【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー1章ー010話

 

 

 

10月

 

【東京レース場・芝1800m・GⅡ 毎日王冠】どーーん

 

 

実況『全ウマ娘ゲートイン完了……』

 

実況『毎日王冠……』

 

『……』

 

スズカ『……』

 

グラス『……』

 

エル『……』

 

ガシャンッ!

 

実況『今!スタートです!』

 

実況『おおっと!グラスワンダーやや出遅れた!10か月ぶりの影響が出てしまったか?』

 

実況『他のウマ娘たちは揃った綺麗なスタート!』

 

グラス(いけない!スタートで出遅れるなんて……)

 

エル(最高のスタートデース♪この位置なら……)

 

実況『そうです!サイレンススズカ当然いく!先頭はサイレンススズカ!』

 

スズカ(……)

 

(いいスタートや)

 

実況『問題はペース!どれくらいでいくのか?』

 

実況『2番手はエルコンドルパサー、いい位置につけています』

 

実況『やや出遅れたグラスワンダーは中団やや後ろ6番手くらいでしょうか』

 

グラス(くっ……スズカ先輩にこれ以上離されては……)

 

エル(……じっくりいきマース)

 

スズカ(……身体が……軽い……)

 

実況『さぁ、第3コーナー手前サイレンススズカのリードは5バ身、今日はそこまでちぎっていません!』

 

実況『2番手集団、エルコンドルパサーはじっくり行こうかという構え4番手』

 

実況『その後ろ少し離れてここにいましたグラスワンダー、じわじわ盛り返してきてるぞ』

 

実況『先頭サイレンススズカ今日も逃げる!』

 

実況『さあ、ここで外からグラスワンダー早めに出てきた大ケヤキの向こう側!』

 

グラス(遅れた分はここから!)

 

エル(……グラス!?)

 

スズカ(……今日は先頭の景色を独り占めしない……)

 

実況『さぁ第4コーナー!どうだ!外からサイレンススズカに詰め寄ってきたのはグラスワンダー!』

 

実況『どうだどうだ!グラスワンダー、サイレンススズカ目掛けて迫ってくる!』

 

実況『さらにその後ろにはエルコンドルパサー!』

 

実況『最終コーナー立ち上がって!最後の直線!真っ向勝負!!』

 

実況『サイレンススズカリード3バ身!』

 

実況『久々グラスワンダー!』

 

実況『NHKマイル覇者エルコンドルパサー!』

 

実況『坂を上る!サイレンススズカまだ逃げる!』

 

実況『残り200を通過!』

 

エル(いきますよ!スズカ先輩!!)

 

グラス(……くぅ……まだ!)

 

スズカ(……どこまでも……どこまでも……)

 

スズカ(あの人と一緒に……先頭の景色を!)

 

『いけぇー!!スズカーーっ!!!』

 

エル『はああーーーっ!!』

 

グラス『はぁぁぁーっ!!』

 

スズカ『やああああーーっ!!』

 

実況『ここで来た!NHKマイル覇者の末脚、エルコンドルパサー!』

 

実況『グラスワンダーは伸びが苦しい!』

 

実況『サイレンススズカ!抜かせない!縮まらない!』

 

実況『サイレンススズカだ!サイレンススズカだ!』

 

実況『2番手はエルコンドルパサーだが離れている!』

 

実況『グラスワンダーは3番手も苦しい!』

 

実況『逃げる!逃げる!サイレンススズカ!』

 

実況『サイレンススズカ!今!ゴーールッ!グランプリウマ娘の貫禄!!』 

 

実況『どこまで行っても逃げてやるっ!!見事だ見事だ!サイレンススズカ!!』

 

『ヨッシャーーーッ!!』両拳を高く突き上げる

 

歓声『わあああああああああ~……!!』

 

スズカ『……やっぱり……走るのって、気持ちいい……』

 

スズカ(トレーナーさん……)

 

歓声『わああああ~……サイレンススズカー!……』

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

地下バ道

 

『おめでとう!スズカ』

 

スズカ『トレーナーさん!』タッタッタッ……

 

スズカ『ありがとうございます♪』

 

スズカ『トレーナーさんにも見えましたか?』

 

『ああ!今……最っ高ッ……に!気持ちいいっ!』ニカッ✨

 

スズカ『ふふ、トレーナーさんッ!』ダッ――ぎゅうっ!

