ベイブレードNEO 第23話 旋風の天馬
神世学園との激闘を制した根尾中ベイブレード部。
彼らは、他校からの交流の依頼と生徒たちからのバトルのオファーが殺到する日々を送っていた。
そんなある日__(ナレーション)
__根尾通り__
「やべぇ……このままじゃ、遅刻だーーッ!!」
(優勝後早々、まさか寝坊しちまうなんてよォ、ついてねぇぜ……!)
ソウタは大急ぎで、根尾通りを通過していく。
「今は、7時35分……後10分でホームルームが始まっちまう……!」
彼は寝坊をかましてしまい、ホームルームに間に合わなければ遅刻してしまう事態に陥っている。
息を切らし、今にも倒れそうなぐらいに呼吸が荒くなっている。
残された時間で、必死になって校舎へ足を動かす。
そんな中、彼の背に一人の影がいた。
「蒼龍ソウタさん、そして根尾中ベイブレード部の皆さん。あなた達が、私の願いを果たすにふさわしいか確かめさせてもらいます」
__根尾中学校(教室)__
「ハァ……ハァ……ハァ……」
チャイムが鳴る寸前に、なんとか教室のドアを開けて入室する。
「ソウタ、大丈夫?」
完全に息切れを起こし、両膝に手を乗せる。
そんな中、ツバサが話しかけてきた。
「ツバサ……。あぁ、なんとかな」
少しずつ呼吸を整えていき、椅子に座る。
「なんとか、遅刻は免れた。それだけでも良かった……」
遅刻は避けられたことに安堵し、背もたれによりかかる。
__ガラッ……
黒板向かいのドアが開く。
そこから担任が入ってきた。
「皆、おはよう。今日も全員揃っているな」
続けて、口を開く。
「突然だが、今日この学校に転校生がやって来た」
「そして、場所はこの教室だ」
「えぇっ……!?」
なんと担任の口から聞かされたのは、根尾中学校に転校生がやって来たという内容だった。
「先生、その転校生ってのはどんな人なんですかーー?」
「男子ですか? 女子ですか?」
他の生徒が次々と担任に迫る。
「待て待て、落ち着けお前達。すぐに分かるから、一旦離れてくれ」
なんとかその場を収める。
「それでは、入ってこい」
「はい」
再び教室のドアが開く。
その瞬間、教室が一気に騒然とした。
「はじめまして、風馬マイと言います」
「よろしくお願いします」
サイドテールのついたエメラルドグリーンのボブカットに、丸眼鏡をかけた少女は「風馬マイ」と名乗った。
その瞬間、ベイブレード部を除いた男子達は顔を真っ赤にしていた。
「というわけで、マイ。席はソウタの隣だ」
「はい」
「あなたが蒼龍ソウタさんですね。よろしくお願いします」
「あ、あぁ……。よろしく……お願いします」
(凄い丁寧な挨拶だ……)
丁寧な挨拶にソウタは思わず、腰を低くしてしまった。
「……」
(放課後、あなた達の実力をテストさせていただきます。全ては、願いを果たすために……)
__放課後__
迎えた放課後。
殆どの生徒達は帰宅しているが、ベイブレード部は__。
「3・2・1 ゴーシュート!」
相変わらず、いつものメンバーで練習をしていた。
「行くぜッ! セイバードラグニル!!」
ラバー軸のグリップとともにスタジアム内を駆け抜ける。
スラッシュドラグニルの時とは違う、暴れっぷりを見せていた。
__ガァンッ……!
「セイバードラグニル、オーバーフィニッシュ! ソウタの勝ちだ!」
「よっしゃぁぁ!!」
「流石だな、ソウタ。新しくなったドラグニルを使いこなすとはな」
「そういうバンも強かったぜ! じゃあ次は__」
ソウタが次の相手を選ぼうとした瞬間……。
__ガラッ……!
「!!」
部室のドアが開き、そこには__。
「マイ!!」
今日、転校して来たばかりのマイがやって来た。
「……」
「どうしたんだ? あっ、もしかして入部希望か? そういうことならもちろ__」
「いえ、『今』はそうではありません」
「えっ……!?」
入部希望かと思えば、そうではないと言われた。
更には__。
__チャッ……
「根尾中ベイブレード部の皆さん、私と勝負してください」
「あなたのセイバードラグニルと私のベイ・『サイクロンペガサス』、どちらが『新時代』に相応しいか……」
そう言って、取り出したのはブレードチップに「ペガサス」のデザインが描かれたベイだった。
その名はサイクロンペガサス。
そして、「新時代」という意味深長な言葉を添える。
(サイクロンペガサス……? 見たことも聞いたこともないベイだ……。でも……)
「勝負か。まぁ、良いぜ。やろっか」
「ヒカル、審判を頼めるか?」
軽く戸惑うも了承し、ヒカルに審判を依頼する。
「Ready……Set!」
3・2・1 ゴーシュート!
