【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー2章ー007話

 

 

 

12月末 トレーナー室

 

『というわけで、ライスは来年からクラシック期に突入するわけですが……』

 

ライス『……クラシック……』

 

『ライスはクラシック路線とティアラ路線、どっちに進みたい?』

 

 

【ピンポーン 】

 

【駿川たづなのトレセン学園豆知識♪part2】

 

ウマ娘たちが目指す大きな舞台には

 

「クラシック路線」と「ティアラ路線」があります

 

クラシック路線は――

 

皐月賞、日本ダービー、菊花賞

 

3つのレースで「クラシック三冠」を目指す道

 

そしてティアラ路線は――

 

桜花賞、オークス、秋華賞

 

3つのレースで「トリプルティアラ」を目指す道です

 

元となった競馬では

 

クラシック路線は主に牡馬

 

ティアラ路線は牝馬のための道でした

 

ですが、ウマ娘は皆さん女性です

 

ですので、こちらの世界では性別による区分はありません

 

どちらの路線へ進むかは

 

本人の適性や夢、トレーナーさんとの相談で決められます

 

もちろん、両方の路線のレースに挑戦することもできますよ♪

 

……もっとも

 

大切なレースほど開催時期が近いため

 

すべてに出走するのは、現実的ではありません

 

大切なのは、どちらが上かではなく

 

その子が一番輝ける道を選ぶことです♪

 

……トレーナーさん

 

まさか「全部勝てばいい」などとは考えていませんよね?

 

~トレセン学園豆知識~ おわり

 

 

ライス『えっと……ライスは……』

 

『……』

 

ライス『ライスは、クラシック路線に挑戦したいです』 

 

『うん、そっか』

 

ライス『それが、一番たくさんの人に幸せを届けられると思うから!』

 

『わかった、じゃあ、今後はクラシック路線でローテーションを組むよ』

 

(まぁ、そうなるよな……史実でもそうやったし……クラシックか)

 

ライス『うん、お願いします』

 

トラン『やっぱ一生に1度のクラシック路線は、トゥインクルシリーズの花形だもんねぇ』

 

スズカ『けど、クラシック挑戦は茨の道よ、私は一つも獲れなかったし……』

 

ライス『……スズカさんでも……』 

 

『こらこら、スズカさん、これから挑戦するライスを怖がらせないの』

 

スズカ『あ!そんなつもりじゃなかったんですけど』 

 

『スズカのクラシック期は、まだ俺が担当じゃなかったし✨……なんてね』 

 

スズカ『ふふ……そうですね、ライスちゃん、トレーナーさんを信じてついていけば大丈夫よ』

 

ライス『お兄さま✨』

 

『え? あ、冗談のつもりだったんだけど……』 

 

『タイタニックに乗ったつもりでついてきなさい!』

 

トラン『トレちゃん、それ沈むやつ』 

 

『はうっ!じょ……冗談だよ!冗談』 

 

ライス『エヘヘ……』

 

スズカ『ふふふ……』

 

コンコンコン……

 

『ん?だれだ?どうぞぉー』

 

ガラッ

 

たづな『失礼します』

 

『あら?早速2度目の登場、たづなさん』

 

たづな『はい?』

 

『いえいえ どうしました?』

 

たづな『実はチームポリマについて伺いたいことがありまして……』

 

『え?うちのチームが……なにか?』

 

たづな『片桐トレーナー……チーム申請書出していませんよね?』

 

片桐の表情が固まる

 

『チームシンセイショ??』 

 

たづな『はい、片桐トレーナーがチームを結成したとは伺っていたのですが……』

 

たづな『いつまで経っても申請される気配がなかったのでお伺いにきました』

 

『え?チームって申請しないとダメなの?』 

 

たづな『いえ、“勝手に”名乗っていただくのは構いませんが……』

 

『勝手にっ!?』 

 

たづな『今のチームポリマの状態は、好きに集まってる“同好会”みたいな状態でして』 

 

『同好会!?』 

 

たづな『ですので、しっかり申請書を提出していただこうかと……』

 

トラン『トレちゃん!申請書出してなかったの!?』

 