 

『うおっ!』 

 

『こ、こらっ……スズカ!……人が……いっぱい見てるから……』 

 

スズカ『ふふっ……はい、トレーナーさん』ぱっ

 

『ひ……控室に戻りますよ!』 タッタッタッ……

 

スズカ『あ!トレーナーさん、待ってくださいっ!』タッタッタッ……

 

 

 

控室へ戻る道中、関係者通路

 

 

 

乙名史『サイレンススズカさん!片桐トレーナーおめでとうございます!』

 

『ん?』

 

(おっと、久々登場乙名史悦子記者やん)

 

記者たち『おめでとうございます!』ぞろぞろ

 

(で、囲み取材っと……)

 

乙名史『少し……お話よろしいでしょうか?』

 

(う~ん……コミュ障ワシ……スズカもあんまし、しゃべるの得意な方やないし……)

 

(なにより“あれ以来”断ってきたんやけど……)チラッ

 

スズカ『……』コクッ

 

『!』

 

『……はい、どうぞ』

 

乙名史『ありがとうございます!では、早速……』

 

乙名史『まずは毎日王冠勝利おめでとうございます』

 

『ありがとうございます』

 

乙名史『サイレンススズカさんは今年に入って負けなしの6連勝!今のお気持ちは?』

 

スズカ『えっと……嬉しいです』 

 

(はは……やっぱ取材は得意やないな)

 

乙名史『と、同時に片桐トレーナーも復帰後無敗となりますが、サイレンススズカさんの強さの秘訣は?』

 

『秘訣……ですか……サイレンススズカを信じることです』

 

スズカ『!』

 

スズカ『……////』

 

乙名史『お二人の絆の結果ということでしょうか?』

 

『はい』

 

乙名史『では、次走についてお聞きします、もちろん狙うは“秋の盾”ですね?』

 

『!!』

 

スズカ『はい!』

 

(……スズカ……)

 

乙名史『次も期待してよろしいでしょうか?』

 

『はい……先頭の景色は誰にも譲る気はありません!』

 

スズカ『!』

 

乙名史『ありがとうございました。次走も頑張ってください!』

 

『失礼します』ペコッ

 

スズカ『……』ペコッ

 

・・・・・・

 

控室

 

『ふぅ~~……やっぱ取材は苦手……ぅぅ……』

 

スズカ『そうですか?ちゃんと受け答え出来てたと思いますけど?』

 

『ははは……大人ですから……最低限はね』 

 

スズカ『ありがとうございました』

 

『ん?なにが?』

 

スズカ『やっぱり……私はうまくしゃべれなくて……』 

 

『取材なんかうまくならなくていいよ、そのために大人なトレーナーがいるんだろ?』キリッ✨

 

スズカ『ふふ……はい♪』

 

『スズカ……ありがとう、最高の景色だった……』

 

スズカ『……私一人の力じゃないです……トレーナーさんと一緒だったから……』

 

『……スズカ』

 

スズカ『トレーナーさん……』

 

『……』

 

スズカ『……』

 

『か、帰ろうか?』 

 

スズカ『は、はい!』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 トレセン学園 トレーナー室前

 

スズカ『トレーナーさんがお休み!ですか?』

 

たづな『はい、今朝学園に連絡がありまして、発熱で休むと……』

 

たづな『休養日でトレーニングはないけど、スズカさんが来るかもしれないから伝えてくれと頼まれまして』

 

スズカ『トレーナーさんそんな具合悪いんですか?』

 

たづな『さあ?詳しくは……発熱としか伺ってませんので』

 

スズカ(今まで一度もお休みしたことないのに……)

 

スズカ『たづなさん!』

 

たづな『はい?』

 

スズカ『トレーナーさんのお家教えてください』

 

たづな『え!?』

 

スズカ『学園ならトレーナーさんの住所わかりますよね?』

 

たづな『それは……もちろんわかりますけど……』 

 

スズカ『お見舞いに行きたいので、お願いします!』

 

