【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う 作:KUROX
トレセン学園 トレーニングコース
『もぐもぐ……もぐもぐ……』
(満!満!満腹!♪一本満腹!♪)脳内BGM
『もぐもぐ……ほへじゃあ……はじめほうか?』
スズカ『……トレーナーさんお行儀が悪いですよ……』
『ごくっ!……ごめんなさい……』
スズカ『後でしっかりしたご飯食べてくださいね』
『留意します』ぺこっ
スズカ『それじゃあ、行ってきます』駆けだすスズカ
『ゴクゴク……んッ!!?』腰に手を当てて牛乳飲んでる
『ぷはっ……スズカッ!!』
スズカ『はい?』立ち止まる
『くれぐれも流す程度だぞ!全力疾走はダメぇーだからな!』腕でバツ印ジェスチャー
スズカ『はい!トレーナーさん!』
(まったく走り出したらすぐやな……)
(……にしても……)辺りを見渡す
ウマ娘C『ねぇねぇ……あの人でしょ?噂の……』ヒソヒソ
ウマ娘D『え?噂のアイドルトレーナー!?』ヒソヒソ
ウマ娘E『え?どれどれ?どの人?』ヒソヒソ
中堅トレ『……』チラチラッ
ベテラントレ『じーーっ……』ガン見
(うん、ガン見はやめてね)
『もぐもぐ……もぐもぐ……』
(しっかし……昨日の今日でここまで噂って広まるもんかねぇ~……)
『もぐもぐ……もぐもぐ……』
(誰か吹聴して回ってたりしないやろな~~)
『ゴクッ……ゴクゴクッ……』
脳内理事長『天晴ッ!!』
『ぶほぅぉあっ!!』牛乳吹き出した
『……』ポタポタ……
(いやいや……まさか……ね)おくちふきふき……
ウマ娘A『あのぉ~……片桐トレーナー……ですよね?』
『サインなら事務所を通してくれよ……』キリッ✨
ウマ娘A『……はい?』
『いやいや!冗談で……!あれ?君は……この間の?』
ウマ娘B『はい!先日お話しさせて頂いた者です!』
(あぁ、外周に出てるスズカの事教えてくれた娘や……)※2話参照やでぇ
『この間はありがとね、おかげでスズカのこと見つけられたよ』
『で?どうしたの?何か用かな?』
(めっちゃ陰キャっぽいおじさんに何の御用ですかぁ?)←根に持ってる
ウマ娘A『私たちまだまだデビューは先だと思うんですけど……』
ウマ娘B『デビュー前に片桐“名”トレーナーに走りを見てもらいたくて!』
『たはは……名トレーナーはやめてくれ、今は復帰したてのブランクトレーナーだよ』
(“陰キャ”トレーナーならおりますけどねぇ~)←めっちゃ根に持ってる
ウマ娘A『そこをなんとか……』
ウマ娘B『お願いします!』
『ごめんな、今はスズカのトレーニング中だから……』
『また機会があったら話そう?』
(陰キャオタク得意の高速オタク説明で話しましょかぁ~?)←器がちっさい
ウマ娘A『ぜひ!お願いします!』
ウマ娘B『トレーニング中に失礼しました!』
ウマ娘A『しました!』
走っていく二人……
ウマ娘A『これワンチャンあるくね?』
ウマ娘B『今トレーナー不足だしね』
ウマ娘A『しかも、あのアイドルトレーナー!』
ウマ娘B『やばっ!超激アツじゃん!』
キャッキャ……キャッキャ……!
