【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う 作:KUROX
4月上旬 夜 産經大阪杯視察後
トレセン学園 トレーナー室
VTR───────────
実況『しかし、マックイーン!マックイーンです!ゴールまであと200m!マックイーン先頭だ!』
実況『さあ、後ろから来れるウマ娘はいるのか!マックイーン独走!』
実況『マックイーン独走になった!独走になった!大歓声があがる!』
実況『完全にマックイーンが独走!ナイスネイチャようやくあがってきた!』
実況『しかし、マックイーンだ!マックイーンだ!』
実況『先頭は完全にメジロマックイーン!これは強い強い強い!』
実況『リードを保ってゴールイン!』
実況『2着はナイスネイチャ!』
実況『メジロマックイーン!名優の復活!名優の復活!これで天皇賞も間違いなしか!』
実況『マックイーン復活!文句なしのレコード!2分3秒3!レコードタイム!』
実況『復活のメジロマックイーン!5バ身差の快勝!』
───────────……プツッ
『……』
(このままでは、ライスシャワーはメジロマックイーンに勝てへん……)
(大阪杯のマックイーンには、そう思わせるだけの強さがあった……)
(……史実ではライスが勝ってる……でも、今のままでは……)
あの日のたづなの言葉が脳裏に蘇る……
〘たづな『この世界の未来は決まっていないんです』〙
(なんも変えられへんまま……こんな形で変えることになるかもな……)
コンコンコン……
『……はい?』
ガラガラ……
たづな『失礼します』
『たづなさん……どうしたんですか、こんな時間に?』
たづな『それは、こちらのセリフですよ……片桐トレーナー』
『……』
たづなは椅子を引き、片桐の向かいにそっと腰を下ろした
たづな『気になりますよね……』
『あれだけの走りを見せつけられると……さすがに』
たづな『……ライスさん……勝てますよね?』
『ええ……』
たづな『ふふ……よかt……』
『史実通りなら……』
たづな『!』
『“今の”ライスシャワーでは……十中八九勝てない……』
たづな『し、しかし……ライスさんも前走では完璧な走りをしていましたし!それに……』
たづな『今日のマックイーンさんの大阪杯は2000m、春の天皇賞は3200m……』
『そう、春天を2連覇しているメジロマックイーンのもっとも得意な距離です』
たづな『……あ』
『足りないんです、今のライスにはまだ……なにかが……』
たづな『なにが……なにか!方法は無いんですか?』
『ははは……それを考えるために、こんな時間まで残ってるんですよ』
たづな『……はい』
『……』
たづな『……』
『たづなさんは上がっていただいて結構ですよ、こんな時間ですし……』
たづな『いいえ、チームポリマの運営責任者として私も一緒に考えます♪』
『なんか……運営責任者の肩書、都合よく使ってません?』
たづな『そ、そんなことはありません』
『はは……ありがとうございます』
たづな『はい……お茶でも入れますね』ガタッ……ピッ
たづなが立ち上がった拍子に机にぶつかり、床に落ちたリモコンの電源ボタンが押される
たづな『あら、いけない』
TV【……HERO IS COMING.「レース、観に行こうよ。」……URA】
『URAのコマーシャルかぁ……』
たづな『春の天皇賞、凄い注目度ですよ』
『春天の……CM……』
……ザザッ……記憶が呼び戻される……
93年、天皇賞(春)
極限まで削ぎ落した体に、鬼が宿る
王者メジロマックイーンの三連覇を阻んだ、漆黒のステイヤー
ヒールか、ヒーローか
悪夢か、奇跡か
その馬の名は ライスシャワー
次の伝説をみよ
───────────
たづな『……片桐トレーナー?』
『……極限まで削ぎ落とす……』
たづな『……トレーナーさん?』
『……思い出せ……思い出せ……』
たづな(うふふ……なにか思いつきそうなんですね)
『!』
片桐は元いた世界で読んだ、的場騎手と飯塚調教師の回顧を思い出した
日経賞を制し、すでに好調だったライスを、陣営はさらに厳しく追い込んだ
【マックイーンに勝つための調教】
的場騎手は、ライスの気力が満ちている今なら、その負荷にも耐えられると判断していたという
その追い込みを経たライスは、身体だけでなく、まとっている〝気迫〟まで変わっていた
近づくだけで恐ろしく、怒らせれば指や足を食いちぎられかねない
普段は穏やかなライスが、的場騎手には別の生き物にさえ思えたという
