【ウマ娘if】転移した俺は、トレセン学園で運命に抗う   作:KUROX

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ー1章ー008話

 

 

 

移動中 バス車内

 

(宝塚記念を走り終え、翌朝トレセン学園に戻ったワシたちは、その日の午後にはもうバスに揺られ)

 

(一路、夏合宿所へと向かっていた)

 

(なかなかの弾丸スケジュール…… )

 

(宝塚記念終了後、宝塚で一泊、翌朝一番の新幹線でトレセン学園へ……)

 

(その日の午後一で出発する合宿所行きのバスに飛び乗ったって訳やな)

 

(レース後やし、休養を取ってから夏合宿に向かう案もあったんやけど)

 

(せっかくなら、合宿所で休養を取ろうという話になったんや)

 

『しっかし、ガラガラだな』

 

スズカ『静かでいいじゃないですか』

 

(夏合宿は7月から始まってる、ワシらのようにレース日程の関係で遅れて合流する組しか乗っていないバスは予想以上に空いていた)

 

(おかげでバスの最後部座席で、ゆったり移動できてるしええんやけど……)キョロキョロ

 

(宝塚組はエアグルーヴだけか……トレーナーは……ワシだけ……トレーナー不足はまだまだ継続中ですか……)

 

(今のトレセン学園トレーナーは複数担当を持っているのが当たり前……)

 

(夏合宿中の今、トレーナーはレース同伴が終わったら即、合宿所にとんぼ返りらしい)

 

(なんとも忙しないことやが……)

 

(実はワシのところにもスズカの金鯱賞が終わった直後に、新しい担当をお願いできないか?)

 

(と、学園側から要請があったんやが……もちろん丁重にお断りした)

 

(いや、全然無理だから!スズカだけでもワシのキャパオーバーやし!無理すぎ!)

 

(もちろんスズカが手のかかる娘って訳ではない、ワシの能力の問題やな……アハハ)

 

『……ん?』チラッ

 

スズカ『スー……スー……』

 

(いつの間にか寝ちゃってたか……)

 

(まぁ、あんなレースをした直後にこの長距離移動やもんな無理もない)

 

(……しかし、スズカの寝顔……初めて見るな……)

 

スズカ『スー……スー……』

 

(ふふっ…寝てる時も静かやな……)

 

ガコンッ

 

『うおっと』

 

スズカ『!……スー……スー』こてん

 

『!!』

 

(バスが揺れた反動で……スズカの頭がワシの肩に……もたれ掛かって……) 

 

スズカ『スー……スー……』

 

(こんなにぐっすり寝てるスズカを起こしてしまうのは忍びない……)キョロキョロ

 

(まぁ、人も少ないし……誰が見てるわけでもないから、このままでええか……)

 

スズカ『スー……スー……』

 

(……ホンマにお疲れさん……G1……おめでとう……)優しくスズカの頭を撫でる

 

スズカ『スー……スー……フフッ……スー……スー』

 

(笑ってる?夢の中でも走ってるんか?……ハハハ)

 

(……)

 

(……あかん……スズカの寝顔見てたら……ワシも……)

 

(……)

 

『……ぐー……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

???『……おい……起き……』

 

???『……に……着いた……起きろ……』

 

エアグルーヴ『起きんか!たわけっ!』

 

『うおっ!』びくっ!

 

グルーヴ『いつまで寝ているつもりだ?合宿所に着いたぞ』

 

『……エアグルーヴ?』

 

グルーヴ『……それに……なんだその寝方は……ギロッ』

 

『……へ?』ちら

 

スズカ『スー……スー……』片桐の腕にしがみつく様にして寝ている

 

『んんんーーーーっ!!』  

 

『スズカ!……スズカ!……着いたよ!起きて!』 

 

スズカ『んー……もう走れませ~ん……ムニャムニャ……』

 

(いや!そこは普通“食べれません”やない!?)

 

『スズカちゃ~ん!合宿所着きましたよー!起きようねー!』 

 

スズカ『んー……』

 

スズカ『ん?……トレーナーさん?』

 

スズカ『……あら?エアグルーヴも』

 

スズカ『おはようございます』

 

『うん……おはよ』 

 

グルーヴ『じーっ……』睨んでる

 

『スズカ……とりあえず……腕、離してもらってもいい?』 

 

スズカ『はい?』

 

スズカ『あ!ごめんなさい……すごく寝心地がよくて……』 

 

グルーヴ『スズカ……前にも言ったが、お前はもう少し人に対する警戒心を……』

 

スズカ『トレーナーさんだけですっ!』

 

グルーヴ『っ!?』

 

『え!?』

 

スズカ『……あ』

 

スズカ『……////』 

 

グルーヴ『……ふぅ……ともかく、もう皆バスを降りている、お前らも早くしろ』

 

『はい』

 

スズカ『え……ええ……////』

 

グルーヴ『……片桐トレーナー』

 

『は……ひゃいっ!』

 

グルーヴ『キッ!』睨む

 

『……ヒィッ』 

 

グルーヴ『……』スタスタスタ……

 