『……相変わらず……声デカいなあの二人……』
(肩書きと過去の栄光か……)
(現実世界でも……こっちの世界でも……影響力デカいな~)
(……積み上げたら……積み上げただけ……壊れた時の反動もデカいねんけどな……)
(……お前もそうやったんちゃうか?……“過去のワシ”……)
『……なんだかなぁ~……』
周囲(ヒソヒソ・チラチラ・じーっ……)
『……スズカの近く行こ……』
・・・・・・
ピピピッ……
『お?時間だな……』
『スズカー!そろそろダウンして上がろう!』
スズカ『……ハーイ‼』遠くから返事する
・・・・・・
『おつかれさん!ほい、タオルとドリンク』
スズカ『ありがとうございます、トレーナーさん』ごくごく
『今日もいい走りでした』
スズカ『……流してただけですよ?』
『スズカが“楽しそうに走る”のがいい走りなんです!』
スズカ『ふふっ……トレーナーさんらしい、言い方ですね』
『じゃあ、一旦トレーナー室戻ろうか?』
スズカ『はい』
・・・・・・
トレーナー室
『え~っと……1セット目がぁ~……』トレーナーデスクでPCに今日の記録を入力中
チラッ
【交換日記★】を書いているスズカ
『……ニヤァァァァ』
(めっちゃ書いてくれてるぅぅぅぅぅぅ~~~~♪スズカ帰ったら速攻読もう!速攻読んでお返し書こう!んでコピー取って額縁入れて……自宅に飾っちゃう?飾っちゃう?……え?それはやりすぎ?……)
スズカ『……これで……ヨシ♪』ガタッ
(いやいや!初めての交換日記★初日記念やで?そのくらいはやりすぎちゃうやろ~……あぁ~けどこれから毎日増えてくと思うと、ワシの狭い部屋じゃすぐ壁一面交換日記★だらけになっちゃうかぁ~……)
スズカ『……トレーナーさん?』
(え?壁一面スズカとの交換日記★だらけ?え?ええ!?それなんのご褒美ですか?あ?逆に〇す気ですか?ワシを萌え死にさせる気ですか?そんな事ワシ自らにさせる気ですかぁぁぁ~くぅぅぅ~……)
スズカ『トレーナーさんっ!』
『ハッ!?……はい!』
スズカ『気持ち悪い顔してどうしたんですか?』どストレート
(ぐぼはぁっ……トレーニング初日にして……担当に気持ち悪い言われた…… )
スズカ『どこか具合悪いんですか?吐きそうですか?』
(セーーフッ!そっちの気持ち悪い顔やったぁ~……)
『いや……ちょっと胸やけしただけで大丈夫』
スズカ『1日近くも何も食べてなかったからです!』ムッ
『……以後……気を付けます』
スズカ『トレーナーさん』
『はいな!スズカさん』
スズカ『次のレースは、どうしますか?』
『つ……次のレース……!!!』
スズカ『……じーっ』
(アッカァーーーン!まったく!なんにも!これっぽっちも!考えて無かったぁ!!)
(トレーナーのワシ、出走ローテーションとか考えて、出走登録手続きとかせなアカンよな!?)
(自分の勉強だけですっかり頭から抜けてたわっ!)
『う、うん!ちゃんと考えとく!』
スズカ『よろしくお願いします』
スズカ『……トレーナーさんはまだお仕事ですか?』
『うん……まだ、整理したいことあるし……もうちょっとかかるかな?』
(次走のこととか……交換日記★とか……交換日記★とか……交換日記★とか?)
スズカ『それじゃあ、お先に失礼しますね』
『はい、おつかれさま~』
スズカ『お疲れさまでした』ぺこ
ガラガラ……バタン
『……』
ドアをチラッ
ビュンっ!!
がばっ!
【スズカ&片桐トレの交換日記★ノート】
(……はあぁぁぁぁぁぁ~~~~~……)
◇◇◇
翌日 トレセン学園登校時間 正門前広場・・・の木陰
(テテッテテレッテーー♪テーテーテー♪)脳内BGM デ〇ル〇ン
(タターン♪タターン♪タターン♪タラララランっ♪)脳内BGM
(ッテ、テ、テテッテ、テッテ♪ッテッテ、テレッテ♪タラララランっ♪)脳内BGM
(ッテ、テテテッテ、テッテ♪ッテッテ、テレッテ♪)脳内BGM
(あれは~誰だっ?♪誰だっ?♪誰だ!?♪)脳内BGM
(あれは~カタギリ♪カタギリトレ~♪カタギリッ♪トレぇ~♪)脳内BGM
(いや、語呂わるっ!)←交換日記★効果で【テンションアップ中】
(ふふふ……先日は黄金世代に見事にトドメを刺されたワシやが……)
(今日のワシは一味違う!今日こそ、ウマ娘耐性ミッションコンプリートしてみせるっ……!!)
