【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う 作:KUROX
1月 トレセン学園 チームポリマ部室
マリ『あったか~♪新年早々この部室、マジ最高じゃん!』
トラン『マリ、昨日からそれ何回目よ?』
マリ『だってさ~トレーニング前にみんなで集まれる場所だよ?チーム感バリ上がりっしょ!』
ライス『ライスも……みんなと一緒にいられる場所ができて、嬉しいな♪』
スズカ『そうね、トレーナーさんを待っている間も退屈しないもの』
エク『片桐トレーナーが準備に出てから、もう10分です』
マリ『エク、新年初トレくらい時間気にすんのやめよ?』
エク『初トレだから気にしてるんでしょ』
トラン『ま~トレちゃんが戻ってきたら、正月気分なんて一瞬で吹っ飛ぶだろうけどねぃ』
たづな『ふふっ、皆さん元気そうで安心しました』
マリ『たづなっちも初トレから来てくれるとか、やっぱもう完全にチームメンバーじゃん』
たづな『私は運営責任者として来ただけですよ?一緒に走るわけではありません』
トラン『走ったらウチらより速かったりして』
たづな『さあ?どうでしょう♪』ニコッ
トラン『お?否定しないんだ?』
マリ『たづなっち、やっぱなんか隠してるっしょ~』
たづな『それよりマリさん、そろそろストレッチを始めておいたほうがよろしいのでは?』
マリ『またマリさんって言った!マリでいいってば~』
たづな『ですが、親しき仲にも礼儀ありと言いますから』
マリ『スズカねえもライスちゃんもトラちゃんも、普通に呼んでんじゃん!』
トラン『待って、ウチのは普通じゃなくない?』
マリ『トランセンドだからトラちゃん!分かりやすいしかわいいっしょ?』
トラン『かわいいより猛獣感が勝ってんだよな~』
スズカ『私はスズカねえ、気に入っているわよ♪』
マリ『さっすがスズカねえ!』
エク『私のことは、エクでいいです』
マリ『エクは最初からエクじゃん』
エク『マリだけじゃなくて、皆さんもです』
ライス『でも……呼び捨てにするのは、少し悪いような……』
エク『エクイライズさんでは長いですし、トレーニング中も呼びにくいので』
トラン『確かに、全部言ってる間にエクならゴールしてそう』
スズカ『それなら、これからはエクと呼ばせてもらうわね』
エク『はい』
ライス『じゃあ……ライスもエクって呼んでいい?』
エク『もちろんです、ライスさん』✨
マリ『たづなっちは?』
たづな『私はこれまで通り、エクさんと呼ばせていただきます』
マリ『頑固~』
たづな『礼儀です♪』ニコッ
トラン『笑顔で押し切ったねぃ』
エク『たづなさんなら構いません』
マリ『これでエクさん呼び、たづなっちだけじゃん!特別感ある~♪』
たづな『そのようなつもりでは……』
スズカ『でも、こうして聞くと本当に呼び方がバラバラね』
トラン『特にマリのナビっちね』
マリ『いいじゃん、ナビっち!うちがどこまで逃げればいいか、道を決めてくれる人なんだから!』
エク『まだ海外へ行くとは言われてないけど』
マリ『今年中には絶対言わせる!』
エク『無理っしょ』
マリ『エクも一緒に行くんだよ?』
エク『それとこれとは別』
トラン『別って言いながら、行く気はあんのね』
スズカ『トランちゃんも、トレちゃんと呼んでいるわね』
トラン『片桐トレーナーじゃ固いし、トレーナーさんじゃ普通だし?トレちゃんが1番しっくりきた感じ』
ライス『ライスは……お兄さま』
マリ『それ最強じゃん!呼ばれた瞬間、家族確定っしょ!』
ライス『か、家族って意味じゃなくて……!』
マリ『じゃあ、どういう意味?』
ライス『優しくて、頼りになって……ライスのことを、ちゃんと見てくれる人だから……////』
