【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う 作:KUROX
トレセン学園 トレーニングコース
スズカ『追いかけっこですか?』
『そっ、追いかけっこ!』
スズカ『えっと……誰と……?』
『俺とッ!!』親指を立てて自分を指さす
スズカ『本気……ですか?』
『誰が“モンキー”やねんっ!』ビシッ!
スズカ『……?』
『……ぅ、 コホンッ……もちろんハンデは付けるよ……大量に』
スズカ『はあ……』
『ルールは100mをハンデ付きで競争、先にゴールした方が勝ち!』
『スズカが勝ったら次からどんどんハンデは広げていきます、説明は以上!』
スズカ『本当にただの追いかけっこですね』
『うん、本当にただの追いかけっこ♪』
・・・・・・
『はあ!……はあ!……はあ!……はあ!……』大の字で倒れてる
(いや、知ってたけど、うちの娘めっちゃ速い!しっかり計算して50mハンデから始めたのに……)
スズカ『これで私の“2連勝”ですね♪ふふっ……』
スズカ『それよりも、トレーナーさん大丈夫ですか?』
『はあ!……はあ!……全っ然っ!……大丈夫……』スクッ
『次いくぞ~っ!はあ!……はあ!……』
・・・・・・
スズカ『わぁ……トレーナーさんのスタート位置……あんな遠くに』
『スズカー……準備いいかぁー……?』遠くのスタート位置から
スズカ『はーい!』
『位置について……』
『よーい……』
スズカ『……』
『……』
『どんっ!!』
スズカ『はぁッ!』ダッシュ
『はあっ!……はあっ!……』
(さすがにハンデ70mなら!……ゴールはすぐそこっ!!)
『はあっ!……はあっ!……はあっ!!』
(よっしゃ!ゴーーー……)
どひゅんっ!!(疾風)
(!?)
(……うそ、やろ……?)バタッ
スズカ『うふふふっ……また私の勝ちですよ!トレーナーさん♪』ドヤァ✨
『はあっ!……はあっ!……はあ!……はあ!……』倒れてる
(なんか……走る度……どんどん速くなってませんか?……恐ろしい娘っ!)
『はあっ!……はあっ!……はあっ!!……』
『まだまだぁーっ!!』がばっ!
『いくぞ!おるぁぁ~……!』←勝つまでやる気
スズカ『はい♪』←楽しくなってる
・・・・・・
『ヨッシャーーーーーッ!!』ガッツポーズ ✨
スズカ『ふふっ……トレーナーさんの勝ちですね♪』
『見たか!おるぁぁぁ!おっさんの意地見たかぁーッ!』←20m走
スズカ『負けちゃいました……ふふっ♪』←100m走
『はぁ……はぁ……はぁ……』
『はぁ……はぁ……はぁ……』
『スズカ……』
スズカ『はい♪』
『はぁ……はぁ……一旦……休憩でぇ~す』ばたっ
スズカ『トレーナーさんっ!』
『おっさん……体力の限界……千代の富士っす……』
スズカ『トレーナーさんっ!?』
(次からは……他のウマ娘に頼もう……けど……)
(……スズカが楽しんでくれたから……)
『我が生涯に一片の悔いなしっ!』右拳を高々と天に突き上げる
『?』
スズカ『……トレーナーさん?』
【追いかけっこトレーニング】大・成・功!!
