【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー2章ー008話

 

 

 

1月 トレセン学園 チームポリマ部室

 

 

マリ『あったか~♪新年早々この部室、マジ最高じゃん!』

 

トラン『マリ、昨日からそれ何回目よ?』

 

マリ『だってさ~トレーニング前にみんなで集まれる場所だよ?チーム感バリ上がりっしょ!』

 

ライス『ライスも……みんなと一緒にいられる場所ができて、嬉しいな♪』

 

スズカ『そうね、トレーナーさんを待っている間も退屈しないもの』

 

エク『片桐トレーナーが準備に出てから、もう10分です』

 

マリ『エク、新年初トレくらい時間気にすんのやめよ?』

 

エク『初トレだから気にしてるんでしょ』

 

トラン『ま~トレちゃんが戻ってきたら、正月気分なんて一瞬で吹っ飛ぶだろうけどねぃ』

 

たづな『ふふっ、皆さん元気そうで安心しました』

 

マリ『たづなっちも初トレから来てくれるとか、やっぱもう完全にチームメンバーじゃん』

 

たづな『私は運営責任者として来ただけですよ?一緒に走るわけではありません』

 

トラン『走ったらウチらより速かったりして』

 

たづな『さあ?どうでしょう♪』ニコッ

 

トラン『お?否定しないんだ?』

 

マリ『たづなっち、やっぱなんか隠してるっしょ~』

 

たづな『それよりマリさん、そろそろストレッチを始めておいたほうがよろしいのでは?』

 

マリ『またマリさんって言った!マリでいいってば~』

 

たづな『ですが、親しき仲にも礼儀ありと言いますから』

 

マリ『スズカねえもライスちゃんもトラちゃんも、普通に呼んでんじゃん!』

 

トラン『待って、ウチのは普通じゃなくない?』

 

マリ『トランセンドだからトラちゃん!分かりやすいしかわいいっしょ?』

 

トラン『かわいいより猛獣感が勝ってんだよな~』 

 

スズカ『私はスズカねえ、気に入っているわよ♪』

 

マリ『さっすがスズカねえ!』

 

エク『私のことは、エクでいいです』

 

マリ『エクは最初からエクじゃん』

 

エク『マリだけじゃなくて、皆さんもです』

 

ライス『でも……呼び捨てにするのは、少し悪いような……』 

 

エク『エクイライズさんでは長いですし、トレーニング中も呼びにくいので』

 

トラン『確かに、全部言ってる間にエクならゴールしてそう』

 

スズカ『それなら、これからはエクと呼ばせてもらうわね』

 

エク『はい』

 

ライス『じゃあ……ライスもエクって呼んでいい?』 

 

エク『もちろんです、ライスさん』✨

 

マリ『たづなっちは?』

 

たづな『私はこれまで通り、エクさんと呼ばせていただきます』

 

マリ『頑固~』

 

たづな『礼儀です♪』ニコッ

 

トラン『笑顔で押し切ったねぃ』

 

エク『たづなさんなら構いません』

 

マリ『これでエクさん呼び、たづなっちだけじゃん!特別感ある~♪』

 

たづな『そのようなつもりでは……』

 

スズカ『でも、こうして聞くと本当に呼び方がバラバラね』

 

トラン『特にマリのナビっちね』

 

マリ『いいじゃん、ナビっち!うちがどこまで逃げればいいか、道を決めてくれる人なんだから!』

 

エク『まだ海外へ行くとは言われてないけど』

 

マリ『今年中には絶対言わせる!』

 

エク『無理っしょ』

 

マリ『エクも一緒に行くんだよ?』

 

エク『それとこれとは別』

 

トラン『別って言いながら、行く気はあんのね』

 

スズカ『トランちゃんも、トレちゃんと呼んでいるわね』

 

トラン『片桐トレーナーじゃ固いし、トレーナーさんじゃ普通だし?トレちゃんが1番しっくりきた感じ』

 

