【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー1章ー007話

 

 

 

トレセン学園 トレーナー室

 

【第39回宝塚記念(GⅠ)出走ウマ娘決定!!】

 

(じーーーっ……)スポーツ新聞見てる

 

(さすがは春のグランプリ、予想はしてたがえっぐい面子やなぁ) 

 

(今のままでもスズカはええレースするんやろぅ……けど)

 

(……)

 

(きっとスズカはこのメンバーに勝とうとする……)

 

(そりゃワシだって勝ってほしいのは当たり前やけど……)

 

(“先頭の景色は譲らない”その強い想いがレースでは力になる……)

 

(そして限界を超える……限界を超えた先に待っている代償は……)

 

(……左前脚手根骨粉砕骨折……)

 

(“あの日”予後不良と診断されたサイレンススズカのケガ)

 

(ウマ娘の身体で言うんやったら、左足首の関節周りにあたる部位の骨折)

 

(骨が折れるんやったら、その周りの筋肉で支える!)

 

(と、安直な考えになりそうだが、スズカの“逃げて、差す”という走りではそう簡単にはいかない)

 

(スタートから先頭に立ち、ゴールまで“垂れず”に走り続けるスタミナ)

 

(先頭に立つため、ゴール前での最後の伸びの為の“スピード”)

 

(この二つの絶妙なバランスが今のスズカの走りを支えている)

 

(筋力、つまりパワーを上げればスピードは上がる、けど、瞬発力に偏りすぎれば、長く走るには重くなる)

 

(長く走り続けるためのスタミナ、持久力を鍛えるための有酸素運動は筋肉が細くなる可能性がある)

 

(つまりはスズカの走りを守るためにはバランスが何より大事ってこと)

 

(左脚の強化は絶対、なんやけどぉ……)

 

『……』

 

『どっかに一流トレーナーさんはいませんかぁーっ!?』ばんざーい

 

スズカ『いるじゃないですか?ここに』ニコッ

 

『!』

 

『スズカっ!?え?いつから??』 

 

スズカ『ちょうど今きたところです、ノックしたんですけど……』

 

スズカ『トレーナーさん考え事してたみたいで……気付かなかったんですか?』

 

『なはは……ちょっと黄昏れてた、みたいな?』 

 

『それより!一流トレーナーさん!?どこ?どこにいるの!?あ!外か!ここから見える……』キョロキョロ

 

スズカ(本当に……気付いてないのね……) 

 

 

コンコンコン……

 

エアグルーヴ『失礼する』

 

ガラッ

 

スズカ『あら?エアグルーヴ、どうしたの?何か用?』

 

グルーヴ『用というほどのことではないが、宝塚決まったな』

 

スズカ『ええ』

 

グルーヴ『その挨拶をお前たち……に……』

 

スズカ『?』

 

グルーヴ『……な、何をしてるんだ?お前のトレーナーは……?窓から身を乗り出して……』

 

『あれぇ?ねぇ、スズカ!どこ?どこにいるの!一流トレーナー!?』キョロキョロ

 

スズカ『ふふっ……トレーナーさん!エアグルーヴがあいさつに来てくれましたよ!』

 

『ん?何っ!?』向き直す

 

『エアグルーヴだと!ムフーっ!』ファイティングポーズ

 

グルーヴ『……普通にできないのか?……お前のトレーナーは……』

 

スズカ『ふふふっ……』

 

『ムフーッ!』臨戦態勢

 

グルーヴ『 ともかく!宝塚記念といえば今年前半の締めくくりのG1レース……』諦めた

 

グルーヴ『私も全力でいかせてもらうっ!』

 

『びくぅっ!』ササッ…

 

グルーヴ『互いに良いレースをしよう』

 

スズカ『ええ!』

 

『……ま、負けないからな……』チラッ スズカの背に隠れてる

 

グルーヴ『キッ』睨む

 

『……ヒィッ』隠れる

 

グルーヴ『ふっ……たわけが……それじゃあな、スズカ……失礼した』

 

ガラガラッ

 

スズカ『またね』

 

『なんか……エアグルーヴって俺にだけ当たり強くない?』※4話参照

 

スズカ『心配性なだけですよ、エアグルーヴは』

 

スズカ『さて!トレーナーさん♪宝塚記念に向けてどんなトレーニングをしますか?』

 

(エアグルーヴ効果か?今日のスズカ……ちょっとテンション高めやな)

