【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う 作:KUROX
2月
東京レース場 芝2500m GⅡ目黒記念 どーーん
実況『残り400メートル!内からマチカネタンホイザ!』
実況『マチカネタンホイザ、先頭に立った!一気に差を広げる!』
実況『外からライスシャワー!ライスシャワーも追ってくる!』
実況『残り200メートル!マチカネタンホイザ先頭!』
実況『ライスシャワーが伸びてくる!外から懸命に追い上げる!』
実況『残り100メートル!マチカネタンホイザ!追うライスシャワー!』
実況『マチカネタンホイザ、ゴールイン!2着はライスシャワー!』
実況『ダイヤモンドステークスに続いて、目黒記念も制しました!』
実況『マチカネタンホイザ、長距離重賞を連勝です!』
マチタン『はあ……はあ……はぁ……』
マチタン(……勝った?)
マチタン(ライスさんに……勝った!)バッ
空に両手を高々と上げガッツポーズをとるマチカネタンホイザ
◇◇◇
3月
中山レース場 芝2500m GⅡ日経賞 どーーん
実況『残り400メートル!先頭はライスシャワー!』
実況『ライスシャワー、後続を引き離して直線に向きます!』
実況『残り200メートル!ライスシャワー先頭!後ろの2番手争いは大接戦!』
実況『ライスシャワー、力強い走り!後続を寄せつけません!』
実況『残り100メートル!ライスシャワー!ライスシャワー!』
実況『堂々先頭でゴールイン!ライスシャワーです!2着は3番!』
実況『菊花賞覇者の力を見せました!ライスシャワー、日経賞を制しました!』
実況『春の盾へ、弾みをつける勝利です!』
◇◇◇
4月初旬
兵庫県神戸市 メリケンパーク
カモメ『キィー、キィー……』
てくてく……
(ライスシャワーの天皇賞(春)に向けた調整は上々、目黒記念ではマチカネタンホイザに2バ身半差で敗れたものの……)
マリ『うひょー!海ー!神戸キターーーッ!!』
(続く3月の日経賞では完璧な走りをし、今度は2着に2バ身以上の差を付けて完勝……)
マリ『なにあれ!あのタワー!?真っ赤な砂時計タワー!?東京タワー!?』
エク『……神戸ポートタワーだよ』
(天皇賞(春)を3週間後に控えた現段階としては、良好と言って問題ないだろう……)
マリ『うお!デッカ!びぃーこうべ……神戸になる!きゃはは……誰が?うち?うちが神戸?』
トラン『えっと……【BE KOBE】とは、「神戸の魅力は人である」という想いを込めたシビックプライド(市民の誇り)メッセージです。だってさ』
(しかし、相手は長距離の絶対女王〝メジロマックイーン〟今の調整で足りているのか?)
マリ『すっご!なに?あの建物!?あみあみ?蜘蛛の巣?でっかい蜘蛛の巣?』
スズカ『神戸海洋博物館ですって』
トラン『あの白いのは帆船の帆をイメージしてるんだってさ』
(それを確かめるため、今日は阪神レース場で開催されるマックイーンのレースを視察しに来た……)
マリ『ほぉー……帆だけに、ほぉー……なんちゃって!テヘペロッ★』
ライス『えへへ……マリちゃん、元気だね』
(わけ、なんだが……)
マリ『もう!旅行と言えばうちの独壇場っしょ!』
たづな『あまり走り回っては、他の方に迷惑になりますからね』
『……』イライラ……
マリ『お!あっちにはかまぼこ!かまぼこの建物がある!神戸オシャ~!』※神戸メリケンパークオリエンタルホテルです
『やっかましいねん!お前はッ!!』
マリ『きゃぅッ!!?』
『人がしんみりと読者さんに分かりやすいように、回想語りしてても!あいだあいだに騒ぎよって!』
マリ『え?ええ!?』
『これじゃ読者さん、全然ッ!話入ってけぇーへんやんけ!!』
マリ『え?ど、読者?なんの?』
『つーか!マックイーンのレースの視察でなんでポリマ全員集合してんねん!!ライスとワシだけでええやろ!?』
マリ『あ!良くない!ナビっち、それは良くないと思いまーっす!!二人きりで旅行なんて!不純~』
『やっかましいわ!レースの視察や!不純も松本潤もあるかッ!』
マリ『神戸だよ?兵庫だよ?初の阪神レース場だよ?うちがおとなしくお留守番してると思うなよ!!』
『そもそも、なんで……ライスのための視察で、チーム全員の交通費がチーム予算で下りたんですか!?』ギロッ
たづな『え? わ、私ですか?……えっとぉ……それはぁ~……』
『久しぶりに週末に休みが取れたから、ちょうど良い小旅行♪ とか、思ってませんよね?たづなさん?』
たづな『え?……ええ!?も、もちろん!そんなことはありませんよ!』