トラン『ほほ~う?』✨
ライス『トランちゃん、その顔やめて……』
マリ『スズカねえは普通にトレーナーさんだよね?』
スズカ『ええ……普段は、そうね』
トラン『普段は?』
スズカ『……』
マリ『今の間、絶対なんかあるじゃん!』
ライス『ほかにも呼び方があるんですか?』
スズカ『以前、ハイセイコーさんがトレーナーさんを……その、たかちゃんと呼んでいて』
マリ『たかちゃん!?』
トラン『出たねぃ、幼馴染みたいな激近ネーム!』
マリ『で?スズカねえも呼んだことあんの?』
スズカ『……え、ええ』
マリ『あるんだ!?』
スズカ『そう呼ぶと、トレーナーさんがとても困った顔をするの』
トラン『へぇ~……スズカさん、分かってて使ってんだ?』
スズカ『そ、そういうわけでは……!』
ライス『お兄さまは隆さんだから……たかちゃん……』
エク『合理的な略称です』
マリ『エク、そこ合理性いる?』
たづな『ですが、その呼び方はご本人の前では控えたほうが……』
トラン『つまりトレちゃんの弱点じゃん』
マリ『たかちゃん♪』
ライス『ま、マリちゃん……!』
マリ『たかちゃ~ん♪』
エク『本人がいないからって遊びすぎ』
マリ『エクも呼んでみ?』
エク『絶対に嫌』
トラン『エクだけ片桐トレーナーで固定だもんね』
エク『それが1番正確なので』
マリ『でもエクも、ナビっちのこと結構気に入ってんじゃん?』
エク『トレーナーとして信頼しています』
マリ『へぇ~?』
エク『何、その顔』
トラン『ではここで、チームポリマ女子会の議題を発表しま~す』
たづな『いつの間に女子会になったのでしょう?』
トラン『みんな、トレちゃんのことをどう思っているのか』
マリ『それ聞きたかった!まずスズカねえから!』
スズカ『私?』
トラン『元担当にして、今はトレーナー見習いとして1番近くにいるスズカさん、どーぞ!』
スズカ『そうね……私にとってトレーナーさんは、もう1度走り始めるきっかけをくれた人』
スズカ『そして、これからも一緒に新しい景色を見たいと思える、大切な人よ』
マリ『大切な人いただきました~!』
スズカ『そういう意味じゃ……////!』
トラン『どーいう意味とは言ってないけど?』
スズカ『ト、トランちゃん……////』
トラン『おっと、これ以上は怒られそうだから次いこっか』
マリ『じゃ、ライスちゃん!』
ライス『ライスは……お兄さまが、ライスの名前に込められた本当の意味を知っててくれたの』
ライス『ライスなら、走りで誰かを幸せにできるって……ライスの夢を、初めて信じてくれた人』
マリ『うわ、こっちも重い!』
ライス『お、重くないよぉ……』
トラン『いや~コメちゃんのは、なかなかの重バ場だねぃ』
ライス『じゃ、じゃあトランちゃんは?』
トラン『ウチ?ん~……見てて飽きない人かな』
マリ『軽っ!』
トラン『まあまあ、最後まで聞きなって』
トラン『変なとこで無茶するし、隠し事は多いし、こっちが心配になるくらい危なっかしいけどさ』
トラン『ウチらのことになると、自分のこと全部後回しにできちゃう人なんだよね』
トラン『だからま~見張っとかないと、って感じ?』
マリ『トラちゃんも十分重いじゃん!』
トラン『マリにゃ言われたくないねぃ』
マリ『うちはナビっち!それだけ!』
エク『答えになってないよ』
マリ『うちとエク、どっちかじゃなくて、最初から2人一緒に走れる道を選んでくれた人』
マリ『だからナビっちが指した道なら、うちはどこまでだって逃げるよ!』
エク『……それは私も同じ』
マリ『ほら~エクも重い!』
エク『マリと一緒にしないで』
トラン『じゃ、最後はたづなさんだね』
たづな『私もですか?』
マリ『大人の女性代表として、どーぞ!』