???『おやおやこれはこれは……片桐トレーナーではないかね?』
(って、早速バレテーーーーーーラッ!!)
(誰や!ワシのカモフラ装備(サングラス&マスク)を突破してくんのは!!)
『アグネスタキオンッ!?』
タキオン『ほお、私のことを知っているとは光栄だねぇ~』cv.上坂すみれ
タキオン『さすがは“あの”アイドルトレーナーと言ったところかな?』
(めっちゃ知られてるぅ~さすがはアグネスタキオン……)
『な……何か……用かな……?』サングラスとマスク外す
タキオン『な~に大したことではないのだが……』
タキオン『病気休養明けの名トレーナーくんがお疲れじゃないかと思ってね』
(く……くるっ!!)
タキオン『私特製【滋養強壮栄養ドリンク】をプレゼントしようと思って!』
(ハイ!キターーーーッ!!)
タキオン『まぁ、お近づきの印だと思ってくれたまえ』
『あ……ありがとう……』
???『……飲んではいけません……』
『!?』
タキオン『おやおやカフェくん、私と片桐トレーナーとのお近づきの印を……飲むな、と?』
マンハッタンカフェ『……タキオンさん初対面の方に……毎回変な薬を配るのは……やめた方がいいですよ……』cv.小倉唯
(マンハッタンカフェ……キターー!黒髪ストレートめっちゃイイッ!!)
タキオン『変な薬とは、随分な言い草じゃあないかね?』
カフェ『……トレーナーさん、その薬をこちらへ……処分しておきます……』
『じーーっ……』タキオンに貰った茶色い小瓶を見つめる
(ごくっ……飲みたい……)
(飲みたい……飲みたい……飲みたい……)
カフェ『……トレーナーさん?』
タキオン(ほう……実に興味深い反応だ……)
『……』キュッ……フタを開けようとする
カフェ『……いけません!』
タキオン『いいぞぉ!そぉーこなくてはっ♪』
・・・
登校してくる二人のウマ娘
???『ねぇねぇ、ポッケちゃん、あれってタキオンちゃんたちじゃない?』
???『あぁん?何やってんだあいつら?』
・・・
タキオン『あっはっはっはっ!!実に見込みがあるじゃぁないかね!』
カフェ『……やめておいた方が……』
???『なんだぁ?この集まり』
(はっ!!?……ジャングルポケット!!)
ジャングルポケット『朝っぱらからなにやってんだ?おまえら?』cv.藤本侑里
???『みなさん、おはようございます♪』
(と、ダンツフレーム!!)
ダンツフレーム『わあ、なんか賑やかだね♪』cv.福嶋晴菜
タキオン『おや、ポッケくんにダンツくんじゃないか』
カフェ『……ポッケさん……ダンツさんも……手伝ってください』
ポッケ『ん-?誰だこのオッサン?』
(……あ……開いた……)パカッ……←フタ
カフェ『……このトレーナーさんが……タキオンさんの薬を……』
タキオン『あっはっはっ!!自ら飲もうとするとは実に見込みがあるじゃぁないかねっ♪』
ダンツ『えぇっ!!』
ポッケ『ゲッ!……マジかよ!?お前!?悪いことは言わないから……やめとけっ!!』
(新時代の扉開いたぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!!)
ゴクゴクッ……!ゴクゴクっ……!
