偽りの聖者と枯れぬ羨望 作:かなりゆっくりめ
人間を殺した魔族を前に、アレンはこれまでなら選ばなかった答えを探すことになります。
「お願いです……っ! 早く殺してください……!」
女の爪が、俺の外套へ食い込んでいた。
早く、と女はもう一度言った。
俺が何を殺すのか、確かめるまでもない。
少し離れた場所では夫らしい男が子供用の上着を抱き、泥のついた袖を何度も撫でている。その手を見ていると、いつまでも処刑を済ませずにいる俺まで、男から子供を奪い続けているようで落ち着かなかった。
「この怪物め……っ! 私たちの息子を……喰らったんです……!」
女の指が突きつけられるより先に、俺はその魔族を見ていた。
十にも届かぬ少女の姿で、クラウの魔力の縄に手足を縛られている。
背後の家は壁を抉られ、散らばった籠の隙間には乾きかけた血が黒くこびりついていた。
それでも、少女の頬にも腕にも返り血はほとんど残っていない。口元まで拭ってから逃げようとしたのだろう。子供を喰った直後にしては、随分と身だしなみに気を遣う小娘である。
殺すだけなら、もう終わっていた。
指先で白く脈打つ光の向こうに、アルトの肩がある。その隣にはエレナの背中があり、俺が狙いを僅かにずらすたび、どちらかが少女の額へ重なった。
「退け」
命じても、アルトは振り返らなかった。
剣の柄から手を離さぬまま、俺と少女の間へ踵を沈める。
エレナも槍を伏せたまま、俺が腕を上げると重心を前へ移した。
二人とも、自分たちが次の標的になるとは考えていないらしい。
俺なら撃たないと、こちらの意思だけを勝手に決めている。
俺の領民を殺した魔族を処分するのだ。理由まで揃っている。
それなのに、どの術式を選んでも、発動させる直前でアルトの背中が邪魔をした。
俺がこの小娘を消したあと、アルトはきっと何も言わないだろう。
エレナも、殺すべきではなかったとは言わないだろう。ただ、二人とも二度と俺を見なくなる。そんな確信がある。
「……魔族って言ってもよ。ガキじゃねえか……」
エレナの声を聞いた少女の目が止まった。
それまでは、俺、アルト、エレナ、クラウ、広場から延びる路地へと忙しなく動いていた。
泣いてなどいない。縄を抜けたあと、誰を盾にしてどこへ逃げれば最も長く生きられるか、それだけを探していた。
俺と視線が合うと、少女は息を呑んだ。同族だと気づいたのだろう。
次の瞬間には眉が弱々しく下がり、乾いていた瞳へみるみる涙が溜まっていく。
頬を濡らす量まで申し分ない。縄の中で懸命に身を起こそうとし、震える手を俺ではなく、外套へ縋る女の方へ伸ばした。
「お母さん……。助けて、お母さん……っ」
布越しに、女の爪が食い込んだ。
胸の奥で膨れた魔力が、熱を増す。この女の前で、その呼び方を選んだことに腹を立てたのか。
それとも、あまりに容易くアルトたちの足を止めてみせたことが不愉快なのか。
「ふむ……。やはり、どこまでも魔族だな。小娘」
「……おい、アレン」
「どうにかならねえのかよ。俺はガキを殺すほど落ちぶれてもいねえし、目の前でガキが殺されるのを黙って見ていられるほどクズでもねえんだよ」
「そうだな……」
エレナが槍を収める。その音を聞くなり、少女は頬の向きを変えた。
涙に濡れた睫毛が、二人から最もよく見える角度だ。
「私……お腹が空いたんです……っ。人間を食べちゃ駄目なんて、お母さんは教えてくれなかった……!」
――そこで母親へ押しつけるのか。
人間の子供も、叱られそうになれば見え透いた嘘をつく。
だが、彼らは言い訳をしながら相手の顔を窺う。母に嫌われたくない。父に失望されたくない。そうした欲があるから、嘘はもっと不格好に歪む。
こいつは違う。母という言葉を、泣き声と同じ道具箱から取り出しただけだ。使えなければ捨て、次の道具へ持ち替える。そういう相手なら扱いやすい。俺ならもっと早く――。
そこまで浮かんだ考えを、続けたくなかった。