天皇賞・春の当日、飯塚調教師が初めて勝利を確信したのも、
ライスの内側から溢れる、その〝気力と迫力〟を目にした時だった
『……気迫……そのために極限まで削ぎ落とす……』
『なにかを足すんじゃなく……削ぎ落とす……』
たづな『なにか思いつきましたか?』
『はい!』
『ライスと二人で合宿をしようと思います!』
たづな『二人で……?合宿……』
『はい、誰にも邪魔されない……できれば街から離れた場所で』
たづな『街から離れた……それならちょうどいい場所がありますよ♪』
『本当ですかッ!?』
たづな『ええ、以前は学園の研修施設だったんですが……最近、新しい施設ができたので、今は使われていないんですよ』
『使わせてもらえませんか!?』
たづな『ええ、それは大丈夫だと思いますけど……』
たづな『本当にお二人で合宿されるおつもりですか?』
『ええ、集中するために』
たづな『でしたら、チームから身の回りのお世話……例えばお食事の用意をしてくれる方などをお連れした方が……』
『いえ、普段と環境を変えたいんです、それに……ポリマのメンバーを同行させると、甘えが出るかもしれませんし……』
たづな『そうですか……そこまで追い込むおつもりなんですね……でしたら』
たづな『チーム以外の方なら良いのではないですか?』
『え?まぁ……そんな娘がいるんであれば……助かりますが』
たづな『うふふ、では私にお任せください♪』
『すいません、突然のお願いになってしまい……諸々よろしくお願いします』
たづな『はい、施設の場所など詳細はまた明日ご連絡しますね』
『はい!』
◇◇◇
翌日 昼休み トレーナー室
コンコンコン……
『どうぞ』
ガラガラ……
ライス『お兄さま、お話って……?』
『ああ……ライス、春天の直前まで、俺と合宿に行かないか?』
ライス『合宿……?』
『学園を離れて、マックイーンに勝つためのトレーニングに集中する』
ライス『……大阪杯、すごかったね』
『ああ……日経賞のライスも、いい走りだったし、今の調子だって悪くない』
ライス『でも……あのマックイーンさんには、まだ届かない……よね?』
『……ライスも、そう思ったか』
ライス『うん……最後まで、誰も追いつけなかった……』
『そのマックイーンが、いちばん得意な3200mで待ってる』
ライス『……』
『だから、今までと同じトレーニングでは足りない』
ライス『……どんなことをするの?』
『徹底的に走り込む……もう走れないと思うところから、さらに走ることになる』
ライス『……さらに』
『身体の状態は俺が見極める……そのうえで、ライスを限界まで追い込む』
ライス『……』
『苦しいから、つらいからって、そこで終わりにはしない……今までの合宿とは別物だ……地獄みたいなトレーニングになる』
ライス『……ライス、やる』
『ライス……簡単に決めなくていい……怖くないのか?』
ライス『怖いよ……』
『……』
ライス『でも、このまま走って負けたら……もっとできたのにって、きっと思う』
ライス『そんなふうに、春の天皇賞を終わりたくない』
『……ああ』
ライス『マックイーンさんが強いのは、ライスもわかってる!でも……強いからって、負けたくない!』
ライス『ライスがいちばん前でゴールしたい!マックイーンさんに……勝ちたいッ!』
ライス『ライスが……本当のライスシャワーになるために!!』
『……わかった』
ライス『だから、お願い、お兄さま!ライスを……マックイーンさんに勝てるようにして!』
『ああ!俺も、ライスと勝ちたい!』
ライス『……うん!』
『ライスを追い込むのは俺だ……苦しそうな姿を見て、俺が先に折れるわけにはいかない』
『俺も最後までやる!ライスから目を逸らさない』
片桐が差し出した手を、ライスが強く握り返す
ライス『合宿、行く!ライス、やりきるから!』
『ああ……勝ちに行こう、ライス』
ライス『うん!お兄さま!』
・・・・・・
放課後 ポリマ部室
スズカ『ライスちゃんと二人で合宿……ですか?』
『ああ……打倒マックイーンのための、極秘合宿だ』
スズカ『二人っきりで?……むぅ』プクゥ
ライス『……』
マリ『うちも行くぅー!!』
『来んでいい!ポリマのメンバーは誰も連れていかんわッ!』
マリ『なんでよぉー!合宿行きたいぃぃぃッ!』
トラン『ふぅ~ん……二人きりで極秘合宿ねぇ~……』
『トランさん?……言い方がちょっと、アレなのでは?』
スズカ『……トレーナー見習いには、相談も無いんですね……むぅ』プクゥ
『いや、 昨日決めて、春天ももう近くて時間なくってさ……』