◇◇◇
2月14日 東京レース場 控室
『……これと……あとこれと……』きゅっきゅきゅ、きゅー
作戦説明用のホワイトボードになにやら書き込んでいる
スズカ(今日のレースの作戦かしら?)ストレッチ中……
『ふーーっ』書き終えた
何も言わず考え込むように椅子に座る
スズカ『?』チラッ
【本日の作戦】
1、落ち着く
2、焦らない
3、スズカを信じる
4、深呼吸
5、俺が吐かない
スズカ『……』
『……カタカタカタカタ』貧乏ゆすり
スズカ『……トレーナーさんの作戦ですか?』
『はい!そうですぅ~……』
スズカ『レースに出るの私ですよ?』
『そそそそっそそ……それは……わかわかっわかってるんだけど……』
『……ななななんせ……はっはっ、はつはつっつレースだから……』
スズカ『?ハイセイコーさんのトレーナーさん……でしたよね?』
『……あ』
『あ~……復帰後?……そうそう! 復帰後初レース!』
スズカ『?』
スズカ『……それにしても、トレーナーさん緊張しすぎじゃないですか?』
『そそっそ……そんな訳ないじゃないかーほらっ』ガタッ 立ち上がる
『うおっ』躓く
バンッ! 机に顔面強打
『いっ、つぅーっ……』ホワイトボードに寄りかかる
グラッ ホワイトボード倒れてくる
バタンッ! ホワイトボードの下敷き
『……きゅぅ~……』鼻血
スズカ『トレーナーさんっ!!』
・・・・・・
スズカ『これで大丈夫ですね』
『はりがほう』鼻ティッシュ
スズカ『ふふっ……トレーナーさん緊張しすぎです』
『アハハハ……面目ない……』
『けど、おかげで落ち着いたよ、これこそまさに怪我の功名って言ってね!』
スズカ『あまりいいやり方とは思いませんけどね……ふふっ』
『さて!スズカさん!』
スズカ『はい!』
『今日の作戦を発表します!』
スズカ『……作戦……ですか?』
『はい、作戦です!』
『────。』
スズカ『えっ!?』困惑
◇◇◇
【東京レース場・芝1800m・バレンタインステークス】どん
実況『東京レース場現在の天候は曇り、コース上にはやや靄がかかっているように見えます』
実況『本日のメインレースはバレンタインステークス、12名のウマ娘で争われます』
実況『各ウマ娘、順調にゲートイン進んで……』
実況『圧倒的1番人気に押されました、大外12番サイレンススズカが最後にゲートに入って……態勢完了』
実況『バレンタインステークス……』
ガシャンッ!!
実況『今スタートですっ!』
──────
『今日の作戦を発表します!』
スズカ『……作戦……ですか?』
『はい、作戦です!』
『スタートダッシュで先頭に立つ!あとは楽しく走る!』
スズカ『えっ!?』 困惑
スズカ『私……今日ゼッケン12番ですよ?』
『そうですねっ♪』
スズカ『大外ですよ?』
『そうですねっ♪』
スズカ『いいんですか?』
『いいんですっ!♪』
──────
実況『各ウマ娘ほぼ揃った綺麗なスタート!』
スズカ(スタートダッシュで先頭に立つ!先頭は……あの娘!)
スズカ『はぁっ!』
実況『おっと!サイレンススズカ、大外からスーっと上がって先頭に立った!』
スズカ(ヨシ!あとは……あら?これって……)
スズカ(追いかけっこ?……スタートダッシュから先頭の娘を追い抜く……)
スズカ(……♪)
スズカ(何度も練習したから、簡単にできたわ)
スズカ(ふふっ……トレーナーさんすごい♪)
実況『サイレンススズカ速い速いっ!後続との差をどんどん広げていくっ!』
『ヨシ!ナイススタートダッシュ!……あとは……』双眼鏡を覗く
『……』スズカの表情を見る
『……ハハ……これなら』
実況『今年初レースのサイレンススズカさらに後続との距離を広げていく!』
実況『その差は15、6バ身!サイレンススズカ大逃げ!大逃げです!サイレンススズカ完璧に一人旅!』