『じと~っ……』
たづな『う゛……こ、後学のために!いろんなレース場を知っておくのも大事なことですし!それに、チームの絆を深める良い機会ですし!』
『せっかくの週末休みですし?』
たづな『はい♪』
『じーっ……』
たづな『……あ』
(語るに落ちたな……駿川たづな)
トラン『いつも通り、平和だねぇ~……♪』
スズカ『ええ……潮風も気持ちいいわ』
ライス『楽しいね……えへへ』
エク『……』✨フリフリ……
外国人観光客『Excuse me, could I ask you for directions...?』(ちょっと道を尋ねたいのですが……)
スズカ『え?』
外国人観光客『Could you tell me how to get to Nankinmachi?』(南京町に行くにはどうしたらいいですか?)
スズカ『え?私?えっと……困ったわね』
『ん?スズカ!どうした!?』
スズカ『ちょっと私、英語は苦手で……』
外国人観光客『Um... do you speak English?』(あの……英語は話せますか?)
マリ『はぁい!どぅー ゆー にーど えにー へるぷ?』【Hi! Do you need any help?】(こんにちは!どうかしましたか?)
一同『えッ!?』
エク『ふふ……』
外国人観光客『Oh, thank goodness! You speak English!』(良かった!あなたは英語がわかるんですね!)
マリ『いぇあ、あ りとる、そー、わっつ あっぷ?あー ゆー ろすと?』【Yeah, a little. So, what's up? Are you lost?】(うん、少しだけどね、で?どうしたの?道に迷ったの?)
外国人観光客『Yes, I'd like to go to Nankinmachi. Could you tell me how to get there?』(ええ、南京町に行きたいんですが、どうしたらいいですか?)
マリ『おーけー!じゃすと ぎぶ みー あ せっく……』【Okay! Just give me a sec...】(OK!ちょっと、待ってねぇ~……)
スズカ『すごい!マリちゃん英語話せるのね……』
エク『夢が世界中で活躍することですから……まぁ、発音はアレですけど』
『い、意外すぎる……』
マリ『なんきんまち いず あばうと あ てん みにっと うぉーく ふろむ めりけん ぱーく、ふぁーすと、へっど ばっく とぅー ざ ぱーく えんとらんす ばい ざ らーじ ふぃっしゅ すかるぷちゃー、ぜん ていく ざ ふっとぶりっじ あっと めりけん はとばまえ とぅー くろす ざ めいん ろーど、うぃず ざ しー びはいんど ゆー、ふぉろー めりけん ろーど すとれいと とぅわーど ざ まうんてんず、うぇん ゆー しー ざ だいまる でぱーとめんと すとあ おん ゆあ らいと、るっく とぅー ゆあ れふと ふぉー あ らーじ ちゃいにーず すたいる げいと こーるど ちょうあんもん、ごー するー ざっと げいと、あんど ゆーる びー いん なんきんまち』
【Nankinmachi is about a ten-minute walk from Meriken Park. First, head back to the park entrance by the large fish sculpture, then take the footbridge at Meriken Hatoba-mae to cross the main road. With the sea behind you, follow Meriken Road straight toward the mountains. When you see the Daimaru department store on your right, look to your left for a large Chinese-style gate called Choanmon. Go through that gate, and you'll be in Nankinmachi.】
(南京町へは、メリケンパークから歩いて10分ほどです!まず、大きな魚のオブジェがある入口側へ戻り、「メリケン波止場前」の歩道橋で大きな道路を渡ってください!そこから海を背にして、山側へ延びるメリケンロードをまっすぐ進むと、右手に大丸、左手に中国風の大きな門「長安門」が見えてきます!その門をくぐれば南京町です!)
