この世界で9番目ぐらいな俺、異世界人の監視役に駆り出されました 作:東雲(しののめ)
——ついさっき莫大な魔力を感知。
ただそれ以降は魔力の反応はなし、ケンザキの光を遠くから見たぐらいだ。
「近い……!」
駆け抜ける木々の間、空気の変化が肌で分かる。
「っ見つけた!」
遠目ながらもマイさんとワドウさん、スガヌマ? らしき姿を視認する。
ついでに言えば彼女らの敵対者も——
「黒格好の人間! 本当に
しかもその男の手は彼女らに伸びていて——
「
電撃系統の匂い、ここで彼女らに変な手出しはさせない。
「——っん!?」
「——間に合った!」
生み出した氷壁が敵の攻撃をコンマ数秒の差で防ぐ。
間もなくして勇者たちの所にはせ参じた。
「危ない危ない。どうにか——」
ギリギリ到着、決着する前に辿り着けた。
スガヌマに軽く確認を取るが、まだ気力はありそう。
「君は——」
「
とりあえず速射攻撃で足止め、容赦なく叩きに行く。
「く、クレス君……」
「っマイさん、ケガはない?」
へたり込むマイさんたちにも一応確認を取る。
「私たちは大丈夫。だけど騎士の皆さんが……」
マイさんたちの周囲には護衛騎士の姿があった。
しかし何十人もいるそれは、全員が倒れている。
「死んではいないみたいだけど……」
出血等はなし。精神干渉の類ではなさそうだ。
「あとケンザキは……」
「あ、あそこで倒れてる」
「さっき異能を使って向かっていったの。だけど全然歯が立たなくて……」
それでやられたと。
なら残念だがケンザキ、時すでに遅しで……
「——彼は死んでないよ。僕はちゃんと手加減した」
氷が砕かれる音、俺の槍を全て破壊し奴は出てきた。
「もう出て来たのか……」
「今の学生は
改めて敵を視認する。
恰好は黒一色、深くフードを被っているため表情は分からない。
性別は声からして男、武器の携帯はなさそうだ。
「——こんにちは。銀髪の魔法使いさん」
まさかこんなに早く仕掛けてくるとは……
「やや? もしかして僕の言葉通じてない? おかしいなー」
「聞こえてる」
「あ、良かったー。なにせ久しぶりの現世だからさ。ちゃんと
若干含みのある言い方。
ただ喋り方からして年齢は若い方、いやそう判断するのは尚早……
「昨日の夜、視線を送ってきたのはアンタか?」
「そうだよ。君があんまり優秀そうだったから、つい見惚れちゃった」
「……」
「そこらに転がっている騎士とは違う。君からは格別の才を感じるんだ」
男は口元を緩ませながらそう言った。
「な、なんで私たちを襲うんですか!?」
会話の最中、マイさんが意を決して尋ねる。
彼女たちも襲われたばかり、状況が把握できていないのだろう。
「襲った理由? それがね、実は人材探しをしているんだ」
「……人材、探し?」
「ちょっと人手不足でね、人を集めてるんだよ」
ようは
(奴は
殺気とは違う嫌なオーラもガンガン感じる。
「ただね、勇者が弱すぎてビックリ。こんなに弱いと少し考えものだ」
「ど、どういう……」
「でも他のお三方は中々良いモノを持ってそう。特に青い瞳の君は——」
——コイツ、勇者の価値を見抜いてる。
「まあ今日の収穫は
「クレス君も……?」
「そうさ。優秀な人材はいくらだって欲しい。君にも協力してもらうよ」
標的に俺までカウントされているらしい。
「アンタ、一体何者なんだ?」
「僕の正体? 気になっちゃう?」
それは俺に限らずこの場にいる全員が同じ。
勇者たちも無言で肯定を示す。
「そうかそうか、まあどうせ仲間になってもらうし……」
ウーンと唸る
しかし数秒も経たずに答えは出た。
「いいよ。なら自己紹介をしよう」
名乗るってのか?
(ナメられたもんだ。でもそれだけ自分の力を信じてるってこと)
ま、相手からしてみれば盗聴盗撮の可能性もほぼないしな。
なにせ奴は用意周到で、一帯に『人払いの結界』を張っているらしい。
俺がここに辿り着けたのは相応の魔法と経験あってこそ。
「だから応援が来る可能性は……」
ほぼゼロだ。
「でも素直に勇者を渡すわけには——」
しかし体裁上、異能で蹴散らすわけにもいかない。
だが何はともあれ、まずはその正体を明かしてもらおうか……
「僕はね、自分の願いを叶えるための駒(なかま)を探している」
淡々と語り出す正体不明の男。
すると奴の周囲には光が溢れ出した。
ケンザキのような黄一色ではなく、様々な色合いの粒子だ。
「これは……精霊?」
どこにでも住む意思持つ小さなエネルギー体だ。
「ここまでの数はそう見ないだろう?」
「……アンタの正体はエルフか?」
「違う違う。確かに精霊魔法を得意とするのはエルフだけどさ」
「なら……」
「人間にもいるんだよ。例外的に精霊魔法を使える存在が——」
そう言うと奴は一気に黒衣を脱ぎ捨てる。
露わになる容姿容貌。
「————なっ」
俺たちは度肝を抜かれた。
その理由は、男が『黒』を宿していたから。
「ふっふっふ。百聞は一見に如かずってね」
髪も黒い。瞳も黒い。
加えて肌の色も白というか黄色(おうしょく)だと判明する。
「その特徴……」
「私たちと同じ……」
「僕の名前は