「母に助けを求めておいて、今度は責任転嫁か? 人間の演技にしては拙いな。人間の子供は、そんな狡猾な言い訳は言わん」
見破られた羞恥などあるはずもない。
ただ、俺に対して同じ演技を続けても効果がないと判断しただけだ。
それでも涙だけは頬に残し、次に使える相手を待っている。
「君が言うと、さすがに一家言あるねぇ。人間の演技については、誰より詳しいものね」
「今、余計なものを付け加えなかったか?」
「気のせいじゃないかな。にしししし」
「気のせいではない」
クラウへ言い返した途端、外套がまた引かれた。女は笑っていない。夫も、子供の袖から顔を上げてはいない。広場に残る村人たちも俺たちを見ている。
舌に残っていた次の言葉を飲み込んだ。クラウの目は、笑ったまま俺の指先を見ている。俺が放てば止めない。
二人を退かせてまで撃つのか、撃たないのか、それを見ている。俺を…試しているのだ。
「とにかく、俺はガキを斬るのは嫌だからな!」
「そうだな……。よく見ると、結構可愛いしな……」
エレナが腰を屈めた分だけ、少女の顔から涙が引っ込んだ。
代わりに唇が小さく震え、庇護を求める子供の顔へ作り替えられていく。
実に勤勉だ。生き残るためなら、何度見破られても恥じることなく同じ手を磨き直す。
「お前たちは、魔族というものが根底から分かっていないのではないか?」
「いや……アタシの知ってる、まともな魔族なんてアレンだけだし……」
「俺が知ってる魔族は、どいつもこいつもクズばかりだが、この領主サマだけは例外らしいからな」
「魔族にも、いろんな奴がいるよ?」
「なら……!」
「例外なく、いろんな方向で『クズ』なだけでね」
「その言い方では、俺までクズに含まれているように聞こえるのだが?」
「にしししし」
「笑って誤魔化すな」
何をしている。
光を集め直そうとすると、今度はひどく時間がかかった。
なぜ撃たない。仲間が嫌がるからか。
子を奪われた母より、アルトとエレナの機嫌を優先するのか。
俺は領主だ。
そう胸の内で言い直した途端、男が抱く上着の袖が風に裏返った。乾いた血が内側にまで染みている。
答えは変わらないはずだった。変えてはならない。
「よく聞け。魔族は人間を食べる。だが、人間を食わなくても餓死するわけではない」
「まあ……てめえは人間を食ってねえもんな」
「ああ。人間と同じものを食べていれば生きていける。ただ、人間を見ると、たまらなく殺したくなるだけだ。俺は平気だがね」
エレナが勢いよく振り返り、収めたばかりの槍へ手を戻した。アルトまで俺から半歩離れる。
「何だ、その反応は」
「いや……今さら、お前がアタシらを殺したくなったりしねえよな?」
「平気だと言っただろう」
失礼な話だ。
試しにエレナの首元へ目を落としてみる。旅装の襟から覗く皮膚には脈が通い、そのすぐ下を温かな血が流れている。
出会った頃から何度も見てきたものだが、裂きたいとも、噛みつきたいとも思わない。
まず浮かんだのは、そんな場所を無防備に晒すなという苛立ちだった。
いつから、そうなった。
初めて人間の街へ入った頃は、すれ違う者の誰もが隙だらけで、指一本あれば足りると考えていた。
だが、殺せば観察できない。翌日まで残しておけば、昨日とは違う顔を見せるかもしれない。その程度の理由で一日延ばし、もう一日延ばし、気づけば何百年も過ぎていた。
殺意が消えた日だけが、どうしても出てこない。
俺にとっては、記録する価値すらない変化だったのかもしれない。
今さら記憶を掘り返したところで、エレナの首を裂きたいと思えない事実しか残っていなかった。
では、この小娘も同じ年月を重ねれば変わるのか。
いや、こいつを生かした後のことなど、なぜ考える必要がある。今ここで殺せば、そんな問いは生まれない。
「……そうなの?」
エレナは俺ではなく、少女を見ていた。
「この小娘は、生きるために仕方なく人間を殺したのではない。殺したくなったから殺し、その後で喰った。それだけだ」
見上げてくる瞳には、今度こそ何の飾りもなかった。