ライス『ライスは……お兄さま』

 

マリ『それ最強じゃん!呼ばれた瞬間、家族確定っしょ!』

 

ライス『か、家族って意味じゃなくて……!』

 

マリ『じゃあ、どういう意味?』

 

ライス『優しくて、頼りになって……ライスのことを、ちゃんと見てくれる人だから……////』

 

トラン『ほほ~う?』✨

 

ライス『トランちゃん、その顔やめて……』 

 

マリ『スズカねえは普通にトレーナーさんだよね?』

 

スズカ『ええ……普段は、そうね』

 

トラン『普段は?』

 

スズカ『……』 

 

マリ『今の間、絶対なんかあるじゃん!』

 

ライス『ほかにも呼び方があるんですか?』

 

スズカ『以前、ハイセイコーさんがトレーナーさんを……その、たかちゃんと呼んでいて』 

 

マリ『たかちゃん!?』

 

トラン『出たねぃ、幼馴染みたいな激近ネーム!』

 

マリ『で?スズカねえも呼んだことあんの?』

 

スズカ『……え、ええ』 

 

マリ『あるんだ!?』

 

スズカ『そう呼ぶと、トレーナーさんがとても困った顔をするの』 

 

トラン『へぇ~……スズカさん、分かってて使ってんだ?』

 

スズカ『そ、そういうわけでは……!』 

 

ライス『お兄さまは隆さんだから……たかちゃん……』

 

エク『合理的な略称です』

 

マリ『エク、そこ合理性いる?』

 

たづな『ですが、その呼び方はご本人の前では控えたほうが……』

 

トラン『つまりトレちゃんの弱点じゃん』

 

マリ『たかちゃん♪』

 

ライス『ま、マリちゃん……!』

 

マリ『たかちゃ~ん♪』

 

エク『本人がいないからって遊びすぎ』

 

マリ『エクも呼んでみ?』

 

エク『絶対に嫌』

 

トラン『エクだけ片桐トレーナーで固定だもんね』

 

エク『それが1番正確なので』

 

マリ『でもエクも、ナビっちのこと結構気に入ってんじゃん?』

 

エク『トレーナーとして信頼しています』

 

マリ『へぇ~?』

 

エク『何、その顔』

 

トラン『ではここで、チームポリマ女子会の議題を発表しま~す』

 

たづな『いつの間に女子会になったのでしょう?』

 

トラン『みんな、トレちゃんのことをどう思っているのか』

 

マリ『それ聞きたかった!まずスズカねえから!』

 

スズカ『私?』

 

トラン『元担当にして、今はトレーナー見習いとして1番近くにいるスズカさん、どーぞ!』

 

スズカ『そうね……私にとってトレーナーさんは、もう1度走り始めるきっかけをくれた人』

 

スズカ『そして、これからも一緒に新しい景色を見たいと思える、大切な人よ』

 

マリ『大切な人いただきました~!』

 

スズカ『そういう意味じゃ……////!』 

 

トラン『どーいう意味とは言ってないけど?』

 

スズカ『ト、トランちゃん……////』 

 

トラン『おっと、これ以上は怒られそうだから次いこっか』

 

マリ『じゃ、ライスちゃん!』

 

ライス『ライスは……お兄さまが、ライスの名前に込められた本当の意味を知っててくれたの』

 

ライス『ライスなら、走りで誰かを幸せにできるって……ライスの夢を、初めて信じてくれた人』

 

マリ『うわ、こっちも重い!』

 

ライス『お、重くないよぉ……』 

 

トラン『いや~コメちゃんのは、なかなかの重バ場だねぃ』

 

ライス『じゃ、じゃあトランちゃんは?』

 

トラン『ウチ?ん~……見てて飽きない人かな』

 

マリ『軽っ!』

 

トラン『まあまあ、最後まで聞きなって』

 

