伏黒宿儺に「そろそろ狩るか…♠︎」する転生者 作:羂索は踊り狂って死ぬ♠︎
火山頭の呪霊を追って通路を走っていると巨大だった呪力が唐突に膨れ上がる。
火山頭は宿儺の指と言っていた。ならば、この呪力は宿儺のもので、それが更に増幅したということは宿儺が何かしらの方法で力を取り戻した可能性が高い。
もしかしたら火山頭も関わっているかもしれない。
呪力は元いた場所から移動して火山頭の呪力と激しくぶつかる。
僕は最初に宿儺の気配を感じた場所に来ていた。
そこには首を落とされた制服姿の女子の死体と大量の肉片が散らばっていた。
宿儺がやったのか、火山頭は生まれから考えると斬撃の術式とは考え難いしな。
事情聴取の為にも生き返らせた方が良いだろう。
僕は術式範囲をこの場に限定して発動する。
時間が逆行し、死体が逆再生のように元通りになる。
生き返った女子高生二人に対して、僕は穏やかに声を掛けた。
「蘇ってすぐで悪いけど、此処で何があったか話してくれるかな?」
「私、達…死んだ筈じゃ…?」
「僕の術式は死人を蘇らせることも可能なのさ♠︎あくまで術式対象は肉体だから魂が離れ過ぎると蘇生出来なくなるけど♣︎」
魂までは巻き戻していないからか記憶も保ったまま蘇らせることができる。
とはいえ、呪力消費が馬鹿にならないし、その後にかなり省エネな戦闘を強いられる。
幸い僕は戦闘スタイル的に術式を使わなければそこまで呪力を消費しないから戦闘は可能だ。
「さて、時間もないから早く事情を話してくれないかな♦︎蘇った感慨は後回しにしてくれ♠︎」
「……宿儺に、指を献上して夏油様の肉体を乗っ取った奴を殺してって言ったら殺されたの」
「指は何本食わせた?」
「私達は1本。火山頭の呪霊が10本食べさせてた」
「……虎杖は普段肉体の支配権を持っているが、一気に指を取り込んだことで適応が追い付かず、肉体の支配権を宿儺に奪われたのか♦︎そして何故か火山頭の呪霊と戦っている……♣︎火山頭が宿儺に勝つ可能性はゼロに近い♠︎虎杖が戻って来るまで僕が足止めする必要があるか♣︎ワクワクするね❤︎」
僕は今までで一番の強敵に挑める状況に昂る。
宿儺は虎杖の中で復活の計画を立ててるだろうし、味見といったところかな。
視界の端に怯える双子を捉えて、そういえばと口を開く。
「あ、君達って呪詛師側?」
「夏油様の肉体を取り戻す為に協力してただけ。味方なんかじゃない」
「……百鬼夜行を起こした夏油の手下か♦︎君達は地下5階に向かって父さん…直毘人と真希、七海さんと合流して協力してくれ♣︎」
「良いの?私達はテロを起こした側だよ?」
「この際利害が一致してれば良い♠︎蘇らせたことに恩を感じてるなら素直に協力して欲しい♣︎」
「……分かった。協力する」
双子はそう言って地下5階に向かった。
僕は火山頭と宿儺の元へと向かって走るのだった。
◇
外に出てみれば、酷い有様だった。
戦闘の余波で幾つものビルが倒壊し、マグマが地面を流れていく。
そして一番酷いのは隕石が落ちている箇所だ。
ガラスすら溶ける程の熱気に包まれ、並の術師なら立ち入ることすら許されない領域に達していた。
宿儺はその隕石の上にいた。
火山頭の燃え尽きる姿を前に無言で立ち尽くしている。
その後ろには白髪の着物を着た術師がいた。
戦闘にならない辺り仲間なのだろうと推測できる。
僕は隕石の上に降り立って宿儺と対峙した。