「……間違ってしまった?」
「ああ。俺の前で『可哀想な子供』の演技をするとは、無様だな」
小さな舌打ちが聞こえた。
「……では、どうでしょう。私を貴方の配下にしていただければ、貴方という強大な魔族のお役に立てるかと」
「俺の配下になりたいと言ってきた魔族は、今までに四人いた。全員が、まったく同じことを言っていたよ。『俺の役に立つ』とね」
四つの顔が脳裏へ浮かんだ。領地の外れで人間を喰い、見つかるはずがないと笑っていた顔。五人を殺しても、自分なら二十人分働けるから損失ではないと、本気で首を傾げた顔。
どれも俺には理解できた。
理解できるからこそ、次は従うという言葉を信じる余地がなかった。
「……その四人は、どうなったんだ?」
「全員、俺が殺した。人間を襲ったからだ」
四人の末路を聞いてなお命乞いの言葉を探すところは、やはり同族だった。
今度こそ終わらせる。
アルトは俯いていた。エレナも槍を握ったまま、俺を止める言葉を探している。
どちらも聞かなければよい。俺は二人のために領民を危険へ晒すことはできない。
先ほどより鋭く魔力を絞り、少女の額を射抜ける細さへ圧縮した。
「…………なら、人間を襲えなくする魔法とか、ねえのかよ!?」
光が少女へ届く寸前、アルトの声が割り込んだ。術式が指先で崩れ、白い粒になって散っていく。
「…………アルト。お前、時々頭が良いな」
「あんあぁ!? 『時々』が余計だ、馬鹿野郎!」
「褒めたのだが」
知っている。人間を襲えなくする魔法なら、ずっと前から知っている。
アルトに言われるまで思い出さなかった。
配下の魔族が人間を襲ったなら殺す。俺は四度そうした。五度目も同じにするつもりだった。従うと言った同族を信用するか、信用できないから殺すか。俺の中に並んでいたのは、その二つだけだ。
勝手な男だ。
だが、俺の指は、その勝手な一言で下がっていた。
「……ある」
「本当か!?」
「互いに同意した約束を、定めた罰によって履行させる魔法がある。アイトゼーゲルだ」
懐から取り出した羊皮紙へ魔力を流すと、古い文字が血を吸うように黒く染まっていく。
「生き延びたいなら、この魔法を使う。『互いに同意した契約を、罰によって履行させる魔法(アイトゼーゲル)』だ」
羊皮紙の文字を一つずつ追い、俺の手元と、先ほど魔法を撃ちかけた指を見比べている。
「第一の約束は、自衛以外の目的で人間を傷つけないことだ。人間を食料にする行為も、当然これに含む。第二の約束は、人間を騙さないこと。破れば、その場で死ぬ」
危害を禁じたときより、騙すことを禁じたときの方が、少女の眉は深く寄った。
「言葉の隙を探しても無駄だ。術式が縛るのは文面ではない。今ここで、互いに同じものとして理解した約束そのものだ」
「……拒んだら?」
「契約は成立しない」
その先は告げなかった。少女は俺の顔から答えを読み取り、唇を結んだ。
魔族が沈黙して考えることなど、多くはない。勝てるか、逃げられるか、何を差し出せば生き残れるか。
死を恐れて口だけで頷けば、アイトゼーゲルは応じない。
人間を殺せず、騙せず、それでも生きる方を自ら選ばねばならない。
「私は、人間を傷つけない。人間を食料にしない。人間を騙さない。一つでも破れば死ぬ。すべて理解しています」
俺とよく似た赤い瞳が、正面から俺を見返している。
「それでも同意します。私は……死にたくありません」
羊皮紙の文字が、音もなく燃えた。
黒い炎から現れた鎖が俺の指へ絡み、皮膚をすり抜けて魔力の奥へ沈む。
反対側は少女の額へ突き刺さり、首へ幾重にも巻きついた。
最後の錠が閉じた感触は、彼女の首ではなく、俺の内側へ響いた。
こいつが約束を破れば分かる。
死ぬ瞬間まで、俺には分かる。
その感覚が繋がったところで、初めて自分が何を引き受けたのか、身体の方が理解した。俺はもう、この小娘を置いてはいけない。
「契約は成立した。術式が解除されるか、何者かに害されれば、即座に俺へ伝わる。逃げられると思わない方がいいぞ」