トラン『変なとこで無茶するし、隠し事は多いし、こっちが心配になるくらい危なっかしいけどさ』

 

トラン『ウチらのことになると、自分のこと全部後回しにできちゃう人なんだよね』

 

トラン『だからま~見張っとかないと、って感じ?』

 

マリ『トラちゃんも十分重いじゃん!』

 

トラン『マリにゃ言われたくないねぃ』

 

マリ『うちはナビっち!それだけ!』

 

エク『答えになってないよ』

 

マリ『うちとエク、どっちかじゃなくて、最初から2人一緒に走れる道を選んでくれた人』

 

マリ『だからナビっちが指した道なら、うちはどこまでだって逃げるよ!』

 

エク『……それは私も同じ』

 

マリ『ほら~エクも重い!』

 

エク『マリと一緒にしないで』

 

トラン『じゃ、最後はたづなさんだね』

 

たづな『私もですか?』

 

マリ『大人の女性代表として、どーぞ!』

 

たづな『そうですね……片桐トレーナーは、とても困った方です』

 

ライス『お兄さまが……?』

 

たづな『規則の穴を見つけて私を運営責任者にしますし、ご自分の身体を顧みず走り回りますし、何度注意しても無茶をやめません』

 

トラン『ま、それは否定できないねぃ』

 

たづな『ですが、あの方になら、このチームを任せられると思っています』

 

たづな『ですから私も、ここにいるのでしょうね♪』ニコッ

 

マリ『おお~なんか大人の答え!』

 

トラン『つまり結論、全員トレちゃんが好きってことで』

 

ライス『す、好きって……!』 

 

スズカ『トランちゃん、言い方が……』 

 

エク『否定する必要はないと思います』

 

マリ『おっ、エクが認めた!』

 

エク『チームのトレーナーを嫌う理由がない、という意味です』

 

マリ『はいはい、そーいうことにしとこ♪』

 

ガチャッ

 

『待たせたな、準備できたぞ』

 

マリ『あっ、たかちゃん来た~♪』

 

『ぐぼはっ!……ちょっ、スズカ!』  

 

スズカ『えっ!?』

 

マリ『うちなんだけど?』

 

『ふぇ?……マ、マリ?』 

 

トラン『たかちゃんに反応して、真っ先にスズカさん見たねぃ』

 

『マリ……どこで、その呼び方を聞いた?』 

 

マリ『スズカねえ!』

 

スズカ『……』 

 

『やっぱりスズカじゃないか!』

 

スズカ『ち、違うんです!私はセイコさんがそう呼んでいたと話しただけで……!』

 

マリ『スズカねえも呼んだことあるって言ってたじゃん』

 

スズカ『マリちゃん!?』 

 

『スズカ……』

 

スズカ『……』 

 

たづな『あらあら……ふふ』

 

『とにかくマリ、その呼び方は禁止!』

 

マリ『え~かわいいじゃん、たかちゃん♪』

 

『ナビっちで我慢しろ!』 

 

トラン『そっちは認めるんだ……』

 

『ほら、新年最初のトレーニング始めるぞ!』

 

マリ『は~い!今年もよろしくね、ナビっち!』

 

『ああ、今年もよろしく』

 

スズカ『今年もよろしくお願いします、たかちゃん♪』

 

『ぐはっ!……スズカぁぁぁ!?』 

 

ササササ……

 

『ん?ライス……?』

 

ライス『……た、たかちゃん♪……////』 上目遣い

 

ズキュゥゥゥゥ~~ン❤

 

『…………』チーン……

 

トラン『トレちゃん?』

 

『……』

 

マリ『ナビっちぃ?』

 

『……』

 

エク『波状攻撃により、撃沈したみたいね』

 

『……』

 

 

・・・・・・

 

 

トレーニングコース

 

スズカ『じゃあ私たちは基礎練習に向かいますね』

 

『ああ、よろしく頼む』

 

マリ『スズカねえ、今日のメニューは?』

 

