神世学園と弐階堂姉弟の協力もあって、聖玉100個を集めることが出来たソウタ達。
聖永学園にたどり着くも、帝龍太の手によって、分断されてしまう。
更には、それぞれの場所に闇に堕ちたエイキ達が現れた。
ベイブレード部部長であるバンはエイキと戦い、強化されたアポカリプスクロックとそのギミックに苦戦を強いられる。
しかし、スタジアムを利用することで、その弱点を突いて勝利するのだった。(ナレーション)
バンは階段に足を伸ばすも、途中でその歩みを止める。
「? 何をしている、門守バン。勝ったから、先に進んでも何も問題はねぇ」
歩みを止めた彼に、エイキは疑問を覚える。
「確かにそうだな。だが一つだけ聞きたい」
「一つだけ……?」
「この欠片は何だ?」
振り向いて、先程の欠片を見せる。
「! それは……!」
「答えたくないなら無理強いはしない。ただ気になっただけだ」
「……思い出した。俺はその欠片を『使いたくなかった』……」
「何……?」
(『使いたくなかった』……!?)
なんと、エイキはその欠片は使いたくなかったと言い始めた。
「それは一体……!?」
「……質問返しをするようで悪いが、お前は『神世征二狼』を知っているか?」
「神世征二狼……? まぁ、知ってはいるが」
前置きがあったとはいえ、話題を切り替え始める。
「全てはアイツのしたことだ……」
――
『ゴー……シュート!』
一心不乱にベイの練習をしている中……。
『ずっとシュートしているだけでは非効率ですよ』
煽り立てるような言葉が、彼の耳に伝わる。
『何ッ!?』
『何の用だ……! 神世征二狼……!』
『フッ……!』
エイキの目の前に、征二狼が現れる。
『エイキさん。悔しいとは思わないのですか?』
煽るような笑みで、顔を近づけそう言う。
『テメェ……! 何が言いてぇ……!』
『今なら、あなたにはとびきりの力を与えられるというのに』
髪をかき上げ、更に煽る。
『そんなもの必要ねぇ……! 俺は俺自身の力で登ってくんだよ!』
『はぁー……。でも、負けましたよね? それは事実なのでは?』
『それは……!』
ため息を吐いた後、冷徹に追い打ちをかけていく。
アポカリプスクロックをスタジアムから拾い上げ……。
『テメェ、何を……!?』
紫の石の欠片を近づけた瞬間……。
(取り込んだ!?)
それはベイと一体化を果たした。
『これでOKです。さあ、行きなさい』
『シオンさんへの忠誠を示したいのでしょう?』
征二狼からアポカリプスクロックを渡された途端……。
『が……!? ぐわぁぁぁぁ!!』
心臓が脈打った後、体に激痛が走る。
『……アイツラに勝つ。そして、シオン様に認めてもらうんだ』
暫くしてそれが収まった後、あの変化を遂げたのだった。
――
「アイツに煽られた挙句、自分のベイに意識を乗っ取られたってことだ。情けない話だ……」
自分の身に起こったことを思い返した後、エイキは自嘲的な態度を取る。
「……エイキ」
「何だ?」
「シオンだけじゃない、カイトとアイも同じ苦しみを感じているはずだ。だが、アイツらならやってくれる。俺達のことを信じてくれないか? この気持ちに嘘はない」
「信じる……だと?」
(だが、コイツの目には一切の迷いがねぇ……。そして、コイツラなら本当に)
彼の澄んだ瞳を見つめ、可能性を見出し始める。
「いいぜ、信じてやる。その代わり、お前らでアイツラとシオン様を救えよ」
「ああ」
エイキの答えが聞けて安心したのか、彼は力強く階段を上り進める。
――聖永の間・地下水道――
ヒカルは地下水道を模した空間に落とされ、カイトと対峙する。
床の周囲には水が流れていて、異質感が際立っている。
(間違いない……。今の奴は何者かの手によって、操られている)
(問題は操り主が誰かだ。シオンが彼に手を加えたのか……それとも)
カイトの変化から、操られていることを見抜く。
もっとも、彼を操った張本人までにはたどり着いていないが。
「破滅の方角へ導く前に言いたかったんだけどさ〜。君を実験台にした時は何だか物足りなかったんだよねェ〜。今度こそ僕を満足させてくれよ?」
「御託はいい、始めるぞ」
3・2・1 ゴーシュート!