一同『!?』
ポッケ『……マジかよ……』
タキオン『そうこなくてはねぇ♪』
カフェ『……』
ダンツ『だ、大丈夫なんでしょうか……?』
『ぷはぁーっ』
一同『……』
『あ……勢いで飲んじゃった……』
『!?』
『ぐっ……ぐぁぁぁぁ~!!』
カフェ『……トレーナーさん!?』
ダンツ『大丈夫ですか!?』
ポッケ『おい!タキオン!このオッサンに何飲ませやがった!?』
タキオン『んー……人体に有害なものは入れていないはずだがねぇ』
ポッケ『入れてない“はず”って、オッサン苦しんでるじゃねーか!?』
『ぐ……ぅ……』
『マ、マズイ、そして苦い……』
一同『……』
カフェ『……それだけですか?……』
『ん?あとは……特には……?』
ダンツ『なぁんだ……心配しちゃったね』
ポッケ『……まったく……人騒がせな、オッサンだな』
タキオン(……反応なしか……見込み違いだったか)
ポッケ『ダンツ、教室行こうぜ、タキオンもほどほどに……ッ!?』
パァーーーーーーーーーーーッ・・・
ダンツ『わぁ……』
カフェ『……だから言ったのに……』
タキオン『あっはっはっ!実にいい反応だっ♪』
ポッケ『光ってんじゃねぇかぁぁぁーーっ!!』
パァーーーーーーーーーーーッ・・・
(あ、これもうウマ娘耐性ミッション続行不能じゃね?)
パァーーーーーーーーーーーッ・・・
(これ目立ちすぎじゃね?)
パァーーーーーーーーーーーッ・・・
【ウマ娘耐性ミッション2日目……ミッション失敗!!】
・・・
カフェ『……!?……』
カフェ『え?……どうしたの?……あのトレーナーさんが?……』
◇◇◇
トレセン学園授業中 トレーナー室
うず高く積まれた専門書で埋まるトレーナーデスクのPCにデータを打ち込みながら
(今日も今日とてトレーナー勉強に勤しむワシ)
(元々未知の知識には興味津々だったワシ……雑学とか中心やけどな……)
(大好きなウマ娘・競馬のまだ知らぬ知識に触れ、さらにその知識欲は高まってる)
(最初はトレーナーの知識量にドン引きしていたけど、今は意外な程苦になってないなぁ)
『もぐもぐ……ふ~ん……おもろっ♪』一本満腹食べながら
コンコン……
『はい?』
六平『邪魔するぞ……』
『ろっぺいさん!また、来てくれたんすか?』
六平『むさかだ!』
六平『ちょうど出走登録の手続きやらで、早く出てくる用事があったからな、ついでだ……ついで』
『ふふっ……あざっす♪』
六平『へっ、ああ言った手前、まったく放っておくわけにもいかねぇしな……?』
『?』
六平『……片桐……』
『はい?』
六平『なんかお前……光っちゃいないか?』
(まだ残ってたぁー!)
『気のせいじゃないっすか? 気にしないでください……ハハ』
六平『まぁ……いい、で?どうだった?スズカとの初トレは?』
『フフンッ!信頼と絆バッチリっす!』
六平『ほう、大した自信じゃねーか、昨日まではあんなにぃ……っ!?』何かを見付ける
【スズカ&片桐トレの交換日記★ノート】
六平『っ!?』
六平『……片桐よ……お前今年でいくつになる?』
『えっとぉ……今45なんで……46っすね』
六平『……お前友達少ないだろ?』
『えっ!?なんでわかったんすかっ!?さすが!六平名トレーナーの観察眼!』
六平『馬鹿もんっ!誰でもわかるわっ!』
『へ?』
六平『まったくお前ってやつは……』交換日記を手に取り中を確認する
『あ!それはっ!……いやん♡恥ずかしぃ……』
六平『やかましいっ!』
六平(……)
六平(文面は……まぁ……あれだが……担当の事をよーく見てんじゃねぇか)
六平(これなら余計な心配はいらねぇか……)パタッ
六平『いいか、片桐』
『はい』
六平『ウマ娘はいわば勝負の世界で生きる勝負師だ』
六平『だが、一皮剥けば中身はまだまだ気難しい年頃の少女そのものだ』
六平『あらぬ誤解が生まれるかもわからん、こんなもんを誰にでも見えるとこに置いとくんじゃない!』
『うっす、了解っす!』
六平『なーんか軽いんだよなぁ、お前の返事は……』
六平『ともかく、ちゃんとしまっておけよ』
『うっす』
六平『はぁ……じゃあな、俺はもう行く』
『え?もう行っちゃうんすか?』
六平『用事があるって言ってんだろ!』
ガラガラッ!バタンッ!
