【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー1章ー004話

 

 

 

トレセン学園 トレーニングコース

 

『もぐもぐ……もぐもぐ……』

 

(満!満!満腹!♪一本満腹!♪)脳内BGM

 

『もぐもぐ……ほへじゃあ……はじめほうか?』

 

スズカ『……トレーナーさんお行儀が悪いですよ……』

 

『ごくっ!……ごめんなさい……』

 

スズカ『後でしっかりしたご飯食べてくださいね』

 

『留意します』ぺこっ

 

スズカ『それじゃあ、行ってきます』駆けだすスズカ

 

『ゴクゴク……んッ!!?』腰に手を当てて牛乳飲んでる

 

『ぷはっ……スズカッ!!』

 

スズカ『はい?』立ち止まる

 

『くれぐれも流す程度だぞ!全力疾走はダメぇーだからな!』腕でバツ印ジェスチャー

 

スズカ『はい!トレーナーさん!』

 

(まったく走り出したらすぐやな……)

 

(……にしても……)辺りを見渡す

 

ウマ娘C『ねぇねぇ……あの人でしょ?噂の……』ヒソヒソ

 

ウマ娘D『え?噂のアイドルトレーナー!?』ヒソヒソ

 

ウマ娘E『え?どれどれ?どの人?』ヒソヒソ

 

中堅トレ『……』チラチラッ

 

ベテラントレ『じーーっ……』ガン見

 

(うん、ガン見はやめてね) 

 

『もぐもぐ……もぐもぐ……』

 

(しっかし……昨日の今日でここまで噂って広まるもんかねぇ~……)

 

『もぐもぐ……もぐもぐ……』

 

(誰か吹聴して回ってたりしないやろな~~)

 

『ゴクッ……ゴクゴクッ……』

 

脳内理事長『天晴ッ!!』

 

『ぶほぅぉあっ!!』牛乳吹き出した

 

『……』ポタポタ……

 

(いやいや……まさか……ね)おくちふきふき……

 

ウマ娘A『あのぉ~……片桐トレーナー……ですよね?』

 

『サインなら事務所を通してくれよ……』キリッ✨

 

ウマ娘A『……はい?』

 

『いやいや!冗談で……!あれ?君は……この間の?』

 

ウマ娘B『はい!先日お話しさせて頂いた者です!』

 

(あぁ、外周に出てるスズカの事教えてくれた娘や……)※2話参照やでぇ

 

『この間はありがとね、おかげでスズカのこと見つけられたよ』

 

『で?どうしたの?何か用かな?』

 

(めっちゃ陰キャっぽいおじさんに何の御用ですかぁ?)←根に持ってる

 

ウマ娘A『私たちまだまだデビューは先だと思うんですけど……』

 

ウマ娘B『デビュー前に片桐“名”トレーナーに走りを見てもらいたくて!』

 

『たはは……名トレーナーはやめてくれ、今は復帰したてのブランクトレーナーだよ』

 

(“陰キャ”トレーナーならおりますけどねぇ~)←めっちゃ根に持ってる

 

ウマ娘A『そこをなんとか……』

 

ウマ娘B『お願いします!』

 

『ごめんな、今はスズカのトレーニング中だから……』

 

『また機会があったら話そう?』

 

(陰キャオタク得意の高速オタク説明で話しましょかぁ~?)←器がちっさい

 

ウマ娘A『ぜひ!お願いします!』

 

ウマ娘B『トレーニング中に失礼しました!』

 

ウマ娘A『しました!』

 

走っていく二人……

 

ウマ娘A『これワンチャンあるくね?』

 

ウマ娘B『今トレーナー不足だしね』

 

ウマ娘A『しかも、あのアイドルトレーナー!』

 

ウマ娘B『やばっ!超激アツじゃん!』

 

キャッキャ……キャッキャ……!