たづな『スズカさん……お気持ちはわかりますけど……』

 

たづな『担当ウマ娘といえど個人情報を学園側から許可なく教えることは……』

 

たづな『個人情報保護の観点からできないんです』

 

スズカ『許可があればいいんですか?』

 

たづな『直接片桐トレーナーに聞けばいいんじゃないですか?』 

 

スズカ『トレーナーさんに直接聞く……』

 

スズカ『……』想像中

 

脳内片桐(……『もし移ったりしたら怖いから、来ちゃダメッ!』……)

 

スズカ『……』

 

スズカ『……教えてくださいっ』ペコッ

 

たづな『え!?ええっ!?』 

 

たづな(な……なんで??) 

 

スズカ『お願いします、たづなさん』

 

たづな『えっと……困りましたね……』 

 

保科『おや?どうしたんだい?たづなさん、こんなところで……』

 

たづな『あ!先生』

 

保科『おや?あなたは……サイレンススズカさん、どうだい?トレーナーの傷は良くなったかい?』

 

スズカ『はい、おかげさまで傷はもう平気みたいです』ペコッ

 

保科『で?何を言い争ってたんだい?』

 

たづな『いえ、言い争っていたわけではないんですが……』

 

 

・・・・・・

 

 

保科『……なるほどね』

 

たづな『わたしの立場としては……どうにもできなくって……』

 

スズカ『……』しゅん……

 

保科『独身で一人暮らし……周りに頼れる人がいるかもわからない……』

 

保科『片桐トレーナーの体格じゃ高熱が出たら動くのもままならないかもね……』

 

スズカ『……ぅぅ』

 

保科『たづなさん、この学園の保健管理者として片桐トレーナーの様子を誰かが見に行くべきだと助言します』

 

たづな『それは……』

 

スズカ『!』

 

保科『万が一があったら学園の損失でしょ?なあに、なにかあったら私も一緒に責任取るから』

 

たづな『……保科先生がそうおっしゃるなら……わかりました』

 

スズカ『!』✨

 

スズカ『ありがとうございます!』ペコッ

 

保科『自分の事に無頓着そうなあのトレーナーのことだから、しっかり面倒みてやりなさい』

 

スズカ『はい!』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

片桐自宅

 

呼鈴『ピンポーン』

 

『……ぅぅ』

 

呼鈴『ピンポーン』

 

(やかましいな……熱で身体しんどいっちゅうねん……無視や無視……)

 

呼鈴『ピンポーン……ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン』

 

(ッ!気でも狂ったか!)

 

呼鈴『ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン』

 

『ちぃ……』ヨタヨタ……

 

『誰やねん……』

 

ガチャ

 

『スズカっ!?』

 

スズカ『こんにちは、トレーナーさん』✨

 

スズカ『……むっ』ひょい

 

『え?え?……ヤーメーテー……おーろーしーてー……』お姫様だっこ

 

ベッド『ぼすっ』

 

『……はう』

 

スズカ『だめじゃないですか!体調が悪いときはちゃんと寝てないと!』フリフリ……

 

『えぇぇぇぇぇ~……』 

 

(スズカの天然がパワーアップしてる!??)

 

スズカ『体調はどうですか?』フリフリ……

 

『うん、熱がちょっとあるだけだから……』

 

(それにスズカにしては珍しく感情が尻尾に出てる!?)

 

(……めっちゃご機嫌?……なんで? )

 

スズカ『本当に顔が赤いですね……どれどれ……』顔を近づける

 

『いやいや ……体温計!体温計ありますからっ!』 

 

『……あ』ピトッ

 

スズカ『……』

 

『……』 

 

スズカ『……熱いですね』パッ

 

『……でしょうね……』

 

スズカ『体温計で計りましょう♪』

 

(わからんかったんかぁ~いっ!)