(えぇぇぇ~!?せめてなんか言ってぇ……)

 

(無言のプレッシャーが一番怖いよぉぉ……)

 

『い、行こうか?』

 

スズカ『は……はい……////』

 

 

・・・・・・

 

 

合宿所前

 

『じゃあ一旦ここで解散で、この後は自由時間だから』

 

スズカ『はい』タッタッタッ……

 

(ふー、ワシも自分の部屋に荷物置きにいこか……)

 

てくてくてく

 

(あ……そういえばトレーナーも相部屋だっけ……)

 

てくてくてく

 

(うぅ~……一人の方が楽やのにぃ~……団体行動苦手) 

 

てくてくてく

 

(……誰と一緒やったっけ?……確認してくるの忘れたわ)

 

てくてく……ピタッ

 

(……ここやな……ゴクッ)

 

コンコンコン……

 

???『はい……どうぞ』めっちゃ低いイケボ

 

『ぅ……失礼します……』ガチャ

 

『っ!?』

 

???『初めまして、片桐トレーナー』ゴゴゴゴゴゴ……

 

(黒沼……トレーナーっ!!?)

 

黒沼『片桐トレーナーのような方とご一緒できて光栄です』cv.黒田崇矢

 

黒沼『よろしくお願いします』ペコッ

 

『いやいや!こちらこそお願いします!』

 

(やば!圧つよっ!めっちゃ礼儀正しい!めっちゃマッチョ!そして裸ジャージっ!)

 

黒沼『トレーニングの途中ですので、失礼します』ペコッ

 

ガチャ

 

『あ、はい……いってらっしゃい……』

 

『……』

 

『存在に圧倒されてしまった……』 

 

(けど、黒沼トレーナーやったら無口やし……意外と快適かも……?)

 

(それに、“過去のワシ”のお陰で……ワシ先輩みたいやし……しかし、黒沼トレーナー……)

 

『めっちゃ体育会系だな』

 

『さて、荷物片したら……何しますかね~……自由時間だし、夕飯まで散策でもしますか』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

合宿所 食堂

 

 

『夕飯はバイキング形式か……』

 

(あれと……これと……)

 

(なんでバイキングって元取ろうと考えちゃうんやろな?)

 

(ま、合宿は無料やし、多すぎず……)

 

『ま、こんなもんか……席は……』キョロキョロ

 

スズカ『トレーナーさん!ちょいちょい』小さく手を振る

 

『お!スズカ』てくてく

 

『ご一緒してもよろしいですか?おじょ……ぅ……さ……ん』

 

グルーヴ『ギロっ』

 

スズカ『もちろん、どうぞ♪』

 

『やっぱり……他の席にしようかなぁ……』 

 

スズカ『えぇ!?』

 

グルーヴ『……さっさと座れ』

 

『はい!』

 

(……ご飯……喉通るかなぁ~……?)

 

スズカ『そうだ、トレーナーさん……明日はもう予定決まってますか?』

 

『もぐもぐ……え?……いや、特には何も決まってないけど……』

 

(明日・明後日は休養日に当てている、本格的なトレーニングは3日後からや)

 

スズカ『じゃあ、一緒にプール行きませんか?』

 

『プ、プール!!』

 

グルーヴ『……鼻の下が伸びているぞ、トレーナー』

 

『……ふんがっ!?』

 

スズカ『合宿の案内で見たんですけど近くのプールが、学園関係者なら無料で利用できるみたいなんです♪』

 

(旅行効果か?スズカいつもよりテンション高いな……)

 

『プ、プールねぇ……もう何年も行ってないから……たまにはいいかもね』

 

スズカ『ふふっ…じゃあ、決定ですね♪エアグルーヴも一緒にどう?』

 

グルーヴ『私は遠慮しておく』

 

スズカ『え?エアグルーヴも明日はお休みでしょ?』

 

グルーヴ『確かにそうだが、生徒会の仕事もある、副会長として合宿所を空けるわけには……』

 

???『たまにはいいんじゃないか?エアグルーヴ』

 

『もぐもぐ……んぐっ!?』

 

(トレセン学園生徒会会長!皇帝シンボリルドルフ!)

 

シンボリルドルフ『レース後の休養だろ?エアグルーヴ』cv.田所あずさ

 

ルドルフ『生徒会の仕事は任せてゆっくりしてくるといい』

 

グルーヴ『ルドルフ会長……しかし……』

 

ルドルフ『一張一弛だよ、エアグルーヴ、休むこともまた務めのひとつだ』

 

スズカ『ほら、会長さんもこう言ってることだし……』

 

グルーヴ『……わかりました……それでは明日は休養を頂きます』

 

ルドルフ『うん、それがいい……それに……』チラッ

 

『ッ!?』

 

ルドルフ『優秀な引率者もいるようだし、安心だ』

 

(え?優秀な引率者ってワシのこと?) 

