ベイブレードNEO Season2   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第31話 魔術師の羅針盤

聖永杯にて、星楼中学校との戦いに勝利した根尾中学校。

 

ソウタ達は部室でのんびりしていた。(ナレーション)

 

「マイ、昨日はありがとな。星楼との戦いではお前に助けられたよ」

 

「それは良かったです」  

 

隣り合って座っているソウタとマイ。

 

二人は談笑を繰り広げていた。

 

そんな中、ベイの練習をしていたヒカルが、彼らの方に目線を移す。

 

「これから、聖永、星楼にも劣らない学校たちがやってくるはずだ。より適度なトレーニングが必要になる」

 

そう言って、2人に発破をかける。

 

「もちろんだぜ、ヒカル」

「そうとなれば早速れんし__」

 

練習と言いかけた時、ソウタのバトルバンドから「ザザッ……」と砂嵐のような音が聞こえた。

 

「? 何だ?」

「壊れたわけでも……ないよな」

 

彼は再起動を試みようと、右側のボタンを押す。

 

すると、突如として画面が切り替わる。

 

『ごきげんよう、根尾中ベイブレード部諸君。昨日の星楼中との戦い、見させてもらったよ。君達が、僕ら聖永にどれほどやれるか試してみないかい? ネオマート麻鷲(まわし)店裏路地の地下水道で待っているよ』

 

送られてきたメッセージの内容は、ベイブレード部に対する挑戦状だった。

 

しかも、コンビニの裏路地にある地下水道で待っているとのことでもあった。

 

送り主の名は無かったが、聖永の関係者であることは確かだった。

 

「いきなり何だよ……このメッセージ。しかも地下水道って待ってるって、何が目的なんだ?」

 

ソウタはメッセージの内容に困惑する。

 

「実際に行ってみないと分からないな。準備が出来たら、そこへ向かおう」

 

バンはケルベロスを拾い上げ、4人に話しかける。

 

(この文体……。まさか、次の相手は彼が……?)

 

その時、マイはペガサスをギュッと握りしめる。 

 

数分後、5人はネオマート裏路地にたどり着いた。

 

「こんな閉塞的な所で待っているとは……。ましてや、地下水道なんかに」

 

ヒカルはそう言いつつも、周りに誰もいないことを確認した後に、マンホールの蓋をどかす。

 

彼を先頭に、次々とその中へ入っていく。

 

「何だこれ……!?」

 

そこで、ソウタ達が目にしたものは……。

 

「カプセル?」

 

研究所に置いてあるような巨大カプセルが鎮座していた。

 

その時、何者かの声がした。

 

「ようこそ、僕のテリトリーへ。歓迎するよ」

 

現れたのは、銀色の短髪に眼帯、袖が伸び切った白衣を着た少年だった。

 

「誰だお前は?」

 

「僕は聖永4戦士の一人、四天カイト。蒼龍ソウタ。君が倒した黒野エイキと同じく、シオン様の忠実なしもべだよ」

 

その少年は四天カイトと名乗る。

 

あの時部室に現れた、黒野エイキと同じく、聖永4戦士のメンバーだった。

 

「俺達をここへ呼び出した目的は何だ?」

 

「決まってるでしょ、ベイバトルだよ。勿論ただのベイバトルじゃない。『実験』としてのね」

 

バンの問いかけに対し、目的を話し出す。

 

「そして……実験は『これ』で行うよ」

「僕の最高傑作、『ウィザードピクシス』でね……! 果たして、君達が導かれる方角は破滅かな? それとも希望かな?」

 

羅針盤モチーフのベイ、ウィザードピクシスを取り出す。

 

「さぁ、実験を始めようか。最初に被験者になるのは誰かな?」

 

「俺が出る。お前の知性と俺達の論理、どちらが上か確かめさせてもらう」

 

その言葉とともに名乗りを上げたのは、ヒカルだった。

 

「オーケー、オーケー。僕が、君の導かれる方角を示してあげるよ」

 

互いにランチャーを構えつつも、ヒカルはある違和感を覚える。

 

(何だあのベイは? ギアの高さが通常よりかなり高い……。ボール軸であることから、スタミナタイプなのは確かだ。だが、それにしては重心が高すぎる……。)

(何か別の狙いがあるのか? それに……。何故、奴は『中腰』なんだ?)