 

『……相変わらず……声デカいなあの二人……』 

 

(肩書きと過去の栄光か……)

 

(現実世界でも……こっちの世界でも……影響力デカいな~)

 

(……積み上げたら……積み上げただけ……壊れた時の反動もデカいねんけどな……)

 

(……お前もそうやったんちゃうか?……“過去のワシ”……)

 

『……なんだかなぁ~……』

 

周囲(ヒソヒソ・チラチラ・じーっ……)

 

『……スズカの近く行こ……』 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

ピピピッ……

 

『お?時間だな……』

 

『スズカー!そろそろダウンして上がろう!』

 

スズカ『……ハーイ‼』遠くから返事する

 

・・・・・・

 

『おつかれさん!ほい、タオルとドリンク』

 

スズカ『ありがとうございます、トレーナーさん』ごくごく

 

『今日もいい走りでした』

 

スズカ『……流してただけですよ?』

 

『スズカが“楽しそうに走る”のがいい走りなんです!』

 

スズカ『ふふっ……トレーナーさんらしい、言い方ですね』

 

『じゃあ、一旦トレーナー室戻ろうか?』

 

スズカ『はい』

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

トレーナー室

 

『え~っと……1セット目がぁ~……』トレーナーデスクでPCに今日の記録を入力中

 

チラッ

 

【交換日記★】を書いているスズカ

 

『……ニヤァァァァ』

 

(めっちゃ書いてくれてるぅぅぅぅぅぅ~~~~♪スズカ帰ったら速攻読もう!速攻読んでお返し書こう!んでコピー取って額縁入れて……自宅に飾っちゃう?飾っちゃう?……え?それはやりすぎ?……)

 

スズカ『……これで……ヨシ♪』ガタッ

 

(いやいや!初めての交換日記★初日記念やで?そのくらいはやりすぎちゃうやろ~……あぁ~けどこれから毎日増えてくと思うと、ワシの狭い部屋じゃすぐ壁一面交換日記★だらけになっちゃうかぁ~……)

 

スズカ『……トレーナーさん?』

 

(え?壁一面スズカとの交換日記★だらけ?え?ええ!?それなんのご褒美ですか?あ?逆に〇す気ですか?ワシを萌え死にさせる気ですか?そんな事ワシ自らにさせる気ですかぁぁぁ~くぅぅぅ~……)

 

スズカ『トレーナーさんっ!』

 

『ハッ!?……はい!』

 

スズカ『気持ち悪い顔してどうしたんですか?』どストレート

 

(ぐぼはぁっ……トレーニング初日にして……担当に気持ち悪い言われた…… )

 

スズカ『どこか具合悪いんですか?吐きそうですか?』

 

(セーーフッ!そっちの気持ち悪い顔やったぁ~……)

 

『いや……ちょっと胸やけしただけで大丈夫』 

 

スズカ『1日近くも何も食べてなかったからです!』ムッ

 

『……以後……気を付けます』

 

スズカ『トレーナーさん』

 

『はいな!スズカさん』

 

スズカ『次のレースは、どうしますか?』

 

『つ……次のレース……!!!』

 

スズカ『……じーっ』

 

(アッカァーーーン!まったく!なんにも!これっぽっちも!考えて無かったぁ!!)

 

(トレーナーのワシ、出走ローテーションとか考えて、出走登録手続きとかせなアカンよな!?)

 

(自分の勉強だけですっかり頭から抜けてたわっ!)

 

『う、うん!ちゃんと考えとく!』

 

スズカ『よろしくお願いします』

 

スズカ『……トレーナーさんはまだお仕事ですか?』

 

『うん……まだ、整理したいことあるし……もうちょっとかかるかな?』

 

(次走のこととか……交換日記★とか……交換日記★とか……交換日記★とか?)

 

スズカ『それじゃあ、お先に失礼しますね』

 

『はい、おつかれさま~』

 

スズカ『お疲れさまでした』ぺこ

 

ガラガラ……バタン

 

『……』

 

ドアをチラッ

 

ビュンっ!!

 

がばっ!

 

【スズカ&片桐トレの交換日記★ノート】

 

(……はあぁぁぁぁぁぁ~~~~~……)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 トレセン学園登校時間 正門前広場・・・の木陰

 

(テテッテテレッテーー♪テーテーテー♪)脳内BGM デ〇ル〇ン

 

(タターン♪タターン♪タターン♪タラララランっ♪)脳内BGM

 

(ッテ、テ、テテッテ、テッテ♪ッテッテ、テレッテ♪タラララランっ♪)脳内BGM

 

(ッテ、テテテッテ、テッテ♪ッテッテ、テレッテ♪)脳内BGM

 

(あれは~誰だっ?♪誰だっ?♪誰だ!?♪)脳内BGM

 

(あれは~カタギリ♪カタギリトレ~♪カタギリッ♪トレぇ~♪)脳内BGM

 

(いや、語呂わるっ!)←交換日記★効果で【テンションアップ中】

 

(ふふふ……先日は黄金世代に見事にトドメを刺されたワシやが……)

 

(今日のワシは一味違う!今日こそ、ウマ娘耐性ミッションコンプリートしてみせるっ……!!)