スズカ『今日はダートコースがメインよ』

 

トラン・マリ『よっしゃ♪』

 

エク『……』

 

マリ『エク、今日はうちが勝つよ』

 

エク『トレーニングに勝ち負けはないっしょ』フンッ

 

トラン『じゃあ、いこいこ♪』

 

・・・・・・

 

『ライスはまだ、本格トレーニングはお預けだぞ』

 

ライス『うん』

 

『焦らず、段階的に負荷をあげてこうな』なでなで

 

ライス『えへへ……』

 

南坂『片桐トレーナー!』

 

『!』

 

『南坂トレーナー……それにマチカネタンホイザ……』

 

南坂『ライスさん、トレーニング復帰されたんですね』

 

『ええ、おかげさまで』

 

マチタン『ライスさん、こんにちは~』

 

ライス『こんにちは、マチタンさん』

 

南坂『片桐トレーナー、ライスさんの路線は決まりました?』

 

『ええ、クラシック路線に挑戦します』

 

南坂・マチタン『!』

 

南坂『……やはり、そうですよね……うちのタンホイザもクラシック路線に挑戦します』

 

『……』

 

南坂『……ライバル……ですね』

 

『ええ、よろしくお願いします』

 

マチタン『……ライバルかぁ……』

 

ライス『……ライバル』

 

???『ご無沙汰しています、片桐トレーナー』ペコッ

 

『黒沼トレーナー』

 

黒沼『そのライバル争いにうちのブルボンも加えてもらっても、いいですか?』

 

ミホノブルボン『初めまして、片桐トレーナー……ミホノブルボンです』cv.長谷川育美

 

(サイボーグ!ミホノブルボン!……か、可愛い上にスタイルバツグン!!❤)

 

『ああ、よろしく』

 

ライス『……ブルボンさん……』

 

黒沼『クラシックは世代の頂点を決めるレース!お互い、高めあいましょう』

 

『もちろんです』

 

南坂『は、はい!』

 

ライス『……』

 

ブルボン『……』

 

マチタン『……』

 

黒沼『それでは、失礼します……ブルボン行くぞ』

 

ブルボン『はい、マスター』

 

南坂『僕たちも行くよ、タンホイザさん……失礼します、片桐トレーナー』

 

マチタン『あ、待って待って……トレーナーさぁん……』

 

『世代の頂点か……ライス、がんばるぞ!』

 

ライス『うん!お兄さま!』

 

 

・・・・・・

 

 

『ライス、少しペースが上がってるぞ!今日はタイムを出す日じゃない!』

 

ライス『は、はい……!』

 

『そのままのペースで、あと1周したら休憩だ!』

 

ライス『うん!』

 

黒沼『ブルボン!まだ脚は動くな!?』

 

ブルボン『はい、マスター』

 

『……』

 

黒沼『精神は肉体を超えられる!もう1本だ!』

 

ブルボン『はい、マスター』

 

『……また行くのか』

 

ライス『はぁ……はぁ……お兄さま、終わったよ』

 

『ああ、おつかれ……水分を取って5分休憩だ』

 

ライス『うん……』

 

黒沼『ブルボン!フォームが乱れているぞ!』

 

ブルボン『修正します』

 

坂路を走るブルボンを、黙って目で追う

 

ライス『お兄さま?』

 

『!』

 

ライス『ブルボンさんが、気になるの?』

 

『ああ……今年のクラシック最有力だからな』

 

ライス『すごいね……さっきから、ずっと坂を走ってる』

 

『これで何本目だ……?』

 

黒沼『まだ余力があるな!もう1本だ!』

 

ブルボン『はい、マスター』

 

ブルボンは再び坂路を駆け上がっていく

 

(何度坂路を往復しても、表情は一切変えへん) 

 

(まさにサイボーグ……ミホノブルボン)

 

(あれに勝たなあかんのか……)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

3月初旬 トレーナー室

 