『え ?だって、メンバー集まって、名前つければチームじゃないの?』 

 

トラン『それ、チーム結成じゃなくて“グループチャット作っただけ”だよ!?』

 

『はうっ! ……だってぇ~……知らんかってんもん……』しゅん……

 

たづな『ふふ、そんなこともあろうかと、こちらをお持ちしました』パラッ

 

たづなの手元の書類へ、片桐も目を落とす

 

【日本ウマ娘トレーニングセンター学園 チーム認定規程】

 

第1条 目的

本規程は、本学園におけるチームの設立および正式認定に関し、必要な事項を定めるものとする

 

第2条 構成要件

正式なチームとして認定を受けようとする団体は、次に掲げる要件をすべて満たさなければならない

 

1.中央トレーナー資格を有するトレーナーが、1名以上所属していること

2.本学園に在籍する生徒が、5名以上所属していること

3.所属トレーナー以外から、チーム運営に関する責任者を1名選任していること

 

第3条 認定申請

前条の要件を満たした団体の代表トレーナーは、所定の申請書に必要事項を記載し、学園へ提出しなければならない

 

第4条 正式認定

学園は、提出された申請内容、構成員および活動方針等を審査し、適当であると認めた場合、当該団体を正式なチームとして認定する

 

第5条 認定後の取扱い

正式認定を受けたチームには、活動に必要な施設および設備について、学園が定める範囲内でその使用を認めるものとする

 

 

『……ちゃんとしてる……』 

 

トラン『当たり前でしょ!』スパーンッ!

 

『あいたっ!』 

 

トラン『ふふん♪』

 

『トラン……なにそれ?』 

 

トラン『ウチが知り合いに頼んで作って貰った、トレちゃん専用、携帯折り畳み式ツッコミハリセンだよん♪』

 

『何、作って貰ってんのよ……』 

 

トラン『最新ガジェットだぜ』ドヤ✨

 

『ま、それは一旦置いといて……生徒5名以上か……』

 

スズカ『たづなさん、最後の施設及び設備って?』

 

たづな『みなさんに分かり易いところで言えば、チーム室、つまり部室が使えるようになります』

 

『部室!』

 

たづな『それ以外にも、学園から様々なサポートが受けられますよ♪』

 

ライス『いいなぁ~……部室、みんなで集まっておしゃべりとかできるね』

 

『そういえば、最近トレーナー室が狭くなってきたような気もするしな……』

 

『誰かさんのよくわからん、ガジェットのせいで』ちらっ

 

トラン『なはは……一応、買い物する時は予算決めてるつもり……なんだけど……』 

 

『順守率は?』

 

トラン『……2割強……』 

 

『8割弱、物欲に負けとるやんけ!』

 

トラン『面目ない……』 

 

ライス『お兄さま!申請しようよ』

 

スズカ『私も賛成です、トレーナーさん!』

 

『う~ん、確かに部室は魅力的だな~……』

 

『問題は人員か?』

 

トラン『別に問題ないと思うよ』

 

『え?』

 

トラン『だって、うちの学園トレーナー不足じゃん?声掛けられるのを待ってる娘の方が多いと思うよ』

 

『そうか……』

 

トラン『なんならウチがいい娘紹介しましょうか?旦那?』ニヤァ

 

『トラン、言い方』 

 

『いや、チームに入れる娘は自分で決めたいんだ、俺のチームだし』

 

(スズカとライスでお腹いっぱいやし、これ以上“重い娘”が加入したら、ワシ死んじゃう) 

 

スズカ『ふふ……トレーナーさんらしいですね』

 

ライス『お兄さま……素敵✨』

 

(あ、なんかいいほうに取ってもらえた ラッキー)

 

たづな『では、こちらが申請書です、申請する時は私に声を掛けてくださいね』

 

たづな『その時にメンバー確認等も一緒にしますので』

 

『はい、了解しました』

 

たづな『ちなみに、来年度分の申請期限は今年いっぱいになりますので』

 

『え?』

 

『今年いっぱいって……』 

 

たづな『あと1週間です♪』

 

ポリマ『えぇぇ~!』

 

『短くないですか!?』 

 