実況『そして今1000mの標識を通過!タイムは……57秒台!?』
実況『はたしてこのペースはどうか?これはいいペースでいっているのか?それとも速すぎるのか?』
スズカ(ふふっ……誰もいない景色がどんどん広がっていって……ふふふっ)
スズカ(走るのって……レースって楽しいっ♪)
実況『さぁ最終4コーナー手前!後続も一気にペースを上げて先頭に迫る!』
実況『どんどん先頭との差が詰まって、最終コーナー立ち上がってレースは直線勝負!』
実況『先頭は依然サイレンススズカ!最後までもつのか!?』
実況『後続もぐんぐん差を詰めてきている!その差6バ身!』
実況『ああっと!しかし後続の伸びが……いやっ!サイレンススズカが速い!抜かせないっ!』
実況『差がまったく縮まりません!』
実況『最後の坂もこのまま!差が縮まらない!これはサイレンススズカ楽勝!』
実況『サイレンススズカ楽勝で……今っ!ゴーーール!!』
観客『わあああぁぁぁぁぁぁぁぁ~』
『ヨシっ!!』
◇◇◇
東京レース場地下バ道
『おめでとう!スズカ!』
スズカ『ありがとうございます!トレーナーさん♪』
『本当にいい走りでした……ぅぅ……』涙目
スズカ『トレーナーさんも、やっぱりすごいトレーナーさんだったんですね♪』
『……へっ?』ポカーン
スズカ『追いかけっこトレーニングです』
スズカ『スタートダッシュから先頭の娘を抜く』
スズカ『何度もやっていたから余分なスタミナも使わず、自然にできちゃいました♪』
『……へっ?』ポカーン
スズカ『このためのトレーニングだったんだなって、レース中に気付いてやっぱりトレーナーさんってすごいんだなぁって感心しちゃいました♪』←レース直後テンションアップでいつもより饒舌
『……へぇ』( ゚д゚)ポカーン
(いやいやいや!そりゃねスタート練習ってのは考えてたけど……)
(普通にやってもつまらんし……スズカと楽しく練習出来たらなぁ~としか考えてなかったんやけど!)
(いや!ガチで!……ハッ!これは……もしかして……)
(“偶然の天才”爆誕か!!!)※しません
『……コホンッ ……ともかく、控室戻ろっか?』
スズカ『はい♪』
・・・・・・
控室へ戻る道中 関係者通路
てくてくてく……
『ん?』
???『サイレンススズカさん!片桐トレーナーおめでとうございます!』
(お!乙名史悦子記者やん!と……言うことは?)
記者たち『おめでとうございます!』わらわら……
記者に取り囲まれる
(囲み取材キターーー!)
乙名史悦子『少しお話よろしいですか?片桐トレーナー!』cv.陶山恵実里
『え!?あ!……ハイ……少しだけならぁ……』コミュ障
乙名史『まずはトレーナー復帰初戦勝利おめでとうございます!』
(ん?……“トレーナー復帰”?)
『……はぁ……ありがとうございます……』
記者A『随分長い休養だったようですが……大変ではなかったですか?』
(あん?)
『……大変、でしたが……“サイレンススズカ”と一緒にがんばりました……』
記者B『今日のレースを見る限り、トレーナーとしての勘はバッチリといったところでしょうか?』
(は?)
記者C『あの伝説のアイドルトレーナー復活ということで、ファンの間でも盛り上がってるようですが、ファンに向けて一言お願いします!』
(……カチンッ)
『今日のサイレンススズカは素晴らしい走りをして、まさに今日のレースの一番の“主役”でした。この勝利に慢心せず、次走のためのトレーニングも頑張ります』
『それでは失礼します』ぺこっ
『スズカ、行くぞ』
スズカ『え?あ、はい……』
乙名史『あ!片桐トレーナー!』
記者たち『片桐トレーナー!もう少しお話を!』『片桐トレーナー!』
てくてくてく
『ムフーッ』イライラ……
スズカ(……トレーナーさん……?)