『ライス、次のレースが決まったよ』

 

ライス『う……うん』

 

『3月末に開催される、中山レース場1800m、スプリングステークス』

 

ライス『うん』

 

『ブルボンも、マチカネタンホイザも出走登録をしてる』

 

ライス『!』

 

『……出るかい?』

 

ライス『……出る』

 

ライス『ライス、誰が相手でも出る!』

 

『わかった、じゃあこれからはレースに向けて本格的に追い込んでいくぞ!』

 

ライス『はい!』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

3月末 【中山レース場 芝1800m GⅡスプリングステークス】どーーん

 

 

中山レース場 控室

 

マリ『千葉キターーーー!』✨

 

トラン『レース場に着いてから、もう結構経ってんだけど』 

 

マリ『東京を出て千葉まで来たんだよ?立派なプチ旅行じゃん!』✨

 

エク『隣だけどね』

 

マリ『距離じゃないの!普段と違う場所に来たら、それはもう旅っしょ!』

 

トラン『しかも今回はコメちゃんの応援だけどねぃ』

 

マリ『それだけじゃないって!一般のお客さんじゃ入れない、レース場の裏側だよ!?』

 

マリ『控室に関係者専用通路!この先にはきっと、未知の中山が広がってる!』✨

 

『マリ、勝手に控室から出るなよ』

 

マリ『え~ちょっとくらいいいじゃん!』

 

『お前は、そのちょっとで絶対帰ってこなくなるだろ!』

 

マリ『大丈夫!トラちゃん連れてくから!』

 

トラン『なんでウチ!?』 

 

マリ『こういうの詳しそうじゃん!案内よろしく!』

 

ガシッ!

 

トラン『待って!待って!なんで腰持った!?』

 

マリ『しゅっぱ~つ!』✨

 

マリはトランの腰をつかんだまま、ドアへ向かって引きずっていく

 

ズルズルズル……

 

トラン『ちょっ、待って待って!ウチまだ片方靴履いてないって!』 

 

ガチャッ

 

『こらマリ!トランをどこへ持ってく気だ!』

 

マリ『地下バ道!』

 

トラン『ウチは荷物じゃないんよぉぉぉ!』 

 

エク『マリ、逆』

 

キキィィィィーーー!!

 

トラン『ぐへっ……!』 

 

トラン『と……止まり方ぁぁぁ!?』 

 

マリ『え?』

 

エク『マリ、地下バ道は反対……そっちは検量室』

 

マリ『先に言ってよ!』

 

エク『案内図見ないで飛び出すからっしょ』

 

トラン『案内図あるなら最初から見ろぉ!』 

 

スズカ『ふふふっ……』

 

エク『……ふっ』

 

『まったく……はは』

 

ライス『ふふっ……あははっ♪』

 

トラン『コメちゃんまで笑ってないで、助けてよぉ……』 

 

ライス『ご、ごめんね……でも、マリちゃんとトランちゃんがおかしくて……へへっ♪』

 

マリ『ライスちゃん笑った!もしかして、うちのおかげ?』✨

 

トラン『半分は被害者のウチの功績だからね?』

 

マリ『じゃあ、うちとトラちゃんの共同作業じゃん!』

 

トラン『勝手に組むな!』

 

ライス『あははっ♪』

 

『ライス』

 

ライス『?』

 

『少しは緊張、抜けたか?』

 

ライス『……分かってたの?』

 

『控室に入ってから、ずっと右手でシャツの裾を握ってたからな』

 

ライス『あっ……』

 

ライス『……ほんとだ、もう握ってない』

 

『そっか』

 

ライス『うん……みんなが一緒にいてくれるって思ったら、少し怖くなくなったの』

 

マリ『任せて!また緊張したら、トラちゃん引きずるから!』

 

トラン『次は絶対エクにして!』 

 

エク『それはマジで無理』

 

『ライス、右脚は?』

 