外国人観光客『Thank you! That's really easy to follow!』(ありがとう、とても分かりやすいです!)
マリ『ゆあ うぇるかむ!はぶ あ ぐれいと でい!』【You're welcome! Have a great day!】(どういたしまして、よい一日を!)
外国人観光客『Thanks! You have a great day, too!』(ありがとう!あなたも良い一日を!)
笑顔で手を振りあう
ライス『マリちゃん、すごい!』
マリ『えっへん!✨すごいっしょ?ま、自分の夢のためだかんねぇ~……当然っしょ♪』
ライス(……自分の夢の為に、努力は惜しまない……)
外国人『Damn, you're hot. You here sightseeing? Come on, let me show you a good time.』
ライス『ひゃあっ!……ま、また?』
マリ『……』
エク『...No, thank you. We're here with our team.』
外国人『Aw, don't be like that, babe. I'll get my boys over here. Come on, let's have some fucking fun!』
エク『……』
外国人『Hey! I'm fucking talking to you!』
エク『I said no. Fuck off, creep.』ギロッ
外国人『Uh...』
エク『みなさん、そろそろ移動しましょうか?』
ライス『え?外人さん……まだ、困ってるみたいだよ?』
エク『ああ……“アレ”はいいんですよ』ニコッ
マリ『ヒュ~……♪ エクやるぅ~……』✨
ライス『……へ?』
『エク……何聞かれたんだ?』
エク『いえ……私たちが楽しそうだったから、羨ましかったみたいです♪』
『へ?……へぇー……?』
エク『片桐トレーナーも英語くらい話せるようになってくださいね』
『う゛……』
エク『マリと私の海外遠征に必要ですから』
『……ハイ』
たづな『うふふ……頼もしいですね』
◇◇◇
神戸市 南京町
赤い長安門をくぐると、店先から立ちのぼる湯気と、焼き物の香ばしい匂いが一度に押し寄せてきた
マリ『ほおー……✨ほおー……✨』
マリ『メッチャ!チャイナ!!』
エク『神戸南京町だよ』
マリ『うっわ!なにここ!?右も左もウマそうなんだけど!』
トラン『いいねぇ~……これは、どこから行くか迷うね』
『トランなら、もう調べてあるんじゃないのか?』
トラン『んふふ……バレた?』ニヤリ
マリ『エク!あれ!あそこ見て!なんか焼いてる!』
エク『見えてるから、引っ張らないで』
店先では、丸く包まれた小籠包が鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てていた
隣の鉄板では、細い麺と具材が手際よく炒められていた
スズカ『いい香り……』
トラン『ここ、
マリ『じゃ、それ両方!焼小籠包と焼ビーフン、くださーい!』
ライス『ライスも食べたい!』
『まあ、そうなるわな……よし!ここはトレーナーさんのおごりだ!』
一同『やったー!』
たづな『片桐トレーナー……大丈夫ですか?』
『まあ、屋台の料理くらいなら余裕ですよ、たづなさんも遠慮せず食べてください』
たづな『それなら……お言葉に甘えて♪』
・・・・・・
湯気の立つ容器を受け取り、通りの端へ寄る
小籠包の底には、こんがりと焼き色がついていた
マリ『うひょ~……これ、絶対うまいやつ!』
エク『マリ、肉汁が熱いから気をつk……』
マリ『はむっ……あっつ!!激アツじゃん!?』
エク『……最後まで聞こう?』
トラン『ふっふっふ~……ウチ、ネットで食べ方を調べてきたんだよねぇ~♪』
マリ『それ先に教えてよぉ~!』
トラン『食べるの早いんだってぇ~ ……まず、上の柔らかいところに、ちっさく穴を開けて……』
トランが箸の先で皮に穴を開ける
トラン『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
マリ『おおっ……うちも!』
マリ『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
マリ『んっ❤お肉のスープだ!』
トラン『でしょ~?少しずつ吸いながら冷まして、スープが減ったら……』
マリ『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
トラン『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
マリ『あ……減ってきた!』
トラン『じゃ、最後にもう一回、ふーってして……』
マリ・トラン『ふー……』
パクっ!