 

???『おやおやこれはこれは……片桐トレーナーではないかね?』

 

(って、早速バレテーーーーーーラッ!!)

 

(誰や!ワシのカモフラ装備(サングラス&マスク)を突破してくんのは!!)

 

『アグネスタキオンッ!?』

 

タキオン『ほお、私のことを知っているとは光栄だねぇ~』cv.上坂すみれ

 

タキオン『さすがは“あの”アイドルトレーナーと言ったところかな?』

 

(めっちゃ知られてるぅ~さすがはアグネスタキオン……)

 

『な……何か……用かな……?』サングラスとマスク外す

 

タキオン『な~に大したことではないのだが……』

 

タキオン『病気休養明けの名トレーナーくんがお疲れじゃないかと思ってね』

 

(く……くるっ!!)

 

タキオン『私特製【滋養強壮栄養ドリンク】をプレゼントしようと思って!』

 

(ハイ!キターーーーッ!!)

 

タキオン『まぁ、お近づきの印だと思ってくれたまえ』

 

『あ……ありがとう……』

 

???『……飲んではいけません……』

 

『!?』

 

タキオン『おやおやカフェくん、私と片桐トレーナーとのお近づきの印を……飲むな、と?』

 

マンハッタンカフェ『……タキオンさん初対面の方に……毎回変な薬を配るのは……やめた方がいいですよ……』cv.小倉唯

 

(マンハッタンカフェ……キターー!黒髪ストレートめっちゃイイッ!!)

 

タキオン『変な薬とは、随分な言い草じゃあないかね?』

 

カフェ『……トレーナーさん、その薬をこちらへ……処分しておきます……』

 

『じーーっ……』タキオンに貰った茶色い小瓶を見つめる

 

(ごくっ……飲みたい……)

 

(飲みたい……飲みたい……飲みたい……)

 

カフェ『……トレーナーさん?』

 

タキオン(ほう……実に興味深い反応だ……)

 

『……』キュッ……フタを開けようとする

 

カフェ『……いけません!』

 

タキオン『いいぞぉ!そぉーこなくてはっ♪』

 

・・・

 

登校してくる二人のウマ娘

 

???『ねぇねぇ、ポッケちゃん、あれってタキオンちゃんたちじゃない?』

 

???『あぁん?何やってんだあいつら?』

 

・・・

 

タキオン『あっはっはっはっ!!実に見込みがあるじゃぁないかね!』

 

カフェ『……やめておいた方が……』

 

???『なんだぁ?この集まり』

 

(はっ!!?……ジャングルポケット!!)

 

ジャングルポケット『朝っぱらからなにやってんだ?おまえら?』cv.藤本侑里

 

???『みなさん、おはようございます♪』

 

(と、ダンツフレーム!!)

 

ダンツフレーム『わあ、なんか賑やかだね♪』cv.福嶋晴菜

 

タキオン『おや、ポッケくんにダンツくんじゃないか』

 

カフェ『……ポッケさん……ダンツさんも……手伝ってください』

 

ポッケ『ん-?誰だこのオッサン?』

 

(……あ……開いた……)パカッ……←フタ

 

カフェ『……このトレーナーさんが……タキオンさんの薬を……』

 

タキオン『あっはっはっ!!自ら飲もうとするとは実に見込みがあるじゃぁないかねっ♪』

 

ダンツ『えぇっ!!』

 

ポッケ『ゲッ!……マジかよ!?お前!?悪いことは言わないから……やめとけっ!!』

 

(新時代の扉開いたぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!!)

 

ゴクゴクッ……!ゴクゴクっ……!

