ベイブレードNEO Season2   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第38話 龍の覚醒

聖永4戦士の一人・虹羽アイとの戦いに勝利したツバサとマイ。

 

階段を上り、2人と合流を果たすのだった。(ナレーション)

 

「バン、ヒカル!」

 

「やはり来てくれたか」

 

「信じて待ったかいがあった」

 

再び会うことが出来て、4人はどこか安堵の表情を浮かべる。

 

しかし、マイはあることを不安に思っていた。

 

(あとはソウタさんだけ……。でも気をつけてください。あの人は『もう一つの顔』を隠している……)

 

「もう一つの顔」……その言葉とともに、彼女は胸の辺りをキュッと抑えた。

 

その顔は心配しているようでもあり、恐怖しているようだった。

 

「マイ。ソウタのことが心配か?」

 

その直後、バンが彼女にそう聞く。

 

「……! はい……」

 

「確かにあいつが当たったのは聖永4戦士最強の男。だがあいつは、ちょっとやそっとのことではへこたれないブレーダーだ。だから、信じてみよう」

 

「はい……!」

 

今まで時間を共にしてきたからこそ出てくる言葉だった。

 

彼の力強い言葉に安心感を覚えたのか、マイは少しだけ表情を和らげる。

 

「……!」

 

「ピンポーン」という音が鳴った後、壁の一部が開いて通路が表れた。

 

「これは俺達にここを進めということか……?」

 

「そういうことだろうね、行ってみよう」

 

ソウタを除いたベイブレード部のメンバーは通路内を進んでいく。

 

すると、彼らの前に一筋の光が差し込む。

 

多少眩しかったが、出口を目指していく。

 

「!!」

 

遂に出口を超えた直後、4人はあるものを見て驚く。

 

「ソウタ!」

 

「ソウタさん!」

 

そこにはソウタの前にバリアが張られ、龍太が突っ立っていた。

 

ソウタはずっとその中に閉じ込められていたのだ。

 

バリアは壁のスイッチを押さない限り、解除されない仕様となっている。

 

「おや、全員ご無事のようですね」

 

間もなくして、彼も気がつく。

 

「そんなことはどうでもいい! お前、ソウタに何をした!?」

 

「あなた達が来るのを待つために、しばらく大人しくしてもらっただけです」

 

「龍太。私達が来たのなら、もちろんそれを解除するんですよね?」

 

「それはもちろん、では早速」

 

マイがそう言うと、龍太は壁にあったスイッチを押してバリアを解除する。

 

「やっとバトルする気になったか」

 

「ええ、これで役者は揃いましたからね」

「それでは……ソウタさん。新時代を見せられる覚悟は出来ましたかね?」

 

「お前に見せてやるぜ! 俺達の覚悟を!」

 

互いにベイをセットし、構える。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

グランドラゴはスタジアムの中央を取る。

 

それに対してセイバードラグニルはスタジアム外周を旋回し、徐々に距離を縮める。

 

遂に追いついたドラグニルの初撃が、グランドラゴに強い衝撃を与えた。

 

「先手必勝というものですか。ですがそれも、グランドラゴのもう一つの顔を見せる過程に過ぎません」

 

しかし、龍太は余裕の表情のままだった。

 

衝撃を与えるということはモードチェンジの引き金を引くことに等しい……それを彼は知っているからだ。

 

「いや、違う」

 

そんな中、ソウタが「違う」と言い切る。

 

「……?」

「……!」

 

疑問に思った直後、少しだけ驚く。

 

「ドラグニル!」

 

ターボギアの軸が格納され、加速する。

 

「タービュランスセイバー!」

 

ドラグニルの新技が炸裂し、グランドラゴが吹き飛ばされる。

 

そして、ドラグニルも吹き飛ばされたことにより、同時オーバーフィニッシュ。

 

「同時……オーバーフィニッシュ……!」

 

予想外の展開に4人は驚かずにはいられなかった。

 

その直後……。

 

「……」

「まさか、この私を同時オーバーという形に持ち込むとは……」

 

龍太から殺気が放たれる。

 

(この殺気……来る! この人の真の姿が……!)