たづな『そうですね……片桐トレーナーは、とても困った方です』
ライス『お兄さまが……?』
たづな『規則の穴を見つけて私を運営責任者にしますし、ご自分の身体を顧みず走り回りますし、何度注意しても無茶をやめません』
トラン『ま、それは否定できないねぃ』
たづな『ですが、あの方になら、このチームを任せられると思っています』
たづな『ですから私も、ここにいるのでしょうね♪』ニコッ
マリ『おお~なんか大人の答え!』
トラン『つまり結論、全員トレちゃんが好きってことで』
ライス『す、好きって……!』
スズカ『トランちゃん、言い方が……』
エク『否定する必要はないと思います』
マリ『おっ、エクが認めた!』
エク『チームのトレーナーを嫌う理由がない、という意味です』
マリ『はいはい、そーいうことにしとこ♪』
ガチャッ
『待たせたな、準備できたぞ』
マリ『あっ、たかちゃん来た~♪』
『ぐぼはっ!……ちょっ、スズカ!』
スズカ『えっ!?』
マリ『うちなんだけど?』
『ふぇ?……マ、マリ?』
トラン『たかちゃんに反応して、真っ先にスズカさん見たねぃ』
『マリ……どこで、その呼び方を聞いた?』
マリ『スズカねえ!』
スズカ『……』
『やっぱりスズカじゃないか!』
スズカ『ち、違うんです!私はセイコさんがそう呼んでいたと話しただけで……!』
マリ『スズカねえも呼んだことあるって言ってたじゃん』
スズカ『マリちゃん!?』
『スズカ……』
スズカ『……』
たづな『あらあら……ふふ』
『とにかくマリ、その呼び方は禁止!』
マリ『え~かわいいじゃん、たかちゃん♪』
『ナビっちで我慢しろ!』
トラン『そっちは認めるんだ……』
『ほら、新年最初のトレーニング始めるぞ!』
マリ『は~い!今年もよろしくね、ナビっち!』
『ああ、今年もよろしく』
スズカ『今年もよろしくお願いします、たかちゃん♪』
『ぐはっ!……スズカぁぁぁ!?』
ササササ……
『ん?ライス……?』
ライス『……た、たかちゃん♪……////』 上目遣い
ズキュゥゥゥゥ~~ン❤
『…………』チーン……
トラン『トレちゃん?』
『……』
マリ『ナビっちぃ?』
『……』
エク『波状攻撃により、撃沈したみたいね』
『……』
・・・・・・
トレーニングコース
スズカ『じゃあ私たちは基礎練習に向かいますね』
『ああ、よろしく頼む』
マリ『スズカねえ、今日のメニューは?』
スズカ『今日はダートコースがメインよ』
トラン・マリ『よっしゃ♪』
エク『……』
マリ『エク、今日はうちが勝つよ』
エク『トレーニングに勝ち負けはないっしょ』フンッ
トラン『じゃあ、いこいこ♪』
・・・・・・
『ライスはまだ、本格トレーニングはお預けだぞ』
ライス『うん』
『焦らず、段階的に負荷をあげてこうな』なでなで
ライス『えへへ……』
南坂『片桐トレーナー!』
『!』
『南坂トレーナー……それにマチカネタンホイザ……』
南坂『ライスさん、トレーニング復帰されたんですね』
『ええ、おかげさまで』
マチタン『ライスさん、こんにちは~』
ライス『こんにちは、マチタンさん』
南坂『片桐トレーナー、ライスさんの路線は決まりました?』
『ええ、クラシック路線に挑戦します』
南坂・マチタン『!』
南坂『……やはり、そうですよね……うちのタンホイザもクラシック路線に挑戦します』
『……』
南坂『……ライバル……ですね』
『ええ、よろしくお願いします』
マチタン『……ライバルかぁ……』
ライス『……ライバル』
???『ご無沙汰しています、片桐トレーナー』ペコッ
『黒沼トレーナー』
黒沼『そのライバル争いにうちのブルボンも加えてもらっても、いいですか?』
ミホノブルボン『初めまして、片桐トレーナー……ミホノブルボンです』cv.長谷川育美