スズカ『……そうですかッ!』プイッ
エク『みなさん、落ち着いてください……マンツーマントレーニングで集中したい、ということですよね?』
『そうそう…… 簡単に言えばそんな感じ』
スズカ『……むぅ』プクゥ
マリ『うちも行きたいぃぃー!』
トラン『……“二人で極秘合宿”で、検索っと……』
『そこッ!変なワードで検索しない!』
エク『どのくらいの期間ですか?』
『うん、春天の2日前までだから……約3週間くらいか』
スズカ『3週間ッ!?』
ライス『……』
エク『スズカさん、落ち着いてください』
スズカ『落ち着いていますッ!!』
一同『えぇぇ~……』
スズカ『……フンッ!』プイッ
ガチャッ
たづな『こんにちは、随分にぎやかですね』
???『失礼します……』
一同『!』
たづな『ご紹介しますね……今回ライスさんの合宿のお手伝いをしてくださる……』
カフェ『マンハッタンカフェです……』
『カフェ……!』
カフェ『ご無沙汰しています、トレーナーさん……』
『そっか、カフェが……よろしくな』
カフェ『はい……こちらこそ、よろしくお願いします……』
スズカ『ポリマ以外の人ならいいんですねッ!?』
カフェ『……え?』
『スズカさぁ~ん……』
スズカ『……フンッ』プイッ
『……ぅぅ』
トラン『……だめだこりゃ』
◇◇◇
翌日 トレセン学園 旧研修センター
ライス『ここが……今は使われてない、旧研修センター……』
『うん、めっちゃ山奥だな、これなら誰にも邪魔されずに集中できそうだ』
カフェ『思ったより綺麗で良かったです……』
『ああ……本当にな、ボロボロの廃校みたいなところだったらどうしようかと思ったよ』
『じゃあ、とりあえず荷物を置いて、ライスはトレーニングの準備を』
ライス『はい』
『カフェは……』
カフェ『私は少し、施設の中を見て回って来ます……』
『大丈夫か?……一人で?』
カフェ『?』
『いや、見た目は綺麗でも今は使われていない施設って……なんか怖くないか?』
カフェ『ふふ……大丈夫です、一人じゃありませんから……』
『!』
ライス『?』
『そっか……そうだったな、でも、しばらく使われてなかったんだ、気を付けて行くように』
カフェ『……はい』
・・・・・・
旧研修センター グラウンド
ライス『お待たせ!お兄さま!』
『うん、準備できたな』
ライス『はい!わぁ……しっかりとしたグラウンドがあるんだね』
『ああ、さすがに学園みたいなコースはないけどな、そもそも人用の研修施設だったみたいだし』
ライス『そうなんだ……』
ライス『それで……どんなトレーニングをするの?』
『トレーニングを始める前に今回の合宿の意味を知っておいて欲しい』
ライス『……合宿の意味……?』
『今まで、勝つためにいろんなトレーニングをしてきた』
ライス『うん』
『ブルボンに勝つための、ついていくトレーニング……』
『菊花賞3000mを走り切るためのリレートレーニング……』
ライス『うん』
『勝つために試行錯誤し、いわばいろんなものを足してきたんだ』
『けど、今回の合宿では無駄なものは全て削ぎ落とす』
ライス『!』
『小手先の作戦やトレーニングでは、マックイーンには勝てない……』
『今まで積み上げてきた作戦もトレーニングも身体も、極限まで削ぎ落として鋭く研ぐ』
『武器になるくらいに……』
ライス『……武器』
『そのために俺は……鬼トレーナーになる!』くわッ!
ライス『鬼……トレーナー……?』
『そう!ライスの限界を超えた先にある……鬼ライスにするために!』
ライス『ライスがッ!?……お、鬼?ライス……?』
『鬼トレーナー!……鬼ライス!』
ライス『ライスが……鬼に……』
『すまん!ライス!』
ライス『えッ!?』
『優しいお兄さまはこの合宿中は封印だ……ライスが辛くても……追い込む!』
『ただし!ケガは絶対にさせない!』
『……信じてついてきてくれるか?』
ライス『お兄さま……』
ライス『うん!ライスがんばるッ!』
『よし!まずは走り込みからだッ!』
ライス『はい!』タッタッタッ……
勢いよく駆けていくライスを見つめる片桐
カフェ『……トレーナーさん』
『カフェ……どうだった?中は』
カフェ『はい、電気、ガス、水道……全て使えるようになっていました……』
『さすがはたづなさんだな、仕事が確実だ』
カフェ『悪さをするような、悪い子も見当たりませんでした……』
『え?』
カフェ『それと……しっかりとした厨房もありましたので……お食事も普通に出来るかと……』
(いやいやいや! その前!めっちゃ気になること言うてへんかった?)
