Fate/Grand Order if「矛盾結晶楽園ニルヴァーナ・ゼニシア 遠き黄金の奇跡」   作:一四

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二章 むじゅん、はらむ

私が目を覚ましたのはどこかの森の中でした。最初はどこかの山奥に飛ばされたのかとも思いましたが、オルテナウスで計測される神代レベルの魔力などの異常がそれを否定していました。そして周囲に先輩の姿がないことに気づき急いでカルデアとの通信を試みました。

 

「マシュ!無事かい!?状況は!?」

 

「ダ・ヴィンチちゃん!通信には問題ないようですね。現在は謎の森林地帯、しかも大気中の魔力が神代級と判定されている場所に居ます。マスターとはトラブルによってはぐれてしまったようです。」

 

「なるほどそんなことに…。こちらではキミたちがレイシフトしたタイミングで特異点性質が大きく変わるのを確認した。現在の異聞深度はEX、人理定礎値はA+になってる。神代のような性質を持つ現代なんておかしな事になっていても不思議じゃないかもだ。」

 

「それよりマシュ、藤丸君が居ないってホント!?こっちからじゃつながりはするけど情報の伝達ができないんだ。電波を遮断されているような状態だ。」

 

「ということは、先輩だけ別の、通信が行えないような場所に飛ばされた…ということでしょうか?」

 

「うん、おそらくね。幸いモニタリングしているバイタルに問題はないどころか、たまに魔力が大幅に外部から供給されているようだから生命活動に直接の問題はないだろうが、いつそうじゃなくなるかはわからない。合流を急いでほしい。周辺環境に何か気になるものはないかい?なにか糸口を探そう。」

 

提案通り周囲の視覚と魔力でのスキャンを開始する。すると遠巻きにこちらを伺う存在を確認しました。

 

「ダヴィンチちゃん。こちらを伺う生命体を確認、しかし戦闘の意図は無いようです。」

 

「こちらでも確認した。特徴的には動物に近いんだけどヤガのようなケースもある。原生人類かもしれないし、とにかくエンカウントしてみよう!今は一つでも情報が欲しい。」

 

「了解。接近、そしてコミュニケーションを試みます!」

 

まず敵意がないことを表すため武装を最低限まで解除、そして存在を認知していること、こちらに戦闘の意図がないことを伝えました。すると言葉が伝わったのかしばらくして何人かの獣のような方々が私の目の前に現れました。その中からペンギンのような人が前に出て話をしてくれました。

 

「キミ、どこから来たんだ?この森に外から女王の許可なく入るなんて出来ないはずだぞ?」

 

「来た方法に関しては詳しくお答えすることは出来ませんが、皆さんと積極的に敵対するために来た訳ではありません。」

 

 

「じゃあ何のために来たの?」

 

「私も詳しい状態を把握していないので具体的な事は言えないのですが…、この世界に起こっている異変を解決するために来ました。はっきりしている目的としては、共に行動していた人を探すことです。行きがかりにはぐれてしまったので。」

 

 

「ああ、なるほど。迷って人探しをしてたのか。この森にただで入ればそれはそうなる。」

 

そこにいた人達は先ほどまで警戒していた様子が嘘のように警戒を解いてくれたうえ、どうやら近くの集落まで案内してくれるようでした。

 

「それじゃ女王様のとこに連れてくよ。きっとその人も女王様が見つけてくれる。オラクルってわけでもないみたいだし。」

 

ペンペン中尉と名乗った彼はその可愛らしい羽をパタパタと振ってついてくるように促してくれたので、私は案内されるままについていきました。

 

「にしてもこのフィオナの森にそんな不用心に入るなんてどれだけ焦っていたんだ?もしかしてオラクル達から逃げていたのか?」

 

「いえ、そういうわけでは…。そもそもオラクルというのは一体なんなのでしょうか?名前から察するに何かの宗教団体か何かの様ですが…。」

 

 

そう聞くと中尉は大変驚いた様子でこちらを振り返りました。

 

「お姉さんオラクルのことも知らないのか!?いや憶えていないのか…?まあいいか…。オラクルってのはゼニスのことを崇めてるイカれた奴らさ。結局水晶にされるだけだってのになんであんなに信じてられんのか…。」

 

「そのゼニスというのは…?それに水晶にされるとは一体…?」

 

「そんなに焦らなくても大丈夫さ。どうせ姫様に会えば無くなった記憶だって取り戻してくれる。ほらもうすぐ着くぞ。」

 

そう言った中尉の向かう先をみると、様々な動物が穏やかに過ごす村のような場所が見えてきました。動物たちが人のように笑い、遊び、芸術をたしなむその景色は、まるでおとぎ話の一説のようでした。しかし、その光景の節々に何かの影を感じる暗さもありました。それは異聞帯独特の、停滞を感じる影と近いような気がしました。その村の奥にある宙までも届くような、しかし、間違っても実際には宙にはつながってはいない巨木に目が行く。それに気づいたのか中尉はその樹について教えてくれました。

 

「あそこに見えるのは世界樹ってよばれてるものだ。あそこの根元に姫様はいる。行こう。」

 

促されるままそのあとをついていく。案内されたのは大樹をくりぬいて作られたような部屋で、明らかに内外の空間の大きさが違いました。中に入ってみると机とイス、そして少しのお菓子が用意されていて待合室のような部屋なのだと理解しました。暫し待つように命じられたのですが、その間に復帰したという先輩と通信を行うことができました。無事を確認できたことで目下一番の不安が取り除かれ少し余裕も戻ってきました。どうやら現地で召喚できたサーヴァントのおかげで助かったようでした。その方と少し話をした後、謁見の準備ができたと再度呼び出されたため、一時通信を切断し、中尉の後をついていくことになりました。迫る時に備え、緊急時の備えもしながら話すべきこと、聞くべきことを整理しておいて、私はその謁見に望みました。

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