 

一同『!?』

 

ポッケ『……マジかよ……』

 

タキオン『そうこなくてはねぇ♪』

 

カフェ『……』

 

ダンツ『だ、大丈夫なんでしょうか……?』

 

『ぷはぁーっ』

 

一同『……』

 

『あ……勢いで飲んじゃった……』 

 

『!?』

 

『ぐっ……ぐぁぁぁぁ~!!』

 

カフェ『……トレーナーさん!?』

 

ダンツ『大丈夫ですか!?』

 

ポッケ『おい!タキオン!このオッサンに何飲ませやがった!?』

 

タキオン『んー……人体に有害なものは入れていないはずだがねぇ』

 

ポッケ『入れてない“はず”って、オッサン苦しんでるじゃねーか!?』

 

『ぐ……ぅ……』

 

『マ、マズイ、そして苦い……』

 

一同『……』

 

カフェ『……それだけですか?……』

 

『ん?あとは……特には……?』

 

ダンツ『なぁんだ……心配しちゃったね』

 

ポッケ『……まったく……人騒がせな、オッサンだな』

 

タキオン(……反応なしか……見込み違いだったか)

 

ポッケ『ダンツ、教室行こうぜ、タキオンもほどほどに……ッ!?』

 

パァーーーーーーーーーーーッ・・・

 

ダンツ『わぁ……』

 

カフェ『……だから言ったのに……』

 

タキオン『あっはっはっ!実にいい反応だっ♪』

 

ポッケ『光ってんじゃねぇかぁぁぁーーっ!!』

 

パァーーーーーーーーーーーッ・・・

 

(あ、これもうウマ娘耐性ミッション続行不能じゃね?)

 

パァーーーーーーーーーーーッ・・・

 

(これ目立ちすぎじゃね?)

 

パァーーーーーーーーーーーッ・・・

 

【ウマ娘耐性ミッション2日目……ミッション失敗!!】

 

・・・

 

カフェ『……!?……』

 

カフェ『え?……どうしたの?……あのトレーナーさんが?……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

トレセン学園授業中 トレーナー室

 

うず高く積まれた専門書で埋まるトレーナーデスクのPCにデータを打ち込みながら

 

(今日も今日とてトレーナー勉強に勤しむワシ)

 

(元々未知の知識には興味津々だったワシ……雑学とか中心やけどな……)

 

(大好きなウマ娘・競馬のまだ知らぬ知識に触れ、さらにその知識欲は高まってる)

 

(最初はトレーナーの知識量にドン引きしていたけど、今は意外な程苦になってないなぁ)

 

『もぐもぐ……ふ~ん……おもろっ♪』一本満腹食べながら

 

コンコン……

 

『はい?』

 

六平『邪魔するぞ……』

 

『ろっぺいさん!また、来てくれたんすか?』

 

六平『むさかだ!』

 

六平『ちょうど出走登録の手続きやらで、早く出てくる用事があったからな、ついでだ……ついで』

 

『ふふっ……あざっす♪』

 

六平『へっ、ああ言った手前、まったく放っておくわけにもいかねぇしな……?』

 

『?』

 

六平『……片桐……』

 

『はい?』

 

六平『なんかお前……光っちゃいないか?』

 

(まだ残ってたぁー!)

 

『気のせいじゃないっすか? 気にしないでください……ハハ』

 

六平『まぁ……いい、で?どうだった?スズカとの初トレは?』

 

『フフンッ!信頼と絆バッチリっす!』

 

六平『ほう、大した自信じゃねーか、昨日まではあんなにぃ……っ!?』何かを見付ける

 

【スズカ&片桐トレの交換日記★ノート】

 

六平『っ!?』

 

六平『……片桐よ……お前今年でいくつになる?』

 

『えっとぉ……今45なんで……46っすね』

 

六平『……お前友達少ないだろ?』 

 

『えっ!?なんでわかったんすかっ!?さすが!六平名トレーナーの観察眼!』

 

六平『馬鹿もんっ!誰でもわかるわっ!』

 

『へ?』

 

六平『まったくお前ってやつは……』交換日記を手に取り中を確認する

 

『あ!それはっ!……いやん♡恥ずかしぃ……』

 

六平『やかましいっ!』

 

六平(……)

 

六平(文面は……まぁ……あれだが……担当の事をよーく見てんじゃねぇか)

 

六平(これなら余計な心配はいらねぇか……)パタッ

 

六平『いいか、片桐』

 

『はい』

 

六平『ウマ娘はいわば勝負の世界で生きる勝負師だ』

 

六平『だが、一皮剥けば中身はまだまだ気難しい年頃の少女そのものだ』

 

六平『あらぬ誤解が生まれるかもわからん、こんなもんを誰にでも見えるとこに置いとくんじゃない!』

 

『うっす、了解っす!』

 

六平『なーんか軽いんだよなぁ、お前の返事は……』

 

六平『ともかく、ちゃんとしまっておけよ』

 

『うっす』

 

六平『はぁ……じゃあな、俺はもう行く』

 

『え?もう行っちゃうんすか?』

 

六平『用事があるって言ってんだろ!』

 

ガラガラッ!バタンッ!