 

『うん、それなんだけど……』

 

・・・・・・

 

スズカ『……左足の筋力強化……』

 

『うん、走りのバランスを崩さないよう、利き足と反対側の左足を鍛えることによって更なるレベルアップを目指しますっ!』

 

(左脚骨折するかも、とか言えんしな……)

 

(言おうとしても多分また“アレ”が起こって言えんやろうし……)

 

スズカ『で?今日は……?』

 

『きょ……今日はトレーニング室で、左足メインのマシーントレーニングを行います!』

 

スズカ『はい!』

 

(これで合ってますかぁーっ!?一流トレーナーさぁぁ~~~んっ!!?) 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

数日後……トレセン学園 トレーナー室 

 

【宝塚記念対策会議】

 

『まずは出走メンバーの確認からしていこう』

 

スズカ『はい』

 

『要注意の有力ウマ娘は……』

 

『まずはエアグルーヴ』

 

『総合力が高く、弱点が少ない……って、スズカの方が知ってるか?』

 

スズカ『ふふっ……はい』

 

『次にメジロブライト』

 

『スタミナはこの中でも随一、長くいい脚を使える』

 

『メジロドーベルの持ち味は勝負強さ』

 

『これまで3つのG1を制覇、対戦相手によって少し弱さが出ることもあるかな』

 

『そして最後にステイゴールド』

 

『勝ちきれないレースが多いけど……最後まで何をしてくるかわからない』

 

『あの末脚は侮ったらいけない』

 

スズカ『……』

 

『片桐トレーナー的要注意ウマ娘はこの4人かなぁ~?』

 

『他にもいっぱい強いウマ娘はいるんだけど……いっぱいというか……全員?』 

 

スズカ『全員……』

 

『さすがは春のグランプリレース……人気だから強いのか?強いから人気なのか?……』

 

『みんな一流ウマ娘です』

 

スズカ『……』

 

『……とは言え全員はカバーできないので』

 

『スズカが意識するのはさっきの4人でいいと思う』

 

スズカ『……はい……』

 

『!』

 

『……あんれぇ~?スズカちゃ~ん……ちょっとビビっちゃったぁ~?』←ダル絡み

 

スズカ『いえ!すごく……楽しみです♪』✨

 

『ああ、そっちねぇー……』 

 

(スズカらしいわぁー)

 

『で!宝塚記念対策の作戦ですが!』

 

スズカ『はい』

 

『楽しく走ったモンが勝ちです!』

 

スズカ『はい!頑張ります!』ニコニコ✨

 

『あれ? ……なんとなく分かってた?』

 

スズカ『ふふっ……私の事一番分かってるトレーナーさんなら、多分そうじゃないかなぁ~って♪』

 

(……かなわんなぁ~)

 

『じゃあ引き続き!トレーニングがんばっていくぞっ!』

 

スズカ&片桐『オーッ!』

 

スズカ『ふふっ……』

 

『ははは…』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

宝塚記念2日前 トレセン学園 トレーニングコース

 

(宝塚記念の枠順も決まり、明日には阪神レース場のある宝塚へ向かう)

 

(まぁ、今日は仕上げのトレーニングやな、レース直前やから軽めやけど)

 

『じーーーーっ……』

 

トレーニングコースで走るスズカを見つめる……

 

???『誰よりも速く……誰よりも遠くへ……』

 

『!?』

 

???『そしてまだ誰も見たことのない景色を……』

 

『ステイゴールド!』

 

ステイゴールド『彼女の走りは、そんな走りだな、トレーナー?』

 

『な、なにか御用かな?』

 

ステゴ『いや、なに、ともに宝塚記念を走る、同期への……』

 

ステゴ『ご挨拶さっ!!』ザッ!駆けだす

 

『え?ちょっと!!』

 

・・・・・・

 

スズカ『はっ……はっ……はっ……』

 

スズカ『!?』

 

スズカ(誰か、近づいてくるっ……?)

 

ステゴ『久しぶりだな、スズカ』

 

スズカ『ステイゴールド』

 

ステゴ『覚えててくれたか!』

 

 

(並走してる……?なんかしゃべりながら?)