「さぁ、実験開始だ! 生まれ変わったピクシスの恐ろしさを知らしめてあげるよ!」
一瞬だけ見えた、ディスクフレーム。
それは見慣れない円形の形をしていた。
(ディスクフレームが変わっている……!? だが……)
「やることは一つ。お前を倒して、先に進む」
ラバー軸がグリップし、力強い高速移動を見せる。
その直後、ディスクフレームにブレードが直撃する。
「この攻撃で押し切る。お前には悪いがリベンジも含め、勝たせてもらう」
一方的に攻撃を防がれて敗北した彼にとって、2度目の敗北は「後退」に等しい。
が……。
「それは叶わぬ願いだよ」
冷徹なトーンで言い返した直後のことだった。
「そんな攻撃、効かないよ……」
「受け流した!?」
ユニコーンが滑るように軌道を逸らされた。
「フフフッ……! 僕がピクシスをそのまま使うと思った?」
「この実験のために開発したディスクフレーム『ポリッシュ』は正面からの攻撃を全て受け流す! ギアよりも幅が広いからそっちを攻撃しようたって無駄だよ」
彼もエイキと同様、パーツの一部を変更しつつ強化を施していた。
何度攻撃しようとも、ピクシスの体勢は崩れない。
再び窮地に追い込まれようとしていた。
(俺はまた、あの時のように一方的にやられるだけなのか……?)
「実験も最終段階だ! ウィザードピクシス!」
カイトの声に共鳴して、羅針盤のオーラが現れる。
しかし、それは闇のオーラをまとっていた。
「エンダーグラビティ!!」
ウィザードピクシスβは磁場を発生させ、フィールドの水を操る。
それはまたたく間に、ユニコーンを包み込む。
聖永の間・地下水道の床はあっという間に水に濡れる。
たった一機のベイが戦場を思うがままに操る状況に驚く他なかった。
(……もはやこれは兵器だ、そしてこの状況から復帰するのは絶望的だ……!)
「何だ……?」
ヒカルが半ば絶望していたその時、ユニコーンが仄かに光りだした。
それをじっと見つめていると、彼はある気配を感じ取る。
「……!」
ふと振り返ると、そこには幻獣としてのユニコーンの姿が立っていた。
……
「ユニコーン、お前……」
ヒヒィィン……
「!」
空を仰いで鳴いた瞬間、目の前の光景は再び戦場に戻る。
「そうか……。お前は俺の勝利を信じていたんだな」
「気づけなくてすまない、そして……行こうか」
「さっきから何を言っているの? 君のベイはもうすぐ回転が止まる……! そのまま何も出来ずに終わるだけだよ!」
「いや、終わりはしない」
そう言って、軽く一呼吸し……。
「水を踏んでいけ! ユニコーン!」
スタジアム内に飛び散った水の上に、ユニコーンのラバー軸が乗っかる。
そのまま滑るように高速で移動していく。
「何ッ!? 水を利用したのか!?」
流石のカイトもこの戦術は予想外だった。
安全圏にいるはずなのに、一気にそれが破られる危機感を覚えそうになる。
「今の俺に迷いはない、お前をあるべき方角に導いてやる!」
「……ッ! 黙れッ、黙れッ、黙れぇぇぇッ!」
完全に吹っ切れたヒカルと一転して焦りを見せるカイト。
どちらに軍配が上がるかは言うまでもなかった。
更に……。
「遂に来た……。お前を攻略する技が!」
「なっ……! 上空に……!」
ユニコーンがスタジアムの壁を乗り越えて、上空から一気に下降する。
「シューティングホーン!!」
ユニコーンがピクシスのブレードチップに一点に衝撃を集中させる。
その結果、ディスクフレームに強い衝撃が加わり、バーストした。
「あっ……ぁぁぁ……うわぁぁッ!!」
それと同時にカイトも頭を抱えて叫び声を上げた後、黒いオーラが抜けた。
ウィザードピクシスからも紫の石の欠片が分離した。
「!!」
「僕は今まで何を……ハッ! 一角ヒカル、僕は負けたのか!?」
気づけば彼は、目の色が戻った上に眼帯の状態も元に戻っていた。
「(さっきまでのことは覚えてないのか……)ああ、そうだ」
「……! はーっ……。今日はもう実験の気分じゃないや。シオン様のところに早く行きなよ」
カイトはどこか疲れ切った様子で階段を指差す。
「そうさせてもらう」
(先程の石の欠片……。あれがシオンの変化に関係しているのだろうか? 本人に聞こうとしたが、あまりしつこくするのも癪だ。それを見たかというのを他の奴らに聞こう)
階段を上り進め、残る仲間達を待つ。
カイトとのリベンジを果たし、彼を欠片の支配から解放したヒカル。
残るはツバサとマイ、ソウタだけとなった。
残る関門を突破し、決戦の時を迎えられるのか。(ナレーション)
__イメージCAST__
門守バン-梶裕貴
黒野エイキ-子安光樹
一角ヒカル-小野賢章
四天カイト-山下大輝
神世征二狼-遊佐浩二
ナレーション-森川智之
ベイブレード
ウィザードピクシスβ.P4.AB
(ポリッシュフォー・アーマーボール)
(ディスクフレーム「ワイド」からパーツを変更。)
▽
やっと完成しました。今回はバンVSエイキのちょっとした話と、ヒカルVSカイトです。リベンジは是非とも書きたかったので、プロットそのままというより、そこから少し肉付けさせていただきました。
4戦士との決戦完了まであと少し。
最後まで書いていく所存です。
それではまた、次回。