 

体温計『ピピピピッ……』

 

『……ヨイショ』スッ

 

『……ぅ』ちら

 

スズカ『何度ですか?』

 

『……平熱になったみたいです……』サッ

 

スズカ『何度ですか?』

 

『……36度……くらい……』 

 

スズカ『何度ですか?』ニコッ✨

 

『ぅ……はい……』体温計渡す

 

スズカ『……38.6度……』ゴゴゴゴゴ……

 

『いや!風邪とかだったらスズカに移したくないし!』 

 

スズカ『そんなに私に看病されるのが嫌ですか?』ニコッ✨

 

『全然!まったく!そんなことはないです!……ただ、ホントにスズカに移ったら……』

 

スズカ『はぁー……トレーナーさんだったらそう言うと思いました』

 

スズカ『私……あまり風邪ひいたことないんでわからないんですけど……』

 

スズカ『トレーナーさん本当に風邪ですか?』

 

『……うっ』 

 

スズカ『咳も出てないみたいですし……鼻水も……くしゃみも出ないですね』

 

『……ピーヒョロロ~……』 口笛

 

スズカ『なにかお心当たりがあるみたいですね』ニコッ✨

 

(もうやめて!その笑顔!可愛いの!)

 

『……心因性発熱……かな……と』

 

スズカ『心因性発熱??』

 

『色々考えすぎたり、一時的に強いストレスがかかると発熱するらしいです……』

 

スズカ『考えすぎ……あ!知恵熱ですね!』

 

『その呼び方!やめて!45にもなって知恵熱とか!……恥ずかしいっ……////』 

 

スズカ『?』

 

スズカ『……そういうものですか?』

 

『……ぅぅ……////』

 

スズカ『ふふ……じゃあ、移ることもないですね』

 

『……ないです……』 

 

スズカ『じゃあ、目一杯看病しますね♪』フリフリ……

 

『……寝てれば治るとおもうけど……』

 

スズカ『……キッ』睨む

 

『ありがとうございます!とてもうれしいです!』 

 

(たまに出てくる、スズカのエアグルーヴなんやねん) 

 

スズカ『それにしても……』 部屋を見渡す

 

部屋の隅には脱ぎっぱなしの服

 

テーブルの上には飲みかけのペットボトルとコンビニ弁当の空き容器

 

洗濯物は畳まれず、取り込んだまま山になっている

 

シンクには使った食器が数枚

 

ベッド脇には頭痛薬とティッシュ

 

スズカ『男の人の部屋ってこんな感じなんですね……』 

 

『なはは……男の一人暮らしなんてこんなもんだよ……』

 

(ちょっと引いてる……?) 

 

スズカ『トレーナーさん、ご飯は食べましたか?』

 

『……タベテナイデス……』

 

スズカ『ハァー……だと思いました、なにかありますか?冷蔵庫開けますね』てくてく

 

『……』 

 

スズカ『……』 パカッ

 

スズカ『えっと……』 バタンッ

 

スズカ『来るとき何か買ってくればよかったですね』 

 

スズカ『たづなさんにトレーナーさんの住所聞いて……』

 

スズカ『嬉し……慌てて来ちゃって 何も準備してこなかったから』 

 

(嬉しくて?今、嬉しくて言うたよな?)

 

スズカ『えっと……ちょっと買い出し行ってきますね』 

 

『あ、うん』

 

スズカ『トレーナーさんはちゃんと寝てないとダメですからね!』

 

『はい』

 

スズカ『それじゃあ、いってきます』

 

ガチャッ

 

『いってらっしゃい』

 

(……看病するのってそんな楽しいんかな?)

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

スズカ『ただいま、もどりました~』

 

ガチャ

 

『おかえりー』

 

エアグルーヴ『邪魔するぞ』

 

『邪魔すんのやったら、帰ってやぁ~』

 

グルーヴ『なんだと?』睨む

 

『エアグルーヴ!……さん』 

 

スズカ『ダメですよトレーナーさん!せっかくお願いして来てもらったのに、そんな事言っちゃ……』

 

『え?お願いして?エアグルーヴに?』

 

スズカ『はい♪』

 

グルーヴ『なるほど……これは確かに……』✨

 

スズカ『トレーナーさん、エアグルーヴのストレス発散法、知ってますか?』ヒソヒソ

 

『いや、知らないけど……』ヒソヒソ

 

スズカ『ふふ……お掃除なんです』ヒソヒソ

 

グルーヴ『まったく……どこのトレーナーも変わらないな』やる気に満ち溢れた目✨

 

『なるほど、それで助っ人ね……』

 

スズカ『それじゃあ、エアグルーヴ始めましょうか』

 

グルーヴ『ああ、こちらは任せておけ』✨

 

スズカ『じゃあ、私はお料理を……』ドサッ、ドサッ……

 

(ん?スズカの荷物なんか多ない?)