ライス『痛くないよ』

 

『違和感は?』

 

ライス『ないよ、お兄さま』

 

『レース中に少しでも違和感が出たら?』

 

ライス『……すぐに走るのをやめる』

 

『よし』なでなで

 

ライス『えへへ……』

 

コンコンコン……

 

係員『ライスシャワーさん、パドックへの移動をお願いします』

 

ライス『はい!』

 

マリ『ちょっと待った!』

 

トラン『今度は何よ?』

 

マリ『チームポリマになって、最初のレースっしょ!』

 

スッ

 

マリ『ほら、みんな手!』

 

トラン『そういうのは先に決めときなって』

 

トラン『……ま、悪くないけどねぃ♪』スッ

 

スズカ『ライスちゃん♪』スッ

 

エク『片桐トレーナーも』スッ

 

『俺もやるのか?』

 

マリ『ナビっちが入らなきゃ、ポリマにならないじゃん!』

 

『……それもそうか』スッ

 

ライス『……みんな……』スッ

 

ライス『……あったかい』

 

最後に重ねたライスの手を、みんなの手が下から支えている

 

マリ『じゃ、ライスちゃん!』

 

ライス『えっ?ラ、ライスが言うの!?』 

 

トラン『今日の主役だからねぃ♪』

 

ライス『……うん!』

 

ライス『チームポリマー……がんばれぇ……がんばるぞー……おー!』

 

全員『おー!』

 

全員『いってらっしゃい!』

 

ライス『はい!』

 

『ライス』

 

ライス『?』

 

『今日の目標は無事に走り切ること……いいな?』

 

ライス『……はい、お兄さま!』

 

 

・・・・・・

 

 

中山レース場 パドック

 

実況『皐月賞トライアル、GⅡスプリングステークス』

 

実況『クラシックへの切符を懸けた14人のウマ娘が、次々にパドックに登場します』

 

実況『1番、現在2番人気、ミホノブルボン』

 

実況『デビューから3戦3勝、昨年の朝日杯を制した無敗のジュニア女王』

 

実況『初の1800m、初の重バ場でも、サイボーグはその強さを見せつけるのか!』

 

実況『3番、現在12番人気、ライスシャワー』

 

実況『昨年9月、芙蓉ステークスを制した直後に右脚を骨折』

 

実況『およそ半年の休養を乗り越え、クラシックへの第一歩を踏み出します!』

 

実況『4番、現在3番人気、サクラバクシンオー』

 

実況『前走、桜草特別を制し、ここまで3戦2勝』

 

実況『一気の600m延長も、その圧倒的なスピードで押し切ることができるか!』

 

実況『7番、現在4番人気、マチカネタンホイザ』

 

実況『昨年の朝日杯4着、前走の共同通信杯も4着』

 

実況『重賞でも安定した走りを見せるマチカネタンホイザ、今日こそ先頭でゴールを駆け抜けられるか!』

 

・・・・・・

 

マチタン『ライスさん』

 

ライス『マチタンさん』

 

マチタン『今日はよろしくね』

 

ライス『う、うん!』

 

マチタン『レースでは、真剣勝負!むんっ!と負けないからねぇ~』

 

ライス『ラ、ライスだって!負けないから!』

 

???『私も負けませんよ!』

 

ライス・マチタン『?』

 

サクラバクシンオー『この優等生最速委員長が、皆様にバクシンの力を御覧に入れましょう!』cv.三澤紗千香

 

ライス『バクシンの……』 

 

マチタン『ちから……?』 

 

バクシンオー『そうです!バクシンの力!バクシン力をっ!』

 

マチタン『なんか……すごそうだねぇ』 

 

ライス『う、うん』 

 

バクシンオー『おや!?ブルボンさん!同じ逃げウマ娘のあなたにも私のバクシン力をお見せします!』

 

ブルボン『!』

 

ブルボン『ライスさん、マチタンさん、こんにちは』

 

