主人公プロフィール
名前:四星華洛
属性:異世界人 ショタ
「くそっ、ボクのことを舐めやがって…。」
ボク…
その怒り具合いといえば……地獄にいる鬼でさえも超えるくらいだと思う。
必ず、かの邪智暴虐の異世界美女たちを分からせてやらなければ。
ボクは身体に反比例して広く、大きい心にそう誓う。
いくらボクが大人なダンディだからといっても、さすがに我慢の限界というものがあるのだ。
あの煽り厨美女たちはその限界値を軽々と飛び越えてくるのだけど。
「いいよいいよ。そっちがその気なら、ボクだって本気を出してやる。」
ボクの天敵にして、今日のターゲットである女の部屋の扉の前へと立つ。
昨日は悔しくも負かされてしまったが、最高のコンディションである今のボクならば負けることなどないだろう。
「くっくっくっ…あの澄ました顔を、ボクを捕食の対象としか見てない目を徹底的に歪ませてやる!!」
クツクツと邪悪な笑い声を漏らす。
今のボクは、きっとどんな悪役たちよりも風格のある悪役の顔をしていることだろう。
「あっちもボクの部屋にたびたび侵入してくるからね。これはその仕返しだから。全然、まったくこれっぽっちも心苦しくなんてないんだからね!!」
いくら天敵とはいえ女性の部屋へと不法侵入したという事実に、ボクの心がズキリと痛む。
「ここがアイツの部屋か…。なんというか、うん…すごくらしいなぁ。」
可愛い系のデザインである人形たちが丁寧に置かれている部屋の中。
アイツが隠れ可愛いもの好きなのは知っていたので、そこまで驚きはない。
「っと、ぼーっとしてる場合じゃない!!早くどこかに隠れないと。」
とはいっても、思いつきで来たので隠れる場所など決めておらず…。
どんどんと、アイツの所属している騎士団の訓練時間の終わりが近づいてくる。
それでもいい感じの隠れ場所は見つからない。
「くっ、仕方ない。これはそう……致し方なくだから!!やりたくてやったわけじゃないから!!」
ボクはいったい誰に言い訳しているのだろうか?
そんな疑問を抱きつつも、ボクはやるべきことをしてからソコへと身を隠す。
それからほんの数秒後。
ガチャリという音を立てて、部屋の扉が開く。
超ギリギリだったことに、僕は大きく安堵の息を吐いた。
が、安心できたのはその一瞬だけ。
さっそくながら、ボクは今世紀最大級のピンチへと陥った。
『汗をかいたし、風呂に入るとしようかな。』
壁の向こう側からはっきりと、そんなつぶやきが聞こえてきた。
あ、これはヤバい。
先に──ある意味、もうとっくに手遅れだが──言っておくと、ボクが隠れている場所は水の張られていない風呂の中である。
ついでにめちゃくちゃどうでも良い情報を付け加えておくと、今のボクは一糸も纏わぬ全裸です。
なんで服を脱いじゃったんだろうね?
いやまぁ言い訳させてもらうとさ、ボクはお風呂場に入る時は全裸になるっていう常識を持ってるからさ。
今回はその常識が仇となったわけだけど、アハハッ(絶望)。
で、ボクはどうすればいいのかなぁ(泣)。
今のボクを傍から見たら、人んち…しかも女性の家の風呂に勝手に入ってる変態だよ?
こんなのもうさぁ…死、だよね。
彼女のことだから、ボクをブタ箱行きにすることはしないと思うけど……ないよね?
まぁとにかく、ブタ箱に送られなかったとしても、今後弄られ続けることには変わりない。
それはもう、何よりも耐え難い苦痛だ。
煽り厨たる彼女たちに一生ものの弱味を渡してしまうなんてことは、許されていいことではないのだ。
もし弱味を握られたら、ボクはいったいどんな辱しめを受けてしまうのか…。
少なくとも、ロクなことではないことは確かだね。
これからやって来てしまうであろう絶望の未来に思いを馳せる。
「ふぅ…今日も疲れたな。」
風呂場へと、アイツが入ってくる。
洗い場と風呂はカーテンで仕切られているために、まだボクがいることはバレない。
本心を言わせてもらうのならば、さっさとバレたかった。
そっちの方が、ボクの心臓に悪影響が出てこないからである。
それに、なんというか……薄いカーテンを一枚越しにした向こう側で異性にシャワーを浴びられるというこの状況は、ボクが大人なダンディとはいえ精神的にキツい。
ブブブブ
ふと、ボクの耳にそんな音が届いた。
何事かと思って天井を見上げると、そこには────
蛾がいた。
「うわーーーー!!!!」
ボクは予想外の天敵出現に、絶叫してしまう。
身体を跳ねさせ、カーテンを勢いよく開き、その先でシャワーを浴びていた銀髪の美女…ティフィシア・アストリアの背に隠れた。
「やはりか…。」
なんかボソリと言っているが、気にしたことじゃあない。
「むし、むしさんがいたの。た、たたた助けてティフィー。」
ガクブルと身体を震わせて、ボクはティフィシアの背中へと顔をうずめる。
怖い怖い怖い怖い。
た、たた、食べられちゃう。
「そ、そうか。私がいるから、大丈夫だぞ。……今のはかなりギリギリだったな。うっかり食べてしまいそうになったぞ。」
ティフィーはなにをいってるんだろう?
ボク、ティフィーにたべられちゃうのかな?
「虫はいなくなったから離れても大丈夫だぞ、カラク。」
「そう、なの?」
むしさん、いなくなってくれてよかった。
「それでだな⋯カラク。いつまで私に抱きついているつもりだ?さすがに裸だから恥ずかしいのだが⋯。」
「ふえっ?」
抱きつく?裸?
……そーいえば、ここは風呂場で今のボクたちは全裸だったね。
「えっと、これはその⋯⋯。」
「ほら。躊躇わずに教えてくれ。どうして私の部屋の風呂場にいたのかを。」
ニヤニヤと清廉潔白であるはずの騎士とは思えない笑みを浮かべ出すティフィシア。
ボクのためにむしさんを退治してくれたと思ったらコレだよ。
せっかく感謝しようと思ったのにさぁ!!
「ほらほら。黙りこくってしまってどうしたんだい、可愛い可愛い私のカラク?」
「てぃ、ティフィーと一緒にお風呂に入りたかったの!!」
なにゆえ?
どうしてボクはこんな恥ずかしいことを口走っているんだろう?
だけどまぁいいさ。
さすがのティフィーでも少しは恥ずかしがるはず。
そこを突いて、今回のことはうやむやにさせてもらおう。
さぁ!!
キミの羞恥に染まった表情を見せ─────
「そうなのか?それなら一緒に入ろうか。」
あるぇ?
備考
・どれかの感情が振り切れると、幼児退行する。
・自分のことを大人なダンディだと思っている。
・毎日のように、異世界美女たち(超ハイスペックな偉い人)の誰かに分からせられている。