 

スズカ『トレーナーさんはもう少しおとなしく寝ていてくださいね』

 

『……はい』 

 

グルーヴ『……やるか』✨

 

『あ、ありがとうな……エアグ……』

 

グルーヴ『私に話しかけるな!黙って寝ていろ……キッ』睨む

 

『は、はい!』 

 

(お礼言ったら怒られたんやけどぉ~……?)

 

スズカ『ふん……ふふ~ん♪』フリフリ……

 

グルーヴ『テキパキ……』

 

『……』

 

(……美人ウマ娘二人に、自分の部屋で、掃除と料理を作って貰ってる……)

 

(……明日あたり、ワシ死ぬ?) 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

スズカ『よしっ!完成っ♪』

 

グルーヴ『まぁ、こんなものか』さっぱり✨

 

スズカ『お待たせしました、トレーナーさん』

 

『ふぁい……ありがとー……』ウトウトしてた

 

スズカ『わあ、お部屋もさっぱりしましたね、さすがエアグルーヴ♪』

 

グルーヴ『ワンルーム程度なら造作もない』さっぱり✨

 

グルーヴ『では、私は帰るぞスズカ』さっぱり✨

 

スズカ『え?一緒に食べていかないの?』

 

グルーヴ『ああ、今日中に片づけておきたい生徒会の書類があるからな』さっぱり✨

 

スズカ『たくさん作ったのに……』

 

グルーヴ『二人で食べるといい……それでは失礼する』

 

ガチャッ

 

スズカ『ありがとう、またね』

 

『……』

 

『なんか……部屋もさっぱり✨したけど……エアグルーヴもすっごいさっぱり✨してたね』

 

スズカ『ふふ……いいストレス発散になったんじゃないですか?』

 

『俺の汚部屋も人の役に立つことあるんだな……』

 

スズカ『褒められることじゃありません!』

 

『……ははは……』

 

スズカ『ご飯にしましょう?トレーナーさん』

 

『はい、今日のご飯はなんでしょう?』

 

スズカ『ふふ……具だくさん栄養満点たまご粥です♪』

 

『おお……めっちゃ豪華なお粥』✨

 

スズカ『なるべく食べやすくて、栄養のあるものを作ってみました』

 

『……スズカって料理できるんだな……』ボソッ

 

スズカ『何か言いました?』ニコッ✨

 

『いいえ!何も言ってません!』 

 

スズカ『トレーナーさん、もしかして……私のこと……』

 

スズカ『走ることしかできない、天然ウマ娘とでも思ってたんですか?』ニコッ✨

 

『ギクッ ……そ、そんな風には思ってませんよ……』

 

スズカ『……なら、いいです♪いただきましょ』

 

『はい、いただきまーす』ぱくっ

 

『ん!』✨

 

スズカ『……じ』

 

『……ふつうにウマい♡』

 

スズカ『ふふっ……よかったです♪』

 

スズカ『たくさん作ったので、いっぱい食べてくださいね』

 

『もぐもぐもぐ……うん』

 

『もぐもぐもぐ……ところでスズカ……』

 

スズカ『……はい?』

 

『もぐもぐもぐ……なんか、食材以外にもたくさん荷物あったみたいだけど……料理道具かなんか?』

 

スズカ『……あぁ、あれは……』

 

スズカ『お泊まりセットです♪』

 

『ぐぼはぁーっ!!』

 

スズカ『きゃあっ!』

 

『……え?ええっ!?』

 

スズカ『もう、ご飯つぶ飛ばさないでください……』ふきふき……

 

『ど、どこに……とと、泊まるの?』

 

スズカ『はい?……ここに決まってるじゃないですか……』ふきふき……

 

『け、けど!……栗東寮って……も、門限あるよね?』

 

スズカ『エアグルーヴを呼びに行くとき、学園で外泊申請出してきました……』ふきふき……

 

『え?え?え?……トレーナーの家で……申請通るもんなの?』

 

スズカ『申請書出すときに保科先生が付き添ってくれて、普通に受理されましたよ?』キョロキョロ……

 

(なにしてくれてんのー!保科ー!)