たづな『チーム認定は1年ごとの更新で、次回の受付は来年末になりますので』

 

スズカ『もし、間に合わなかったら?』

 

たづな『正式認定は再来年になります♪』

 

『再来年……』 

 

たづな『それでは、私は失礼します』

 

『……』

 

たづな『あ!片桐トレーナー!最低5名ですけど……多い分には何名でもいいですからね♪ 何名でも!』

 

『……はい』  

 

たづな『それでは』ニコッ

 

ガラガラッ……バタン

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 トレーナー室

 

『う~~~~ん……』パラッパラッ…… 

 

(再びこの経歴書の山と向き合うことになるとは……) 

 

『う~~ん……』ペラッ……ペラッ…… 

 

経歴書【オルフェーヴル】

 

『!』

 

(いや!なれるかい!王の“杖”すぐ折れるわっ!!)

 

『う~ん……』パラッ……パラッ……

 

(重くなくて、デビューがまだまだ先の娘が望ましいな……)

 

『はぁ~……どうしたもんかねぇ~……』

 

(重くなくて、デビューが先……)

 

『……』

 

───────────

 

(ウマ娘A『私たちまだまだデビューは先だと思うんですけど……』)

 

───────────

 

『ピコーン』 

 

『MOBウマ娘ちゃん!』

 

(そうや!別にネームドウマ娘じゃなくてもいいんや!いや!むしろネームドじゃない方がええ!)

 

『条件ピッタリじゃん!あの二人組♪ 優秀やし!』

 

『……』

 

『あ……名前……知らないや……』 

 

 

・・・・・・

 

 

放課後 トレーナー室

 

【トレセン学園内優秀ウマ娘二名緊急捜索特別対策本部】どん

 

『……』眉間にしわ

 

スズカ『……』 

 

ライス『……』 

 

トラン『トレちゃん、入口の……アレ、なに?』 

 

『……戒名だ』眉間にしわ

 

トラン『昨夜、刑事ドラマでもみたん?』 

 

『……捜索を立て直す!』眉間にしわ

 

トラン『まだ始まってもないけど!?』 

 

『うん、ちょっとやってみたかっただけ』✨

 

スズカ『ウマ娘二名って、具体的に誰か決まったんですか?』

 

『うん、何度か面識のある娘たちがいてね』

 

ライス『さすが、お兄さま!お仕事が早い』

 

『はははっ!任せなさい!』

 

トラン『で?なんで捜索本部が必要なのさ』

 

『うん、いい質問ですね、トランさん』✨

 

トラン『……もしかして』 

 

『名前がわからん!ぶっはぁー!』

 

トラン『そんなことだろうと思った』 

 

『3回ぐらい会ってるし、会話もしてるんだけどね』 

 

スズカ『名前もわからないとなると、探すの大変そうですね……』

 

トラン『学園生2000人弱から二人を探すとなるとねぇ~……』

 

『に、2000人!?』 

 

ライス『お兄さま……もしかして、知らなかったの?』

 

『う、うん……言うて1000人くらいかと……』 

 

ライス『その娘たちの、容姿は覚えてるんだよね?』

 

『それはもちろん!』

 

ライス『どんな娘たちだったの?』

 

『一人は……青みを帯びた黒髪で、結構長身だったな、170㎝くらい?で細身で、あ!そうそう耳飾りが特徴的だった!太陽と月?みたいな感じの』

 

ライス『うんうん』

 

『もう一人は……ちょっと赤みがかった茶髪で、ポニーテールにしてたな、身長は……普通かな?160㎝ないくらい、健康的な感じだったな、耳飾りと小物もなんかつけてたような……』

 

ライス『長身の娘と、茶髪のポニーテールの娘……』

 

『ライス!心当たりあるの?』

 

ライス『……全然わからないよぉ~……!』 

 

スズカ『さすがに容姿の特徴だけでは見つけられそうもないわね』

 

トラン『トレちゃん、その娘たちの顔は覚えてるんでしょ?』

 

『もちろん!二人とも可愛かったし❤』

 

ライス『……むぅ』じっ

 

スズカ『むっ』キッ

 

『え?』 

 

トラン『……トレちゃん、余計な情報はいらないよ』 

 