(サイボーグ!ミホノブルボン!……か、可愛い上にスタイルバツグン!!❤)
『ああ、よろしく』
ライス『……ブルボンさん……』
黒沼『クラシックは世代の頂点を決めるレース!お互い、高めあいましょう』
『もちろんです』
南坂『は、はい!』
ライス『……』
ブルボン『……』
マチタン『……』
黒沼『それでは、失礼します……ブルボン行くぞ』
ブルボン『はい、マスター』
南坂『僕たちも行くよ、タンホイザさん……失礼します、片桐トレーナー』
マチタン『あ、待って待って……トレーナーさぁん……』
『世代の頂点か……ライス、がんばるぞ!』
ライス『うん!お兄さま!』
・・・・・・
『ライス、少しペースが上がってるぞ!今日はタイムを出す日じゃない!』
ライス『は、はい……!』
『そのままのペースで、あと1周したら休憩だ!』
ライス『うん!』
黒沼『ブルボン!まだ脚は動くな!?』
ブルボン『はい、マスター』
『……』
黒沼『精神は肉体を超えられる!もう1本だ!』
ブルボン『はい、マスター』
『……また行くのか』
ライス『はぁ……はぁ……お兄さま、終わったよ』
『ああ、おつかれ……水分を取って5分休憩だ』
ライス『うん……』
黒沼『ブルボン!フォームが乱れているぞ!』
ブルボン『修正します』
坂路を走るブルボンを、黙って目で追う
ライス『お兄さま?』
『!』
ライス『ブルボンさんが、気になるの?』
『ああ……今年のクラシック最有力だからな』
ライス『すごいね……さっきから、ずっと坂を走ってる』
『これで何本目だ……?』
黒沼『まだ余力があるな!もう1本だ!』
ブルボン『はい、マスター』
ブルボンは再び坂路を駆け上がっていく
(何度坂路を往復しても、表情は一切変えへん)
(まさにサイボーグ……ミホノブルボン)
(あれに勝たなあかんのか……)
◇◇◇
3月初旬 トレーナー室
『ライス、次のレースが決まったよ』
ライス『う……うん』
『3月末に開催される、中山レース場1800m、スプリングステークス』
ライス『うん』
『ブルボンも、マチカネタンホイザも出走登録をしてる』
ライス『!』
『……出るかい?』
ライス『……出る』
ライス『ライス、誰が相手でも出る!』
『わかった、じゃあこれからはレースに向けて本格的に追い込んでいくぞ!』
ライス『はい!』
◇◇◇
3月末 【中山レース場 芝1800m GⅡスプリングステークス】どーーん
中山レース場 控室
マリ『千葉キターーーー!』✨
トラン『レース場に着いてから、もう結構経ってんだけど』
マリ『東京を出て千葉まで来たんだよ?立派なプチ旅行じゃん!』✨
エク『隣だけどね』
マリ『距離じゃないの!普段と違う場所に来たら、それはもう旅っしょ!』
トラン『しかも今回はコメちゃんの応援だけどねぃ』
マリ『それだけじゃないって!一般のお客さんじゃ入れない、レース場の裏側だよ!?』
マリ『控室に関係者専用通路!この先にはきっと、未知の中山が広がってる!』✨
『マリ、勝手に控室から出るなよ』
マリ『え~ちょっとくらいいいじゃん!』
『お前は、そのちょっとで絶対帰ってこなくなるだろ!』
マリ『大丈夫!トラちゃん連れてくから!』
トラン『なんでウチ!?』
マリ『こういうの詳しそうじゃん!案内よろしく!』
ガシッ!
トラン『待って!待って!なんで腰持った!?』
マリ『しゅっぱ~つ!』✨
マリはトランの腰をつかんだまま、ドアへ向かって引きずっていく
ズルズルズル……
トラン『ちょっ、待って待って!ウチまだ片方靴履いてないって!』
ガチャッ
『こらマリ!トランをどこへ持ってく気だ!』
マリ『地下バ道!』
トラン『ウチは荷物じゃないんよぉぉぉ!』
エク『マリ、逆』
キキィィィィーーー!!
