遂に迎えた聖永学園との決戦。
最初の一戦は焔ツバサVS矢上テルブとなった。
バトルの途中、進化を遂げたフェニックスはリヴァイヴァルフェニックスと名付けられ、テルブのインフィニティヘラクレスを圧倒。
見事、一勝目を勝ち取るのだった。(ナレーション)
「聖永杯一戦目は焔ツバサ選手の勝利により、根尾中学校が先制! 聖永学園は誰を2人目に出すのでしょうか!?」
「テルブ、お前は詰めが甘い」
「くッ……!」
「シオン様、私にお任せください。必ずや根尾中の者を討ち取って参ります」
聖永学園2人目として、シアスが名乗りをあげる。
「……100%のパワーで討ち取れ……」
「……はっ……!」
シオンの命令に胸に手を当てながら返答。
選手席からスタジアムの方へ向かっていく。
一方で、根尾中学校の方はというと……。
「次は誰が出るんだ?」
「……」
「俺が行く」
そう言って名乗りを上げたのはバンだった。
「バン……!」
「聖永からはあの男……、瀬里シアスが出た」
「あいつが部室に来た時、確かに俺は勝った。だがそれも俺達をおびき寄せるための手段に過ぎなかった」
「……」
「この勝負で本当の決着をつけたい。だから俺に行かせてくれ……!」
バンは一度彼とバトルしたからこそ、本当の形での決着を強く望んでいた。
「……そっか。行ってこい!」
ソウタも納得したかのように、微笑をたたえて彼を送り出す。
「聖永杯2戦目の組み合わせが決まりました! 根尾中学校からは門守バン選手、聖永学園からは瀬里シアス選手です!」
バンとシアス、両校のセカンドブレーダーが相対する。
「……私があの時本気でなかったと知りながらよく出られたものだ」
「知っていたから出た。それだけだ」
シアスの冷徹な言い方に、バンは冷静に言い返す。
「そうか……。ならば弁えてもらうぞ、今のお前の身の程を」
「何やら2人には因縁があるようです! 果たして勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!? 目が離せません!」
実況者をはじめ、彼らの事情を知るものは誰一人としていない。
緊張感が会場内を伝う中、バンがケルベロスのギアを見つめる。
(最初のバトルでは使っていなかったが、とうとうその時が来たようだな……)
彼に見えるか見えないかぐらいのところで、それを捻った。
『Ready……Set!』
3・2・1 ゴーシュート!
シュートされてすぐさまディヴァインペルセウスはスタジアム中央を取り、回転する。
インフェルノケルベロスはスタジアム外周から様子を伺う。
「実に愚かだ。自分の実力を過信してペルセウスに挑むなど無礼千万……!」
「無礼かどうか、確かめてみろ!」
互いに啖呵を切った後、インフェルノケルベロスとディヴァインペルセウスが激しく衝突する。
鋭い金属の衝撃音がスタジアムに鳴り響く。
しかし、ケルベロスの攻撃をペルセウスは多方面から受け止める。
「あの時はシオン様からお前達の実力を測れと命じられたからだ。今お前が見ているのは聖永の盾と呼ばれた私だ。どんな手を打ってくるか……その対策を講じたペルセウスの敵ではない!」
強気な口調でバンを迎撃しようとするが……。
「それはどうだ?」
彼は一切動じる様子を見せない。
「……?」
「……!」
シアスはその様子に疑問を抱いた直後、目を見開いて驚く。
「ペルセウスが傾いた……!?」
なんと、先程まで攻撃を受けきっていたペルセウスが傾く。
「これは……! ペルセウス、攻撃を受けきれなくなっているのでしょうか……? 徐々に傾き始めています!」
「何が起きた……!?」
「ケルベロスの顔はブレードとディスクフレームだけじゃない、ギアにも3つの顔を秘めている……!」
「高さを切り替えられるギア『エキスパンド』のハイモードでペルセウスの守りを崩す!」
あの時、バンはギアを捻って高さを切り替えていた。
それにより、高い打点でペルセウスを傾かせていたのだ。
「……!」
(まだこんな機能を隠し持っていたとは……!)
「ケルベロス、怒涛のアタックです! このまま押し切るかーーーッ!?」
完全に優勢となったケルベロスはペルセウスに対し、次々と攻撃を畳み掛ける。
(ゴールドランクである私が一瞬にして追い詰められている……! シオン様……!)