マリ・トラン『んーーッ!』✨
マリ『うっま!下カリッカリ!上もちもち!』
トラン『んふふ……これこれ~♪』
ライス『ライスもやる!』
『よし……俺たちも』
ライス『ふ~ふ~……ちゅーちゅー……❤』
スズカ『ふぅ……ふぅ……ちゅーちゅー……❤』
エク『ふー……ちゅーちゅー……❤』
マリ『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
トラン『ふーふー……ちゅーちゅー……❤』
たづな『フーフー……ちゅーちゅー……❤』
ライス『ん~……お汁、おいしい……♪』
トラン『そろそろ、みんないける~?』
マリ『いけるいける!』
一同『ふー……』
パクっ!
一同『んーーッ!』✨
マリ『んふふ~……エク、これまた買いに来よ!』
エク『うん……私も、これ好き』
ライス『お兄さま、ビーフンも食べよう?こっちもいい匂いだよ』
『おう……いただきます』
細い麺を箸で持ち上げると、炒めた具材と油の香りがふわりと上がった
『ん……うまいな、細いけど、ちゃんと歯応えがある』
たづな『香ばしくて、おいしいですね』
トラン『これ、お米で作った麺なんだってさ』
ライス『お米……!へぇ~……こんな麺にもなるんだね』
マリ『米ってすごくない?ごはんにもなるし、こんなうまい麺にもなるし!』
ライス『……えへへ////』
トラン『ん?なんでコメちゃんが照れるん?』
・・・・・・
南京町広場へ近づくにつれ、人の声が幾重にも重なって聞こえてきた
店先の蒸籠から上がる白い湯気に、マリの耳がぴんと立つ
マリ『ナビっち!豚まん!』
『分かった分かった……見えてるよ』
トラン『
ライス『あ……見て!あの人、もうひとつ包めた!』
職人の指先で生地がくるりと寄せられ、小さな豚饅頭が次々に並んでいく
スズカ『ほんとう……きれいに、同じ形になるのね』
マリ『すっご!うちだったら、絶対どっかから肉出るわ』
エク『詰めすぎなければいいんじゃない?』
マリ『え?肉は詰めたいじゃん?』
トラン『包む前から欲張ってるねぇ~……♪』
順番が来て受け取った包みには、小ぶりの豚饅頭がつやつやと並んでいた
ライス『いただきます……はむっ』
ライス『ん……!この皮、おいしい……』
マリ『ほんとだ!中の肉も、うまっ!』
『小さいけど、味はしっかりしてるな』
スズカ『皮と一緒に食べると、おいしいわね』
ライス『えへへ……ライス、もうひとつ食べる♪』
マリ『うちも~!』
トラン『はいはい、こっちにもあるよ、コメちゃん』
ライス『ありがとう、トランちゃん』
・・・・・・
エク『……あれ、角煮ですよね?』
視線の先では、白い生地から厚い豚の角煮がはみ出していた
照りのあるタレが肉の表面を覆い、生地の内側にも染みている
マリ『うっわ!なにあれ!ビジュ強すぎん!?エク、あれ食べよ!』
エク『うん……私も食べたい』
トラン『
『角煮を挟むのか……それは、うまそうだな』
たづな『私もいただこうかしら♪』
・・・・・・
ふかふかの生地ごと角煮をかじると、肉がほろりとほどけた
甘辛いタレが口いっぱいに広がる
『うわ……うんまっ』
マリ『ん~っ!これ!これヤバい!』
スズカ『お肉、柔らかい……』
ライス『うん!パンに染みてるところも、おいしいね』
エク『……これは、いいですね』✨フリフリ……
ライス『えへへ……エクの尻尾も、嬉しそう♪』
エク『……ライスさん、それは見なくていいです』
マリ『きゃはは!尻尾は正直だかんねぇ~!』
エク『マリ、タレ落ちそう』
マリ『おっと!』
『……お前ら、忙しいな』
トラン『そういうトレちゃんも、だいぶ顔ゆるんでるけど?』