トラン『ぐへっ……!』
トラン『と……止まり方ぁぁぁ!?』
マリ『え?』
エク『マリ、地下バ道は反対……そっちは検量室』
マリ『先に言ってよ!』
エク『案内図見ないで飛び出すからっしょ』
トラン『案内図あるなら最初から見ろぉ!』
スズカ『ふふふっ……』
エク『……ふっ』
『まったく……はは』
ライス『ふふっ……あははっ♪』
トラン『コメちゃんまで笑ってないで、助けてよぉ……』
ライス『ご、ごめんね……でも、マリちゃんとトランちゃんがおかしくて……へへっ♪』
マリ『ライスちゃん笑った!もしかして、うちのおかげ?』✨
トラン『半分は被害者のウチの功績だからね?』
マリ『じゃあ、うちとトラちゃんの共同作業じゃん!』
トラン『勝手に組むな!』
ライス『あははっ♪』
『ライス』
ライス『?』
『少しは緊張、抜けたか?』
ライス『……分かってたの?』
『控室に入ってから、ずっと右手でシャツの裾を握ってたからな』
ライス『あっ……』
ライス『……ほんとだ、もう握ってない』
『そっか』
ライス『うん……みんなが一緒にいてくれるって思ったら、少し怖くなくなったの』
マリ『任せて!また緊張したら、トラちゃん引きずるから!』
トラン『次は絶対エクにして!』
エク『それはマジで無理』
『ライス、右脚は?』
ライス『痛くないよ』
『違和感は?』
ライス『ないよ、お兄さま』
『レース中に少しでも違和感が出たら?』
ライス『……すぐに走るのをやめる』
『よし』なでなで
ライス『えへへ……』
コンコンコン……
係員『ライスシャワーさん、パドックへの移動をお願いします』
ライス『はい!』
マリ『ちょっと待った!』
トラン『今度は何よ?』
マリ『チームポリマになって、最初のレースっしょ!』
スッ
マリ『ほら、みんな手!』
トラン『そういうのは先に決めときなって』
トラン『……ま、悪くないけどねぃ♪』スッ
スズカ『ライスちゃん♪』スッ
エク『片桐トレーナーも』スッ
『俺もやるのか?』
マリ『ナビっちが入らなきゃ、ポリマにならないじゃん!』
『……それもそうか』スッ
ライス『……みんな……』スッ
ライス『……あったかい』
最後に重ねたライスの手を、みんなの手が下から支えている
マリ『じゃ、ライスちゃん!』
ライス『えっ?ラ、ライスが言うの!?』
トラン『今日の主役だからねぃ♪』
ライス『……うん!』
ライス『チームポリマー……がんばれぇ……がんばるぞー……おー!』
全員『おー!』
全員『いってらっしゃい!』
ライス『はい!』
『ライス』
ライス『?』
『今日の目標は無事に走り切ること……いいな?』
ライス『……はい、お兄さま!』
・・・・・・
中山レース場 パドック
実況『皐月賞トライアル、GⅡスプリングステークス』
実況『クラシックへの切符を懸けた14人のウマ娘が、次々にパドックに登場します』
実況『1番、現在2番人気、ミホノブルボン』
実況『デビューから3戦3勝、昨年の朝日杯を制した無敗のジュニア女王』
実況『初の1800m、初の重バ場でも、サイボーグはその強さを見せつけるのか!』
実況『3番、現在12番人気、ライスシャワー』
実況『昨年9月、芙蓉ステークスを制した直後に右脚を骨折』
実況『およそ半年の休養を乗り越え、クラシックへの第一歩を踏み出します!』
実況『4番、現在3番人気、サクラバクシンオー』
実況『前走、桜草特別を制し、ここまで3戦2勝』
実況『一気の600m延長も、その圧倒的なスピードで押し切ることができるか!』
実況『7番、現在4番人気、マチカネタンホイザ』