 

スズカ『……あ!こんなとこにも……』ふきふき……

 

スズカ『そういえば、申請書出したあと保科先生が……』ふきふき……

 

保科『“しっかり”準備して行くんだよ?』

 

スズカ『って、おっしゃっていたので……』

 

スズカ『ちょっと大荷物になっちゃいました』ピカ✨

 

(なに!意味深なこと言ってんの!あのばばぁー!!)※失礼

 

『そ、その……スズカは……平気なの……?』

 

スズカ『?』

 

スズカ『……目一杯看病するって言ったじゃないですか』ニコッ✨

 

(待て待て待て待て!……落ち着け落ち着けー!片桐隆45歳っ!)

 

(現世では、一人の女性を愛し、子も成した立派(?)な成人!)

 

(ウマ娘と言えど、こんな生娘に……)ちらっ

 

スズカ『ん?』ニコッ✨

 

(グハッ……か……可愛すぎる……誰や?……美人は3日で飽きるとか言うたやつは……)

 

(全っ然っ……可愛いんですけど!?飽きないんですけど!?むしろ増してるんですけどっ!?)

 

(ダメだ……このままではまた……心因性発熱が……)

 

スズカ『トレーナーさん、凄い汗かいてますね……ご飯食べたらお風呂……』

 

スズカ『は、熱上がっちゃいそうだから……身体を拭いてお着替えしましょうね♪』

 

(……お……お風呂っ!?)

 

スズカ『大変そうだったら、私が身体拭いてあげますね♪』

 

『……あ』ツー……

 

スズカ『トレーナーさん!鼻血が!』

 

『……ちょっとのぼせたかも……ツー……』

 

スズカ『のぼせ……?』

 

 

・・・・・・

 

 

パタパタ……

 

スズカ『ちょっとよくなりました?』パタパタ……うちわ

 

『ありがとう』膝枕されてる

 

スズカ『ふふ……熱でのぼせるんですね……』パタパタ……

 

『いや……面目ない』 

 

スズカ『……』パタパタ……

 

『……』

 

スズカ『……まだ……怖いですか?』

 

『!!』

 

『……はは……わかる?』

 

スズカ『知恵熱出すほど考えることって……それしかないと思って……』パタパタ……

 

『……決心……したはずなんだけどね……みっともない……』

 

スズカ『……それほど大事ってことなんですよ……////』パタパタ……

 

『うん……大事……ここまできても……信じていても……まだ迷うくらいには……』

 

スズカ『……////』パタパタパタパタ……

 

『スズカ、秋天出るのやめないか?』

 

スズカ『えっ!?』

 

『……』

 

スズカ『……』

 

『よし!言った!ずぅぅっと言いたかったから言っちゃった……ははは』

 

スズカ『……トレーナーさん……』

 

『はい!今のナシッ!前言撤回!秋天には出ます!』

 

『……あぁ~……でも、少しスッキリしたぁ……』

 

スズカ『トレーナーさん』

 

『ん?』

 

スズカ『私……走れるのに、走らなかった後悔はしたくありません』

 

『……うん』

 

スズカ『自分で選んで走って……その先に何が起こっても……』

 

『……』

 

スズカ『全力で走った後なら……全てを受け入れられると思うから……』

 

『……うん』

 

スズカ『……だからトレーナーさんも……』

 

『ああ、一緒に走る、一緒に見る、スズカと最高の景色を』

 

スズカ『……はい』パタパタ……

 

(また、スズカに助けられてしもうたな……)

 

(……何があっても……ワシはどうなっても……抗い続けたるわ……)

 

スズカ『だいぶ熱も下がってきたみたいですし』

 

『……ん?』

 

スズカ『身体を拭いてお着替えしましょ♪』

 

『!!』

 

スズカ『私、タオルをお湯で濡らしてきますね♪』

 

『いや!自分でできます!自分でやりますから!』 

 