『……気をつけます』 

 

トラン『ま、顔がわかってるんなら……』さっ

 

『ん?タブレット……?』

 

トラン『確か……データ入れてあったと思ったけど……ああ、あったあった』

 

トラン『ほい、トレちゃん』

 

『ん、これは……』

 

トラン『学園の顔写真付き名簿、その中から見つけてねん♪』

 

『おお、すごいな!これな、ら…………トランさん……?』

 

トラン『なんだい?トレちゃん』

 

『これ、学園生全員分入ってるのよね?』 

 

トラン『もちろん♪』

 

『検索とか、条件絞ったりは……』

 

トラン『学園のデータベースの情報だからね、名前検索くらいしかできないよん』

 

『ということは……2000人分全部見るの……?』 

 

トラン『そうなるねぇ~』

 

『マッ!?』 

 

スズカ『トレーナーさん、その娘たちはデビュー前なんですよね?』

 

『うん、まだトレーナーいないって言ってたから……たぶん』

 

スズカ『なら、中等部の娘かしら?』

 

ライス『で、でも、高等部でデビューする娘もいるよ、ライスもそうだったし……』

 

『結局、全部見なきゃか……』 

 

トラン『がんばれ!トレちゃん♪』

 

スズカ『なにかお手伝いできればいいんだけど……』

 

ライス『その娘たちのお顔、お兄さましか分からないし……』

 

『がんばります……』 

 

 

・・・・・・

 

 

捜索開始から30分……

 

『違う』スッ

 

『違う』スッ

 

『……違う』スッ

 

トラン『現在、327人目~♪』

 

『まだ6分の1!?』 

 

・・・・・・

 

捜索開始から1時間……

 

『違う……』スッ

 

『……違う』スッ

 

『……この娘は……いや、違う』スッ

 

ライス『お兄さま、お目々が死んでるよぉ……』 

 

スズカ『少し休憩したらどうですか?』

 

『……公安部の監視付きじゃなくて良かった……』

 

トラン『トレちゃん、何と戦ってるのさ?』 

 

・・・・・・

 

捜索開始から2時間……

 

『……違う』スッ

 

『……ちが……』スッ

 

『……!』

 

『いたぁぁぁぁぁっ!!』

 

一同『!』

 

『この娘!あ!おんなじクラスのこの娘も!』

 

トラン『どれどれ?』

 

スズカ『どんな娘かしら』

 

ライス『ラ、ライスにも見せて』 

 

『えっと……名前は“パンマリッサ”と“エクイライズ”』

 

トラン『ほ~う……』

 

『この二人に間違いない!』

 

ライス『やったね♪お兄さま!』

 

『よし!名前もクラスもわかったなら、見つけたも同然!早速捜索開始d……』

 

校内放送『間もなく完全下校時刻です。トレーニング中の生徒は、クールダウンを済ませ、速やかに帰寮してください。繰り返します――』

 

フクロウ『ホー……ホッ、ホー……』

 

『……え』 ちらっ

 

窓の外【とっぷり……】

 

スズカ『あら?もうこんな時間』

 

トラン『冬は下校時間も早くなるね……』

 

ライス『探す時間なくなっちゃったね……』 

 

『……』

 

『……たづなさんにお願いして、明日の放課後にトレーナー室に来てもらうようにします……』 

 

フクロウ『ホー……ホッ、ホー……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 放課後 トレーナー室

 

『……ふむ』

 

エクイライズ『……』ピシッ✨

 

パンマリッサ『……~♪』

 

『急に呼び出したりして、申し訳ない、実は……』

 

マリ『スカウトっしょ?』♪

 

『はやっ!』 

 

エク『マリ、トレーナーが話してる最中だよ』

 

マリ『はぁ~い』

 

『ま、まぁ、当たらずとも、なんだけど……』

 

マリ『!』✨

 

マリ『スカウト、キターーーーッ!』✨

 

エク『マリ!』

 

マリ『ごめん』 

 

『はは、二人は仲良しなんだね』

 

エク『はい、マリとは幼馴染です』

 

マリ『そそ!幼馴染で親友で、ライバル!』

 

(ふむ、こうして話してみると前と印象が変わるな……エクイライズだけやけどw)

 

(きっとエクは人前だとしっかり者なんやろ、パンマリッサは……まぁ、そのまんまやな)

 

『ま、初対面でもないんだけど、先に自己紹介しておくよ』

 

『俺はチームポリマのトレーナーをしている、片桐 隆だ』

 

マリ『めっちゃ有名人だし、知ってるよ』

 

エク『もちろん、存じ上げてます』

 

『はは……』

 

(どんな有名人なんやろ……?) 