実況『昨年の朝日杯4着、前走の共同通信杯も4着』
実況『重賞でも安定した走りを見せるマチカネタンホイザ、今日こそ先頭でゴールを駆け抜けられるか!』
・・・・・・
マチタン『ライスさん』
ライス『マチタンさん』
マチタン『今日はよろしくね』
ライス『う、うん!』
マチタン『レースでは、真剣勝負!むんっ!と負けないからねぇ~』
ライス『ラ、ライスだって!負けないから!』
???『私も負けませんよ!』
ライス・マチタン『?』
サクラバクシンオー『この優等生最速委員長が、皆様にバクシンの力を御覧に入れましょう!』cv.三澤紗千香
ライス『バクシンの……』
マチタン『ちから……?』
バクシンオー『そうです!バクシンの力!バクシン力をっ!』
マチタン『なんか……すごそうだねぇ』
ライス『う、うん』
バクシンオー『おや!?ブルボンさん!同じ逃げウマ娘のあなたにも私のバクシン力をお見せします!』
ブルボン『!』
ブルボン『ライスさん、マチタンさん、こんにちは』
ライス『ブルボンさん、こんにちは』
マチタン『こんにちは、ブルボンさん』
バクシンオー『ちょわ~!無視しないでくださいよ!ブルボンさん!』
ブルボン『バクシンオーさん、マスターからのデータによれば、このレースの距離は、あなたには適していないと推測します』
バクシンオー『な!なんですとぉ!そんなことはありません!バクシンの力は無限大なんです!』
バクシンオー『今日も見事に、終始先頭を走ってゴールすることでしょう!』
ブルボン『先頭でゴールするのは私です』
ライス『!』
ライス(……すごい自信)
ブルボン『それでは、失礼します』
マチタン『ほぇ~……なんかすごかったねぇ』
バクシンオー『ぐぬぬぬぅ~……負けませんっ!』
ライス(ブルボンさん……)
・・・・・・
中山レース場 ゲート
実況『生憎の雨模様となりました中山レース場、芝コースは重バ場となっています』
実況『14人のウマ娘のゲートインが順調に進んで……今、最後のウマ娘が入って態勢完了……』
実況『G2スプリングステークス……』
ガシャンッ!
実況『今っ!スタートです!!』
実況『揃った綺麗なスタート、まずは誰がいくのか?』
『よしっ!ライス、いいスタートだっ!』
実況『ミホノブルボンがいく!サクラバクシンオーも前へ!』
バクシンオー(そうやすやすとはいかせませんよ!ブルボンさん!)
実況『先頭はミホノブルボン!2番手にサクラバクシンオー!』
実況『ライスシャワーは4番手!マチカネタンホイザは中団後方につけています!』
ライス(ブルボンさん……速い!)
マチタン(まずは、いいとこについてぇ♪)
実況『いま1000mを通過!タイムは60秒3!』
実況『さあ第4コーナー!先頭はミホノブルボン!2番手サクラバクシンオー!』
ブルボン(……)
バクシンオー(コースが……雨で荒れて……走りにくい!)
実況『ライスシャワーが上がってきた!3番手に並んだ!』
実況『マチカネタンホイザも5番手まで進出!』
実況『最終コーナー立ち上がって最後の直線!先頭はミホノブルボン!』
ブルボン(……)
実況『サクラバクシンオーは苦しくなった!サクラバクシンオー失速!』
バクシンオー『はあっ!はあっ!はあっ!……』
バクシンオー(ま、まだゴールまで……あんなに!?……バクシン力が……)
実況『ミホノブルボンは止まらない!止まらない!後続との差が開いていく!』
ライスの前を走るブルボンの背中が、雨の中で少しずつ遠ざかる
ライス(ブルボンさん!……お、追いつけない!)