シアスは完全に余裕が崩壊し、自分が置かれている状況への心配も置き去りにする中……。
「どこを見ている?」
「ハッ……!」
バンの言葉にふと我に返る。
「お前は今、なんのために戦っているんだ? シオンの為か? それとも自分の為か? チームの為か?」
バンは突如、彼に向かって質問を投げかける。
「私は……」
――
(私達は聖永の中でも指折りの実力者だった……。だが……)
『今試験の合格者。瀬里シアス、矢上テルブ、藤川イリア!』
『当然だな』
『フッ……』
『2人とも油断はしないように』
嘗てのシアス、テルブ、イリアはブロンズランクの中でも優秀なブレーダーとして有名だった。
しかし……。
『あの3人確かに強いけどさー、なんか淡々としてて近寄りづらいんだよな』
『分かる、もうちょっと愛想良くしても良いんじゃねぇの』
周りからは近寄りがたさを持たれ、それぞれ孤独感を覚えていた。
(流れるように過ぎていく乾いた時間……。そのまま1日1日が過ぎていくだけだと思っていた、そんな中あの人に出会った……)
退屈な日常が続いていくと思った矢先のことだった。
――ブロンズランク教室――
『……!』
『インペリアルワルキューレ、バーストフィニッシュ! 天道シオンの勝利!』
『つ、強い……! 同じブロンズランクとは思えない、一体……!?』
『だが、負けは負けだ。私達はこの場を後に__』
ある日、後の彼らが慕う少女・天道シオンと出会った。
実力者というそれなりの自負があった自分達を破ったことへの驚きがあった。
それでも、その場を後にしようとしたその時__。
『ねえ』
『?』
『あなた達、私と友達になってみない?』
『友達……?』
『うん。あなた達、先に試験合格していて凄いなと思ってた。けど、少し気になることがあって……』
『気になること……?』
『どこか寂しそうだったよ』
『寂しそう……か。確かにそれはあるかもな』
『折角の強さが勿体ないと思う! 私も友達が少ないから一緒にベイの楽しさを知れたら良いなって……』
『どうかな?』
(この女の……いや、この人の目は嘘をついていない。真っ直ぐな意思がそこにある……)
『いいでしょう、よろしくお願いします』
彼女から持ちかけられた「友達」への誘い。
彼らが抱えていた孤独を溶かしてくれると思い、その手を近付けた。
(シオン様の言葉があったから、私達は孤独から解放された……)
――
「良いだろう、全てはチームのために! 私の忠義というものを今ここで証明する!」
自らの原点というものを思い出した彼は完全に吹っ切れた。
「さあ来い!」
バンも嬉しげな笑みを浮かべ、真剣勝負に臨む。
「征くぞ! ディヴァインペルセウス!」
シアスの声に共鳴して、ペルセウスのオーラが現れる。
「ディヴァインウォール!」
「噛み砕け! インフェルノケルベロス!」
バンの思いに応じるかのようにインフェルノケルベロスからも、ケルベロスのオーラが現れた。
「インフェルノバイト・ハイト!」
「こ……これはーーッ!! 両者のベイが今、激突しました! 根尾中学校が2勝目を掴むか、それとも聖永学園が意地の1勝目を掴むのでしょうか!?」
先程より重厚な衝撃音がスタジアムを駆け抜ける。
実況者も思わず、実況に熱が入り込むも互いにフラついた末……停止。
「!」
「ド、ドローか……?」
インフェルノケルベロスとディヴァインペルセウスはほぼ同時にスピンフィニッシュしたかのように思えたが……。
『VTRで確認』
バトルバンドが映したVTRでは僅かに、ペルセウスが先に回転が止まっていた。
「……!!」
『インフェルノケルベロス、スピンフィニッシュ! 門守バンの勝利!』
「決まったぁぁーーッ!! 因縁の対決は門守バン選手が制しました!」
その直後、観客席は大いに沸き立った。
「ふん、あいつも中々やるじゃねぇか」
彼らは気づいていなかったが、エイキが観客席後方からバンのことを褒めていた。
「やったな、バン! お前の完全勝利だ!」
「ああ!」
喜び合うソウタとバンを背に、シアスが呟く。
「敗北か……。だが不思議と清々しい気分だ」
そんな彼のもとにバンが近づいてきた。
「シアス」
「……?」
「いい戦いだった。楽しかったぜ」
彼は先程までの戦いを楽しかったと言いに来たのだった。
(楽しかった……か。それがお前を勝利に導いたのだろう)
「お前の勝ちだ」
その言葉を受けたシアスの表情は、憑き物が取れたように穏やかになった。
嘗ての因縁を制したバン。
残るは藤川イリアと天道シオン。
勝利を掴み取り、そして救うことは出来るのだろうか。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
天道シオン-悠木碧
瀬里シアス-福山潤
矢上テルブ-谷山紀章
藤川イリア-雨宮天
黒野エイキ-子安光樹
ナレーション-森川智之