ベイブレードNEO 第28話 強襲 聖永学園
フリーリーグも優勝した聖永学園。
そんな中、シオンが突如、聖永杯という大会の開催を宣言。
それに対し、ベイブレード部は戦力の拡大を計画。
マイとの協力により、バン達は新ベイを手にすることが出来、ソウタの助言によって、ベイのコントロールも成功した。
しかし、部室に聖永学園ゴールドランクのブレーダー・瀬里シアスが襲来。
果たして、シアスに挑戦するのは誰なのか?(ナレーション)
「シアス、何故あなたが……。シオンからの命令って……?」
冷や汗がマイの頬を伝う。
「愚問だな。ここへ来たのは他でもない。マイ、お前を連れ戻すためだ」
髪をかき上げ、見下すような笑みで答える。
「待ってください……! 今のまま聖永に戻ったとしても、シオンは元には……!」
「所詮はブロンズランク……。そんな生温い考えをしておきながら、シオン様がお前の帰りを待っていることに気づかないとは」
今のまま聖永に戻っても意味がないと訴えるマイに対し、シアスは冷徹に言い返す。
「……ッ」
ゴールドランクから放たれるプレッシャーは尋常ではなかった。
「ん?」
シアスが目線を机の方に切り替える。
「それは聖玉か?」
どうやら、聖玉の方を見ていたようだ。
「そうだ。あんたらが聖永杯の開催を宣言した後、ドローンで運ばれてきた。受け取ったのは俺だ」
バンが聖玉を受け取ったことを明かし、続けて言う。
「……ところで、あんたは聖永の関係者なんだろ? 聖玉について何か知っているんじゃないか?」
(どの学校も最初の聖玉は与えられている。だが、こいつらを優先的にシオン様のもとへ近づけるか……)
親指で顎を触り、何かを考えつく。
「その通りだ。我々が開始宣言をしたからには聖玉について把握してある」
「そこでだ。これから私と戦ってもらい、勝つことが出来たら、聖玉を10個やろう。だが……負けた場合にはマイを連れ帰る」
「!!」
突然告げられた、ハイリスクハイリターンの勝負。
「誰が行くかは問わない。どちらにせよ聖永の強さを示せることに変わりはないからな」
「……」
静かに放たれる圧。
ベイブレード部は暫く沈黙する。
その時、ある者が一歩踏み出す。
「俺が行こう」
「バン……!」
バンだ。
インフェルノケルベロスをかざし、挑戦の意志を示す。
「ソウタ。俺は、こいつの可能性というものを見てみたい。お前のおかげで、俺の心に火がついた」
真剣な眼差しで、ソウタを見つめる。
「バン……。分かった……! 頑張れよ」
「ああ」
スタジアムの方に更に踏み出す。
「バトルは2ポイント先取制だ。お前のベイが、私のベイを超えられるか見させてもらおう」
「この『ディヴァインペルセウス』で」
ペルセウスモチーフのベイ、「ディヴァインペルセウス」を取り出す。
「!!」
(なんだあのベイは……!? ゴツゴツした形状にダンパー刃、ディフェンスタイプか?)
特徴的な見た目のブレードに思わず、圧倒される。
「……審判は私が務めます」
「Ready……Set!」
マイが審判として名乗りをあげる。
そして……。
3・2・1 ゴーシュート!
スタジアム中央に落とされたペルセウス。
どっしりとそこに居座り、壁のように立ち塞がる。
それに対し、ケルベロスはスタジアムを旋回する。
「噛み砕け、ケルベロス!」
バンの声に応じるかのように、ケルベロスがペルセウスのもとへ向かう。
__ガンッ……!
鈍く重い、激突音がスタジアムに反響する。
しかし……。
__グラ……
「!!」
弾き返され、スタジアム外周に戻される。
それに加えて、ケルベロスが揺れ始める。
「弾き返された……! やはり、ブレードが関係しているのか?」
「フッ……」
動揺するバンに対し、シアスは余裕の笑みを浮かべる。
「『半分』正解と言ったところだな」
「どういうことだ……?」
半分正解という表現に、疑問を呈する。
そんな中……。
「……ブレードとディスクフレームです」
「!」
「マイ……!」
マイが突然、口を開く。
「バンさん。あのベイは、ダンパー刃が搭載されたブレードで衝撃を和らげる。これが一つの答え」
「そして、もう一つの答えが、ディスクフレームのアーマーによる攻撃の受け止め、弾き返す。この2つが防御の要となり、ギア全体がそれを支える。それが答えです」
「正解だ。ベイの特徴を一瞬にして理解するとはな」
「ベイの知識は私達に勝るだけあるな」
マイは気づいていた。
最初にバンが注目していたブレードの特徴だけでなく、もう一つの特徴まで答えだす。
シアスは、彼女の知識は高く評価しているようだった。
「だが、もう遅い」
冷徹にスタジアムを見つめ、今にも回転が止まりそうなケルベロスを見る。
__カタン……
とうとう回転が止まり、スピンフィニッシュで1点目を取られる。
「これが聖永の……!」
「作りたてのベイで、我がペルセウスの牙城を崩せると思っていたのか? 何という思い上がりだ」
「……!」
後1点で負けるという所で、追い打ちがかかる。
その時__。
「お前、さっきからバンのことをとやかく言うんじゃねぇ!」
「……」
「ソウタ……?」
「ソウタさん……」
「バンは自分の可能性を信じて、挑戦したんだ。目先の結果より、挑戦という意志自体に価値があるんだ」
啖呵を切った後、バンの挑戦する意志を称える。
「お前……」
(そうだ、俺は自分の意志で奴と戦っている。……迷っている暇はない、今は決着を……!)