 

エク『じゃあ、次はわt……』

 

マリ『次はうち!』

 

マリ『パンマリッサ!マリでいいよ♪そっちのがカワイイっしょ?得意なのは大逃げ!芝でもダートでも、国内でも海外でも、走れるならどこでもオッケー!夢は世界中のレースで逃げまくって、どこに行っても“マリだ!”って言われるくらい有名になること!あと、エクとセットだから、そこ超重要!』

 

『はは……世界で大逃げね、うん、夢はデカい方がいい』

 

(ん?……世界で大逃げで、芝もダートも……?)

 

マリ『エク!うち、褒められた✨』

 

エク『むっ』

 

エク『じゃあ、次は私だね……』

 

エク『エクイライズです、エクと呼んでください、得意なのは芝の中長距離、脚質は先行から差しです』

 

エク『目標は、世界一の天才ウマ娘になること』

 

エク『マリが世界のどこまで逃げても、私が必ず追いつきます……だから、2人一緒にお願いします、片桐トレーナー』

 

『ほう、世界で大逃げの次は、世界一の天才ウマ娘になることか、素晴らしい!』

 

エク『!』✨フリフリ……♪←尻尾

 

(んん?今度は世界一の……天才……?)

 

トラン『トレちゃん、トレちゃん、ちょっと話してもいい?』

 

『ん?なにか気になることでもあるのか?』

 

トラン『ちょっちね……エクちゃんさ、今までスカウトどうしてたの?されてないってことはないでしょ?』

 

エク『はい、何度かスカウトされたことはありました、ですが……』

 

マリ『うちら、一緒のチームに入りたかったから、全部断ったの!』

 

トラン『このトレーナー不足に!?』

 

『トランさんや、エクってそんな有名なの?』ボソボソ……

 

トラン『あ、うん、エクイライズはウチもチェック入れてて、多分他のトレーナーからも結構なスカウトがあったはずだよ』ボソボソ……

 

『そんなにすごいの?』ボソ……

 

トラン『怪物級ってほどではないんだけど、ほら、見た目長身だけど華奢でしょ?』ボソボソ……

 

『うん』ボソ

 

トラン『けど、走ったら凄いんよ……ウチが知ってる限り、模擬レースでも1着か2着しか取ってないもん』ボソボソ……

 

『そんなに!』

 

エク『?』

 

『ん……ゴホン』 

 

『もしかして、マリも?』ボソ……

 

トラン『いや、マリちゃんはウチも全然知らない』ボソボソ……

 

『そう、なんだ……』

 

スズカ『トレーナーさん、面談中に内緒話は失礼だと思いますよ?トランちゃんも』

 

『あ、ごめんなさい』 

 

トラン『ごめんごめん』 

 

『つまり、二人は一緒じゃないと嫌だ、と?』

 

エク『はい』

 

マリ『あ!また、エクだけスカウトしようとしてるぅ~!』

 

『いや、そんなことは全然ないよ!』 

 

マリ『ホントにぃ~?』

 

『うん、むしろ二人一緒がいいんだ』

 

エク『!』✨フリフリ……

 

マリ『マ!?』

 

『マ!』

 

マリ『ヤバッ!エク!一緒のチーム入れるよ!』

 

エク『うん』✨フリフリ……

 

(エク、顔はクールやけど……分かりやすぅ)

 

『最後に質問させて欲しいんだけど……』

 

マリ『もち!なんでも聞いて!』

 

エク『はい』

 

『俺がトレーナーでいいのか?』

 

マリ・エク『?』

 

スズカ『ふふ……』

 

ライス『お兄さま……』

 