『ウマいんだから、仕方ないだろ』
トラン『んふふ……だね♪』
・・・・・・
マリ『……あっ!待って!あそこ、ひよこいる!』
エク『ひよこ?』
マリ『あの黄色いやつ!あと、パンダも!』
同じ店先に並ぶ、丸いひよことパンダの顔
マリの指差す先を見て、ライスも身を乗り出す
ライス『わぁ……かわいい!』
トラン『えっと……ぴよまんと、パンダノーミーチだってさ』
『ぱんだの……?』
トラン『パンダノーミーチ』
『……名前だけで舌噛みそうだな』
マリ『うちは、ぴよ!』
エク『私はパンダのほう』
ライス『……ライスは両方』
マリ『おっけー!両方ね!』
スズカ『ごま団子もあるわ』
たづな『あら……それもおいしそうですね』
トラン『じゃ、それも一緒に頼もっか♪』
・・・・・・
ライス『……お兄さま、見て?』
ライスの手のひらで、丸いパンダがこちらを見上げていた
『おう……ちゃんとパンダだな』
ライス『マリちゃんのひよこさんも、かわいいね』
マリ『でしょ~?じゃ、ぴよちゃん!いただきまーっす!』
ライス『えへへ……パンダさん、いただきます♪』
あむっ……
ライス『ん~……もちもちしてる!』
マリ『うちのぴよも、おいしい!』
スズカ『ごま団子も……外が香ばしくて、いいわね』
『ああ……胡麻の香りがすごいな』
トラン『トレちゃん、口の横にも胡麻ついてるよ』
『ん?ここか?』
トラン『逆、逆……そっちじゃないって……もぉー……』ヒョイッ
トラン『ぱくっ……はい、取れたよん♪』
ライス・スズカ『ッ!!』
『おお、ありがと』
トラン『あ……やべッ』
ライス・スズカ『じーっ……』
トラン『ち、違うんよ?これは……ついね』
スズカ『べ、別に、私はなんとも思ってないわよ……?』
ライス『むぅ……お兄さま!大人なんだから、綺麗に食べよ?』
『はは……はいはい』
トラン『……』
店先から呼び込みの声が上がり、新しい湯気が通りへ流れてくる
甘い胡麻の香りを追うように、七人でゆっくり歩き出した
たづな『さて……そろそろお昼のお店も選びましょうか』
(え? これだけ食べて……お昼!?)
マリ『おっけー!ナビっち、どこにする?』
(腹はいっぱいなのに……心なしか財布はずいぶん凹んだような……)ちら
ライス『お兄さま、みんなでお料理を分けられるお店がいいね』
『そ、そうだな……せっかくだし、いろいろ食べられるところにしよう……か?』
トラン『んふふ……それなら、よさそうな店があるよん♪』
・・・・・・
南京町
トラン『劉家荘、ここだよん♪』
中華料理店らしい回転円卓の席に案内され、メニューを開く
マリ『水餃子!うち、これ食べたい!』
スズカ『春巻もおいしそうね……みんなで分けましょうか』
トラン『エビチリもいっとこ~♪』
ライス『お兄さま、海鮮焼きそばと……あっ!海鮮おこげご飯もある!』
『焼きそばと、ご飯もいくのか?』
ライス『うん!えへへ……やっぱり、ご飯も食べたい♪』
『そ、そうか……じゃ、みんなで分けて食べような』
トラン『おっけー!今の料理、3人前ずつお願いしま~す♪』
エク『海鮮シュウマイもおいしそうですね……4個入りですか』
マリ『あ、それうちも!4個なら、一皿食べたい!』
エク『では、シュウマイは6皿お願いします』
トラン『あと、名物の焼鶏!丸ごと一羽か、半分か選べるんだってさ』
マリ『じゃ、うち丸ごと!』
ライス『ライスも一羽!』
スズカ『私も、一羽でお願いします』
エク『私も同じものでお願いします』
トラン『ウチも一羽~♪』
『!』
(こいつら!……マジかッ!?……あんだけ、食べ歩きで食べたのにッ?)