 

ルドルフ『お初に目にかかる片桐トレーナー、生徒会長をやらせてもらっているシンボリルドルフだ』

 

『あ!えっと……片桐です』ガタッ 立ち上がる

 

ルドルフ『噂はかねがね聞いている、明日はエアグルーヴのこと、よろしく頼む』

 

『いや、こちらこそ……』

 

ルドルフ『少し不器用なところはあるが……これで可愛いところもあるんだ』

 

グルーヴ『会長!』

 

ルドルフ『ははは……これ以上食事の邪魔をしてはいけないな……私はこれで失礼するよ』

 

(やば、圧……ってより、オーラえげつなかったな、つい立ち上がってもうた)

 

ルドルフ『しっかり休むんだぞ、エアグルーヴ!』

 

グルーヴ『早く行ってください!』

 

スズカ『ふふふっ……これでエアグルーヴも決定ね♪』

 

グルーヴ『会長にあそこまで言われてはしょうがない……』

 

『もぐもぐもぐもぐ……』

 

グルーヴ『……優秀な引率者ね……』チラッ

 

『もぐもぐもぐもぐ……ん?』

 

スズカ『ふふふっ……楽しくなりそうね♪』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌朝 合宿所前

 

『あっつぅ~もう真夏だな……』

 

スズカ『絶好のプール日和ですね♪』

 

グルーヴ『熱中症には気をつけるんだぞ』

 

マチカネフクキタル『開運っ!快晴っ!花丸大吉ですっ!!』

 

『……』

 

『ん?』

 

『フクキタル?』

 

フクキタル『はい!』

 

『なんで?』

 

フクキタル『はい?』

 

スズカ『合宿所でも同室だったから、フクちゃんも誘ったんです』

 

グルーヴ『たまたま、今日が休養日だったらしい』

 

『なるほろ』

 

フクキタル『これはもう運命!いえ、天命!大吉方位に導かれしプール日和なのですっ!』

 

『じゃあ、同期三人組で行きますか!』

 

スズカ『はい♪』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

室内プール施設

 

(男の身支度は早い、水着に着替えスズカたちを待ってる訳やが……)

 

(結構、ええ施設やん、室内やし、ウォータースライダー、流れるプール、50mプールもあるし)

 

(なんならトレーニングにも使えそうやな)

 

(……)ドキドキ……

 

(……べ……別にぃ……変な期待とか?……してへんしぃ?……)ドキドキ……

 

・・・・・・

 

スズカ『お待たせしました、トレーナーさん♪』

 

『いや、それほど待って……!!?』

 

(こ……これはっ!!?)

 

(波間のエメラルド!サイレンススズカ!そのまんまやないかぁ~い!)

 

(淡いエメラルドグリーンのビキニに、腰に巻いた同じ色のパレオ、髪もアップにしてお花の髪飾りまでつけちゃってぇ~♡)

 

(アカン!これはアカン!直視したら死ぬ!萌え死ぬ!)

 

グルーヴ『目が泳いでいるぞ、片桐トレーナー』

 

『プールだけに?ってか……?』

 

『!!?』

 

グルーヴ『……また、たわけたことを……』

 

(ぐっはぁっ!こっちも〇す気マンマンやぁ~~ん!!)

 

(Seaside Bloom エアグルーヴ)

 

(白地に黄色い花柄ビキニ、こちらも腰から黄色の花柄パレオ、髪型もアレンジしていて、いつもより大人な雰囲気✨)

 

(これで学生!?いいのか!?何かしらの法に触れてないか!?大丈夫か!?)

 

フクキタル『本日の私は開運水着仕様!この身に宿るラッキーオーラで、プールの水運すら味方につけてみせましょうっ!』

 

(フクちゃんもきゃわいい♪)

 

(黄色のワンピース水着、胸元と腰のあたりに大きめフリルがついてて実にフクちゃんらしい☆)

 

(しっかし……)ちらっ……

 

グルーヴ『ん?』どどんっ!

 

フクキタル『ふんふん♪』どんっ!

 

スズカ『♪』すん……

 

(スズカって……おしとやか……)

 

(だがっ!それがイイッ!!)

 

グルーヴ『今、なにかとても嫌な視線を感じたのだが……ギロッ』

 

『さてと……何して遊ぼうかなぁ~~……♪』 

 

スズカ『……じーっ……』✨

 

『ん?どうかした?スズカ?』

 

スズカ『この直線……』

 

『あぁ、50mプールあるからね、プールサイドも長いね』

 

スズカ『……とっても走りやすそう……』

 

『はい?』

 

スズカ『ちょっと私走っt……』

 

グルーヴ&片桐『ガシッ!』それぞれに肩をつかまれるスズカ

 

グルーヴ『プールサイドは!』

 

『走ってはいけません!』

 

スズカ『……はい』 

 

フクキタル『カイウンッ!カイウーン!!』ザババババっ……

 

『んあ!?』

 

グルーヴ『こらっ!フクキタルっ!流れるプールを逆泳するんじゃないっ!』

 

フクキタル『ちょわー!ごめんなさぁ~い!』

 

『あっははぁ……賑やかなこと……』 

 

 

・・・・・・

 

 

フクキタル『やりましたねぇ!?スズカさんお返しですぅ!』ザッバーン!

 

『……』 

 

スズカ『きゃっ!私だって……負けないわよっ!』ザッババーン!