吹っ切れる瞬間、ケルベロスが紅く輝く。
「!」
(ケルベロス……?)
そこには……。
(ディスクフレームの周囲が光っている……。今の俺に必要なことを教えてくれているのか?)
(……分かった。今度こそお前の可能性を引き出して見せる)
__パキ……
「……?」
ディスクフレームの周囲を取り外し、ひっくり返してセットし直す。
「もう一度だ」
もう迷いはない。
力強く、2回目へと踏み込む。
「……いいだろう。その意志も含め、完膚なきまでに叩きのめしてやろう」
「Ready……Set!」
3・2・1 ゴーシュート!
先程と同様の動きを見せる2機。
しかし、真っ先にケルベロスがペルセウスに向かってくる。
「全てを叩き込む……。ケルベロス!」
__ガチンッ……!
「!!」
ペルセウスがスタジアム中央から大きく弾き飛ばされる。
「何だ……? ケルベロスがあんなに弾いて……」
ソウタは驚きを隠せなかった。
「モードチェンジだ」
「モードチェンジ……?」
「インフェルノケルベロスには、秘密があった。ディスクフレームをひっくり返すことで、攻撃と防御を切り替えられる」
「それによってブレードとの一体感が生まれ、攻撃力が更に上昇する」
あの時、一瞬だけ見せた行動。
彼がベイとの共鳴で直感的に理解した、秘密。
それを以て、ひたすら勝利に向かっていく。
(これが可能性を引き出すということか……。やはり、最初に近づけるのはこいつらのようだな)
何故かシアスは焦る表情を見せず、スタジアムを静観する。
「これで決めるッ!!」
その声とともにケルベロスのオーラが現れる。
「インフェルノバイト!!」
__ガァァンッ……!
ペルセウスを押し出し、場外に金属音を響かせる。
「インフェルノケルベロス、オーバーフィニッシュ! バンさんの勝利です!」
「良し……!」
マイの手はバンの方を指し示す。
オーバーフィニッシュで一気に2点を勝ち取った。
「〜〜よっしゃぁぁ! やったな、バン! ケルベロスの可能性、見させてもらったぜ!!」
「ソウタ。お前の言葉があったから、俺は勝てた。ありがとな」
「どういたしまして……!」
「さて、戦いは俺達が制した。だが、無理にとは言わない。そこの判断はあんたに任せる」
「……約束をしたのは私からだ。文字通り、聖玉10個をやろう」
そう言って、バンの手のひらに10個の聖玉を渡す。
「では、私はシオン様のもとへ帰らせてもらう」
ペルセウスを拾い、部室を去ろうとしたその時__。
「あんた、本当は俺達を聖永におびき寄せようとしていないか?」
バンが突然、思わぬことを言い出す。
「……」
それと同時に、シアスが一瞬固まる。
「何が言いたい?」
「あんたは、自分のベイが大きく弾かれたのにも関わらず、動揺する様子も見せなかった」
「それに……。ベイを握りしめすぎていないか? その右手」
「本当だ……」
バンはシアスの右手を見て、ペルセウスを強く握りしめていることに気づく。
ソウタも目を見開いて驚く。
「……そうであれば、何だと言う。お前達はあと85個聖玉を集めなければ、私達にはたどり着けない」
「シオン様は私の帰りをお待ちだ。……せめてもの武運を祈る」
部室のドアを開け、早歩きで去っていった。
「……」
バンの目は猜疑に満ち溢れていた。
__聖永学園(4階教室)__
「シオン様。ただいま戻りました」
「根尾中ベイブレード部はどうだった?」
「想定内の実力です。少なくとも我々の手で十分と言ったところでしょう」
「そうか。貴様が向かっていて正解だった」
「ありがたきお言葉です……」
胸に手を当て、頭を垂れる。
(シオン様……。あなたが変わろうと、私達は……!)
聖永学園ゴールドランクであるシアスに勝利したベイブレード部。
しかし、その裏には想像もできないような歪みがあった。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
風馬マイ-水瀬いのり
瀬里シアス-福山潤
天道シオン-悠木碧
ナレーション-森川智之
ベイブレード
ディヴァインペルセウス.Ar6.WN
(アーマードシックス・ワイドニードル)
(ペルセウスモチーフのディフェンスタイプ。)
聖玉
5個→15個
▽
6話目です。
とうとう聖永杯編に突入です。
今回は、バンの新ベイデビュー戦になりました。
ケルベロスとペルセウスは爆転を除くと、全て共演を果たしているモチーフなので、親和性が高いですね。
(メタルファイトベイブレード→ヘルケルベクス、グラビティペルセウス)
(ベイブレードバースト→チェインケルベウス、セイバーペルセウス(ダイナマイトペルセウス))
(ベイブレードX→ケルベロスフレイム、ペルセウスダーク)
夏休みという時間を活かして、出来ることは最大限やっていこうと思います。
また次回。