・・・・・・
東京レース場控室
『なんだ!?あの記者たち!俺のことばっかり!勝ったのはスズカだろ!ムフーーッ』
スズカ『私は別に……トレーナーさんが評価されたみたいで嬉しかったですよ?』
『!』
(あ♡そうやったスズカはこんないい娘やった♡)一瞬でクールダウン
『ムフムフムフっ……』
スズカ『トレーナーさん……その笑い方は……ちょっと気持ち悪いです』
『むほっ ……帰る支度しよっか?』
スズカ『はい』
◇◇◇
帰り道 河川敷
スズカ『トレーナーさん♪』
『んー?』
スズカ『はい!これ♪』
『ん?なにこれ?』
スズカ『ハッピーバレンタインです♪』
『!!』
『……』
『……ま……』
『………祭りだ……』ボソッ
脳内キタサンブラック『さあみんな!片桐祭!はっじまるよー!』♪
脳内観客『ふーー!』
脳内キタサン『いち!にー!さんはいっ!』♪
脳内歓声『それ!それ!それ!それっ!』
脳内太鼓『ドンドコドンドコ!』
脳内歓声『まー!まー!まー!まー!まー!まー!まー!』
脳内キタサン『チョコを貰って!胸がくるしい!』♪
脳内歓声『片桐さん!はいっ!』
片桐『うーれしくって♪ はーしゃぎ散らして♪ どどんがどーん!』
(いや!そっからお前が歌うんかいっ!)
『これって……もしかして……てづk』
スズカ『市販品です♪』食い気味
『ですよねー』
『いや、けどなんか申し訳ないなぁ……』
スズカ『……?』
『もうスズカからは復帰後初勝利を貰ったのに……』
(緊張で今日がバレンタインってことすっかり忘れてたしねーバレンタインS勝ったのにねー)
スズカ『日頃からのお礼です、いつも楽しいトレーニングをありがとうございます』
『うん、ありがとう』
(どーする?どーする?帰ってすぐ食べる?それとももったいないから永久凍土(冷凍庫)で保存して棺桶に一緒に入れてもらうようにする?担当からの初チョコやし、そっちか?そっちがええか?)
スズカ『ちゃんと食べて明日感想聞かせてくださいね♪』
『あ!あぁ……うん』
(心の中読まれた!?)
『……』
『スズカ……』
スズカ『はい?』
『一つ質問してもいいか?』
スズカ『はい』
『俺みたいな面白おっさんがトレーナーでよかったのか?』
スズカ『どうしたんですか?急に?』
『いや、実は……ずっと考えてたんだ……』
『スズカは素直で……可愛くて……すごい走りをして……こんな素敵なウマ娘が俺の担当でいいのかな?って……』
スズカ『……////』
『なんで俺のスカウトを受けてくれたんだ?』
スズカ『……正直に言ってもいいですか?』
『う……うん』ゴクッ
スズカ『あの時は……もう一度レースに出られるなら……』
スズカ『誰でもよかったんです♪』
『!』
(ぬあぁ~……ぬあぁ~……ぬあぁ~……)脳内エコー
脳内大佐(ス〇ェェェェェーーーークッ!!?)
スズカ『理事長室に呼ばれるまでは、そう……思っていました』
『!?』
スズカ『でも、理事長室で初めてトレーナーさんを見たとき、自分でもよくわからないんですけど……』
『……』
スズカ『あぁ、この人が私の次のトレーナーさんになる人なんだなぁって』
スズカ『妙に……納得?、しちゃったんです』
スズカ『トレーナーさんには拒否されちゃいましたけどね……ふふっ』
『いや あれには海よりも深い理由があるというか……なんというか……』
スズカ『ふふふっ……あ!』
『……?』
スズカ『私からも一つ質問していいですか?』
『……うん?』
スズカ『理事長室で初めて会ったあの時……私の顔を見てどうして……』
スズカ『あんな悲しそうな顔をしていたんですか?』
『!!』
(……)
(……サイレンススズカに故障発生です!!……)
(ワシだけじゃないはずや、サイレンススズカを見たらフラッシュバックのように思い出される)
(……沈黙の日曜日……)
(あんな未来がこんないい娘に待ってるなんて言えるわけ……ッ!?)
(いや、逆やないか!?未来をスズカと共有すれば回避できるんちゃうか?)
(最悪レース自体回避すればええんや!そうすればあんな悲劇は起こらんはずっ!)
(話そう……スズカに全部!ワシが転移者ってことも!スズカに起こる未来も!全部!)
スズカ『……トレーナーさん?』
スズカ『……やっぱり聞いちゃダメでしたか?』
『スズカッ!』
スズカ『は……はい!』
『実は俺は……!』
ズキンッ!!!!