トラン『トレちゃんらしいね』

 

エク『おっしゃってる意味が……私たちが、片桐トレーナーにスカウトされてるんですよね……?』

 

マリ『うん、それな』

 

『あれ?やっぱこの質問へんなのかな……?』 

 

『けど、よく考えて欲しいんだ……』

 

マリも口を閉じ、二人の視線が片桐にそろう

 

マリ・エク『……』

 

『トレーナーは、その娘の人生を預かる』

 

『レースに勝った時、一緒に喜ぶだけじゃない』

 

『怪我した時、負けた時、夢に届かなかった時……』

 

『そんな時も、その隣にいる人間だ』

 

マリ・エク『……』

 

『だから、よく考えて答えて欲しい……』

 

『俺がトレーナーでいいのか?』

 

マリ・エク『……』

 

顔を見合わせる二人

 

マリ・エク『はい!お願いします!』

 

『!』

 

『い、いいの?』 

 

マリ『うん、やっぱうちらの目に間違いはなかったね!エク?』

 

エク『うん、今の質問で信頼できる人だと確信しました、よろしくお願いします』

 

『わかった!二人まとめて、世界挑戦!手伝っちゃうぞ!』 

 

エク『はい!』✨ブンブン……

 

マリ『じゃあ、今日からよろしくね!ナビっち♪』

 

スズカ『二人ともおめでとう』ぱちぱち……

 

ライス『おめでとう』ぱちぱち……

 

トラン『ようこそ!チームポリマへ!』ぱちぱち……

 

『って、ナビっち?』 

 

マリ『うん♪だってうちらが走る道を決めてくれるんでしょ?なら、ナビっちじゃん!』

 

(ああ、ナビゲーターのナビね)

 

エク『マリ、片桐トレーナーに対して馴れ馴れしいよ』

 

マリ『えぇ~……いいでしょ?ナビっちぃ?』上目遣い✨

 

『え!う、うん、呼び方は自由でいいよ』 

 

マリ『わぁ~い♪ ナビっち大好きぃ~❤』ダッ……

 

ぎゅう……

 

『!!』 

 

エク『こらっ!マリ!机飛び越して、片桐トレーナーに抱き着くなっ!』

 

ライス・スズカ『!』

 

『ちょ……マ、マリ……ち、か、ら……が』ぎゅうぅ~

 

マリ『ナビっちぃ~❤』ぎゅう~……

 

トラン『あ~あ……』 

 

(マ、マジで……離して……息が……死んじゃう……) 

 

『……ぅっ』ガクッ……

 

マリ『……ありゃ?』 

 

ライス『お兄さま!』

 

スズカ『トレーナーさん!』

 

エク『マリィィィーっ!!』 

 

マリ『やりすぎちった』 

 

(あ、この娘、あれや……【気性難】認定や……)

 

 

───────────

 

『さあ!このまま逃げ切ることはできるのか!?』

 

『これだけの差!これだけの差!』

 

『後ろは届くのか!?後ろは届くのか!?このまま逃げ切るのか!?』

 

『さあ!届くのか!?届くのか!?逃げ切るのか!?』

 

・・・・・・

 

『届いた!届いた!最後は天才の一撃ッ!!』

 

───────────

 

『はっ!』

 

(夢……か?)

 

スズカ『トレーナーさん!大丈夫ですか?』

 

ライス『お兄さま!』

 

トラン『おはよ、トレちゃん』

 

マリ『……』しゅん……

 

エク『ほら、マリ!』

 

マリ『……すみませんでしたぁ……』しゅん……

 

『いや、全然大丈夫だから』

 

マリ『ホント?♪ なら、よかった!』

 

エク『よくない!だいたい、いっつもマリは……』

 

(あれ?……この二人……パンマリッサ……エクイライズ……)

 

(夢のつづき……?……いやいや まさか……!)

 

ライス『お兄さま、本当に大丈夫?』

 

『ありがとう、ライス、もう大丈夫だよ』なでなで

 

ライス『エヘヘ……』

 

エク『……じーっ』ぴくっぴくっ……

 

マリ『エク?羨ましいの?』

 

エク『そ、そんなことは……!?』 

 

『よいしょ!っと』起き上がる

 

『ともかく!マリ・エクが加わり、これでチーム規程の生徒5名の条件はクリアだ!』

 

マリ・エク『チーム規程?』コテン?

