根尾校長の協力もあって、サイクロンペガサスの秘密を探ることが出来たソウタ達。
その秘密はブレードの内側の穴による空気抵抗の軽減だった。
それに加えて、シュート力を弱めることでドラグニルの空気抵抗を減らすことに成功。
見事、リベンジを果たすことが出来たのだった。(ナレーション)
マイとのリベンジを果たし、迎えた放課後。
いつも通り、部室に向かおうとすると……。
「ソウタさん。少しいいですか?」
「ん? マイ、どうしたんだ?」
マイが話しかけてきた。
「私から少し話があります。なので、少しだけ聞いていただけますか?」
「お……おう」
いつにも増して神妙な顔をしていた。
「単刀直入に言います。私をベイブレード部に加えていただけませんか?」
「えっ……!?」
なんと彼女は、ベイブレード部に加入したいと言ってきたのだ。
当然、ソウタは戸惑いも含めて驚く。
「驚くのも無理はありません。ですが、私はある目的のためにここへ来ました。それについては部室の方で話を」
「ある目的? まぁ、分かった。案内するからついてきてくれ」
__根尾中ベイブレード部部室__
マイを部室まで案内し、扉に手をかける。
「おーい、来たぞ」
部室へ足を踏み入れ、彼女を部室に入れる。
「ああ、来たか。ん?」
「マイも連れてきたのか?」
「そうだぜ、バン。どうやらマイの方から話があるらしい」
「改めまして、ベイブレード部の皆さん。あなた達に話があって、来ました」
「それでは私から……。私をベイブレード部に加入させていただけませんか?」
「加入だって!? それは歓迎したいところだが……他にも何か理由があるんじゃないか?」
バンは驚くと同時に、何か理由があるのではと尋ねる。
「……」
更に神妙な顔になる。
その時__。
誰かのスマホの通知音が、机の上で鳴り響く。
「何だ?」
ヒカルのスマホだ。
彼は通知の内容を確認すると、そこには……。
__スマホの画面__
『ベイブレードカップ、神世学園出場辞退の中、新たなチャンピオン誕生。その名も聖永学園』
「聖永……学園?」
「そもそも、何で神世学園が出場辞退なんだ?」
「聞いていなかったのか? 神世学園はあの時の騒動もあって、あっち側から『心身共に鍛え直したい』と言って今回の大会を辞退したんだ」
新チャンピオンとなった、聖永学園という学校。
少なくともソウタ達はその学校を聞いたことがない様子だった。
そして神世学園はと言うと、龍の暴走による会場破壊で良くも悪くも話題となり、それもあって今大会を辞退していた。
「そうだったのか……。ん?」
「……」
「どうしたんだ? マイ」
服の胸元をギュッとし、不安そうな表情をする。
「いえ……。先ずは、その動画をタップしてください。話はそこからです」
何やら様子が変だという気持ちとともに再生ボタンをタップする。
「えぇー……。今回優勝した聖永学園の天道シオン選手、今のお気持ちをどうぞ……」
アナウンサーも不安な顔色を浮かべて、聖永学園のリーダーである少女・天道シオンにマイクを向ける。
片眼鏡をかけ、紫色のボブカットをしていて 、一見すると高貴な印象だが「何か」近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
「今の気持ちか……。私達の勝利は予めインプットされたシナリオに過ぎない。言うなれば、私達こそが『新時代』を創るのにふさわしいと言っておこう」
「あ……ありがとうございました」
見かけによらず、傲岸不遜な振る舞いだ。
「なんて傲岸不遜な……」
ヒカルが困惑する中……。
「でも、マイ。お前も『新時代』とか言ってただろ。だったら何でこっち側に……」
ソウタが立て続けに質問する。
「……私とシオンはベイブレードを介して友人関係になりました。しかし、ベイブレードの強さで言ったら、シオンが常にその先を進んでいました。自分の実力が及ばないなと思った矢先に事件は起こります。少し、それについてお話します」
「ある日、私はシオンと公園でのベイバトルの約束をしていました」
「それで、公園についたのは良かったのですが……」
「そこで衝撃の光景を目にしました」
マイは根尾公園に着いたが、そこで驚くべきものを目にする。
「公園内のブレーダー達のベイが全部バーストされていたのです……」
「えっ……!?」
なんと全てのベイがバーストされていたというものだった。
「ええと……、マイ。その時のシオンはどんな様子だった?」
「……普段とは完全に様子が変わっていました。私は元々、聖永学園のブレーダーで、彼女はその中でも特に優秀なブレーダーでした」
「しかし、それに驕ることなく私とも対等に接してくれました。その時の様子も交えてお話します」
__回想__
『シオン、今着いたよ』
『……!! これは、ベイがバーストされてる……!? しかも、誰もいない……』
「先程話した時からの状況は私にとって『悪夢』そのものでした」
公園に着いたマイ。