スズカ『ふふっ……今日は目一杯看病するんです!』

 

『いやぁぁぁぁぁぁーっ……』

 

(がんばれ!ワシの理性!!)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

11月1日

 

【東京レース場 芝2000m G1 天皇賞・秋】どーーーん

 

東京レース場 入場口前

 

(ついに……この日がきた……)

 

スズカ『すごい人ですね……』

 

『ん?ああ、ほとんどスズカの走り目当てだと思うよ』

 

スズカ『え!?そんなことは……ないと思いますよ?』 

 

(ホンマに自覚ないねんな、自分の走りの凄さに……)

 

???『お!きたなぁ、異次元の逃亡者』

 

『じゃあ、控室行こうか?あんまり長くいると大変なことになりそうだ……』

 

観客たち『あ!あれって』『キャー!スズカさぁ~ん!』『ヤヴァ!生スズカだ!』

 

キャーキャー わいわい

 

スズカ『……そうですね』 

 

???『サイレンススズカさん!』

 

『ん?』

 

スズカ『はい?』

 

???『どーも、初めまして、わしは……』

 

(藤井泉助!?)

 

藤井泉助『新聞記者の藤井泉助いうもんです』cv.高橋大輔

 

『レース前ですので取材はご遠慮ください』

 

藤井『これはこれは片桐名トレーナー!これ、わしの名刺です』さっ

 

藤井(元ハイセイコー担当のアイドルトレーナーこと片桐隆、サイレンススズカをここまで育てたのもこのトレーナーの手腕か?)

 

『頂戴します』ぱっ

 

(藤井泉助、曲者記者のイメージあるし関西弁やからやりにくっ、“ワシ”が被ってんねん!)

 

『ですが、取材はお断りします』

 

藤井『ほんなら、一言だけっ!』

 

藤井『先頭の景色!今日も見れますか!?』

 

スズカ『!?』

 

『!?』

 

(コイツ……!どこまで調べて……!?)

 

スズカ『はい!先頭の景色は……』

 

『誰にも譲る気はありませんっ!』

 

 

 

 

 

ー1章ー010話   逃げ切りっ!Fallin' Love、この熱からは逃げられない   完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【あとがき】

第1章 第10話
『逃げ切りっ!Fallin' Love、この熱からは逃げられない』

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。KUROXです。

毎日王冠を見事に逃げ切ったサイレンススズカ!

……ですが、トレーナーさんはスズカの看病から逃げ切れませんでしたw

お姫様抱っこに大掃除、具だくさんのたまご粥、そしてまさかのお泊まりセット。

ラブコメ全開の看病回でしたが、今回の核は片桐がようやく口にした本音です。

『スズカ、秋天出るのやめないか?』

未来を知るからこそ消せない恐怖。それでもスズカは「走れるのに走らなかった後悔はしたくない」と、自分で選んで走る覚悟を示します。

その言葉に背中を押され、片桐も再び彼女と一緒に走ることを選びました。

そして、いよいよ次回。

【第1章 第11話】

第118回 天皇賞・秋――「沈黙の日曜日」

8月30日(日)19:00公開予定です。

第11話は、私がこの物語でどうしても書きたかった一話です。

片桐とスズカは、誰もが知る運命の日に何を選び、どう抗うのか。

この一話を、一人でも多くの方へ届けたいと思っています。

もし応援していただけましたら、第11話公開時にXの公開ポストをRP(リポスト)していただけると、とても嬉しいです。

二人の戦いを、どうか最後まで見届けてください。

【KUROXの駄馬《だば》なし 】

第5走では、第10話・第11話の裏話や元ネタを取り上げます。

8月31日(月)07:00公開予定です。

【X(本編直接公開・最新情報)】
[https://x.com/utsupapa\_2021](https://x.com/utsupapa_2021)

【note(裏話・ネタ解説)】
[https://note.com/kurox\_1200](https://note.com/kurox_1200)
※noteは、登録・ログイン不要でそのままお読みいただけます。

それでは皆様、次回――運命の天皇賞(秋)「沈黙の日曜日」でお会いしましょう!

片桐とスズカは運命に抗えるのか!?

KUROX
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