ぞくが…?」
「…あ、ああ…や、約束どおり、お前の弟には手を出さないえ…!!絶対、絶対、手は出さないえ…!!!」
電伝虫越しに怯えた声がする…
おもってたのとかたちはちがったけど…
でも、これで、ロシィはあんぜんだ…
おもいからだをひきずって、はいきょをでる…
くずれそうなからだを、いとでくって、むかうさきは、
「ちち、うえ…」
まだあたたかい、ちちのからだのうえに、たおれこむ…
もう、なにも、したくない…
どうか、このまま…
「ごほッ!ごほ、かはッ…!!」
せんけつが、からだをそめる…
めをとじればおもいだす、ちちのこと、ははのこと、ロシィのこと…
しあわせだったひびのこと…
かみさま…
ねがわくば、オレのぶんのかごは、ぜんぶロシィに…
そして、らいせでは、ちちもははも、しあわせにくらせるよう…
ひとをころしたオレはきっと、もう、ゆるされないだろうけど…
どうか、かぞくだけは…
「けほ…っ」
いきをするのもつらい…
でもおやごろしのざいにんのまつろにはふさわしい…
「あに…っ、あにうえ…ッ!!」
やみにしずむせとぎわ、オレをよぶ、ロシィのひつうなさけびをきいたきがした…
それを知ったのは、偶然だった
兄上がひど疲れた顔をして帰ってきた、父が殺される前の日
父上はぼくを部屋から出して兄上と二人きりになっていた
ぼくは食堂のお手伝いをしてくるように言われたけど、食堂のおば…お姉さんにお菓子を貰ったから兄上と食べようと思って、部屋にまで戻ってきてたんだ
そして、中から聞こえてきたのは、ぼくが知らなかった、兄上の真実
それから今ぼく達がおかれている状況…
島の人々を犠牲にすれば助かるのに、父上はそれを良しとしなかった…
きっと聞き間違いなんだと自分を誤魔化して、迎えた次の日…
ヴェルゴの目を盗んで抜け出せば、まさにこれから兄上が父上を殺す瞬間で
「兄上…っ!兄上、やめて!兄上…ッ!!」
ぼくの叫びに動揺した兄上に、これが兄上の本意でもないことに気付いた
それでも、もう、とまらない
「ドフラミンゴ…」
父上が兄上を呼ぶ…
「ロシナンテ…」
父上がぼくを呼んで、まるでぼくにその瞬間を見せないように、強く抱きしめてくる…
「私が父親で、ごめんな」
ちちうえも、つらかったの…?
兄上を守れなくて、ぼくを守れなくて、家族を護れなくて…
ぎゅっと抱き締めてくる父上の手は、すこしだけ、ふるえていた…
パァーン!!
「…ッ!…ッ!!!あ、あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
響く叫び声が、ぼくのものだと気付くのには、時間が必要だった
カタカタと震えている兄上は、血が出るほど手を握り締めていて
「なんで…?なんでこんなことできるの兄上…」
本当は、知ってるよ…
これが、ぼくをまもるためで、ほんとうは姉上な兄上をまもるためだってこと
「どうして父上を…!」
それでも、たぶん、こうしないといけないんでしょ…?
まもるためなのにきずつけるのは、すごくいやだけど…
「お前なんか…!!」
兄上にもきらわれてしまうかもしれないけど…っ
それでも、兄上に父上をころさせたやつが、だれかが苦しむところを見たいなら…ッ
「お前なんか、僕の兄上じゃない!!」
姉上なんだから…兄上じゃないのは当然だけど…
でも、きっとこの状況でならみんな誤解してくれる…
「僕の兄上を返せ!!僕の父上を返せ!!!血に飢えた、バケモノめ…ッ!!!」
最後の言葉だけは兄上ではなく、父上をころさせたやつに向けてだけど、ぼく以外にはたぶんわからないんだろうな…
それだけ叫んで走り去って、逃げたように見せかけて建物の間に隠れる…
呆然としている兄上を見ていると、今すぐ駆け寄って謝りたい気持ちになるけど、まだ、ダメだ…!
そのままふらふらとやつのところに向かうのだろう兄上を見て、追いかけるべきか悩んだけど…
…結局ぼくは追いかけることにした
今の兄上の様子じゃ、たぶんいつものように強い兄上ではいられないだろうから…なにかあったら僕が兄上を助けてあげるんだ…!