 

違和感の正体、それはピクシスのギアとカイトのシュートフォームだった。

 

ギアの高さが従来のものよりかなり高く、軸先が装甲のようなもので覆われていた。

 

更には、水平撃ちかつ中腰だった。

 

『マッチアップを確認! 一角ヒカルVS四天カイト! Ready……Set!』

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

シュートされた直後、ウィザードピクシスは中央を陣取る。

 

アストラルユニコーンはというと、一直線にそこへ向かっていく。

 

「仕掛けろ、ユニコーン!」

 

先制攻撃を仕掛けるも、それはギアの方で受け止められてしまった。

 

ブレードではなく、「ギア」に。

 

「なんだッ……!?」

(こっちの攻撃がまるで通用していない……!? 攻撃が無効化されているというのか?)

 

ユニコーンの攻撃が届かないことに焦りだす。

 

「クククッ……! 焦ってるね。君は今、何度も攻撃しているのに、ピクシスに攻撃が通じていないって思っている」

 

「くっ……!」

 

「図星だね。そりゃそうさ。なんたって、ピクシスのギアはボール軸がアーマーに覆われている。それによって、高い守りとスタミナを持ち合わせているんだ」

「生半可な攻撃じゃ、ピクシスは座標から外れないよ! さぁ、結果発表の時間だ」

 

カイトの声に呼応するように、羅針盤のオーラが現れる。

 

「デスティニーゾーン!」

 

ピクシスは中央でどっしりと構え、着実にユニコーンのスタミナを削り取る。

 

あっさりとユニコーンは停止。

 

一方的に蹂躙された末の敗北だった。

 

「何という守りとスタミナ……。これが聖永の……!」

 

ユニコーンを拾い上げた後、軽く握りしめる。

 

何も出来なかったことへの悔しさを静かに顕にした。

 

しかし、カイトはそんな悔しさに暮れる彼をよそに次の行動に出る。

 

「君達にはもう少しだけ、実験に付き合ってもらうよ」

 

彼はそう言うと、地下水道の壁にあるスイッチを押す。

 

その直後のことだった。

 

「えっ……?」

 

マイがいる床が高速で移動し始めた。

 

「!!」

 

突如、勢いよく地下水道内の柵が降り、彼女をそこの中へ閉じ込める。

 

「マ……、マイ!」

 

ソウタは急いで、マイのもとへ向かうも……。

 

「クソっ! 開け、開け!」

「テメェ! よくもマイを閉じ込めやがって! 卑怯だぞ!」

 

天井から床まで、完全に柵が繋がっている。

 

人の力では到底、こじ開けられるものではなかった。

 

マイを閉じ込めたカイトに、ソウタは激昂する。

 

「卑怯? 心外だな。これも実験だよ。マイは元々、聖永のブレーダー。裏切り者にはきっちり尋問をしなきゃいけない」

「けれども、そうすれば君達は不満に思うだろ? さて、実験の説明に移るよ。君達にはこれから、マイという『仲間』がないまま、どう勝てるかという実験だ」

「勿論、君達が勝てれば、マイを解放してあげる。負ければ、後は分かるよね?」

 

「上等だ。お前に勝って、マイを取り戻す!」

 

これも実験だと称し、マイを賭けた勝負へと突入する。

 

『マッチアップを確認! 蒼龍ソウタVS四天カイト! Ready……Set!』

 

(俺のドラグニルは短期決戦型だ。無駄にスタミナを消費したら、勝ち目がなくなる……)

(斜め打ちは不利になるし、どうする? 俺)

 

ソウタは考え込みつつも、カイトのシュートフォームを観察する。

 

(あいつのシュートフォームは水平撃ちかつ中腰……。そうでもしないと安定しないのか?)           

