この世界で9番目ぐらいな俺、異世界人の監視役に駆り出されました 作:東雲(しののめ)
『Ⅸ』の名をクレス・アリシア。
性別は男。年齢は現在15歳である。
出身は、小国家が乱立して戦が絶えないヘルシン大陸。
そんな戦乱の地の、名も無き辺境の村で彼は生まれる。
そして両親と妹の4人で暮らしていたのだった。
クレスの人生において、大きな転換期は3つ。
1つは『異能』を授かったこと。
魔法適性が元々高いこともあったが、異能が作用することで、こと氷魔法においては人智を越えた才を見出す。
ただ辺境の村だけあって、その才能に周りは多少凄いと思う程度。
国家や魔法師がその存在を把握するまでには至らなかった。
2つ目、これが彼の人生を過酷なものへと変えることに。
それは生まれ育った村が、突然滅んだことである。
原因不明。ただ嵐のように
気付いた時には村も、人も、家族も消し飛んでいた。
密かに日課としていた魔法の鍛錬のため、森へとコッソリ入っていたクレスが助かったのはまさに僥倖だろう。
そのために、彼だけが生き残ることが出来たわけだ。
しかし帰る場所も、共に生きる人も失ってしまった。
ここからは孤独の道である。
その時のクレスの年齢は11歳、すぐに自立できたわけではない。
ただ幾ら待っても助けは来なかった。
ゆえに感傷に浸る暇などないと悟った。
それからは生きるために必死になったし、辛くて死のうと思った時もある。
だが、どうしても亡き家族の姿が脳裏に蘇ってそれを阻んだ。
その後、クレスは冒険者になった、いや盗賊にも暗殺者にも。
魔物の討伐、窃盗、要人の暗殺に至るまで。
同時に生きる可能性を高めるため、ひたすらに魔法を、特に成長が顕著な氷属性の魔法を極めていった。
徹底した隠密により身元の特定はされなかったものの。
その凄まじい実力から、最強の氷魔法使い『
クレスはあらゆるモノを氷のオブジェへへ変える実力を得た。
しかしその代償か、いつしか彼の心も凍っていた。
そして3つ目の転換期。
これは14歳になった頃、とある出会いがあった。
それは獣人、精霊、エルフ、魔族、同じ種族である人間も含め世界から恐れられる。
『
クレスは初めて自分と対等、あるいは自分以上に強い存在を認知したのだ。
そこからは紆余曲折あり、結局は『Ⅸ』として組織に加入することになる。
初めは凍った心故に突き放すことが多かった。
だが周りはそんなことを気にしない、変人の中の変人ばかり。
鋭い眼光にも遠慮なし、それぞれが偽りない自分で接した。
すると彼の淡々とした態度も段々と柔らかいものに。
特に『Ⅴ』のアウラ・サンスクリットの影響は大きい。
リーダー格である『Ⅰ』が意図的にクレスと彼女を共に行動させたのだ
『――氷を溶かすのは炎。あたしがお前の太陽になってやるよ』
アウラは熱さに生きる人間、その信念は真っすぐの具現化、忌憚ない行動がクレスに明るさを与えることに。
年齢も5つ離れるだけあって、傍から見れば姉と弟のようにも、もしくは恋人に見えたかもしれない。
そして遂に、クレスには4つ目の転換期が訪れようとしている。
舞台は大国ハーレンスの魔法学園。
役者は9番目の災厄、そして勇者とそれを取り巻く者たち。
次のページへと手をかける。
そこはまだ白紙、ここから新たな物語が紡がれていくのだ。