(ふふっ……めっちゃいい人やん)
◇◇◇
放課後・トレーナー室
コンコン……
(お!来たなぁ)
『はい』
ガラッ
スズカ『こんにちは、トレーナーさん』
『おつかれ、スズカ……』
???『……失礼するぞ』
(ッ!?)
スズカ『エアグルーヴが一度トレーナーさんに会いたいって言うから……』
グルーヴ『貴様が噂の片桐トレーナーか?』
(トレセン学園生徒会副会長……女帝!エアグルーヴ!!)
『副会長さんがどうして……こちらにぃ?』
グルーヴ『スズカは人に対して少し警戒心が足りないところがあるからな』
スズカ『そんなことないわよ』
グルーヴ『友人として一度この目で確認し……』チラッ
【スズカと片桐トレの交換日記★ノート】
グルーヴ『……んなっ!!』
『あっ……』
グルーヴ『な、なんだこれは……交換日記……だと?』
(あ……なんか嫌な予感……)
グルーヴ『こんなものでっ!スズカを誑かそうとする気かっ!?』
『いや!それは……違くて……』
グルーヴ『この……っ!たわけがぁーーーッ!!』
(はい……出会って1分で、初“たわけ”いただきましたぁぁぁぁー!)
・・・・・・
スズカ『ね?だからわかったでしょ?エアグルーヴ?』
『……』 正座させられている片桐トレ(45)
グルーヴ『つまりはトレーニング記録の拡大版みたいなもの、ということか』
『そうなんですよっ!……だから!』
グルーヴ『キッ!』睨む
『……ヒィッ』しゅん……
(女帝、圧やべぇー、めっちゃ美人なのに、めっちゃこえぇー……)
グルーヴ『まぁ、スズカがそこまで言うのなら……信じよう』
スズカ『ふふっ……ありがと♪エアグルーヴ』
『……あのぅ……もう立ってもいいですか……?』
グルーヴ『キッ』睨む
『……ヒィッ……いや、なんでもありません……』
スズカ『もう……エアグルーヴったら……ほら、立ってくださいトレーナーさん』手を差し出す
『ありがとー……スズカぁ~……』スズカの手を取り立ち上がる
『怖かったよ~……足しびれたよぉ~……』
スズカ『ふふふっ……いい大人が泣いちゃダメじゃないですか……ふふふっ♪』
『な……泣いてないもん……』
スズカ『はい、ハンカチどうぞ』
『……ありがと~……でも、泣いてないもん……』ふきふき……
スズカ『ふふふっ!わかってますよ……ふふっ♪』
グルーヴ(……あのスズカがあんなに笑って……)
グルーヴ(……そうか)
グルーヴ『まったく!私は何を見せられているんだっ!?』
『びくぅっ!!』
グルーヴ『片桐トレーナー』
『は……はいぃっ!』ビクビクッ
グルーヴ『どうやら私の誤解だったようだ、すまなかった』深々と頭を下げる
『え!?いや、別に!俺は……全然』
(やだ!なに?めっちゃ素直っ!そしてめっちゃ美人!)
スズカ『ふふっ……』
グルーヴ『スズカの事をよろしく頼む』
グルーヴ『それでは、失礼する……』
スズカ『あら?もういいのエアグルーヴ?』
グルーヴ『ああ、私もトレーニングがあるからな……』
スズカ『じゃあ、またね』
グルーヴ『ああ』
ガラガラ……バタン
『はぁぁぁぁぁあぁぁぁー……』
(ろっぺいさんの言うことちゃんと聞いとけばよかったぁぁ……)
脳内六平『ほーれ言わんこっちゃない』
(ワシ……反省……)
(っと……気を取り直して!)