 

(ふふっ……めっちゃいい人やん)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

放課後・トレーナー室

 

 

 

コンコン……

 

(お!来たなぁ)

 

『はい』

 

ガラッ

 

スズカ『こんにちは、トレーナーさん』

 

『おつかれ、スズカ……』

 

???『……失礼するぞ』

 

(ッ!?)

 

スズカ『エアグルーヴが一度トレーナーさんに会いたいって言うから……』

 

グルーヴ『貴様が噂の片桐トレーナーか?』

 

(トレセン学園生徒会副会長……女帝!エアグルーヴ!!)

 

『副会長さんがどうして……こちらにぃ?』

 

グルーヴ『スズカは人に対して少し警戒心が足りないところがあるからな』

 

スズカ『そんなことないわよ』

 

グルーヴ『友人として一度この目で確認し……』チラッ

 

【スズカと片桐トレの交換日記★ノート】

 

グルーヴ『……んなっ!!』

 

『あっ……』 

 

グルーヴ『な、なんだこれは……交換日記……だと?』

 

(あ……なんか嫌な予感……)

 

グルーヴ『こんなものでっ!スズカを誑かそうとする気かっ!?』

 

『いや!それは……違くて……』 

 

グルーヴ『この……っ!たわけがぁーーーッ!!』

 

(はい……出会って1分で、初“たわけ”いただきましたぁぁぁぁー!)

 

・・・・・・

 

スズカ『ね?だからわかったでしょ?エアグルーヴ?』

 

『……』 正座させられている片桐トレ(45)

 

グルーヴ『つまりはトレーニング記録の拡大版みたいなもの、ということか』

 

『そうなんですよっ!……だから!』

 

グルーヴ『キッ!』睨む

 

『……ヒィッ』しゅん……

 

(女帝、圧やべぇー、めっちゃ美人なのに、めっちゃこえぇー……)

 

グルーヴ『まぁ、スズカがそこまで言うのなら……信じよう』

 

スズカ『ふふっ……ありがと♪エアグルーヴ』

 

『……あのぅ……もう立ってもいいですか……?』

 

グルーヴ『キッ』睨む

 

『……ヒィッ……いや、なんでもありません……』 

 

スズカ『もう……エアグルーヴったら……ほら、立ってくださいトレーナーさん』手を差し出す

 

『ありがとー……スズカぁ~……』スズカの手を取り立ち上がる

 

『怖かったよ~……足しびれたよぉ~……』

 

スズカ『ふふふっ……いい大人が泣いちゃダメじゃないですか……ふふふっ♪』

 

『な……泣いてないもん……』

 

スズカ『はい、ハンカチどうぞ』

 

『……ありがと~……でも、泣いてないもん……』ふきふき……

 

スズカ『ふふふっ!わかってますよ……ふふっ♪』

 

グルーヴ(……あのスズカがあんなに笑って……)

 

グルーヴ(……そうか)

 

グルーヴ『まったく!私は何を見せられているんだっ!?』

 

『びくぅっ!!』

 

グルーヴ『片桐トレーナー』

 

『は……はいぃっ!』ビクビクッ

 

グルーヴ『どうやら私の誤解だったようだ、すまなかった』深々と頭を下げる

 

『え!?いや、別に!俺は……全然』

 

(やだ!なに?めっちゃ素直っ!そしてめっちゃ美人!)

 

スズカ『ふふっ……』

 

グルーヴ『スズカの事をよろしく頼む』

 

グルーヴ『それでは、失礼する……』

 

スズカ『あら?もういいのエアグルーヴ?』

 

グルーヴ『ああ、私もトレーニングがあるからな……』

 

スズカ『じゃあ、またね』

 

グルーヴ『ああ』

 

ガラガラ……バタン

 

『はぁぁぁぁぁあぁぁぁー……』

 

(ろっぺいさんの言うことちゃんと聞いとけばよかったぁぁ……)

 

脳内六平『ほーれ言わんこっちゃない』

 

(ワシ……反省……)

 

(っと……気を取り直して!)