『お、俺はウーロン茶だけで……』
『たづなさんはどうします?』
たづな『私も、一羽でお願いします♪』
(ファッ!?た、たづなさんもっ!?)
たづな『あら……ふかひれスープもありますね♪』
女子一同『ふかひれ……!』✨
『……』
(目ぇ、キラッキラさしとるんやけど……)
マリ『ナビっち!うち、ふかひれ食べたい!』
ライス『ライスも……!』
エク『私も……せっかくですし、いただきたいです』
スズカ『ふふ……私もお願いします』
トラン『これは、一人前ずつ……イっちゃう?』
マリ『イっちゃう!』
たづな『うふふ……では、ふかひれスープは6人前お願いします♪』
トラン『あと、ウーロン茶全員分で7本ね~♪』
・・・・・・
一同『ごちそうさまでしたッ!』
マリ『さすがにお腹いっぱい!』
トラン『うん、焼鶏ボリューミーだったからねぇ』
スズカ『ふふ……ライスちゃんはしっかりデザートも食べてたわね』
ライス『あ、杏仁豆腐おいしそうだったから』
エク『さすがはライスさんです』
たづな『ふぅ~……片桐トレーナー、本当にウーロン茶だけでよかったんですか?おいしかったですよ?焼鶏』
『え、ええ……もうお腹いっぱいなので……』
(たづなさん、絶対異界渡りのチート能力で食欲も継承してる!!)
・・・・・・
トラン『じゃ、ウチらは先に外で待ってるねん♪』
ガチャッ
店員『ありがとうございました』
『……ごちそうさまでした』すっ
店員『はい……料金は……』
店員『73,160円になります♪』
『……え?』
店員『73,160円になります♪』ニコッ✨
『……』
(んー……! 屋台の食べ歩きだと思って舐めてたわ 残りが……)ちらっ
財布を覗く片桐
『……』
たづな『片桐トレーナー、ここはチームの経費から出しますよ♪』
『たづなさん!』✨
たづな『遠征費ということで♪』
『ちなみにぃ……食べ歩きの分……てぇ……?』
たづな『片桐トレーナー、領収書はありますか?』ニコッ✨
『……あ』
(なんべんおんなじ過ちを繰り返すんやっ!ワシぃ……とほほ)
◇◇◇
神戸市中央区 生田神社
ライス『お兄さまが来たいって言ってたとこ……ここ?』
『ああ、街の風景は随分変わってしまったけど……ここは……』
トラン『もしかして!?トレちゃんこの辺に住んでたの?』
『ん?まぁ、ね……すごい昔、それこそ小学生までだよ』
マリ『んー……50年くらい前?』
『マリ……俺の事いくつだと思ってんの……?』
『……この街で生まれたんだ……』
一同『!』
スズカ『それで、方言が……』
『ん?ああ、関西弁?……いや、全然標準語ですけど?』
トラン『普段はね、テンパるとすぐ出るじゃん?』
『そ、そんなことないですわよ?』
エク『片桐トレーナー、言葉遣い自体がおかしくなっています』
『はは……この神社の近くに母方の祖母の家があってね、そこで生まれたんだ……』
たづな『おばあさまの……』
『ま、震災で無くなって今はなんも残ってないけどね』
一同『……』
『だから、この生田神社が俺の実家みたいなもん……かな?』
ライス『じゃあ……久しぶりの帰省だね』
『……ああ』
マリ『……』
『ん?マリにしては随分おとなしいな、「ひゃっほー鳥居~!」とか言って懸垂とかしないのか?』
マリ『誰がそんな迷惑観光客みたいな事するかッ!』
『はは……冗談だよ、マリが場と空気をわきまえる、いい娘だってことは知ってるから』
マリ『な!何急に言い出してんのッ……////』
エク『フッ……照れてる、照れてる♪』
マリ『て、照れてねぇーし?』
『ここで、ライスの天皇賞(春)の安全と必勝を祈願したかったんだ……』
ライス『……お兄さま』
『よし!行こう』
ライス『うん!』
たづな『ところで、こちらにはどんな神様が祀られているんですか?』