『そうだ!スズカ次走のレースが決まったよ』
スズカ『本当ですか♪?』
『うん!2月14日・東京レース場・芝1800m……』
『バレンタインステークス!』
スズカ『はい!がんばります!』
『……いいの?』
スズカ『?』
スズカ『……なにがですか?』
『いや……なんでも……』
『それじゃあ……バレンタインS目指してぇ~……トレーニング開始だぁ』
『がんばるぞぉー、オー!』ガッツポーズ
スズカ『え?……あ!オ、オー……!』
『はははっ……』
スズカ『ふふふっ……』
◇◇◇
翌日 放課後 トレーニングコース
右手にタブレット!どーん
左手には綿密に組まれたトレーニングメニュー!(紙版)どーーん
そして首からストップウォッチと双眼鏡!どーん・どーん
そして目の下にはクマが……どーーーーーーーーん
片桐トレーナー!完・全・装・備!!(?)コンディション【夜ふかし気味】【片頭痛】
『………アァ』
スズカ『……トレーナーさん?』
『………ハイ』
スズカ『ちゃんと寝てます?』
『……次走決まって……気合い入れてメニュー考えてたら……』
『……夢中になって……時間忘れて……』
『気づいたら……朝でした……』
スズカ『……ムッ』
『……でもこれで、次走への準備は完璧でうっ……』
スズカ『……むすぅー』
(あれぇ?サイレンス・ハムスター・スズカ再来?可愛い~♡)
スズカ『トレーナーさん!』
『は……はい!』
(あれ?いつもよりめっちゃ声でかっ……)
スズカ『レースに出る、ウマ娘にとって一番大事な事は!?』
『……体調管理です……』
スズカ『……ムッ』
(あぁ……これは本気で怒ってるやつや……)
スズカ『では、レースに出る“ウマ娘トレーナー”にとって一番大事な事は!?』
『……ぅ……』
(言葉が……でぇへん)
スズカ『体調管理ですっ!』
スズカ『トレーナーさんが体調崩してたら、私……楽しく走れません……』
『!!』
───────────
『今日もいい走りでした』
スズカ『……流してただけですよ?』
『スズカが“楽しそうに走る”のがいい走りなんです!』
スズカ『ふふっ……トレーナーさんらしい、言い方ですね』
──────
『……』
『……ホンマ、何やってんねん、ワシは……』
スズカ『!?』
スズカ『……トレーナーさん?』
『……』
『……こんなもん!……こうやっ!!』バッ!
左手に持っていたトレーニングメニューを空高く放りなげる……
上空高く舞い上がったトレーニングメニューがばらばらと舞い落ちてくる
その光景をふたりで見ていた……
『……』
スズカ『……』
『よしっ!あぁぁぁ~!なんかめっちゃスッキリしたぁ』
スズカ『……』
スズカ『いいんですか?すごいがんばって作ったメニューなんじゃ……』
『いいんだ、あのメニューじゃスズカは“いい走り”が出来ない……』
(そうや、最近身につけた知識使いとうて作った素人の自己満足で……)
(スズカの“いい走り”が見れる訳ないやんか……それに体調管理もや……)
(素人メニューでどれだけ故障リスク回避できる?ホンマに優先しなきゃいかんのはそこやろ)
『それに……なんか俺らしくないって言うか……アハハ』
スズカ『ふふっ……そうですね、私少し寂しくなっちゃいました……』
『!?』
スズカ『トレーナーさんが“普通”のトレーナーさんみたいになっちゃった、って』
『……』
『そうだよな……俺はサイレンススズカのトレーナーだもんな……』
『普通のトレーナーにサイレンススズカのトレーナーは出来ないもんな』
スズカ『……どういうことですか?』
(あ、この娘、自分のこといたって普通の女の子思うてる“本物”タイプや……)
『スズカの走りは普通じゃないってこと』
スズカ『……?』コテン?