 

 

ステゴ『まだ、誰も見たことのない景色へ……』

 

スズカ『!?』

 

ステゴ『はは……やっぱり君の走りは少し私に似ている……』

 

ステゴ『はああーーーっ!』

 

スズカ『!?』

 

スズカ『やああーーーっ!』

 

 

『アホ!!レース2日前やぞ!!』

 

『スズカーーっ!!付き合うなぁーーー!!』

 

 

ステゴ(付き合うさ、スズカなら)

 

スズカ『やああーーっ!』

 

ステゴ『はああーーっ!』

 

ゴール板を横切る二人

 

・・・・・・

 

スズカ『はあ……はあ……はあ……』

 

ステゴ『ふぅ~……同着か』

 

スズカ『……』

 

ステゴ『この続きは宝塚記念で……』

 

スズカ『ステイゴールド!』

 

ステゴ『……ん?』

 

スズカ『もう少し授業にも出た方がいいと思うわよ』

 

ステゴ『!』

 

ステゴ『ははは!ご忠告ありがと、頭の片隅に入れておくよ』

 

『こらー!ステイゴールドぉ!うちの娘になにしてくれてんじゃあぁ~!』

 

『はあ……はあ……はあ……』

 

『って、もういないやん……』 

 

スズカ『トレーナーさん……』

 

『スズカ!』

 

スズカ『はい』 

 

『めっ!!』

 

スズカ『ごめんなさい』 

 

『じーーーーっ……』左足ガン見

 

(……大丈夫……やな)

 

スズカ『また、左足を見てる……』

 

『っ!!いやっ!これは!!』

 

スズカ『最近、前にも増してすごい見てますよね?』

 

『それは……左足強化トレーニングの成果がちゃんと出てるかなーって……』 

 

スズカ『……それだけですか?』

 

(ぐぬっ……鋭い……)

 

『それより!ステイゴールドと何を話していたの?』

 

スズカ『……話を変えて誤魔化そうとしてます?』

 

(今日めっちゃ突っ込んでくるや~ん!) 

 

『そ、そんなことはありませんよ……』

 

スズカ『……私の走りが、自分と似てるって……』

 

『ステイゴールドとスズカの走りが!?』

 

スズカ『はい』

 

(ステイゴールドの脚質は追い込み寄りの差しだったはずや、スズカの大逃げとは真逆やぞ)

 

『概念……的な話?』

 

スズカ『……さあ?』

 

『よくわからんなー』

 

スズカ『で?トレーナーさん、私の左足になにかあるんですか?』

 

『じゃあスズカ!そろそろダウンしてあがろうか!』 

 

スズカ『トレーナーさん……?』

 

『よーし俺は、片づけっ!片づけっ!』ダーーッシュッ!

 

スズカ『トレーナーさん……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

【阪神レース場・芝2200m・GⅠ 宝塚記念】どーーーん

 

阪神レース場 控室前

 

わいわい……ガヤガヤ……

 

(さすがはG1!控室前の廊下もいつもより“大人”がいっぱいおる)キョロキョロ

 

(って、多分ワシよりほとんど年下やと思うけど……)そわそわ

 

(ついに、ついに!この日が来てしもぉたぁー) 

 

(スズカにとってはG1四度目の挑戦!G1宝塚記念!)うろうろ……左回り……

 

(対戦相手は人気と実力を揃えたウマ娘ばかり……)ぐるぐる……左回り……

 

(スズカも決して実力で劣るようなことはない!それでも……)ぐるぐる……左回り……

 

(勝つためには……いつも以上の力を出さんといかんかもしれん……)ぐるぐる……左回り……

 

(必ず追いつめられるやろ、その時限界を超えるような走りをしたら……)ぐるぐる……左回り……

 

スズカの声『トレーナーさん』

 

『!?』ピタッ

 

『スズカ……準備できたか?』

 

スズカ『はい』

 

『それじゃ入るぞ……』

 

ガチャ……

 

目の前には、勝負服に身を包んだスズカが立っていた

 

『……じーっ……』

 

スズカ『トレーナーさんには初めて見せますね、勝負服姿……』

 

『……じーーーっ……』

 

スズカ『……どう……でしょう?……』 

 

『……最速の機能美……』

 

スズカ『え?』

 

『いや 自然に思い浮かんだっていうか……まさにピッタリだと思って』

 

(CMのキャッチコピーだっけ?正に今のスズカにピッタリやな)

 

『めっちゃ似合ってる……めっちゃスズカらしい……めっちゃイイッ!』

 

スズカ『……ほ……褒めすぎですっ……////』 

 

『写メ撮っていい?』スマホ取り出す

 

スズカ『……しゃめ??』コテン?