しかし、先程述べた状況とともに、シオンがいないことにも違和感を覚える
『ここよ。マイ』
背後からかけられた声。
その主はシオンだった。
『シオン……!』
『ねぇ、これはあなたがやったの?』
彼女がそんなことをするはずがないと信じながら、質問するも……。
『そうよ』
『えっ……?』
なんと、返ってきた答えは自身がやったと認めるものだった。
『マイ。今の私達に必要なことはなんだと思う?』
『シオン、ど、どうしたの? 必要なことって言われても……』
『それは『変革』よ。私にとって、今のベイバトルは物足りない』
肩を掴み、語りかける。
『私の『ワルキューレ』と、あなたの『ペガサス』でベイブレードに革命をもたらそうよ』
『シオン、私は……』
マイは何故彼女がそうなったか分からないでいる中……。
『あなた達の友情はその程度ですか?』
「その時、見知らぬ男の声がしたのです」
『!!』
知らない声がマイの鼓膜を通る。
ウルフカットにメガネをかけた男だ。
『何者ですか……!? しかも『あなた達の友情』って、まさか、あなたがシオンを……!』
『おっと、自己紹介が遅れましたね。私は神世征二狼。神世学園の学園長を務めていました。マイさんと言いましたか? 天道シオンさんは私が『支配』させていただきました』
「男は神世と名乗り、神世学園の学園長をしていたと言っていました。そして、奴こそがシオンを変えてしまったのです」
なんと、男の正体はかつてソウタ達が倒した男、神世征二狼だった。
『し……支配……!?』
『そんな、シオンは私の大切な友達です! 誰かの道具ではありません!!』
『まだ理解できませんか? 彼女の目、よく見てください』
『目……?』
『!!』
シオンの目をよく見ると、虚ろ目の状態になっていた。
完全に征二狼の操り人形となっていた。
『シオンさん、彼女はもう少し時間が欲しいと言っています。今はお仲間の方へ向かいましょう』
『……分かった』
そう言って、マイに背を向ける。
『シオン、待って……! シオン!』
歩み続ける友の背を見ることしか出来なかった。
__
「神世という男は、シオンを連れてそのまま公園から去りました。その時、あなた達根尾中学校が神世学園をベイブレードカップで破ったというニュースが入ってきたのです」
「そこで、神世学園を倒したあなた達がシオンを取り戻せる可能性があるのか確かめるために、あなた達にバトルを申し込んだのです」
「そうだったのか……。それにしても、征二狼の奴、裏でとんでもないことしやがって……!」
ソウタはマイの経緯を聞いて、同情すると同時に嘗て倒した悪が誰かを傷つけていたことに怒りを顕にする。
「図々しいかもしれませんが……。ベイブレード部の皆さん、どうか力を貸していただけますか? 私もあなた達へのサポートを惜しみません」
「……」
ソウタがバン達と顔を合わせる。
それに応じるかのように、首を縦に振る。
「マイ。お前の辛さ、俺達が受け止める。そして、シオンを取り戻そうぜ!」
ソウタ達はマイの加入を受け入れる。
「……!! ありがとうございます……!」
その瞬間、マイの顔には涙が零れた。
そんな中……。
__ガチャッ……! キィィィ……
「探したぜ、こんなとこに隠れてたとはな」
部室のドアが軋みながら開き、誰かが入ってくる。
「!!」
その人物は、顔に時計の針のようなフェイスペイントを施した少年だった。
「よぉ、会いたかったぜ。マイ」
「『聖永4戦士』の黒野エイキ……!」
「もうここが分かって……!」
その少年の名は「黒野エイキ」。
マイ曰く、聖永4戦士という勢力の一人だと言うが……?
「フッ……」
再び暗躍し始めた邪悪。
そして、それに蝕まれた少女。
間、髪を容れず現れる新たな敵。
謎の少年・黒野エイキの目的とは?(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
焔ツバサ-榎木淳弥
風馬マイ-水瀬いのり
神世征二狼-遊佐浩二
聖永学園
天道シオン-悠木碧
(髪型:薄紫のボブカット(前髪の一部が水色)/目の色:紫色(現在は、それに加えて虚ろ目の状態。紫色の瞳自体、前から変わっていない。)/その他:片眼鏡(右目))
聖永4戦士
黒野エイキ-子安光樹
(髪型:緑の無造作ヘア/目の色:青/その他:フェイスペイント(色:オレンジ)(右:6時10分の針の形/左:6時50分の針の形))
ベイブレード
インペリアルワルキューレ.I3.Ds
(インパクトスリー・ダッシュ)
(ワルキューレモチーフのアタックタイプ。ベイブレードバーストのヴァルキリーのオマージュ。)
▽
3話目です。
前作のラスボス(皇龍)とは毛色の違ったラスボスの登場です。
メインキャラ+ヒロインで展開される物語を懸命に執筆してまいります。
とうとう、マイの加入と新たな強敵の登場を書くことが出来ました。
今月26日から夏休みに入ったので、この時期を活かして、物語のギアを上げていこうと思います。