『そ、そっか!それは助かるな、過酷なトレーニングになるからせめて食事はしっかりしたものをって思っていたんだ』
カフェ『私の料理でどこまでご満足頂けるかは、分かりませんが……』
『はは……食事までのお楽しみだな』
カフェ『……』
走り込みをしているライスシャワーを見つめるカフェと片桐
『カフェ』
カフェ『はい』
『どうして合宿に付き合ってくれたんだ?』
カフェ『……実は……少し体調を崩していまして……トレーニングができないんです……』
『え!?大丈夫なのかッ!?』
カフェ『普通に生活する分には問題ありません……』
『じーーーーッ……』
カフェ『……トレーナーさん?』
『!』
『……足の……爪か?それも両足……』
カフェ『!』
カフェ『……どうして?……わかったんですか?』
『ふぇ? ああ!……えっとぉ……なんとなく?』
カフェ『……やっぱり』
『え?』
カフェ『お友だちの言った通り……不思議な人ですね……』
『はは……お友だちがね、なるほど』
カフェ『……なんで?』
『ん?』
カフェ『なんで、そんなに簡単に信じるんですか?お友だちの事……』
『え?』
カフェ『普通の方は、お友だちの存在を私の幻覚かなにかだと思っているのに……』
『だって……そこにいるだろ?今』
カフェ『!』
カフェ『見えるんですかッ!?』
『いやいやいや、 見えはしないよ!ただ、なんとなく……気配を感じる程度?』
カフェ『それで……あんなに勧めていたのね……』
『え?なに?』
カフェ『いえ、以前からお友だちが片桐トレーナーの事を気にしていまして……』
『ああ、前もそんなこと言ってたな……』
カフェ『はい、たづなさんから今回のお話を伺った時も、この子がしきりに勧めてきまして……』
『それで、付き合ってくれることになったんだな』
カフェ『はい、私も片桐トレーナーさんには興味があったので……』
『へ?』
カフェ『じーっ……』
『……』
『ライスー!ファイトぉー!!』
・・・・・・
トレーニング後 旧研修センター 食堂
カフェ『お待たせしました……』
ライス・片桐『カツ丼ッ!?』✨
カフェ『初日ですし……ゲン担ぎにもなると思いまして、カツ丼にしてみました……』
ライス『おいしそう!……いただきますッ!』
(これが……噂に聞いた……喫茶まんはったんの一番人気メニューのカツ丼!!)※妄想です
『……ゴクッ……いただきます』
ライス『ん~っ……❤おいしいっ!カフェさん!すごくおいしいよっ!』
『……な、なんだこれはッ!?カツの衣は香ばしく、肉は驚くほど柔らかい!そこに甘辛い出汁をたっぷり吸った、ふわっふわの卵が絡んで……ッ!そして、この絶妙な炊き加減の白飯!すべてが口の中で一つになる、この一体感ッ!!……カフェ!これ、店出せるぞ!』
カフェ『お口に合ったのならよかったです……』
ライス『……カフェさん、あのぉ……』
カフェ『はい、おかわりですね……今お持ちします……』
ライス『わぁ~い……ありがとう!カフェさん!』
カフェ『いえ、たづなさんからライスさんはたくさん召し上がる方だと聞いていましたので……』
ライス『えへへ……////』
『あ!そう言えば……食材費渡してなかったよな?』
カフェ『いえ、そちらもたづなさんから頂いていますので……』
『あ……そうですか、 さすがたづなさん……』
カフェ『お待たせしました、ライスさん……』
ライス『ありがとう、カフェさん♪』
『しかし本当においしいな……もぐもぐ……』
ライス『うん!ライス、今回の合宿ちょっと不安だったけど……』
ライス『こんなにおいしいご飯が食べられるなら……がんばれる!』
『ああ、ホントカフェが来てくれてよかったよ』
ライス『うん、カフェさんで本当に良かった!』✨
カフェ『そ、そんな大したものでは、ないです……////』
・・・・・・
夜 旧研修センターの一室
カフェ『今夜はこちらで休みましょう……少しですがお掃除もしておきました……』
ライス『何から何まで本当にありがとう、カフェさん♪』
カフェ『大したことはしていません……』
ライス『ううん、ライスとっても助かってるよ?』
カフェ『……そうですか』
ライス『うん♪……そいえば、お兄さま……一人で大丈夫かなぁ?』
───────────
『担当と一緒の部屋では眠れません!』
『ワシは隣の部屋で休ませてもらいます!』
───────────
カフェ『大丈夫だと思います……お友だちも気にかけてるみたいですし……』
ライス『……お友だち?』
カフェ『……』
ライス『……』
カフェ『ライスさんは……なぜ走るのですか?』