 

『あ、写真!写真撮っていい?』

 

(写メっておっさん語なんや…… )

 

スズカ『ダメです!』

 

『えぇっ!なんで!!?』

 

スズカ『まだ、走ってないからです』

 

『?』

 

スズカ『“先頭”で走った後なら、いいですよ♪』

 

『!?』

 

『それって……?』

 

スズカ『先頭の景色は誰にも渡しません……』

 

『!!』

 

(……大丈夫か?……入れ込みすぎちゃうか?……このまま行かせていいのか?)

 

スズカ『それよりもトレーナーさん……』

 

『えっ!?なに?』

 

スズカ『ものすごい勢いで膝が震えてますけど……』

 

『あ……こ……これは!……い……いつもの武者震い……だから!』ガクガクガクガク……

 

スズカ『ふふっ……走るの私ですよ?』

 

『いやぁ……と……トレーナーだって……い……一緒に走ってる……つもりだしぃっ!』ガクガクガク……

 

スズカ『ふふふっ……前にもこんなことありましたね?』

 

スズカ『今日は作戦書かなくていいんですか?トレーナーさんの……ふふふっ……』

 

『だ……大丈夫だしぃ!全っ然っ、緊張?……とかしてないしぃ!』ガクガク

 

スズカ『ふふふっ……そうですね♪』

 

(……大丈夫……スズカは大丈夫や……)

 

係員の声『サイレンススズカさん、そろそろパドックへお願いします』

 

スズカ『はい!』

 

『スズカ!』ガシッ

 

スズカの両肩に手を乗せ見つめる

 

『……』

 

スズカ『……』

 

『楽しんでこい!』

 

スズカ『はい!』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

阪神レース場 パドック

 

 

実況『各ウマ娘、続々とパドックに姿を現しています』

 

実況『まずは2番メジロブライト、現在2番人気』

 

実況『長くいい脚を使えるスタミナと底力は、この舞台でも大きな武器となるでしょう!』

 

 

実況『続いて3番メジロドーベル、現在6番人気』

 

実況『G1の舞台を知る実力者が、ここ宝塚記念でも静かに闘志を燃やしています』

 

 

実況『4番ステイゴールド、現在9番人気』

 

実況『人気こそ上位ではありませんが、その末脚は決して侮れません!最後の直線で何を見せるのか注目です』

 

 

実況『5番エアグルーヴ、現在3番人気』

 

実況『女帝の名にふさわしい堂々たる佇まい!ここでも主役の一角として大きな存在感を放っています』

 

 

実況『そして13番サイレンススズカ、現在1番人気!』

 

実況『重賞3連勝!うち2つはレコード勝ち!ファンの大きな夢を背負い、春のグランプリに挑みます!』

 

実況『人気と実力を兼ね備えたウマ娘たちが集った、G1宝塚記念!この大歓声の中、まもなく入場です!』

 

歓声『わああああああああ……!』

 

 

(……いつものワシやったら……)

 

(いやん♡勝負服姿の有名ウマ娘がいっぱいやん!これは!緊急極秘ミッション発令かっ!?)

 

(って、なるんやろうけど……)

 

(さすがは春のグランプリ、G1宝塚記念……パドック内の緊張感も!観客の熱気も!)

 

(今までのレースとは桁違いや!)

 

(……ワシまで熱に当てられそう……) 

 

(けど……大丈夫……大丈夫や……スズカ……信じてる!)

 

 

エアグルーヴ『スズカ!』

 

スズカ『!?』

 

スズカ『……エアグルーヴ』

 

グルーヴ『緊張はしていないようだな、ならば思う存分この女帝の走りを見るといい!』

 

スズカ『ふふっ……エアグルーヴらしいわね』

 

スズカ『でも……先頭は譲らないわ』

 

グルーヴ『……フッ』

 

スズカ『ふふっ……』

 

グルーヴ『では、ターフで……』

 

スズカ『ええ……』

 

 

???『まだ見ぬ景色を追い求める旅人は……このレースの先に、なにを見るのか……』

 

スズカ『ステイゴールド……』

 

ステゴ『私もその景色を見てみたいものだよ……スズカ』

 

スズカ『……』

 

ステゴ『……お互い、よい旅路になるように』

 

スズカ『……ええ』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

阪神レース場 ゲート前

 

 

実況『さあ!今年も、あなたの!そして私の夢が走る!G1宝塚記念!ファンファーレです!』

 

~♪♪♪

 

ファンファーレに合わせて大歓声と手拍子が阪神レース場に鳴り響く

 

歓声『わああああああああああああ!』

 

『……』

 

(なんちゅう歓声!……なんちゅう空気や……)

 

実況『いやぁ、嵐のようなスタンドの大歓声!』

 

実況『ゲートインの方は順調に進んでいきます!』

 

 

メジロブライト(……あらぁ?ゲートってこんなに狭かったですぅ?)