 

『……』 

 

フクキタル『ぐぼはぁっ!なかなかやりますね!』

 

(水かけっこって……あんなスケールだっけ?……水柱立ってるんですけど?) 

 

グルーヴ『お前ら!周りの人の迷惑にならないようにしろっ!』

 

スズカ&フクキタル『はぁーい……』

 

グルーヴ『まったく……』

 

『……』

 

『エアグルーヴは混ざらなくていいのか?』

 

グルーヴ『あいつらから目を離したらどうなると……?』

 

『俺が見てますけど?』

 

グルーヴ『……ぅ』

 

『エアグルーヴって……休むの苦手?』

 

グルーヴ『!』

 

グルーヴ『そ……そんなことはない!私だって一人の時はしっかり……』 

 

『一人の時だけじゃ、休むのが上手いとは言わないんじゃないか?』

 

グルーヴ『……む』

 

『誰かと一緒に、何も考えずに遊ぶのもいい気分転換だと思うけどね』

 

グルーヴ『……しかし』

 

『同期三人組だろ?これほど心を許せる友達はいないんじゃないか?』

 

グルーヴ『……』

 

『一張一弛!』

 

グルーヴ『!?』

 

グルーヴ『……それは昨夜の会長の……』

 

『張る時は張って、緩める時は緩める!』

 

『厳しくするだけじゃなく、時には休ませることも大事!』

 

『自分のこともね♪』

 

グルーヴ『……』

 

フクキタル『エアグルーヴさぁ~ん!一緒にウォータースライダーいきましょぉ~!』

 

『……』チラッ

 

グルーヴ『……////……貴様に言われたからではないからなっ……』

 

グルーヴ『すぐに行くっ』タッタッタッ……

 

『ふふふ……若いうちは遊ばないと……ね』

 

スズカ『ふふっ…なんだかおじいさんみたいなこと、言ってますね?トレーナーさん♪』

 

『おやおや、こりゃうちの可愛い孫娘じゃないかね』

 

スズカ『ふふふっ……ホントにおじいさんみたい♪』

 

『さすがにまだ、おじいさんは言い過ぎなんじゃないか?スズカさん?』

 

スズカ『ふふっ…トレーナーさんも泳ぎましょうよ!』

 

『……え?』 

 

スズカ『ニコニコ』✨

 

『俺は……優秀な引率者として監視してないといけないから……』 

 

スズカ『トレーナーさんもしかして……泳げないんですか?』

 

『っ!?は、はあ!?……全然泳げるし!……むしろ得意だし?』

 

スズカ『じゃあ、いきましょっ!』

 

『見せてやんよ!府中のトビウオと呼ばれた俺の泳ぎをっ!』

 

スズカ『?』

 

スズカ『……府中に海は無いですけど?』

 

『こ、言葉のあやだよ』 

 

・・・・・・

 

『……ぷかぁ~……』

 

スズカ『ふふっ…私の勝ちですね♪』ドヤァ✨

 

(いや、全然相手にならへんやんけ……おっちゃんもう死にそうなんですけど?)

 

(ウマ娘恐るべし……)

 

グルーヴ『スズカ、片桐トレーナーそろそろ昼食にしないか?』

 

フクキタル『お腹がペコペコですっ!』

 

ザッバ~

 

『そうだな、売店でなにか買ってくるか』

 

 

・・・・・・

 

 

『もぐもぐもぐ……』

 

フクキタル『もぐもぐ……そういえばスズカさんのトレーナーさんを占ったことなかったですね?』

 

『もぐもぐもぐ……占い?』

 

フクキタル『もぐもぐ……はい!シラオキ様の大変為になるお告げ付きですぅ!』

 

『もぐもぐもぐ……当たるの?』

 

フクキタル『もぐもぐ……もちろんですっ!当たるも八卦、当たらぬも八卦!つまり、だいたい当たります!』

 

『もぐもぐもぐ……チラッ』スズカとエアグルーヴを見る

 

スズカ『えっと……フクちゃんの占いは、不思議と当たることもあります』

 

グルーヴ『……時々な』

 

『もぐもぐもぐ……じーっ……』

 

フクキタル『な、なんですか!その目はぁっ!?』 

 

『もぐもぐもぐ……じとぉ~っ……』

 

フクキタル『むむむっ!その疑いの眼差し……見過ごせません!こうなったら今すぐ占って差し上げますっ!』

 

『え!?別にいいよ!占い“なんて”!』

 

フクキタル『なんて!?今、占い“なんて”と言いましたね!?』

 

『あ……いや、そんなこと言ったかなぁ~……?』 

 

フクキタル『こうなったら、シラオキ様の名にかけて証明してみせます!特別大サービス!』

 

フクキタル『開運水晶占いですっ!』

 

『水晶!?』

 

フクキタル『はいっ!』ごそごそ……

 

水晶『キランッ✨』

 

『……え?今、どこから出したの?』

 

フクキタル『細かいことを気にしてはいけません!運気が逃げますよっ!』

 

(なんでもありやな……) 

 

