ベイブレードNEO Season2   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第37話 復讐の孔雀

聖永4戦士の一人・四天カイトとの再戦にてリベンジを果たした一角ヒカル。

 

残る仲間達の勝利を信じて、階段を上り進めるのだった。

 

「奴に勝てたのは単なる幸運ではなかった。相棒が俺を信頼してくれたからだった……」

「ありがとう、ユニコーン」 

 

ヒカルがユニコーンに感謝を述べると、返答するかのように一瞬だけ輝いた。

 

彼の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。

 

しかし、すぐに気を引き締めて相棒をポケットの中にしまい込んだ。

 

「さて、もうすぐといったところか」

 

ヒカルの目は平坦な床と大きなドアを捉えていた。

 

階段を上り進めていく内に……。

 

「やっとだな……」

 

彼の足が床を踏みしめた。

 

すぐにドアの方に手を近づけて、それを開く。

 

ところどころ軋むような音がしたが、何事もなく開けることが出来た。

 

「!」

 

目の前にはベンチと自販機、植物、更にはゴミ箱が置かれていた。 

 

「ここは至って普通か。まあ……、さっきの場所が異質なだけと言えばそうだが……」

 

先程までの異質な戦場から一気に普通の場所への変化に戸惑うが、自身にそう言い聞かせて納得させる。

 

「だが、少し疲れたな。丁度いいところに自販機もある」

 

財布からお金を取り出し、自販機に手を伸ばそうとしたその時――。

 

「お前は……!」

 

誰かの声がした。

 

だがそれは聞き覚えのあるものだったため、とっさに振り向く。

 

「!!」

「バン!」

 

声の主はバンだった。

 

「ヒカル……! お前がここにいるということは」

 

「どうやらお互い、勝つことが出来たようだな」

 

「それは良かった」

 

互いに勝利を称え合う。

 

「ところで何をしていたんだ?」

 

「ああ。近くに自販機があったから、水でも飲もうかとな。お前も何か飲むか?」

 

「じゃあ、コーラを頼む」

 

「了解した」

 

自身が飲みたいものとバンからのリクエストに応え、ボタンを押す。

 

2人はすぐに飲み物を口から胃へ流し込んだ。 

 

「やはり、バトルの後の水分は生き返るな」

 

「ああ」

 

激闘を終えて、他愛もない会話を繰り広げる。

 

「残るはソウタ、ツバサ、マイか……」

 

「だがアイツラならきっと……どんな戦いも乗り越えられる」

 

「そうだな」

 

ベンチに座った後、3人を待ち始めた。

 

――聖永の間・体育館――

 

聖永の間・体育館に落とされたツバサとマイは、アイと対峙する。

 

「アンタ達に負けてからアタシががどれだけ悔しかったか分かるかしら?」

 

彼女は仮面に手を当て、恨むような声で2人に語りかける。

 

「アンタ達のベイを文字通り壊してあげる……! シオン様から褒めていただくために……!」

 

それだけでは飽き足らず、フェニックスとペガサスを破壊することを宣言した。

 

「そんなことをしてもシオンは……」 

 

それに対し、マイは涙ながらに諭すように訴えかけるが……。

 

「綺麗事を言わないでよ! 裏切り者のくせに!」

 

アイは完全に聞く耳を持たない、怒り任せにマイの心を抉り出す。

 

「……!」

 

「マイ、君の言うことは正しい。このバトルで彼女を説得しよう」

 

すぐにツバサがマイの気持ちを汲み取り、バトルでの説得を決意する。

 

「……はい」

 

互いにランチャーを構え、シュートする。

 

たった今、説得するためのバトルが幕を開けた。

 

「アタシのシオン様への忠誠を踏みにじった罪は重いわ! アンタ達のベイを壊してつぐなってもらうわよ!」

 

アイの顔には怒りと狂気、悲しみ、様々な感情が交錯している。

 

今の彼女にあるのは、破壊する意思と歪んだ敬愛だった。

 

そんな中、マイが必死に懇願する。

 

「あなたがシオンを尊敬しているのは知っている、他の4戦士やゴールドランクもそうであることも。けれども……シオンの友達として言わせて」

「シオンは優しい子よ、何かを壊すなんてことを本当は望んでなんかいない! ……だからあなたも戻ってきて!」

 