セイバードラグニルとサイクロンペガサス、二つのベイがスタジアムに放たれる。
「さぁ、行こうぜ。セイバードラグニル!!」
開始早々、ドラグニルがペガサスのもとへ迫っていく。
しかし……。
「遅いです」
__サッ……
「何……!?」
ペガサスが、逃げるようにドラグニルから離れていく。
(何だ……? あともうちょっとの所で逃げられた)
「もう一度だ、ドラグニル!!」
再び、ペガサスを追いかけるが……。
__スッ……
「嘘だろ……! また避けられた!」
またしても躱される。
「ドラグニルはスタミナをかなり消費しています。このままではスタミナ切れを起こしますよ?」
マイの冷静なトーンは、今のソウタにとっては「冷徹」さを感じさせるものとなっていた。
ソウタも次第に焦り始める。
「まだだ。まだ、勝負は終わっちゃいねぇ!!」
ソウタは必死にそう言うも……。
「そうですか……ならば」
今度は逆にペガサスが、ドラグニルに猛スピードで接近する。
(今度は、近づいてきた……!? それもかなり速い!)
「これでトドメですッ!」
マイの声に呼応して、ペガサスのオーラが現れる。
「サイクロンショット!!」
__バァァンッ……!
「……!!」
「……サイクロンペガサス、バーストフィニッシュ! 風馬マイの勝利…!!」
「マジかよ……。ドラグニルが一度も攻撃を当てられなかった。どうなってるんだ……」
「ソウタさん」
「マイ……」
「あなたが神世学園の皇龍に勝利したこと。それは確かなことです。ですが、それは『変革の過程』に過ぎません」
「な……ッ……!!」
「何だって……!?」
マイの言うことにベイブレード部が一斉に動揺する。
「根尾中学校はこの数ヶ月で、確かに成長しました。ですが、『変革』の余地というのを完全に引き出せていません」
「お前、さっきから何が言いたいんだ……?」
ソウタは眉間にシワを寄せて、マイに話しかける。
「簡単な話です。『変革』と『新時代』を示すということです」
「その『変革』やら『新時代』やらが俺達に必要ということか?」
ソウタはマイの言う「変革」や「新時代」という言葉を拾い上げ、彼女に聞く。
「その通りです。残る皆さんも、その実力を確かめさせていただきます」
「……どうやらやるしかないようだな」
「ああ……」
「……そうだね」
バンとヒカル、ツバサの3人はランチャーを構える。
「……Ready……Set!」
3・2・1 ゴーシュート!
同時にスタジアムに射出された4つのベイ。
ケルベロスがペガサスを追いかけ、ユニコーンとフェニックスが挟み撃ちをする作戦に出る。
「速い……!」
相変わらずの速さに、ケルベロスが追いつけなくなっている。
しかし、スタジアムにはユニコーンとフェニックスが残っている。
「来たぞ!」
「ああ!」
ペガサスの攻撃を受け切るも……。
__ガァンッ……! カンカラッ……
「!!」
押し切られて、そのまま場外へ弾き飛ばされた。
「残るはあなただけです」
「ペガサス!」
再び、ペガサスのオーラが現れる。
「サイクロンショット!!」
__バァァンッ……!
「……!!」
「さ、サイクロンペガサス、バーストフィニッシュ! 風馬マイの勝利……!」
「3対1で負けた……!? 何だ、この強さは?」
「マイ、君のその強さは一体……!?」
「私の強さですか? 言うなれば、無駄を削ぎ落としたということです」
「私達人間が日常生活でも意識せず行っているように……。逆に言えば、それこそがベイブレードの進化に繋がり、私に及ぶヒントとなります」
バンの質問に冷静に答える。
そんな中……。
「聞いたぜ、マイ。さっきお前は、無駄を削ぎ落とすと言ったな? だが、俺達はその『無駄』を残しつつも、ベイブレードカップを優勝することが出来たんだ。正確さ『だけ』では出来ない戦い方ってのを見せてやるぜ!!」
ソウタはマイに対し、ドラグニルを見せながら「正確さだけでは出来ない戦い方を見せる」と言う。
突如として現れた謎の少女・風馬マイ。
彼女はベイブレード部にとって、変革をもたらす新風となるのか、それとも吹き荒れる嵐となるのか__。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
焔ツバサ-榎木淳弥
風馬マイ-水瀬いのり
(髪型:エメラルドグリーンのボブカット(左側にサイドテール)/目の色:エメラルドグリーン/その他:丸眼鏡)
ナレーション-森川智之
ベイブレード
サイクロンペガサス.A3.R
(エアロスリー・ラッシュ)
(ペガサスモチーフのアタックタイプ。メタルファイトベイブレードのペガシスのオマージュ。)
▽
遂に完成しました。Season2の第1話です。
Season1では学校同士のバトルというものをメインに書きたかったので、今シーズンでは学校同士のバトルというのも踏まえつつ、ストーリーの展開にも変化を持たせました。
特に、前作で出て来た『あの男』(Season1(神世学園の闇編参照))が大きく関わってきます。
私もそこまで踏み込めるように執筆してまいりますので、宜しくお願いします。