 

『そうだ!スズカ次走のレースが決まったよ』

 

スズカ『本当ですか♪?』

 

『うん!2月14日・東京レース場・芝1800m……』

 

『バレンタインステークス!』

 

スズカ『はい!がんばります!』

 

『……いいの?』

 

スズカ『?』

 

スズカ『……なにがですか?』

 

『いや……なんでも……』

 

『それじゃあ……バレンタインS目指してぇ~……トレーニング開始だぁ』

 

『がんばるぞぉー、オー!』ガッツポーズ

 

スズカ『え?……あ!オ、オー……!』 

 

『はははっ……』

 

スズカ『ふふふっ……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日 放課後 トレーニングコース

 

右手にタブレット!どーん

 

左手には綿密に組まれたトレーニングメニュー!(紙版)どーーん

 

そして首からストップウォッチと双眼鏡!どーん・どーん

 

そして目の下にはクマが……どーーーーーーーーん

 

片桐トレーナー!完・全・装・備!!(?)コンディション【夜ふかし気味】【片頭痛】

 

『………アァ』

 

スズカ『……トレーナーさん?』 

 

『………ハイ』

 

スズカ『ちゃんと寝てます?』

 

『……次走決まって……気合い入れてメニュー考えてたら……』

 

『……夢中になって……時間忘れて……』

 

『気づいたら……朝でした……』

 

スズカ『……ムッ』

 

『……でもこれで、次走への準備は完璧でうっ……』

 

スズカ『……むすぅー』

 

(あれぇ?サイレンス・ハムスター・スズカ再来?可愛い~♡)

 

スズカ『トレーナーさん!』

 

『は……はい!』

 

(あれ?いつもよりめっちゃ声でかっ……)

 

スズカ『レースに出る、ウマ娘にとって一番大事な事は!?』

 

『……体調管理です……』

 

スズカ『……ムッ』

 

(あぁ……これは本気で怒ってるやつや……) 

 

スズカ『では、レースに出る“ウマ娘トレーナー”にとって一番大事な事は!?』

 

『……ぅ……』 

 

(言葉が……でぇへん)

 

スズカ『体調管理ですっ!』

 

スズカ『トレーナーさんが体調崩してたら、私……楽しく走れません……』

 

『!!』

 

 

───────────

 

 

 

『今日もいい走りでした』

 

スズカ『……流してただけですよ?』

 

『スズカが“楽しそうに走る”のがいい走りなんです!』

 

スズカ『ふふっ……トレーナーさんらしい、言い方ですね』

 

 

 

──────

 

 

『……』

 

『……ホンマ、何やってんねん、ワシは……』

 

スズカ『!?』

 

スズカ『……トレーナーさん?』

 

『……』

 

『……こんなもん!……こうやっ!!』バッ!

 

左手に持っていたトレーニングメニューを空高く放りなげる……

 

上空高く舞い上がったトレーニングメニューがばらばらと舞い落ちてくる

 

その光景をふたりで見ていた……

 

『……』

 

スズカ『……』

 

『よしっ!あぁぁぁ~!なんかめっちゃスッキリしたぁ』

 

スズカ『……』

 

スズカ『いいんですか?すごいがんばって作ったメニューなんじゃ……』

 

『いいんだ、あのメニューじゃスズカは“いい走り”が出来ない……』

 

(そうや、最近身につけた知識使いとうて作った素人の自己満足で……)

 

(スズカの“いい走り”が見れる訳ないやんか……それに体調管理もや……)

 

(素人メニューでどれだけ故障リスク回避できる?ホンマに優先しなきゃいかんのはそこやろ)

 

『それに……なんか俺らしくないって言うか……アハハ』

 

スズカ『ふふっ……そうですね、私少し寂しくなっちゃいました……』

 

『!?』

 

スズカ『トレーナーさんが“普通”のトレーナーさんみたいになっちゃった、って』

 

『……』

 

『そうだよな……俺はサイレンススズカのトレーナーだもんな……』

 

『普通のトレーナーにサイレンススズカのトレーナーは出来ないもんな』

 

スズカ『……どういうことですか?』

 

(あ、この娘、自分のこといたって普通の女の子思うてる“本物”タイプや……) 

 

『スズカの走りは普通じゃないってこと』

 

スズカ『……?』コテン?