森でいろいろ集めてた時に覚えた、誰にも見つからないようにするのを使えば、たぶんだいじょうぶだから…
でも、僕はすぐにそのことを後悔した…
兄上はナニかを飲まされてとても苦しそうにしてて、そのナニかはたぶん毒で…
このまま…あにうえもしんでしまうの…?
そう思ったら、体が氷のように冷たくなって…
気がついたときには、兄上はもう、その場にいなくて
急いで兄上を探そうとして、どこに行くだろうか考えながら、向かっていた先は父上のところで…
そこで、ちちうえのうえで、ちだらけでたおれているあにうえをみて、
「あに…っ、あにうえ…ッ!!」
ぼくは、ほんとうに、あにうえはあねうえなんだってことに、きがついた
ずっと、ずっと強いと思っていた兄上は、きっと本当はずっと強がりなだけで、
母上に言われた、ドフィを助けてあげてねって言葉も、やっとその意味がわかった気がした
兄上は、本当は姉上だから、女の子なんだから、男の子の僕が、護ってあげなきゃいけなかったんだ…!!
このままじゃ、姉上も死んじゃう…
そう思って、僕はまだ僕よりも身体が大きい姉上を抱き上げる
姉上が僕にしてくれたように、頭を背中のほうに向けて、足を腰の回りに回して、えいっと、抱き上げると、思ってた以上に姉上は軽くて…
そんなことを考えている暇はないから、頭を振ってギャングたちのところに向けて足を進める
あそこなら、お医者さんもすぐに呼べる…!
途中ヴェルゴに会って、先に行って医者を呼んでてもらい、姉上の処置を早く始められたお陰で、姉上は命が助かった…
不思議な事に、あれだけの距離をほぼ走ってきたというのに、その間僕はただの一度として転ぶことが無かったことに気付いたのは、姉上が目を醒ました後だった
目を醒ました時、そこにロシィがいたのを見て、ああ、まだオレは寝てるんだな…これは夢に違いないって思ったのに、オレが動いたことでロシィを起こしてしまったのか、顔を上げて、目が合って、泣きながら抱きついてきたロシィに、色んなところが痛くなって、夢じゃないことに気付いて、オレは混乱が隠せなかった
「姉上…姉上…っ…姉上ぇ~…」
しかも、兄上じゃなくて、姉上って呼ばれてて…
もしかして平行世界に憑依トリップでもしたのか?と思い始めた頃に、落ち着いてきたらしいロシィから説明を受けて、何があったのか、此処が確かにオレの世界だということを確認して…
「姉上…ごめんなさい…っ!あいつをだますためでも、ぼく、あねうえにひどいこといった…!!」
ぐじゅぐじゅに泣きながら、謝ってくるロシィに、ああ、この子ももう、護られてるだけじゃない、やっぱり男の子なんだなぁ…と温かな気持ちが溢れてきて
「姉上が父上をこ、ろしてしまったのは、本当のことだけど…でも、姉上は悪くないよ…!悪いのは、姉上に父上をころさせたあいつなんだから…!!だから…!いつか僕たち二人で、父上の仇をとりに行こう…!?」
よしよしと頭を撫でて、微笑んでみせれば、オレの思いは伝わったのか、更に泣き出すロシィがいて…抱き寄せたぬくもりに、この子だけは絶対に手放さないと、オレは決意を新たにした
「これからは、僕も姉上を守るから…!だからもう姉上だけで無茶したりしないで…!!」
ぎう~と抱き締めてくるロシィが可愛くて、オレも同じように抱き締め返す…
起こしてしまったことは変えられないけど…それでも変えられたかも知れない運命もある
泣きつかれて眠ってしまったロシィを抱き寄せて、ベッドに引きずり込んで、そのぬくもりを確かめながら、オレはもう一度目を閉じた…
離さないとでも言うように擦り寄ってきたロシィを感じながら、オレは再びまどろみの中へと沈んでいったのだった…
続き?
続きはヴェルゴに握りつぶされてしまいました…。
まあ、ヴェルゴも感想で続きをリクエストされたら渋々返してくれることでしょう。