『ああ、ここは稚日女尊【わかひるめのみこと】っていう女神様を祀ってるんだ』
『神様の衣を織る、機織りの女神様でね、天照大神【あまてらすおおみかみ】の妹神とも伝えられてるんだよ』
『それから、神戸って街の名前も、この神社に由来してるんだ』
『昔、この神社にお供えをしたり、お世話をしたりする家々を、神戸【かんべ】って呼んでたそうなんだ』
『その「かんべ」が「こんべ」、それから「こうべ」に変わっていったって伝わってるんだよ』
『それに、ここは縁結びでも有名でね、糸を織り合わせるように、人と人の縁も結んでくれるっていわれてるんだ』
『恋愛の縁はもちろん、友達や仕事なんかの縁もね』
ライス・スズカ・たづな『縁結びッ!?』ピキーン✨
片桐・マリ・エク『……え?』
ライス『ふ、ふ~ん……凄い神様なんだね』
ライス(縁結び!?……お、お兄さまと……////)
スズカ『ほ、本当ね……神戸の地名の由来にもなってるのね』
スズカ(いい加減、鈍感なトレーナーさんと……////)
たづな『と、とても由緒正しい神社なんですねぇ~』
たづな(縁結び!縁結び!)
片桐・マリ・エク『?』 コテン?
トラン(はぁー……やれやれ)
トラン『みんなぁ~行くよん』
『あ、ああ……』
・・・・・・
……チャリン (お賽銭)
ガランガラン…… (本坪鈴)
ペコッ・ペコッ (二礼)
パンッ・パンッ (二拍手)
(ライスが無事に走り切って、マックイーンに勝てますように……頼んます)
スズカ(ライスちゃんが無事に走り切って、勝てますように……それから、トレーナーさんが私の気持ちに気づいてくれますように……)
ライス(無事に走り切って、マックイーンさんに勝てますように……そして、お兄さまとずっと一緒にいられますように……)
トラン(コメちゃんが怪我なく走って、勝てますよーに……それと、ウチらの楽しい毎日もずっと続きますよーに♪)
マリ(ライスちゃんが怪我せず勝てますよーに!……それから、うちも世界中でぶっちぎれますよーにッ!)
エク(ライスさんが無事に走り切って、勝てますように……そして、世界の舞台でもマリを捕まえるのは私でありますように)
たづな(ライスさんが無事に走り切り、勝利を掴めますように……それから、私にも素敵なご縁がありますように……!)
ペコッ (一礼)
一同『……』
『よし!じゃあ、行きますか……阪神レース場に!』
ライス『うん!』
???『たかちゃん?』
『な? 誰や?』
???『やっぱたかちゃんやぁ!いやぁ~……なっつかしいなぁ?』
『え?宮司さん?』
宮司『俺や俺、木田!』
『たかちゃん!?』
ポリマ一同『え?』
『たかちゃんかッ!?なっついの~』
木田宮司『やっと思い出したか!』
トラン『ちょ、ちょいまち!トレちゃん!ややこしい、ややこしい』
トラン『たかちゃん二人はわけわからんって』
『ああ、すまんすまん、こちら小学生の時の同級生で……』
木田宮司『ああ、生田神社の宮司やらしてもろうてます、木田孝朋【きだ たかとも】言います』
『んで、こっちがワシのチームポリマの……』
木田宮司『知ってんで、サイレンススズカにライスシャワーやろ?あとの方は……』
トラン『どもどもぉ♪ トランセンドです』
マリ『パンマリッサでぇーっす!』
エク『エクイライズと言います』
たづな『チームポリマ運営責任者の駿川たづなです』
木田宮司『これはどーも、ご丁寧に……に、しても……』ニヤ
『な、なんやねん……』
木田宮司『ウマ娘ハーレムやな?』ニヤニヤ
『アホっ!そ、そんなんちゃうわっ!』
木田宮司『ぶわッはは……お前のウマ娘好きはガキの頃からやもんなぁ~』
『お、お前こそなんや!その格好はええ歳してコスプレですかぁ?』
木田宮司『なんでやねん!』ビシッ!