(……試してみる価値はありそうだな)

 

「!」

 

なんと、ソウタも彼のシュートフォームにした。  

 

(僕のシュートを真似た……? それで勝つつもりなのか?)

 

「何をしてるんだ? 実験、始めたいんだろ?」

 

戸惑うカイトをよそに、彼に話しかける。

 

「言われるまでもないよ。それじゃあ、行こうか」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

再び中央を取る、ピクシス。

 

高さのあるギアで、そこへそびえ立つ。

 

「さぁ、君のアタックはピクシスを動かせるのかな?」

 

「動かしてみせる。そのために先ずは、直接『側面』を叩く」

 

ソウタがそう言うと、ドラグニルは、ピクシスのギア側面に向かっていく。

 

「そんな高さの差で、どうやってやるんだい?」

 

その直後のことだった。

 

「!!」

 

カイトの余裕の表情が一変、顔に汗が伝う。

 

その理由は……。

 

「な……ッ。ピクシスがグラついた!?」

 

なんと、ピクシスが傾き始めたのだ。

 

「やっぱりな」

 

それに対し、ソウタは笑みを浮かべる。

 

「お前自ら、『ヒント』を出してくれて助かったぜ」

 

「ヒント……? ソウタさん、それは一体!?」

 

彼に向かって、柵の中にいるマイが、どういうことかを聞く。

 

「マイ。さっき俺は、あいつと同じシュートフォームにしただろ?」

「そこで気づいたんだ。ピクシスはそうでもしないと安定しないってな」

 

ソウタは「そうでもしないとピクシスは安定しない」と答える。

 

「カイト。お前のベイは、確かに防御力は申し分ない」

「だが、それだけ高ければ、シュートした際の衝撃とスタミナも考えなきゃいけねえ。立ちながらと中腰では、体からスタジアムへの距離も違う。だから、少しでもそこを近くしないとならなかったというわけだ」

 

「……!」

 

「どうやら図星のようだな」

 

ピクシスの弱点をシュートフォームから見抜き、「図星だな」と突きつけた。

 

「……じゃあ、君が僕と同じシュートフォームにしたのは……!」

 

「そうさ。おかげで、ドラグニルのアタックする時間が増えた」

「その礼ってわけじゃないが、返させてもらうぜ。ドラグニル!」

 

ドラゴンのオーラが現れ、カイトとピクシスを捉える。

 

「あ……あぁぁ……!」

 

「ソニックスティンガー!!」

 

「あァァァ………!!」

 

『セイバードラグニル、バーストフィニッシュ! 蒼龍ソウタの勝利!』

 

傾いた隙を狙い、ウィザードピクシスのディスクフレームに一撃を叩き込む。

 

それにより、バーストフィニッシュで勝利した。

 

カイトは発狂した後、気絶。

 

更には、場外にまで吹き飛んだピクシスのブレードが、柵の一部を破壊した。

 

「マイ……! 大丈夫か? 手を貸すぜ」

 

ソウタはすぐに、マイのもとへ駆け寄り、手を差し伸べる。

 

彼女もその手を受け取り、外へ出ることが出来た。

 

「ソウタさん、ごめんなさい。私としたことが油断してしまいました」

 

「気にするな、マイ。あれは誰にも予想できないさ」

 

「ありがとうございます」

 

マイは自身の失態を詫びるも、ソウタが寛容な態度で、それを許す。

 

「さて、今のうちにここを出ようぜ」

 

カイトが気絶しているうちに、全員で地下水道を出る。

 

聖永4戦士の2人目、四天カイトを倒したソウタ。

 

果たして、残る2人は誰なのか。

 

聖永にたどり着くまでの道のりはまだまだ続く。(ナレーション)




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

一角ヒカル-小野賢章

風馬マイ-水瀬いのり

四天カイト-山下大輝

ベイブレード

ウィザードピクシス.Wd4.AB
(ワイドフォー・アーマーボール)
(羅針盤モチーフのスタミナタイプ。メタルファイトベイブレードのフレイムビクシスのオマージュ。)
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