フクキタル『ではでは……片桐トレーナーさんの運命、しかと見定めてしんぜましょう……!』

 

フクキタル『シラオキ様、シラオキ様……開運、招福、未来照覧っ!』

 

(どんなまじないやねん)

 

フクキタル『!?』

 

フクキタル『……はえ?』

 

『はえ?』

 

スズカ『どんな占いが出たの?』

 

フクキタル『……片桐トレーナーさんの……未来を占ったのですが……』

 

『……ゴクッ』

 

フクキタル『……なにも見えません……』

 

フクキタル『真っ暗です……』

 

スズカ『……真っ暗……』

 

『あれぇ~……?シラオキ様故障ですかぁ~……?』←占いとか信じない人

 

フクキタル『故障とはなんですか故障とはっ!?シラオキ様は占いマシーンではありませんっ!』

 

『ごめん、ごめん!今のは俺が悪かった』 

 

フクキタル『まったくもう!片桐トレーナーさんは信心が足りません!圧倒的に足りませんっ!』

 

『なはは……反省します』 

 

(未来が見えて、神様が救ってくれんのやったら、とうになんとかなってるねん……ワシの人生……)

 

『じゃあ、午後はなにをしますか?』

 

スズカ『私、ウォータースライダーまだ乗ってないんで一緒に行きましょ?トレーナーさん♪』

 

フクキタル『でしたら!我々ももう1度行きましょう!エアグルーヴさん!』

 

グルーヴ『ああ、いいぞ』

 

『……』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

夕方 合宿所前

 

『はい、到着!』

 

スズカ『結局丸一日遊んじゃったわね』

 

グルーヴ『うむ、あっという間だったな』

 

『ウォータースライダーでフクキタルが妙な開運ポーズのまま滑り落ちてたのは、あれなんだったの?』

 

フクキタル『あれは開運招福・水運上昇フォームですっ!なお、着水後のことはシラオキ様のみぞ知る仕様ですっ!』

 

『スズカも流れるプールの流れに合わせて、なぜか真剣にフォームを確認し始めたり』

 

スズカ『あれは、なんというか……つい』 

 

グルーヴ『はしゃぎすぎなんだお前らは……』

 

『あらぁ?けど、なんだかんだ一番楽しんでいたのはエアグルーヴさんじゃなくってぇ~?』

 

グルーヴ『……ぅ……否定はせん……』

 

『みんな、気分転換ができたならなによりです♪』

 

『それじゃあ、解散!』

 

フクキタル『それじゃあ、お部屋に戻りましょう!スズカさん!』

 

スズカ『ええ、トレーナーさん……また』

 

『はい!おつかれさん!』

 

グルーヴ『私は一度生徒会の方に顔を出してから帰る』

 

『休養日なのに?』

 

グルーヴ『だからだ、会長たちに礼をしておかないと』

 

『休みの日はしっかり休む!それも務めだ!……ってルドルフなら言いそうだけど……』

 

グルーヴ『……ぐっ』

 

『お礼は明日でも言えるだろ?今日はしっかり休んだら?』

 

グルーヴ『……』

 

グルーヴ『……そうだな、私も今日は少しハシャいでしまったようだし……』

 

(少し?)

 

グルーヴ『なんだ?』ギロッ

 

『いいえ!なんでも!!』 

 

グルーヴ『おとなしく休むとしよう……』

 

『うん、お疲れ様♪』

 

グルーヴ『……片桐トレーナー、今日は世話になった、ありがとう』

 

『なにもしてませんよ、俺は』

 

グルーヴ『……ふっ』タッタッタッ……

 

『さてと、俺も部屋に戻るか……』

 

(いやぁ~四十路にプールはしんどいわぁ~……明日身体バキバキちゃうか……) 

 

ガチャッ

 

黒沼『おかえりなさい、片桐トレーナー』ペコッ

 

『あぁ……ただいまですぅ~……』

 

(しっかり、休めるかなぁ~……) 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日(休養日2日目) 合宿所前・・・の木陰

 

(ふふふ…ふはははっ……はーはっはっはっ……ついに……ついに来たぞ!この時がっ!!)

 

(ウマ娘“超”耐性ミッション!出張編!!in夏合宿!!!)

 

(長かった……長かったぞ……4話で新時代の扉を開いてから……もう8話……)

 

(トレーニングとレースの連続でそんな暇はなかった……くぅ~っ)

 

(だが、しかぁーしっ!今は夏合宿!次のレースまで時間はたっぷりあるっ!!)

 

(今やらないでいつやるの!?今でしょっ!!)

 

(砂浜を見渡せばスクール水着に身を包んだ、ウマ娘たちが……あちらにも……こちらにも……)

 

(正にウマ娘“超”耐性ミッションにうってつけではないか!?)

 

(海岸にサングラス!正にベストマッチ!カモフラ率も急上昇や……マスクは暑いけど) 

 

(さて、それではじっくり……)

 

???『もしかして、片桐トレーナーですか?』

 

(って、またまた早速バレテーーーーーラッ!!)

 

『誰やねん!ワシの邪魔する奴はっ!!』くわっ!