ライス『え!? ……えっとぉ……ライスね、目標があるの』
ライス『ライスのレースを見てくれた人が、みんなしあわせになってくれるように……』
ライス『ライスの名前のように……みんなを祝福できるように……』
カフェ『……すばらしい目標ですね』
ライス『えへへ……ありがとう』
ライス『カフェさんは……どうして?』
カフェ『……追いつきたい人がいるんです……』
ライス『……?カフェさんのライバル?』
カフェ『いえ、ライバルではありません……』
ライス『??……目標の……人?』
カフェ『……はい、たぶん……そうだと思います』
ライス『???』
カフェ『いつもずっと、私の前を走っていて……追いつけない……』
カフェ『けど、ずっと待っているような気がするんです……私が追いつくのを……』
ライス『そっか、だから走るんだね』
カフェ『はい……』
ライス『いつか追いつけるといいね、その人に……』
カフェ『今はライスさんの方が頑張るときです……』
ライス『うん ライス、がんばるね、カフェさんにお手伝いしてもらった分も!』
カフェ『私のことは気にしなくていいです……好きでしているだけなので……』
ライス『えへへ……うん、ありがとう』
カフェ『もう休みましょう……明日からが本格的なトレーニングだと、トレーナーさんもおっしゃっていましたし……』
ライス『うん、おやすみカフェさん』
カフェ『おやすみなさい……』
・・・・・・
旧研修センター ライス・カフェの隣の部屋
『……ぅぅ~』ガクガク……ぶるぶる……
布団にくるまっている片桐
カタカタカタ……(物音)
(おる!絶対なんかおる!めっちゃ物音してる!)ガクガク……ぶるぶる……
???『ふふ……』
(ほらっ!ほらっ!なんか言うてるし!)ガクガク……ぶるぶる……
ガタッ!……バタンッ!
(ずっと音してるぅぅぅぅッ!)ガクガク……ぶるぶる……
???『じーっ……』
(やだぁぁぁぁーッ!めっちゃ視線感じるぅぅぅッ!)
・・・・・・
ライス・カフェの部屋
カフェ(そういえば……お友だち……どこに行ったのでしょうか……?)
・・・・・・
片桐の部屋
(怖いようぉぉぉ~……)ガクガク……ぶるぶる……
タッタッタッ……←お友だち
(近づいてきてるッ!?)ガクガク……ぶるぶる……
お友だち『じーっ……』←片桐のことを気にかけている
(見てる!絶対見てる!助けてぇぇぇぇ~……!)ガクガク……ぶるぶる……
お友だち『ふふ……』
(いやぁぁぁぁぁぁぁ~……)
◇◇◇
翌日 旧研修センター 食堂
『……おはよう、カフェ』
カフェ『おはようございます……トレーナーさん、よく眠れまs……?』
『ああ、めっちゃジュクスイだったよ……』
カフェ『トレーナーさん……目の下……凄いクマです』
『あれ? そ、そんなはずはッ!』
(ええ歳したおっさんが「お化けが怖くて眠れませんでした」とは言えんやろ……)
『ラ、ライスはまだ寝てるのか?』
カフェ『はい、まだ早いので……』
『そうだな、朝食の時間までにはまだあるからな』
コトッ
『ん?』
カフェ『眠気覚ましのコーヒーです……』
『ありがとう』
『ゴクッ……んッ!?……あぁぁ~……おいしい』✨
カフェ『ふふ……コーヒーには少しこだわりがあるので……よかったです』
『料理はおいしいし、こんなおいしいコーヒーも淹れられるし……カフェはいいお嫁さんになるな♪』
カフェ『……え?』
『こんなおいしいコーヒーなら、毎朝飲みたいよ♪』
カフェ『え?毎朝……?え!?……////』
『ん?どうかした?』
カフェ『い、いえ……なんでもありません……//』
ライス『おはようござい……ふぁぁ~……ングッ!』
『はは……おはよう、ライス、よく眠れたみたいだな』
ライス『う、うん、おはよう、お兄さま……カフェさんも……?』
カフェ『お、おはようございます……////』
ライス『あれ?カフェさん、お顔が赤いよ?体調わるい?』
カフェ『いえ!……なんでもありません……』
ライス『それにしても、いいにおい……これってもしかして、パン!?』
カフェ『はい、昨夜のうちに生地を作って寝かしておいたんです……』
ライス『カフェさんの手作り?』
カフェ『はい……』
ライス『すごいね!楽しみ♪』
カフェ『……お口に合えばいいのですが……』
『ライスは朝はパン派だもんな』
ライス『うん!……あれ?お兄さまに話したことあったっけ?』
『……あ』
ライス『?』
『いや、その、あったんじゃないかなぁ~……?あはは……』
(あかん!現実世界の情報で知りました、とは言えん!)