 

トラン『ああ、二人には言ってなかったね』

 

・・・・・・

 

トラン『────。ってこと』

 

エク『そういうことでしたか』

 

マリ『えぇ~それじゃあ、二人組なら誰でもよかったってことぉ?』

 

エク『それはちがうよ、マリ、片桐トレーナーの最後の質問、覚えてるよね?』

 

マリ『うん』

 

エク『あの質問で私たちが片桐トレーナーを信用できなかったら……』

 

エク『きっと、片桐トレーナーは引き留めたりしなかったはずだよ、そうですよね?片桐トレーナー』

 

『まぁ、その時は縁がなかったと思うしかないね……はは』 

 

エク『ね?』

 

マリ『わぁ✨やっぱナビっち、だぁ~……』

 

『!』 サッ←ファイティングポーズ

 

エク『マリ……』ぐいっ

 

マリ『きゃぅっ……』 

 

エク『学習しなさい』

 

マリ『はぁ~い』 

 

『ま、まあ、なにはともあれ これからよろしくな』

 

エク『はい!』

 

マリ『よろ~♪』

 

スズカ『あとは、チーム運営責任者だけですね、誰にします?』

 

トラン『そりゃ、スズカさんじゃないの?』

 

スズカ『え?』 

 

ライス『うん、ライスもスズカさんがいいと思う!』

 

スズカ『ええ?』 

 

マリ『うちらは入ったばっかりだから、みんなの意見に従うよぉ』

 

エク『……』コクッコクッ……うなずく

 

スズカ『えっと…… トレーナーさん、どうしましょう?』 

 

『ああ、それならもう決まってるから大丈夫!』

 

スズカ『え!?だ、誰ですか!?』 

 

『ふふ~ん、ちょっと秘策があるんだよねぇ~……』

 

『みんな、耳を貸して……』

 

一同『?』

 

みんなが片桐のそばへ顔を寄せる

 

『ごにょごにょ……』

 

一同『!』

 

スズカ『え!いいんですか!?そんなこと……』 

 

エク『確かに片桐トレーナーのおっしゃる通り記載はないですが……』

 

マリ『面白そぉ~♪』

 

トラン『トレちゃんや、お主も悪よのぉ~……』

 

『ぐふふ……』

 

ライス『お、お兄さまが、悪い顔してる…… 』

 

『では、みなさん明日はチームポリマ初の“共同作業”です!よろしくお願いします!』

 

一同『はぁ~い!』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 トレーナー室

 

コンコンコン……

 

『キタッ!』

 

『じゃあ、みんな打ち合わせ通りに……』ボソボソ……

 

一同『はい』ボソ

 

『どうぞ~』

 

ガラッ

 

たづな『失礼します』

 

『お待ちしていました』ニコッ

 

たづな『片桐トレーナー、まさかこんなに早く連絡を頂けるとは思いませんでした』

 

たづな『さすがは片桐トレーナーですね』

 

『いえいえ、そんな』ニコッ

 

たづな『?』

 

『はい、たづなさん……申請です』ニヤッ

 

たづな『はい、お預かりします』

 

たづな『では、早速メンバーの確認からさせて頂きますね』

 

『どーぞ、どーぞ』ニコッ

 

たづな『まずは……サイレンススズカさん』

 

スズカ『はい』 ニコッ

 

たづな『次に、トランセンドさん』

 

トラン『はーい』ニコッ

 

たづな『続いて、ライスシャワーさん』

 

ライス『は、はい』 ニコッ

 

たづな『? ……次に、パンマリッサさん』

 

マリ『はいはーい♪』ニコッ

 

たづな『……最後に、エクイライズさん』

 

エク『はいっ』ニコッ

 

たづな『みなさん……素敵な笑顔ですね』 

 

たづな『確かに最低人員5名を確認できました』

 

たづな『次に、チーム運営……あら?』

 

たづな『片桐トレーナー、チーム運営責任者の欄が空白ですよ?書き忘r……』

 