 

???『うわぁっ!ごめんなさい、お姿を見かけて、つい声をかけてしまって……』

 

(ん?南坂トレーナー!?)

 

南坂『尊敬する、片桐トレーナーだと思ったら……つい……』cv.古川慎

 

『ほほう……尊敬とは……南坂くんなかなか見る目があるね』

 

南坂『僕のことご存じなんですか!?光栄です!』

 

(あ……ウマ娘オタク出ちゃった……) 

 

『ま、まぁ君も頑張ってるみたいだからね……名前……くらいは……』

 

南坂『ところで片桐トレーナーはこんなところで何を?』

 

『え!?』 

 

(スク水姿のウマ娘見て耐性強化しようとしてました、とは言えんやろぉぉ!)

 

『ん?まぁ、あれだ……今日は休養日だから、いろんなウマ娘たちの走りを見て』

 

『スズカの走りに、何か役立つものがないかと思ってね』

 

(嘘は言っていない……多分……)

 

南坂『さすがは片桐トレーナー!休みの日まで研究をかかさないとは!勉強になります!!』

 

『いやいや、私なんかまだまだだよ……それじゃ私は行くよ……』いそいそ

 

南坂『あ!片桐トレーナー!』

 

『……はい?』びくっ

 

南坂『今日お休みなんですよね?』

 

『ん?……まあ……』

 

(そこはかとなく嫌な予感が……)

 

南坂『よかったら少しだけでもうちの娘たちを見てもらえませんか?』

 

『なっ!?』

 

(南坂トレーナーのチームと言えば……)

 

(チームカノープスッ!!)

 

『そ……それは……どうだろうか……?お邪魔になるんじゃ……』

 

(やばいやばいやばい……チームカノープス?しかも合宿所で水着!?)

 

(耐えれるか?耐えられるのか?耐えちゃうのか!?)

 

南坂『お邪魔なんてとんでもない!是非お願いします!!』

 

『……ぅん~』

 

(だめだめだめだめ、無理だと思いまぁーっす!)

 

(……ここは一旦退避を……)

 

???『こらー!ターボ!準備手伝えー!!』

 

???『へへーん、ターボが一番乗りなんだー!!』

 

『っ!!?』

 

(って、もう来ちゃってるよ……) 

 

ツインターボ『ターボ、一番乗りーっ!!』cv.花井美春

 

ナイスネイチャ『いやいや、集合場所に一番乗りしてどうすんのよ……準備まだ終わってないでしょ』cv.前田佳織里

 

マチカネタンホイザ『むんっ、今日も元気いっぱいだねぇ』cv.遠野ひかる

 

イクノディクタス『元気なのは結構ですが、まずは点呼を済ませましょう』cv.田澤茉純

 

サウンズオブアース『ふむ……この潮風、実に良い響きだ、今日の海は、軽やかなアレグロを奏でているね』cv.MAKIKO

 

ロイスアンドロイス『夏合宿、海、そしてトレーニング……これは記録に残すべき一日になりそうですね』cv.田辺留依

 

ターボ『ん?トレーナー、誰だこのおじさん』

 

南坂『こ、こら!この人はあのハイセイコーを担当していた片桐トレーナーだよ!』

 

『ど、どーもー片桐でーす』空を見上げている

 

ロイス『あの!アイドルトレーナーこと片桐トレーナー!?』びゅん!

 

ロイス『どうも初めまして片桐トレーナー、私ロイスアンドロイスと申します、片桐トレーナーのお噂はかねがね伺っております、是非!一度お会いしたいと思っておりました!聞くところによると片桐トレーナーはまだ担当がサイレンススズカさんお一人のみとのこと、どうでしょうこのあたりでメガネをかけた新しい担当を加えてみるのは?』

 

ネイチャ『お~い、ロイスー、早速自分売り込んで、カノープス裏切ろうとすんなー』

 

イクノ『あのハイセイコーを育てた片桐トレーナーのプロデュース力に惹かれるのは分かりますが……』

 

マチタン『ねぇねぇ、片桐トレーナーさん、なんでさっきからずっとお空を見上げてるの?』

 

アース『ふむ……空を見上げるその姿、まるで逃避のアリアを奏でているようだね』

 

ロイス『もし!メガネが不要でしたら、こんなものはポイッといたしまして!』

 

ネイチャ『ロイスー、メガネキャラのプライドはないのかー?』

 

イクノ『そうですか、メガネはない方がいいのであれば私も外したほうが……』

 

マチタン『イクノはそのままの方がいいと思うよぉ~』

 

ターボ『いつまで空を見上げてるんだ?片桐トレーナー!』えいっえいっ

 

アース『ふむ……逃避のアリアに、無邪気な打楽器が加わったね』

 

南坂『みんな!一度整列して、今日は特別に片桐トレーナーにトレーニングを見てもらうことになったんだ』

 

ロイス『千載一遇のチャーンス!ほら!みんな早く整列して!』びゅん!