「…………はい」
二人が安堵する気配を背に受けながら、俺は女へ向き直った。
「この魔族は生きることになります」
「……なぜですか」
女は俺を見ていた。声を荒らげるでも、もう一度縋るでもない。
その方が答えにくかった。
仲間が殺したくないと望んだからとは言えない。
そんな理由を聞かされて、この女が何をすればよいというのか。
「……私が、そう決めるからです」
ようやく出た言葉は、領主の答えとしてはひどく傲慢だった。
それでも、守るためだの仕方がないだのと飾れば、もっと卑怯になる。
「許していただきたいとは申しません。息子さんを奪われた貴方に、許す義務はない。この魔族には、自衛以外で人間を傷つければ、その瞬間に死ぬ契約を課します。人間を食料にすることも認めません。人間を騙すことも禁じる。契約を破るか、解除しようとすれば、私が必ず知ることになります」
「それで……あの子は戻るのですか」
戻らない。
「いいえ」
「では、あなたが責任を負うと言えば、何が変わるのですか」
何も変わらない。俺が命を差し出しても、金を積んでも、子供の重みは戻らない。
責任という言葉を口にすれば、この女の問いから逃げられると思っていたらしい。
いつものように正しい言葉を選び、人間らしい顔を作れば、それで話を先へ進められると。
「……分かりません」
「何を差し出せば、息子さんを失ったことへの責任を果たしたことになるのか、私には分からない。ですが、この魔族を生かすと決めるのは私です。再び誰かが傷つけば、この者を殺します。それまで一日も目を離さず、私の判断から逃げません。今、貴方に約束できるのは、それだけです」
女は答えず、少女の首元を見つめている。そこにはもう何も見えない。信じろと言っても無理だろう。
「人間を見れば殺したくなる。その本能へ一生逆らわなければ、この者は生きられません。従えなければ、その場で死にます。処刑なら一度で終わりますが、この契約は、生きようとする限り終わらない」
「……あの魔族は、また誰かを殺したいと思っても、できないのですか」
「自衛でない限りは」
「誰かの子供のふりをして、近づくことも」
「できません」
「納得はできません。許すこともできません。あの子は戻ってこない。……でも、それがこの怪物にとって絶え間のない罰になるというのなら、今は、それだけを受け入れます」
ありがとう、と言いかけた舌を止めた。
何に対する礼だ。息子の仇を生かすことを、俺に許してくれたとでもいうのか。
女は許していない。受け入れたのは少女ではなく、少女へ続く罰だけだ。
懐から領主の印を押した書状を取り出し、女へ差し出した。
「貴方方ご夫婦には、我が街への移住優先権をお渡しします。街へ来れば、住居と当面の生活を保障し、仕事も用意しましょう」
女は書状を受け取らず、紙と俺の顔を何度も見比べた。その目へ浮かんだ疑いに、何を問われるのか先に分かってしまう。
「……息子の命の代わりですか」
「違う」
自分でも驚くほど強い声が出た。女の肩が跳ねる。それを見て声を抑えたが、差し出した書状は引かなかった。
「そのようなものを用意できるとは思っていません。魔族の襲撃を防げなかった領主として、残った貴方方の暮らしに手を貸すだけです。受け取っても、私を許したことにはならない」
女はようやく書状へ手を伸ばした。
礼はなかった。俺も、もう何も言わなかった。
◇
「…………私は、これから何をすれば?」
背後から届いた声に振り返ると、少女は首へ手を当てたまま、俺だけを見ていた。
逃げ道の代わりに俺へ縋られているようで、ひどく居心地が悪かった。
「どうすれば本能に狂わず、死なずにいられるか。必死に考えるのだな」
「教えては、くださらないのですか」
教えられることなら、教えている。
だが俺自身、人間を殺さなくなった理由を説明できない。
観察のために一日延ばし続けただけだと話せば、この小娘は観察するふりを覚えるだろう。人間へ向ける笑顔と同じように、俺が望む答えを作って見せる。