ライス『そうだっけかなぁ~……?』
『んーッ……』
カフェ『お待たせしました……パンが焼きあがりましたので、朝食にしましょう……』
ライス『やったぁー!』
(カフェ!ナイスタイミングッ!!)
カフェ『?』
・・・・・・
夕方 旧研修センター グラウンド
ライス『はあ、はあ、はあ、はあ、……』
タッタッタッ……
『じーーーーっ……』
カフェ『……』
ライス『はあ、はあ、はあ、はあ、……』
タッタッタッ……ガッ!
ライス『ひゃあッ!』ガクッ
足がもつれ転びそうになるライス
カフェ『ライスさん!』
思わず足を止めるライス
ライス『はあ!はあ!はあ!はあ!……』
『止まるなッ!ライスッ!!』
ライス『は、はい!』
タッタッタッ……
カフェ『トレーナーさん……もう、止めるべきです……』
『じーーーーっ……』
カフェ『朝から水分補給以外の休憩もなく、走りっぱなしではライスさんが倒れてしまいます!』
『じーーーーっ……』ぐっ……
カフェ『トレーナーs……ッ!?』
『じーーーーっ……』ぐっ……
カフェ(トレーナーさん……あんなに歯を食いしばって……何を……)
カフェ『!!』
カフェ『トレーナーさん!その手……』
『じーーーーっ……』ぐっ……
片桐が強く握りしめた拳の隙間から、わずかに血が滴っていた
カフェ『トレーナーさん!力を抜いてください!このままではライスさんもトレーナーさんも本当に倒れてしまいます!』
『止めないでくれ……』
カフェ『!』
ライスから一切視線を外さずに答える片桐
『頼む……止めないでくれ……』
カフェ『……トレーナーさん……』
『じーーーーっ……』ぐっ……
カフェ『……』
カフェ『……終わったらしっかり手当をします……』
『……ああ……ありがとう』
ライス『はあ!はあ!はあ!はあ!……』
ライスの荒い息遣いと、足音だけがグラウンドに響き続ける
・・・・・・
アラーム【ピピピッ……ピピピッ……】
『!』ダッ……
終了のアラームと同時にライスに向かい走り出す片桐
タッタッタッ……
ライス『はあ!はあ!はあ!はあ!……』ふら……
ガシッ
『……終了だ……よくがんばったな、ライス……』
ライス『はあ……はあ……はあ……』
『……』なでなで……
ライス『はぁ……はぁ……えへへ……』
『ん?……どうした?』
ライス『はぁ……はぁ……お兄さま……はぁ……鬼トレーナーになるんじゃなかったの?』
『え?』
ライス『はぁ……こんなに優しくされたら……はぁ、はぁ、いつもの優しいお兄さま……だよ?』
『え!?あ!えっと……これは……』
ライス『えへへ……はぁ……はぁ……』
『……歩けそうか?』
ライス『うん、大丈夫……お兄さまから元気もらったから』ニコッ✨
『そうか……』
(ヤダ!可愛い❤……鬼トレーナーになれる自信無くなりそう……)
ー2章ー015話 鬼になる覚悟――BLAZE 完
第2章第15話「鬼になる覚悟――BLAZE」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「鬼トレーナーになる!」と宣言した片桐ですが、ライスの笑顔にはやっぱり弱いですねw
カフェのご飯は頼もしいものの、夜は別の意味で眠れない合宿になりました(笑)
次回、第2章第16話。
11月4日(水)19:00公開予定です。
【KUROXの
対象話:第2章第14話・第15話
11月2日(月)07:00公開予定です(暫定)。
【X】
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【note記事 KUROXの
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