ライス『ブルボンさん、こんにちは』

 

マチタン『こんにちは、ブルボンさん』

 

バクシンオー『ちょわ~!無視しないでくださいよ!ブルボンさん!』

 

ブルボン『バクシンオーさん、マスターからのデータによれば、このレースの距離は、あなたには適していないと推測します』

 

バクシンオー『な!なんですとぉ!そんなことはありません!バクシンの力は無限大なんです!』

 

バクシンオー『今日も見事に、終始先頭を走ってゴールすることでしょう!』

 

ブルボン『先頭でゴールするのは私です』

 

ライス『!』

 

ライス(……すごい自信)

 

ブルボン『それでは、失礼します』

 

マチタン『ほぇ~……なんかすごかったねぇ』

 

バクシンオー『ぐぬぬぬぅ~……負けませんっ!』

 

ライス(ブルボンさん……)

 

・・・・・・

 

中山レース場 ゲート

 

実況『生憎の雨模様となりました中山レース場、芝コースは重バ場となっています』

 

実況『14人のウマ娘のゲートインが順調に進んで……今、最後のウマ娘が入って態勢完了……』

 

実況『G2スプリングステークス……』

 

ガシャンッ!

 

実況『今っ!スタートです!!』

 

実況『揃った綺麗なスタート、まずは誰がいくのか?』

 

『よしっ!ライス、いいスタートだっ!』

 

実況『ミホノブルボンがいく!サクラバクシンオーも前へ!』

 

バクシンオー(そうやすやすとはいかせませんよ!ブルボンさん!)

 

実況『先頭はミホノブルボン!2番手にサクラバクシンオー!』

 

実況『ライスシャワーは4番手!マチカネタンホイザは中団後方につけています!』

 

ライス(ブルボンさん……速い!)

 

マチタン(まずは、いいとこについてぇ♪)

 

実況『いま1000mを通過!タイムは60秒3!』

 

実況『さあ第4コーナー!先頭はミホノブルボン!2番手サクラバクシンオー!』

 

ブルボン(……)

 

バクシンオー(コースが……雨で荒れて……走りにくい!)

 

実況『ライスシャワーが上がってきた!3番手に並んだ!』

 

実況『マチカネタンホイザも5番手まで進出!』

 

実況『最終コーナー立ち上がって最後の直線!先頭はミホノブルボン!』

 

ブルボン(……)

 

実況『サクラバクシンオーは苦しくなった!サクラバクシンオー失速!』

 

バクシンオー『はあっ!はあっ!はあっ!……』

 

バクシンオー(ま、まだゴールまで……あんなに!?……バクシン力が……)

 

実況『ミホノブルボンは止まらない!止まらない!後続との差が開いていく!』

 

ライスの前を走るブルボンの背中が、雨の中で少しずつ遠ざかる

 

ライス(ブルボンさん!……お、追いつけない!)

 

実況『ミホノブルボン、重バ場に苦しむ後続を尻目にさらに差を広げる!』

 

実況『ミホノブルボン!ミホノブルボンだ!2着に7バ身差をつけてゴーールっ!!』

 

実況『ミホノブルボン圧勝!重バ場でも関係なしっ!まさにサイボーグ!』

 

実況『皐月賞にむけライバルたちに実力の差を見せつけました!』

 

実況『ライスシャワーは3着にクビ差届かず4着!マチカネタンホイザ5着!サクラバクシンオーは12着です!』

 

ブルボン『はあっ……はあ……はぁ……ふぅ~』

 

ライス(ブルボンさん……す、すごい!)✨

 

(よくがんばった……ライス……)

 

 

・・・・・・

 

 

中山レース場 地下バ道

 

カッカッカッ……

 

『お疲れ様、ライス』

 

ライス『……お兄さま』

 

スズカ『ライスちゃん、お疲れ様』

 

ライス『……うん』

 

(……元気……ないな……4着やもんなぁ)