 

ネイチャ『……現金なやっちゃ……』

 

……ズラリ

 

南坂『それでは最初に片桐トレーナーから一言頂きます……』

 

南坂『片桐トレーナーお願いします』

 

『ぐ……ぐ……ぐ……ぐ……』少しずつ、顔を下ろしている

 

『……っ!!!??』

 

(どっきゅーーーーーーん♡♡♡♡♡♡!)

 

(チームカノープスっ!全員スク水っ!!!)

 

 

(……これは……アカン)

 

ばたんっ!

 

南坂『片桐トレーナーッ!?』

 

ターボ『はっはっはっ!面白いトレーナーなんだ!』

 

ネイチャ『いやいやいや!?挨拶する前に倒れるトレーナー初めて見たんだけど!?』

 

ロイス『なるほど……片桐トレーナーは第一印象から記録に残るタイプ……さすがです!』

 

イクノ『感心している場合ではありません、まずは救護です』

 

マチタン『片桐トレーナーさんがぺたーんってなっちゃいましたぁ!?』

 

アース『ふむ……開幕直後のクライマックス、実に前衛的な構成だね』

 

 

 

ウマ娘超耐性ミッション!出張編in夏合宿!!

 

【完・全・敗・北】ミッション失敗!

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

合宿所 救護室

 

『軽い熱中症……らしいです……』 

 

スズカ『一人で何をしていたんですか?』むぅ

 

『走りの研究を少々?……』 

 

スズカ『……ムスーッ』

 

(ちょっとスズカの好感度が下がったような気がした……) 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

夜 合宿所近くの海岸

 

『フーーーーッ……』

 

(昼の喧騒から一変、夜は静かなもんやな……)

 

(合宿所はもちろんのこと、トレセン学園の敷地内、公共施設の全てが禁煙の昨今)

 

(久しぶりの喫煙のため一人、夜の海岸で紫煙をくゆらすワシ……う~ん大人)✨

 

(……しかし、昨日の占い……)

 

(フクキタル『……なにも見えません……真っ暗です……』)

 

(占いなんて信じる質ではないけど……)

 

(……ワシの人生お先真っ暗ってか?)

 

(……)

 

???『……片桐トレーナー……』

 

『!?』

 

『……マンハッタンカフェ』

 

カフェ『……こんばんは……』

 

『こんな時間にどうしたの?』

 

カフェ『……実は……トレーナーさんにお伝えしたことがあって……』

 

『俺に?……伝えたいこと?』

 

カフェ『……はい、お友達から……』

 

(カフェの友達!?あの、カフェだけが感じ取れる幽霊みたいなやつか!?)

 

カフェ『……おかしなことを言っていると思って頂いても構いません……』

 

カフェ『……でも、以前お会いした時からずっと、トレーナーさんを見かける度、この子が騒がしくって……』

 

『……で?……お友達が伝えたい事って?……』

 

カフェ『……はい、一言だけ……』

 

『……』

 

カフェ『【世界の修正力】からは逃げられない』

 

『!?』

 

カフェ『と、それだけです……』

 

(世界の修正力?なんのこと……っ!?)

 

(ズキンッ!)

 

(まさか……?)

 

『カフェ!君は何か知っているのか!』

 

カフェ『……?』

 

『この世界が!……俺がい……ッ!!』

 

ズキンッ!

 

『カッ!……ぁ……ゥ……』

 

カフェ『トレーナーさん!どうされました!?』

 

『ア……ガ…………ふ、ふぅ……ふぅ……』

 

(ダメや、やっぱり言えん……)

 

『……大丈夫……なんでもない……』

 

(どうする?どうやって聞けばええんや?)

 

『その……君の言うお友達は……例えば、時間とか、時空とかを越えた存在なのかな?』

 

カフェ『……私にもよくわかりません……物心ついた時には傍にいたので……』

 

『そう……なのか……』

 

カフェ『……ただ、お友達は私たちには見えないものが見えたり、他の世界を見たりも出来るみたいです……』

 

『!!』

 

『……カフェ!今もお友達は君の傍にいるんだろう!?』

 

カフェ『……はい……』

 

『なら、聞いてくれ!あの日は起こるのか!?変えられるのか!?』

 

ズキンッ!

 

(ぐっ!……これがギリギリか?)

 

カフェ『?』

 

カフェ『……わかりました……聞いてみます……』

 

カフェ『……』

 

『……』

 

カフェ『……ダメです……』

 

『えっ?』

 

カフェ『……何も答えてくれません……』

 

『も、もう一度試してくれないか!?大事なことなんだっ!!!』

 

カフェ『!』

 

カフェ『……それは……できません……』

 

『な……なんでっ!!』

 

カフェ『……もう……どこかに行ってしまいました……』

 

『……そう……か』

 

『……ごめん、ちょっと強く聞きすぎたな……』

 

カフェ『……私にはよくわかりませんが、トレーナーさんにとって大事なことだったのでしょう?』

 

カフェ『……だから、気にしないでください……』

 

『ありがとう……その、伝えてくれて……』

 

カフェ『……いえ、私はお友達にお願いされただけですから……』

 

カフェ『……それでは、失礼します……』

 

『ああ、暗いから気を付けて……』

 

(……)

 

(世界の修正力……間違いなくあの頭痛のこと……)