『ぷっ……』
木田宮司『ぷっ……』
片桐・木田『はははは……』
『変わらんなぁ……』
木田宮司『お互いにな』
参拝客『すみませ~ん』
木田宮司『ああ!はいはい!ただいまぁ~』
木田宮司『ほな、またな、たかちゃん』
『ああ、またな、たかちゃん』
木田宮司『応援してんでぇ~……チームポリマ!がんばりやぁ~!』
『お前もがんばれよ!』
タッタッタッ……
『ふ……相変わらず忙しないやっちゃ』
スズカ『良かったですね、トレーナーさん』
『ん?……ああ』
ライス『お兄さま、嬉しそう♪』
『ごめんな、待たせて……行こうか』
ライス『うん』
てくてく……
(……まさか、あの木田が宮司とはな……しっかり継いだんやな……)
『……あれ?』
(おかしい……なんで?……なんで!?こっちの世界に木田がおんねん!?)
(あいつは、元の世界の住人のはずやろッ!)
ライス『お兄さまぁ~!早くしないと、マックイーンさんのレースの時間に間に合わないよぉ!』
『あ、ああ!……ごめん』
タッタッタッ……
(どういうことや?……んー……なんやモヤモヤすんなぁ~……)
◇◇◇
阪神レース場 芝2000m GⅡ 産經大阪杯 どーーん
実況『さあ、レースは第3コーナーをカーブして、第4コーナーに向かうところであります』
実況『さあ、このあたりでマックイーンが早くも先頭に立つ勢い』
実況『外からマックイーン、早くも先頭に立った!』
実況『天皇賞へ、天皇賞へ、マックイーンが行く!』
実況『13番メジロマックイーン先頭!さあ、マックイーンが15人を引き連れて先頭!』
実況『イクノディクタス、追いすがる!』
実況『しかし、マックイーン!マックイーンです!ゴールまであと200m!マックイーン先頭だ!』
実況『さあ、後ろから来れるウマ娘はいるのか!マックイーン独走!』
実況『マックイーン独走になった!独走になった!大歓声があがる!』
実況『完全にマックイーンが独走!ナイスネイチャようやくあがってきた!』
実況『しかし、マックイーンだ!マックイーンだ!』
実況『先頭は完全にメジロマックイーン!これは強い強い強い!』
実況『リードを保ってゴールイン!』
実況『2着はナイスネイチャ!』
実況『メジロマックイーン!名優の復活!名優の復活!これで天皇賞も間違いなしか!』
実況『マックイーン復活!文句なしのレコード!2分3秒3!レコードタイム!』
実況『復活のメジロマックイーン!5バ身差の快勝!』
『……』
スズカ『……骨折から11カ月の休養明け、よね……』
ライス『ネイチャさんが……5バ身差……』
トラン『……発表は良バ場だけど……雨降ってるのにレコード……って』
マリ『ライスちゃん……天皇賞で〝アレ〟と走るの……?』
エク『……強い……』
たづな『圧倒的、ですね……』
(あれが、史上最強のステイヤーとの呼び声も高い……名優メジロマックイーン……)
一同『……』
(やっぱり……このままじゃあ……)
ワアアアアアアアアア……
降りしきる雨の中、観客の声援に応え、涼しい顔で手を振るメジロマックイーン
ライス『……』
ー2章ー014話 七色の景色──港町で結ぶ、7人の願い 完
第2章第14話「七色の景色──港町で結ぶ、7人の願い」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
食べ歩きのあとに、焼鶏を丸ごと1羽ずつ。ウマ娘たちとの外食、領収書は本当に大事ですw
そして、7人それぞれの願い。ライスの無事と勝利を祈るポリマを、引き続きよろしくお願いします。
次回、第2章第15話。
11月1日(日)19:00公開予定です。
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対象話:第2章第14話・第15話
11月2日(月)07:00公開予定です(暫定)。
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