『たづなさんで』ニコッ

 

たづな『はい?』 

 

『……』ニコニコ

 

片桐は笑顔を崩さず、たづなの返事を待つ

 

たづな『えっと……私、ですか……?』 

 

スズカ『たづなさんでお願いします』 ニコッ

 

たづな『え?え? あの、私は理事長秘書なんですよ……?』 

 

トラン『たづなさんで、いいと思うよん♪』ニコッ

 

たづな『で、ですから そもそも生徒じゃないですし』 

 

『チーム認定規程には“所属トレーナー以外から”としか記載がありませんよ?“生徒から”とは書いてありません』

 

たづな『え? ……それは……えっと……そ、そうですね……』 

 

ライス『た、たづなさんが……いいと思います!』 ニコッ

 

たづな『ライスさんまで!? こ、困りましたね……』 

 

たづな『理事長秘書の仕事で、なかなか時間も作れないんですが……』 

 

『チーム運営責任者なんて名目だけで、そんなに仕事ないでしょ?』ニコッ

 

たづな『そ、それは……そうかもしれませんが……』 

 

マリ『たづなさんで、決まりっしょ♪』ニコッ

 

たづな『そ、そんなに言われましても……』 

 

『協力してくれるって、言ってたのに……』ボソッ

 

たづな『!』

 

たづな『そ、それは……!』

 

エク『たづなさんで、お願いします』ニコッ

 

たづな『……あまりお手伝いできないかもしれませんよ……?』 

 

たづなが視線を移すたび、みんながにっこり笑う

 

ポリマ一同『た・づ・な・さ・ん・で!』ニコッ✨

 

たづな『~~~~っ……!!』 

 

たづな『……はぁー……』

 

たづな『……わかりました、チームポリマの運営責任者をお引き受けします……』

 

ポリマ一同『やったぁぁぁぁーっ!!』

 

スズカ『よかったですね、トレーナーさん!』

 

トラン『初の共同作業、大成功ってヤツだね』♪

 

ライス『ライス……また、みんなと一緒に走れるんだね……!』

 

マリ『やったぁ♪今日からうちもポリマじゃん!』

 

エク『私たちも……今日から仲間なんですね……!』✨フリフリ……♪

 

たづな『ですが、みなさん、まだ正式に認定されたわけではありませんよ?』

 

『え?』

 

たづな『運営責任者を私が務めることを、理事長に許可していただかなくては……』

 

『ま、あの理事長なら大丈夫でしょ!』

 

たづな『まったく、片桐トレーナーは……』 

 

『それでは改めて!』

 

『パンマリッサ!エクイライズ!そして、駿川たづなさん!』

 

たづな『わ、私も新メンバーなんですか!?』 

 

『もちろん!新しい仲間3人の加入と!』

 

『ライスの再スタート!』

 

ライス『はいっ!』

 

『そして、チームポリマの正式認定を祝して!』

 

たづな『ですから、まだ正式には……』 

 

『みんな、手を出して!』

 

一同『はい!』

 

たづな『わ、私もですか!?』 

 

『当たり前です!』

 

たづな『もう……仕方ありませんね』ニコッ

 

全員の手が、ひとつに重なる

 

片桐が顔を上げると、すぐそばにみんなの笑顔がある

 

『チームポリマ!』

 

一同『再始動ぉぉぉーっ!!』

 

 

 

 

 

ー2章ー007話   WINnin' 5   完

 

 

 

 

 




第2章第7話「WINnin' 5」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

マリとエクが加わって、チームポリマもますますにぎやかになってきました。
そして、最初の共同作業は、たづなさんへの全員一致のお願い(笑)
あの笑顔に囲まれてしまったら、なかなか断れませんね……。

次回、第2章第8話。
10月7日(水)19:00公開予定です。

【KUROXの駄馬(だば)なし  第10走】
対象話:第2章第6話・第7話
10月5日(月)07:00公開予定です。

【X】
https://x.com/utsupapa_2021

【note記事 KUROXの駄馬(だば)なし 】
https://note.com/kurox_1200
※noteは、登録・ログイン不要でそのままお読みいただけます。

KUROX
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