 

スズカ『あっ!?……もしかして私のフォームってどこか変ですか?』

 

『いや ……そうじゃなくてね……スズカさん……』

 

スズカ『??』コテン?

 

『……』 

 

『スズカは、走るのが好きすぎるんだよ』

 

スズカ『……好きすぎる、ですか?』

 

『うん、楽しくなったら、どこまでも行こうとする』

 

スズカ『……そんなことは』

 

スズカの声マネ『ごめんなさい、私ぃ……またレース走れるんだって思ったら……ハシャいじゃって……とか』

 

スズカ『あ』

 

誇張しすぎたスズカの声マネ『トレーナーさんとのぉ~初トレーニングだと思ったらぁ~……ハリキっちゃった☆みたいで♪……ウキウキ……とか?』

 

スズカ『……』

 

スズカ『全然似てませんね……ふふっ』

 

『はうっ!』

 

(ごめんなさい……おっしゃる通りです) 

 

スズカ『でも……ちょっと身に覚えがあります』 

 

『ふふ……だから俺はスズカを“速く”するトレーナーじゃなくて』

 

『スズカを止める“ブレーキトレーナー”になろうと思う』

 

スズカ『……トレーナーさんなのに……速くしないで……止める……』

 

(そう、今のスズカはもう速い、あのろっぺいさんが“G1級”というほどや)

 

(けど、速いだけで勝てるほどレースは甘ない……)

 

(それはスズカのこれまでの戦績をみてもわかる……重賞未勝利……)

 

(原因は多分……スズカの走りにはまだ危うさがあるから……)

 

『そうだな~……例えば、スズカはブレーキのない車を運転したいと思う?』

 

スズカ『私まだ免許持ってないです』

 

『うん……知ってる……』 

 

スズカ『ふふっ……冗談です、乗りたくありません』

 

(……だいぶ調子が戻ってきたな)

 

『そう!楽しく・気持ちよく全力で走るためには、安心して走れることが大事!』

 

『だから、俺がスズカのブレーキになる』

 

スズカ『……トレーナーさん』

 

スズカ『でも、そのブレーキが壊れてたら安心して走れないから……』

 

スズカ『やっぱり体調管理が一番大事ですね?トレーナーさん!』ニコッ✨

 

『ぐっはぁ!』   

 

(特大ブーメラン頂きましたぁっ!)

 

『……ごめんなさい……海よりも深く反省しております……』

 

スズカ『ふふふっ……』

 

(これがワシの……“ワシたち”のやり方や……)

 

六平『コラーーーッ!片桐ーーーッ!!』遠くの方から

 

『あれ?ろっぺいさん?』

 

(噂をすればか?)

 

六平『てめぇーーっ!トレーニングコースにゴミばらまいてんじゃねぇーーッ!!!』すんごい剣幕

 

『……あ』 辺りに散らばったメニュー表を見回す

 

『やっば!!』

 

『す……すぐに片づけますぅーーッ!!』わたわた

 

スズカ『わ……私も手伝いますね』

 

スズカ『……ふふふっ』

 

『……は……ははは』

 

 

 

 

 

ー1章ー004話   本能スピードに安心を   完

 

 

 

 

 




今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます!

第4話は、交換日記に浮かれる片桐トレーナー、アグネスタキオンの薬で光り輝く片桐トレーナー、エアグルーヴに正座させられる片桐トレーナー……

あれ? この主人公、まともな場面少なくない? 

そんな片桐ですが、最後にはサイレンススズカのトレーナーとして、ひとつの答えにたどり着きました

スズカをさらに速くするのではなく、安心して全力で走れるように、自分が彼女のブレーキになる

普通じゃないウマ娘には、普通じゃないトレーナーを

ここから始まる2人の挑戦を、引き続き見守っていただけたら嬉しいです!

本作は今後、毎週日・水曜19時の週2回更新となります!

次回もよろしくお願いいたします!

そして現在、noteにて第1~3話のネタ解説・制作裏話・秘話を公開中です!

本編だけでは分からない小ネタや、各シーンに込めた作者の意図などをまとめています

こちらは作者激おすすめの記事となっておりますので、ぜひ一度読んでみてください!

▼note
https://note.com/kurox_1200
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