『……カッ!……ア……ァァ……』頭を抱えしゃがみ込む
(なんや!これ!?この……頭痛???)
『……ァ……ァ』
スズカ『トレーナーさん!!』
(頭が……脳みそごと……締め上げられる!……声が……声が……出せん!……)
『……ス……カッ……ァ……ァ……』
スズカ『トレーナーさん!!どうしたんですか!?トレーナーさんっ!!?』
(伝えな!……未来を!……スズカと一緒に!……)
『……ス…………ス……ゥ……ァ』
(……声が……出せん……頭が……)
(イタイ……イタイ……イタイ……)
(……目の前が……世界が……どんどん暗く……スズカ……)
(……スズカ……スズカの……声が……遠く……)
(……これは……アカン)
ばたんっ!
スズカ『トレーナーさんっ!!!?』
◇◇◇
URA指定病院 病室
(……)
(…………)
目の前にぼんやりと光が広がっていく……
(どこやここは?ベッドの上?)
ゆっくりと瞼を開ける
すぐ横に涙ぐみ下を向く美しい少女
(……)
少女の頭にやさしく手を乗せる
『なんちゅう顔してんねん……スズカ』ぽんっ
スズカ『!!』
スズカ『トレーナーさんっ!!』
優しくスズカの頭を撫でる
スズカ『よかった……よかった……また……私……一人になるんじゃないかって……ぅぅ……』
(そっか……確か前のトレーナーも急病で休職してたんやっけ……)
『ごめんな心配かけて……もう大丈夫だから……』なでなで
たづな『本当に、片桐トレーナーが緊急搬送されたとスズカさんから連絡を受けた時はとても心配したんですよ』
『たづなさん!』バッ 撫でてた手を素早く戻す
『……ご心配おかけしました』上体を起こす
スズカ『トレーナーさん、どこか痛いところはありませんか?』
『ん?』キョロキョロ
『うん、もうどこも痛くないよ』
スズカ『……本当によかった……』
たづな『お医者様がおっしゃるには、一通りの検査を行った結果、どこにも異常はなかったようです』
たづな『原因はレースの心労ではないかと……』
たづな『ですので、目が覚めたら帰宅してゆっくり休養するようにとおっしゃっていました』
『スズカ、たづなさん、本当にご心配おかけしました』ぺこっ
(なんやったんや?あの頭痛は……?)
(まるで見えない輪っかで、脳みそごと頭締め付けられるような……)
『……ゾクッ』
スズカ『トレーナーさん?大丈夫ですか?』
『あ、あぁ……大丈夫、なんでもない』
(ワシの事なんかよりも、今は……スズカに全部話さんと……)
(たづなさんもおるけど……まぁ、たづなさんやったら大丈夫やろ……)
『スズカ、あのなちょっと話が……』
ズキンッ!!!
『カッ……ァ……』
(アカンッ!!!)
スズカ『トレーナーさん!!』
たづな『片桐トレーナー!』
『はぁはぁはぁ……大丈夫……大丈夫……』
(すぐに話すの諦めたから……倒れるほどやなかったけど……)
(これは……おそらく……)
(いや、間違いなく……未来の事を話そうとすると……起こる……)
【未来の事は話せない】
スズカ『トレーナーさん、本当に大丈夫ですか?顔色よくないですよ?』
たづな『私、お医者様にお願いして入院手続きを……』
『本当にっ!大丈夫ですっ!!』
スズカ『!?』
たづな『片桐、トレーナー……?』
(そういうもんやないねん、これは……どうする?どうすればいい?)