 

マイの体が一瞬だけ震え上がる。

 

それだけでなく、彼女は「恐怖」の感情を見せる。

 

「どうやらあなた達に教えを説くのは一筋縄では行かないようですね……!」

「ハァァァァ……!」

 

――メシャアア――

 

「今度こそ教えて差し上げます、我々の力を……!」

 

「な……ッ! なんだぁぁッ!?」

 

龍太は髪が逆立ち、体中の血管が浮き出た姿に変貌した。

 

真の姿を現した彼に、一同は騒然とする。

 

「遂に恐れていたことが……」

 

マイは彼の雰囲気に呑まれ、震えていた。

 

「マイ、あいつの今の姿を知っているのか……?」

 

「はい……、彼は滅多にそんな姿を見せません。しかし……彼が今の姿を見せるのは強い怒りを見せたときだけ……」

「今回の場合、シオンに最も近しいと思っていた彼だからこそ同時オーバーという結果は、下に見ていたソウタさんと同列だと感じたのでしょう……」

 

バンの質問に対し、詳細的に回答する。

 

どうやら今の龍太には、強い怒りが込められているとのことだった。

 

「そういうことか……だが今わかるのは、奴は『教えを説く人間』じゃない『執念の龍』そのものだ」

 

マイの説明を聞いて納得し、彼の異形っぷりを「執念の龍」と表現した。

 

「この姿で戦うのは久々です……。さぁ、理解してもらいますよ、聖永の教えを!」

 

(この雰囲気、さっきとは全然違う……! けど)

「やってやるさ! 俺達は常に全力前進! 荒波に揉まれようが、歩みを止めることはしねぇ!」

 

圧倒的な威圧感を放っていたが、ソウタはそれに臆することなく、ランチャーを構える。

 

龍太もランチャーを構えるが、それは軋む音を立てる。

 

「……!」

 

神世学園を強襲した時とは違った、力の入れ具合だ。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

スタジアムに先にシュートされたドラグニルをグランドラゴが超スピードで追う。 

 

今度は自らぶつかることで先に変形する作戦に出た。

 

グランドラゴがまたしてもスライド変形した後、ドラグニルを弾き飛ばす。

 

しかし、その反動でドラグニルが加速し再び同時オーバーフィニッシュとなった。

 

「……!」

 

「また同時オーバーだと……!?」

 

「〜ッ……、惜しかった……!」

「もう一度だ!」

 

「言われなくとも……!」

 

何度も再戦を続けるが……。

 

『ドロー!』

『ドロー!』

『ドロー!』

 

勝負はドロー、依然として拮抗状態。

 

(あり得ない、この私が……。『龍の血族』である私が追い詰められている……!)

 

「何故……。何故あなたはここまで食らいつけるのですか!?」

「何があなたをそうさせて……!」

 

「決まってるだろ! 仲間達のためだ!」

 

「!」

 

「アイツラは死に物狂いで戦って、俺のもとへ来た。俺だけカッコ悪い姿を見せられるわけないだろ……!」

「お前はなんのために戦っているんだ?」

 

自身の信念が、龍太に対する追い上げに繋がっていると語る。

 

「私は……」

 

――

 

(私はその強さ故に周りから拒絶されてきた……。しかし、公園でのあのバトルが私を変えた)

 

『オーバーフィニッシュ……。この私を負かすとは、強いですね』

『それでは……』

 

龍太が公園を後にしようとしたその時のことだった。

 

『ちょっといいかしら? あなたもとても強かったわ。そこで話があるんだけど、私と友達にならない?』

 

『友達……ですか?』

 

『うん。実はね、あなたがここで一人でベイの練習をしているのを見たことがあるの。友達になればもっとベイが楽しくなると思ったんだけどどうかな?』

 

『……分かりました。よろしくお願いします』

 

――

 

「あの日から、私はあの人について行くと決めた……」

 

「シオン様が変わろうと、私の忠誠心は揺らぎません! ソウタさん、これで全てを決めさせていただきます!」

 

「なんだよ……お前にも、あったじゃねぇか。心ってもんが」

「本当はお前もシオンを助けてほしかったんだろ?」

 

「……!!」

 

『Ready……Set!』

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

スタジアムに放たれたドラグニルとグランドラゴはいきなり正面衝突。

 

衝突によってグランドラゴはスライド変形。

 

ドラグニルは加速する。

 

「これで全てが決まります、あなたと私……どちらが上か!」

 

「ああ! だがこの勝負、勝つのは……」

 

「私だァァァッ!」

 

「俺だァァァッ!」

 

互いにぶつかり合う2つのベイ。

 

「ドラグニル! 最後の力を振り絞れーーッ!」

 

ソウタの声に呼応し、ドラゴンのオーラが現れる。

 

「ソニックストライク!」

 

「……!」

 

新技を決め、グランドラゴをバーストした。

 

激戦だったからか2人は互いに倒れ込む。

 

(まさか、本当に倒すとは……! でも、何より気になるのは彼の心境がなぜ急に……?)