「俺は自分で見つけた。貴様もそうしろ」
少女の赤い瞳が俺を覗き込んだ。何を言えばこの魔族が自分を生かすのか、また探し始めたらしい。
やがて少女の頬が柔らかく緩んだ。先ほど見破られたばかりの子供を、今度は俺一人のために作り直している。
「…………リリアです」
「何?」
「私の名前はリリア。これから、よろしくお願いします」
「……お父さん」
俺はこいつの父ではないし、リリアも分かっている。それでも術式は、人間ではない俺へ向けた欺瞞までは咎めなかった。
契約が成立してから、まだ四半刻も経っていない。
「貴様……」
「『お父さん』と呼んで甘えれば、貴方に殺されない確率が上がると思いましたので」
「それを俺へ言ってよいのか?」
「嘘をついてはいません」
確かに、嘘ではない。俺が言葉を失っている間に、アルトの喉から妙な音が漏れた。
「く……くくくくく!」
「ギャハハハハハ! 良かったじゃねえか! いきなり可愛い娘ができてよぉ!」
「笑い事ではない。俺はこいつを娘にすると言った覚えはないぞ」
「でも連れて帰るんだろ?」
「監督する必要があるからな」
「むうう…………。アレンと結婚したら、コブ付きか……」
エレナがリリアの手を見ながら呟いた。
俺と結婚した場合を想定した――その一点だけが耳へ強く残り、胸の奥で何かが跳ねる。
「つまり、コブが付いても俺と結婚する可能性はあるのだな?」
「アタシの夫になる相手は、まだ決まってねえからな!」
「おお……!」
「……ほっっっ……!」
「アルト。安堵の息が大きすぎるぞ」
「まだ俺にも機会があるってことだろうが!だから俺と結婚しろや、エレナ!」
「今の話から、どうしてそうなるんだよ!」
「ふふ。魔族は、どう転んでもクズだよねぇ」
「聞こえているぞ、クラウ」
「独り言さ。にしししし」
リリアも外套を掴んだまま、クラウの笑い方を真似て口元を歪めた。
「にしし」
「それをやめろ」
「嫌です、お父さん」
「その呼び方もやめろ」
笑いが収まるのを待たず、村の出口へ向かった。
背後で慌てた足音が追ってくる。
外套を引かれても速度を変えなかったが、何歩目かでリリアの息が乱れ、契約の鎖が歩調に合わせて細かく震え始めた。
足を速めれば、手を離すだろう。
そう思って一歩を踏み出したはずが、靴底は先ほどより僅かに手前へ落ちた。
次の一歩も同じだった。
「お父さん。遅くしてくれて、ありがとうございます」
「遅くしてはいない」
「では、私が速くなったのですね」
「人間を騙すなと言ったが、俺へ見え透いた嘘をつけとは言っていないぞ」
「にしし」
外套を振り払うことは簡単だった。
だが、最後までその手を離させないまま、俺は村を出た。
俺は、なぜ…今更魔族の仲間が欲しかったのか?いや、俺は……。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
人間を襲った魔族を生かすという選択と、その責任を引き受けることになったアレン。
そして新たに加わったリリアについて、感想をいただけると嬉しいです。
次の章はアウラ編の予定です。アウラはアレンとどうなると思いますか?
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同盟する
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ガルドに招き入れる
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殺し合う
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フリーレンと戦う(原作通り)
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直接会わない