実況『ミホノブルボン、重バ場に苦しむ後続を尻目にさらに差を広げる!』
実況『ミホノブルボン!ミホノブルボンだ!2着に7バ身差をつけてゴーールっ!!』
実況『ミホノブルボン圧勝!重バ場でも関係なしっ!まさにサイボーグ!』
実況『皐月賞にむけライバルたちに実力の差を見せつけました!』
実況『ライスシャワーは3着にクビ差届かず4着!マチカネタンホイザ5着!サクラバクシンオーは12着です!』
ブルボン『はあっ……はあ……はぁ……ふぅ~』
ライス(ブルボンさん……す、すごい!)✨
(よくがんばった……ライス……)
・・・・・・
中山レース場 地下バ道
カッカッカッ……
『お疲れ様、ライス』
ライス『……お兄さま』
スズカ『ライスちゃん、お疲れ様』
ライス『……うん』
(……元気……ないな……4着やもんなぁ)
『ライス!復帰戦で4着なら立派だぞ!よく頑張ったな』なでなで
ライス『……うん』
『……』ニコニコ
スズカ『そ、そうよ!しっかりゴールして帰ってきたんですもの!』
ライス『……うん』
トラン『雨も降ってて、重バ場で4着なら立派だよ!立派!』
ライス『……うん』
エク『え、えっと……復帰戦とは思えない、素晴らしい走りでした』
ライス『……うん』
マリ『みんな、どうしたん?つーか、ブルボンさんハンパなくね?7バ身差っ!!』
一同『!?』
エク『マリ!……空気読めっ!バカ!』
ライス『……』
マリ『へ?うちなんかヤバいこと言った感じ?』
『ライス ブルボンは……ほら!す、すごいけど』
ライス『……そう』
『え?』
ライス『そうなの!ブルボンさんすごいの!』✨
ライスは目を輝かせて、こちらをまっすぐ見上げる
『んん?』
ライス『雨でコースがぐちゃぐちゃなのに、全然ペースが落ちないで!』
ライス『ライスなんか上手に走れなかったのに!ブルボンさんずっといつも通りなの!』✨
ライス『ずっと先頭だったのに、ラストスパートでビューーンって!』✨
『そ……そうだね……?』
ライス『ライスもブルボンさんみたいに走りたい』✨
『!?』
ライス『できるかな?お兄さま!?』
『……ぷっ』
ライス『?』
『はっはっはっ……』
一同『……あははは……』
ライス『ど、どうしたの!?お兄さま?みんなも……?』
ライス『ライス……変なこと言っちゃった?』
『ううん、そんなことはないよ……それに、ライスもがんばればきっとブルボンに追いつける!』
ライス『ホントに!?』✨
『ああ、本当に!』
ライス『ライス、ブルボンさんを目標にしてがんばるね!』
『ふふふ……ああ、それにしても……落ち込んでたんじゃなかったんだな』
ライス『え?……??』コテン?
スズカ『ふふ……本当に、ちょっと心配しちゃいました』
トラン『ウチもウチも、みんないきなり慰めモード入ったから、合わせるの大変だったよ』
エク『杞憂……でしたね』
ライス『?』コテン?
マリ『?』コテン?
『お前はもうちょっと周りの空気読もうな、マリ』
マリ『うぇ?』
『……』
マリからライスへ視線を戻す
『けど、ライス』
ライス『はい』
『ブルボンを目標にするのはいい』
ライス『うん』
『けど、ブルボンに勝たなきゃ、クラシックは取れないぞ』
ライス『!』
ライス『うん!ライスがんばって……いつかブルボンさんに勝つよ!』
『よしっ!その意気だっ!!』
ー2章ー008話 アコガレChallenge Dash!! 完
第2章第8話「アコガレChallenge Dash!!」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
応援に来たトラン、まさかの荷物扱い(笑)。
マリの「大丈夫!」は、ちょっと信用できませんね。
ライスの「ブルボンさんみたいに走りたい」が、「いつか勝つ」へ。
憧れの相手に挑むライスを、引き続き見守ってください。
次回、第2章第9話。
10月11日(日)19:00公開予定です。
【KUROXの
対象話:第2章第8話・第9話
10月12日(月)07:00公開予定です。
【X】
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【note記事 KUROXの
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