 

マイは龍太を倒したことへの驚きもあったが、彼の心境の変化にも驚いていた。

 

暫くした後にお互い起き上がる。

 

「完敗です……。私が新時代を説くなど……」

 

「誰もそこまで言っちゃいないさ。龍がお前にやられた時は感情的にはなったけど……」

「それにお前らも悔しかったんじゃないか? どこの馬の骨かも分からない奴が干渉した挙句、支配下に置いて……。シオンのことは俺達が必ず助ける。だから、安心して待ってくれ」

 

「分かりました……、それでは……」

 

壁にあったスイッチを押し、隠し通路を開く。

 

「ここを通れば聖永の最上階です。シオン様を必ず助け出してくださいね……」

 

「ああ」

 

__聖永最上階__

 

「……!」

 

シオンは胸に手を当てて苦しそうにしていた。

 

聖永4戦士との戦いを完全突破したソウタ達。

 

隠し通路を通り、その中にいたのは……。

 

「……!!」

 

「おめでとうございます、そしてお久しぶりですね。根尾中ベイブレード部の皆さん」

 

「征二狼!!」

 

彼らの前に現れたのは宿敵・神世征二狼。

 

相変わらずの慇懃無礼っぷりにソウタ達の神経を逆撫でる。

 

そしてその側にいた者を見て、マイは驚愕する。

 

「シオン……!」

 

「……」

 

彼女の目が捉えたのは悪に堕ちた親友《とも》、シオンだった。

 

「おや、あなたは確か……マイさんでしたかね?」

「シオンさんのご友人のようですが、残念ながら彼女は私が支配下に置きました。この……『紫琉石』でね……!」

 

「!!」

 

なんと彼は、エイキ、カイト、アイを操っていた石の欠片に似ている物体を取り出した。

 

その名も「紫琉石」という石だった。

 

(あれは……まさか! でも、今は……)

「私が誰なのかはどうだっていい……! 答えてください、なぜシオンを洗脳したのですか……!!」

 

マイは口調を崩さなかったが、怒り形相だった。

 

「洗脳……? 酷いですねぇ、私はベイブレード界の頂点に立ち、点を取り合うだけのちっぽけな世界を作り直したいだけですよ。そのために必要な逸材を探している中、彼女に出会ったのです」

 

「そういうことよ、マイ。私に戻ってほしければ試合をして勝つことよ」

 

「フッフッフ……! それでは……」

 

「シオン……」

 

征二狼とシオンはその場を去り、マイは悲痛な思いを持ったままその背を見送るしかなかった。

 

「許せねぇ……! 征二狼のヤツ、急に出てきたと思ったらベイを点を取り合うだけのちっぽけなものだって……! そのためにシオンまで巻き込んだんだ……!」

 

ソウタはただ、怒りに震えていた。

 

「ソウタ……」

 

ツバサがそんな彼をなだめる中、目の前の壁が軋みながら、開いていった。

 

中にあったのは階段だった。

 

「俺達に来いというのか?」

 

「ソウタ。今の俺達がすべきことはシオンを救うことだ」

 

「……そうだよな、ごめん」

「よし、行くぞ!」

 

そう言うと階段に足をかけ、一歩一歩力強く上っていく。

 

聖永4戦士最強・帝龍太に勝利したソウタ。

 

これにより、聖永杯・決戦への道が拓かれた。

 

一人の少女を救うために決して退くことはしない。(ナレーション)




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

焔ツバサ-榎木淳弥

風馬マイ-水瀬いのり

帝龍太-島﨑信長

天道シオン-悠木碧

神世征二狼-遊佐浩二

ナレーション-森川智之
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