 

ブライト(もう少し……こう広く……)

 

ドガシャンッ!!!

 

メジロドーベル『ブライト!?』

 

 

実況『!?』

 

実況『メジロブライト!?おっと!?どうしたメジロブライト!!?』

 

実況『ちょっとアクシデント!メジロブライトがゲートに激突したようです!』

 

実況『今、係員が確認に向かっているようですが、これは……』

 

 

係員『ブライトさん!大丈夫ですか!?』

 

ブライト『ふぅ……ふぅ……あらぁ~?』

 

 

実況『一度すべてのウマ娘たちがゲートから出されます!』

 

実況『そして……これは一度メジロブライトはドクターチェックに入るようです』

 

場内アナウンス『只今、ゲートイン中に2番メジロブライトがゲート内でゲートに衝突したため、ドクターチェックを実施いたします、出走までもうしばらくお待ちください』

 

どよめくスタンド

 

(なんや?なにが起こってる?……なんやこの空気!)

 

スズカ『……』

 

 

・・・・・・

 

 

実況『さぁ、どうやらメジロブライトのドクターチェックが終了したようです』

 

実況『メジロブライトはこのまま出走するようですね』

 

実況『さあ、スターターが再び旗を振ります!』

 

歓声『わああああああああああああああああ!』

 

実況『場内スタンドは騒然としております!ものすごい歓声!』

 

実況『そして、あっと!これはメジロブライトは外枠に変更されたようです!』

 

実況『メジロブライトは外枠発走!』

 

実況『さあ!今度はスムーズに全13人ウマ娘、ゲートイン完了!』

 

実況『騒然とした中……G1宝塚記念……』

 

『……』

 

ガシャン!

 

実況『今っ!スタートです!!』

 

実況『まずまず揃ったスタート!メジロブライトもスムーズにスタートしています!』

 

実況『さあ、サイレンススズカがいこうというところ、今日も静かにスーッと先頭へいけるのか!?』

 

実況『まだそれほど離れてはいません、内からメジロドーベルでありますが……』

 

実況『ようやくこのあたりでサイレンススズカがハナに出てきました!』

 

 

(そうやな……サイレンススズカやもんな……この相手でも逃げるよな……)

 

 

実況『現在先頭はサイレンススズカ!2番手にはメジロドーベル!』

 

実況『エアグルーヴは7番手あたりといったところか、そしてその後ろ、内につけているステイゴールド!』

 

実況『メジロブライトは後ろから2番目といった展開!』

 

実況『13人のウマ娘たちが縦長になって、さあ第2コーナーに入っていく!』

 

 

ドーベル(やっぱり速い!このままついていくのは……!)

 

グルーヴ(スズカをいかせすぎては……差し切れなくなるか)

 

ステゴ(まだだ……まだ、いい……)

 

スズカ(……)

 

 

実況『いま1000mを通過!タイムは58秒台!』

 

 

『速い……!』

 

(1000m58秒台はハイペース!……いつものスズカやけど……)

 

(やっぱり他のウマ娘たちも速い!)

 

(……差が!そこまで……)

 

 

実況『さあ、先頭は一番人気!一番たくさんの人が夢を乗せたサイレンススズカが先頭です!』

 

実況『その差は7バ身くらいか!』

 

 

ステゴ(ふふ……行き急ぐなよ……スズカ!)

 

グルーヴ(!?)

 

グルーヴ(早めに仕掛けてきたかっ!?)

 

ドーベル(いついくの?……いつ……しかければ!?)

 

スズカ(……このまま!)