 

『ライス!復帰戦で4着なら立派だぞ!よく頑張ったな』なでなで

 

ライス『……うん』

 

『……』ニコニコ 

 

スズカ『そ、そうよ!しっかりゴールして帰ってきたんですもの!』 

 

ライス『……うん』

 

トラン『雨も降ってて、重バ場で4着なら立派だよ!立派!』 

 

ライス『……うん』

 

エク『え、えっと……復帰戦とは思えない、素晴らしい走りでした』 

 

ライス『……うん』

 

マリ『みんな、どうしたん?つーか、ブルボンさんハンパなくね?7バ身差っ!!』

 

一同『!?』 

 

エク『マリ!……空気読めっ!バカ!』 

 

ライス『……』

 

マリ『へ?うちなんかヤバいこと言った感じ?』 

 

『ライス ブルボンは……ほら!す、すごいけど』 

 

ライス『……そう』

 

『え?』

 

ライス『そうなの!ブルボンさんすごいの!』✨

 

ライスは目を輝かせて、こちらをまっすぐ見上げる

 

『んん?』 

 

ライス『雨でコースがぐちゃぐちゃなのに、全然ペースが落ちないで!』

 

ライス『ライスなんか上手に走れなかったのに!ブルボンさんずっといつも通りなの!』✨

 

ライス『ずっと先頭だったのに、ラストスパートでビューーンって!』✨

 

『そ……そうだね……?』 

 

ライス『ライスもブルボンさんみたいに走りたい』✨

 

『!?』

 

ライス『できるかな?お兄さま!?』

 

『……ぷっ』

 

ライス『?』

 

『はっはっはっ……』

 

一同『……あははは……』

 

ライス『ど、どうしたの!?お兄さま?みんなも……?』

 

ライス『ライス……変なこと言っちゃった?』 

 

『ううん、そんなことはないよ……それに、ライスもがんばればきっとブルボンに追いつける!』

 

ライス『ホントに!?』✨

 

『ああ、本当に!』

 

ライス『ライス、ブルボンさんを目標にしてがんばるね!』

 

『ふふふ……ああ、それにしても……落ち込んでたんじゃなかったんだな』

 

ライス『え?……??』コテン?

 

スズカ『ふふ……本当に、ちょっと心配しちゃいました』

 

トラン『ウチもウチも、みんないきなり慰めモード入ったから、合わせるの大変だったよ』

 

エク『杞憂……でしたね』

 

ライス『?』コテン?

 

マリ『?』コテン?

 

『お前はもうちょっと周りの空気読もうな、マリ』

 

マリ『うぇ?』

 

『……』 

 

マリからライスへ視線を戻す

 

『けど、ライス』

 

ライス『はい』

 

『ブルボンを目標にするのはいい』

 

ライス『うん』

 

『けど、ブルボンに勝たなきゃ、クラシックは取れないぞ』

 

ライス『!』

 

ライス『うん!ライスがんばって……いつかブルボンさんに勝つよ!』

 

『よしっ!その意気だっ!!』

 

 

 

 

 

ー2章ー008話   アコガレChallenge Dash!!   完

 

 

 

 

 




第2章第8話「アコガレChallenge Dash!!」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

応援に来たトラン、まさかの荷物扱い(笑)。
マリの「大丈夫!」は、ちょっと信用できませんね。

ライスの「ブルボンさんみたいに走りたい」が、「いつか勝つ」へ。
憧れの相手に挑むライスを、引き続き見守ってください。

次回、第2章第9話。
10月11日(日)19:00公開予定です。

【KUROXの駄馬(だば)なし  第11走】
対象話:第2章第8話・第9話
10月12日(月)07:00公開予定です。

【X】
https://x.com/utsupapa_2021

【note記事 KUROXの駄馬(だば)なし 】
https://note.com/kurox_1200
※noteは、登録・ログイン不要でそのままお読みいただけます。

KUROX
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