(スズカの未来を……あの日曜日を……どうやって……)
『……』
『帰ろう、もうこんな時間じゃないか……』
スズカ『……トレーナーさん……』
スズカ『……』
『スズカぁ~そんな顔しないのっ!』
『あなたのトレーナーさんはどこにも行きませんよ♪』
スズカ『……』
『たづなさんも本当にありがとうございました』タッタッタッ……
足早に病室を後にする……
たづな『……』
◇◇◇
数日後……トレセン学園、トレーナー室
様々な資料を見ながらPCで作業する
(サイレンススズカは……バレンタインSから破竹の6連勝をする)
(最後になったあのレースを迎えるまで“無敗”で……)
(大好きな競走馬だったからローテーションは覚えてる)
(本来なら史実のローテーションは変えた方がええかもしれん)
(その方が“あの日”を回避できる……でも)
(……)
(本物の調教師は凄い……自分の浅はかさを思い知らされる……)
(ローテーションはまず消去法で選択肢を減らす)
(芝・ダート適正、距離適性、脚質・他に出走する相手……)
(そうやって消去法で減らした中からさらに、今の担当の状態に合ったレースを探していく……)
(その先の大レースを大きな目標にして)
(トレーナーの仕事は大前提、担当を勝たせること……)
(何度考えても“史実通り”のローテーションという最適解にたどり着く)
(先回りされて『素人が!』と本職の調教師さんに言われてる気分やなぁ)
(マジ、調教師、厩務員、関係者さんリスペクトっすわ)
(……)
『よし!決めたっ!!』
『スズカ』
スズカ『はい』
(今日はウマ娘で言えば【賢さトレーニング】つまり座学やな……レース直後にぴったり♪)
(ちょっとは知識も増えてきたワシ、いくら感覚派の天才タイプのスズカといえ……)
(知識があるに越したことはないからな……)
『次の出走レースが決定しましたー!はい拍手~』パチパチパチ
スズカ『ふふっ……』パチパチパチ
『次のレースはぁぁ~……』
スズカ『……』
『じー……』ガン見
スズカ『……』
『じーー……』ガン見
スズカ『……』
『じーーーっ……』ガン見
スズカ『……』
『じー……クワッ』目を見開く!
スズカ『!?』
『G2中山記念ですっ!!』
スズカ『……G2……』
『重賞とるぞー!』
スズカ『はい!』
『気合入れてくぞ!おるぁぁぁぁ!』
スズカ『……』
スズカ『トレーナーさん』
『はい?』
スズカ『気合い入れすぎて、この間みたいな事にならないでくださいね』ニコッ✨
『……この間みたいな事?……』
スズカ『……むぅッ』
『……あ!』
──────
そして目の下にはクマが……どーーーーーーーーん
片桐トレーナー!完・全・装・備!!(?)コンディション【夜ふかし気味】【片頭痛】
『………アァ』
スズカ『……トレーナーさん? 』
──────
スズカ『トレーナーさん……』
スズカ『レースに出る、“ウマ娘トレーナー”にとって一番大事な事は?』
『体調管理ですっ!!』
スズカ『はい、よくできました♪ふふふっ……』
『なはは……』
(ワシらはワシららしく……このまま……行ったろやないかっ!!)
ー1章ー005話 Go This Way 完
第5話『Go This Way』
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
片桐トレーナーとサイレンススズカ
ついに2人で挑む、初めてのレースとなりました
追いかけっこトレーニングは、スタート練習も兼ねてはいましたが、片桐の一番の目的はスズカに楽しく走ってもらうこと
本人の想像以上にうまくいってしまい、片桐トレーナーに“偶然の天才”疑惑が浮上しました
もちろん、本人も何が起きたのかよく分かっていません(笑)
そして復帰初戦を勝利で飾り、スズカからはバレンタインチョコまで――
浮かれ散らかす片桐でしたが、スズカの何気ない質問をきっかけに、物語は大きく動き始めます
未来を知っている
悲劇が起こることも知っている
それでも、その未来を口にすることすら許されない
知っているだけでは救えない
話せないのなら、自分の手で変えるしかない
片桐トレーナーが本当の意味で“運命に抗う”物語は、ここから始まります
感想や評価、ブックマークなどいただけましたら、今後の執筆の大きな励みになります!
次回、片桐とスズカは重賞・中山記念へ――
次回更新は
8月12日(水)19時
そして5話公開翌日の
8月10日(月)朝7時
noteにて、第5話の裏話記事を公開予定です!
KUROXのnoteはこちら
https://note.com/kurox_1200
次回もよろしくお願いします!