彼女はただ、元に戻ってほしい……。

 

その願いだけを込めて戦い続けているが……。

 

「うるさい、うるさい、うるさァァァイ!」

 

図星かのようにアイが感情的になる。

 

その瞬間、ドレッドピファウルΩがサイクロンペガサスをめがけて襲いかかって来る。

 

そんな中、ブレイズフェニックスが割って入ってきた。

 

「……! ツバサさん……!」

 

「どきなさいよ! 今はアンタに用はないの!」

 

突然の乱入に混乱しつつも、その場から離れるように忠告する。

 

「すまないが僕は君に用がある。少しだけ話をしないかい」

 

「そんなに話したいなら、ピファウルに切り裂かれるフェニックスの悲鳴を聞かせてあげるわ!」

 

ツバサは真剣な表情でアイに語りかけるが、返ってきたのは涙混じりの怒声だった。

 

完全に標的をフェニックスの方へ切り替え、ピファウルを強襲させる。

 

涙を浮かべながら、ブレイズフェニックスに攻撃を叩き込む。

 

「ドレッドピファウルΩはディスクフレーム『ハリケーン』とギア『ロークイック』で確実にアンタ達のベイを壊せる究極のアタックタイプ、そんなに死をお望みなら叶えてあげるわ!」

 

――キシッ――

 

ピファウルの猛攻を受け続けたからか、フェニックスが歪な音を立てる。

 

「ツバサさん、このままではフェニックスが……!」

 

「心配をかけたね……。けど僕に一つだけ最後の我儘をさせてくれ」

 

マイの心配を受け止めつつも、「最後の我儘」と称して、フェニックスの名を叫ぶ。

 

「フェニックス!」

 

ベイからフェニックスのオーラが出現した直後のことだった。

 

「フェニックス・ツイスター!!」

 

「!!」

 

なんと、炎の竜巻がサイクロンペガサスを持ち上げた。

 

「これが僕に出来る最後の我儘さ。君なら乗り越えられる……!」

 

役目を終えたかのようにフェニックスの回転が遂に止まった。

 

だが、マイはそれさえ気にする素振りも見せなかった。

 

ツバサが託してくれた思いを無駄にはしないという決意の表れだった。

 

(ツバサさん、ありがとうございます……! あなたの思い、しかと受け取りました!)

「行きましょう、ペガサス!」

 

マイの声に共鳴し、ペガサスのオーラが現れる。

 

更にそれは、上空から一気に下降していく。

 

「ダイビング・サイクロン!」

 

「……!」

「あっ……! あぁぁぁ、うわぁぁぁん!」

 

アイからも黒いオーラが抜けた。

 

気づけば彼女は大粒の涙を流した後、泣き叫んだ。

 

同時にピファウルからも紫の石の欠片が分裂した。

 

「!!」

 

 

「私は……、私は何がしたかったのかしら……。あなた達を傷つけてまでシオン様に認められたかったのかしら……」

 

「アイ……」

 

暫くして落ち着きを取り戻したアイは、自分のしたことに対して疑念を抱いていた。 

 

そんな中、ツバサが話しかけてきた。

 

「君のしたことは確かに許されるのに時間を要するだろう。けれど、まだやり直せる」

「僕達はシオンを助けにここへ来た。それが済めば、彼女も君のことを認めてくれるかもしれない」

 

「……ここにきて説教のつもり?」

「……でも、その通りかもしれないわ。いいわ、シオン様のもとへ進みなさい」

 

「アイ……!」

 

マイは彼女の心境の変化を察知し、笑顔を見せる。

 

ツバサも笑顔を見せた。

 

2人はともに階段を上っていく。

 

それを背にアイも表情を一変させ、一言。

 

「ありがと」

 

2人の勝利により、闇に堕ちた3人をそこから救った。

 

残るはソウタのみ。

 

4戦士最強の男をどう打ち破るのか。




__イメージCAST__

門守バン:梶裕貴

一角ヒカル:小野賢章

焔ツバサ:榎木淳弥

風馬マイ:水瀬いのり

虹羽アイ:沢城みゆき

ナレーション:森川智之

ベイブレード

ドレッドピファウルΩ.Hr4.LQc
(ハリケーンフォー・ロークイック)
(ディスクフレーム「ブレイク」とQc(クイック)ギアからパーツを変更。)
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