スズカ『あっ!?……もしかして私のフォームってどこか変ですか?』
『いや ……そうじゃなくてね……スズカさん……』
スズカ『??』コテン?
『……』
『スズカは、走るのが好きすぎるんだよ』
スズカ『……好きすぎる、ですか?』
『うん、楽しくなったら、どこまでも行こうとする』
スズカ『……そんなことは』
スズカの声マネ『ごめんなさい、私ぃ……またレース走れるんだって思ったら……ハシャいじゃって……とか』
スズカ『あ』
誇張しすぎたスズカの声マネ『トレーナーさんとのぉ~初トレーニングだと思ったらぁ~……ハリキっちゃった☆みたいで♪……ウキウキ……とか?』
スズカ『……』
スズカ『全然似てませんね……ふふっ』
『はうっ!』
(ごめんなさい……おっしゃる通りです)
スズカ『でも……ちょっと身に覚えがあります』
『ふふ……だから俺はスズカを“速く”するトレーナーじゃなくて』
『スズカを止める“ブレーキトレーナー”になろうと思う』
スズカ『……トレーナーさんなのに……速くしないで……止める……』
(そう、今のスズカはもう速い、あのろっぺいさんが“G1級”というほどや)
(けど、速いだけで勝てるほどレースは甘ない……)
(それはスズカのこれまでの戦績をみてもわかる……重賞未勝利……)
(原因は多分……スズカの走りにはまだ危うさがあるから……)
『そうだな~……例えば、スズカはブレーキのない車を運転したいと思う?』
スズカ『私まだ免許持ってないです』
『うん……知ってる……』
スズカ『ふふっ……冗談です、乗りたくありません』
(……だいぶ調子が戻ってきたな)
『そう!楽しく・気持ちよく全力で走るためには、安心して走れることが大事!』
『だから、俺がスズカのブレーキになる』
スズカ『……トレーナーさん』
スズカ『でも、そのブレーキが壊れてたら安心して走れないから……』
スズカ『やっぱり体調管理が一番大事ですね?トレーナーさん!』ニコッ✨
『ぐっはぁ!』
(特大ブーメラン頂きましたぁっ!)
『……ごめんなさい……海よりも深く反省しております……』
スズカ『ふふふっ……』
(これがワシの……“ワシたち”のやり方や……)
六平『コラーーーッ!片桐ーーーッ!!』遠くの方から
『あれ?ろっぺいさん?』
(噂をすればか?)
六平『てめぇーーっ!トレーニングコースにゴミばらまいてんじゃねぇーーッ!!!』すんごい剣幕
『……あ』 辺りに散らばったメニュー表を見回す
『やっば!!』
『す……すぐに片づけますぅーーッ!!』わたわた
スズカ『わ……私も手伝いますね』
スズカ『……ふふふっ』
『……は……ははは』
ー1章ー004話 本能スピードに安心を 完
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
第4話は、交換日記に浮かれる片桐トレーナー、アグネスタキオンの薬で光り輝く片桐トレーナー、エアグルーヴに正座させられる片桐トレーナー……
あれ? この主人公、まともな場面少なくない?
そんな片桐ですが、最後にはサイレンススズカのトレーナーとして、ひとつの答えにたどり着きました
スズカをさらに速くするのではなく、安心して全力で走れるように、自分が彼女のブレーキになる
普通じゃないウマ娘には、普通じゃないトレーナーを
ここから始まる2人の挑戦を、引き続き見守っていただけたら嬉しいです!
本作は今後、毎週日・水曜19時の週2回更新となります!
次回もよろしくお願いいたします!
そして現在、noteにて第1~3話のネタ解説・制作裏話・秘話を公開中です!
本編だけでは分からない小ネタや、各シーンに込めた作者の意図などをまとめています
こちらは作者激おすすめの記事となっておりますので、ぜひ一度読んでみてください!
▼note
https://note.com/kurox_1200