 

(この世界からしてみれば、ワシは異世界から来た“異物”……)

 

(その異物が異世界の記憶を使って、この世界を変えようとすれば修正される……)

 

(この世界が、本来進むはずだった未来へと……)

 

(世界の修正力からは逃げられない……)

 

(そんな事は百も承知や)

 

(初めて世界の修正力が起きたあの日、それ以降なんべんも未来を伝える方法を試した……)

 

(文書・メール・ビデオ・音声録音……考えられる全ての“伝える”方法は……)

 

(ことごとく世界の修正力に止められた……)

 

(せやから、未来を伝えずに変える方法を選んだんや……)

 

『……』

 

『選んだはず、なんやけどな……』

 

 

ザッザッザッ……

 

 

人影のない、波音だけが鳴り響く海岸を歩く……

 

永遠に続くかのような水平線が月明かりに照らされ、幻想的な景色が広がっていた……

 

そんな景色のむこうから近づいてくる一つの人影……

 

月夜に照らされ、潮風と戯れるように走るその影は……

 

まるで現実世界から切り離されたように美しく……

 

なにかを見つけたかのようにこちらに駆けてきた姿が、目の前で止まる……

 

 

『スズカ?』

 

スズカ『こんばんは、トレーナーさん』

 

『こんな時間にどうしたんだ?』

 

スズカ『少し眠れなくって……それに、こんな景色を独り占めにできるのが楽しくって』

 

『……』

 

『出会った時から……変わってないな……』

 

スズカ『……トレーナーさん?……何か、ありました?』

 

『……』

 

『……少し……ね』

 

スズカ『……』

 

『……』

 

スズカ『……話して……くれないんですか?』

 

『……担当に話すようなことじゃ……』

 

スズカ『!』

 

スズカ『私は、トレーナーさんにとって、ただの担当ウマ娘なんですね』

 

『……』

 

スズカ『私知ってるんですよ……』

 

『?』

 

スズカ『何度も学園から新しい担当を頼まれているトレーナーさんのこと……』

 

『!』

 

スズカ『そして、その度……私以外のウマ娘を担当する気はないって、断っていることも』

 

『……それは』

 

スズカ『……私は、トレーナーさんにとって、ただの担当ウマ娘なんですか……?』

 

『……』

 

『……怖いんだ……』

 

スズカ『……』

 

『大事に、大事に育ててきたものを……大切なものを……』

 

『……また、失うのが……』

 

スズカ『!』

 

『……俺の……たった一度の過ちで……大好きなものを……』

 

『……』

 

『……今度は……間違えないって……守るって……』

 

『……決めたんやけど……』

 

『怖くて!どうしようもなく怖くて……』

 

『……傷つけるくらいなら……失うくらいやったら……』

 

『……今すぐ逃げだしたい!……』

 

『……ワシは!スズカみたいに真っ直ぐ走ってる娘の隣に!おるべきやないんやっ!……』

 

スズカ『……』

 

スズカ『……逃げても……いいじゃないですか』

 

『え!?』

 

スズカ『私なんて“大逃げ”ですよ?』

 

『!?』

 

スズカ『先頭の景色が見たいから……まだ見ぬその先の景色が見たいから……』

 

スズカ『けど、本当は他の娘たちと走るのが苦手で……身動きが取れなくなるのが嫌で……』

 

スズカ『先頭で……一人で走っているのかも……』

 

『……』

 

スズカ『でも今は先頭を走っていても“一人”じゃない……』

 

スズカ『ずっと私は……トレーナーさんと走っています……』

 

スズカ『だから……逃げてもいいんですよ……貴方も一人じゃないから……』

 

『……くっ……うぅ……うぅぅ……』

 

スズカ『私の走る先を、一緒に見てください』

 

スズカ『それだけで、私は一人じゃなくなりますから』

 

 

 

──────

 

 

 

夏が終われば……秋が来る……

 

逃げられぬ現実ならば受け入れよう……

 

避けられぬ未来と決まったわけではないから……

 

この世界の未来は、まだ誰にも分からないのだから……

 

 

 

 

 

 

ー1章ー008話   海だ!プールだ!おUMA Summer!   完

 

 

 

 

 

 




第8話 海だ!プールだ!おUMA Summer!

夏だ!海だ!水着だ!

……というわけで、ようやく夏合宿です(笑)

スズカ、エアグルーヴ、フクキタルに、まさかのカノープスまで詰め込んだ結果、片桐の“超”耐性ミッションは見事な完全敗北となりましたw

そして、楽しかった夏の一日の終わりに顔を出した「世界の修正力」

「逃げてもいいじゃないですか。私なんて“大逃げ”ですよ?」

この台詞をスズカに言わせたくて、僕はこの回を書いたのかもしれません

はたして片桐は、避けられない未来からスズカを守ることができるのか……

次回、第9話は2026年8月23日(日)19:00公開予定です

第8話・第9話のネタ解説と裏話は「KUROXの駄馬(だば)なし  第4走」で、2026年8月24日(月)07:00公開予定です

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https://note.com/kurox_1200
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