 

 

実況『サイレンススズカが一人飛ばして、後続12人は固まった』

 

実況『さあ、第3コーナー手前少しずつ差が縮まってきた!縮まってきた!』

 

実況『今日はそれほど大逃げではありません!それほど大逃げではありません!』

 

実況『第3コーナーサイレンススズカの気合いはどうなんだ!』

 

 

(……この面子相手に大逃げはできへんか……)

 

(……スズカ!)

 

(頼む……)

 

(無事に……帰ってこい……)

 

 

実況『まもなく第4コーナー!後続は差を詰めてきた!差を詰めてきた!』

 

実況『ああっと!メジロブライトはシンガリだ!メジロブライト大ピンチ!!』

 

実況『最終コーナー立ち上がって最後の直線!先頭はサイレンススズカ!』

 

実況『しかし!ステイゴールドがきた!ステイゴールドが差を詰めてきた!』

 

ステゴ(いくぞ!……スズカ!)

 

スズカ(……きてる……!)

 

ドーベル(……速い!……全然ペースが落ちてこない!?)

 

グルーヴ(……ここからだ!!)

 

実況『残り200m!先頭はサイレンススズカ!ステイゴールド必死の追い上げ!』

 

実況『そして外からはエアグルーヴ!外からエアグルーヴが物凄い追い上げ!』

 

実況『残り100m!先頭はサイレンススズカ!サイレンススズカ!』

 

スズカ(先頭の景色は譲らないっ!!)

 

スズカ『やああああああーーっ!!』

 

ステゴ(まだ見ぬ景色のその先へ!!)

 

ステゴ『はああああああーーっ!!』

 

グルーヴ(いくぞ!サイレンススズカ!!)

 

グルーヴ『はあぁぁぁぁーーっ!!』

 

 

実況『先頭はサイレンススズカ!外からエアグルーヴ!ステイゴールド!』

 

実況『ステイゴールド!エアグルーヴ!差せるか!差せるか!』

 

実況『先頭はサイレンス!サイレンススズカ!』

 

実況『ステイゴールド届くか!エアグルーヴ届くか!届くか!』

 

実況『サイレンススズカだ!サイレンススズカ逃げ切ったー!!ゴーールっ!!』

 

実況『2着はステイゴールド!3着にエアグルーヴ!』

 

実況『サイレンススズカ!結局逃げ切った!!』

 

 

『……はぁ~~……っ』

 

『……よ……かったぁ~……』

 

『はは……はははは…………よしっ』

 

 

・・・・・・

 

 

阪神レース場 ウィナーズサークル

 

 

スズカ『トレーナーさん!』

 

『スズカ……』

 

スズカ『先頭の景色、見えました』

 

『……うん、おめでとう』

 

スズカ『約束、覚えてますか?』

 

『……約束?……あ!写真っ!』

 

スズカ『はい♪』

 

『撮る!めっちゃ撮る!』

 

スズカ『一枚だけです』

 

『えぇ~~っ!?』

 

スズカ『ふふっ……ライブの後なら、もう一枚だけ』

 

カシャッ……

 

 

・・・・・・

 

 

そして、スズカはウイニングライブのステージへ向かっていった

 

春のグランプリを勝った、今日の主役として

 

(……G1ウマ娘、サイレンススズカ)

 

眩しいステージの上で、スズカが笑う

 

俺は震える手で、スマホを構えた

 

『……最速の機能美、G1バージョンやな』

 

カシャッ……

 

この一枚も記録と記憶に残して……

 

 

 

パラッ

 

 

 

 

 

ー1章ー007話   あなたと私の、ゆずれない夢の途中   完




第7話『あなたと私の、ゆずれない夢の途中』

今回は、スズカにとって初めてのGⅠ制覇となる宝塚記念を描きました!

勝ってほしい。でも、何より無事でいてほしい――。

史実を知る片桐にとって、スズカの走りを見守ることは、喜びと怖さが常に隣り合わせなのだと思います。

ステイゴールド、エアグルーヴとの激しい競り合い。そして“先頭の景色”の先で果たされた写真の約束まで、楽しんでいただけたなら嬉しいです。

ひとつの夢は叶いました。

けれど、二人の物語はまだ「夢の途中」です。

次回、第8話は8月19日(水)19時公開予定です!

第6話・第7話の裏話やネタ解説を収録した「KUROXの駄馬なし 第3走」は、8月17日(月)7時公開予定です!

【X】
https://x.com/utsupapa_2021

【note|告知・裏話・ネタ解説】
https://note.com/kurox_1200

次回もよろしくお願いします!
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