「やぁ❤︎次の相手は僕だよ❤︎」
「貴様か。良いだろう、遊んでやる」
宿儺がそう言うと無言で後ろにいた術師は下がっていった。
僕はトランプを構えて臨戦態勢に入る。
互いに呼吸を合わせ、同時に仕掛ける。
僕はトランプを飛ばして宿儺の体を貫かせ、宿儺は無数の斬撃を僕に飛ばした。
鋭い痛みが全身を襲う。僕は反転を全開にして傷を治す。
「硬いな。今度は本気でやってやる」
「僕も、虎杖の体だからって容赦はしないよ♠︎」
宿儺が目にも留まらぬ速度で僕の頭に触れ、魚を卸すように切り裂く。
僕はズレていく視界を認識して咄嗟に術式を発動させた。
時間が逆行し、肉体が傷を受ける前に戻っていく。
僕は何とか九死に一生を得て、反撃を宿儺に喰らわせる。
宿儺の両腕が切り落とされ、地面に激突する。
宿儺は嬉しそうに笑った。
「ハハッ!何だお前!!頭を完全に卸した筈なんだがな!」
「危なかったよ♣︎本気で冥土が見えた♦︎」
「あそこから復活する術式か。良いものを持っている」
宿儺はそう言って反転を回して腕を治す。
当たり前みたいに腕生やすの凄いな。反転のレベルが違う。
「千年前には貴様のように俺の全力の捌を耐える者はいなかった。現代の術師にしてはやるな」
「まだまだ、勝負はこれからでしょ♠︎」
「そうだな。耐えてみろ。領域展開《伏魔御廚子》」
宿儺の背に大量の骨とお堂が現れる。それは心象風景の具現化だ。
そして驚くことに宿儺は領域を閉じずに展開している。
領域を会得していない僕には想像も付かないレベルの領域展開だ。
無数の斬撃が僕の体を切り刻む。反転と落花の情で耐えられるレベルだが、これだけで終わるとは思えない。
そう考えていると宿儺は領域内の物質がある程度粉々になった時点で更に生得術式を発動させた。
「《
宿儺の手に炎が宿ったのを見て、僕はすぐに自分の肉体のみに時間逆行を発動した。
炎が領域内を埋め尽くし、領域にある全てを焦土へと変える。
炎が収まった時、僕は何とか無傷で耐え忍んでいた。
宿儺は獰猛な笑みを浮かべ、此方へ手を差し向けた直後、突然口角を落として昂っていた呪力を萎えさせた。
「時間切れだ」
「そうか、残念♦︎続きはまた今度、だね♣︎」
「小僧の肉体を手にしたら、次こそ貴様の肉体を切り刻んでやる」
「楽しみにしてるよ❤︎」
そこで宿儺は虎杖に抑え込まれて肉体の内側に戻っていった。
虎杖が焦った顔で俺を見る。
「神楽先輩!大丈夫!?」
「この通り、無傷だよ♠︎服は焼けちゃったけど♦︎」
僕は焼け焦げた服を術式で元通りにする。
虎杖はホッと息を吐いた。
「でも、俺のせいでまた人が死んだ。俺が弱いせいで…!」
「少なくともその内の二人は僕の術式で救っておいたよ♣︎」
「どうやって…」
「宿儺に聞かれるから、余り話したくないけど、術式で時間を巻き戻したんだ♠︎それが僕の術式♦︎」
「そっか…!ありがとう、先輩!」
「気にしなくて良いよ♣︎僕も打算あってのことだし♠︎」
「それでも、ありがとう!」
「……君って良い子だね♦︎さて、余りお喋りしてる時間もないから、さっさと地下5階に向かおう♣︎その元気はあるかい?」
「押忍!いつでも行けます!」
「じゃあ、行こう♠︎仲間達と合流して次は偽夏油を倒す番だ♦︎」
そうして僕達は地下5階に向かって走っていく。
その道中、地下鉄で継ぎ接ぎ顔の呪霊と遭遇する。
「真人!!」
「虎杖悠仁!!」
「先輩、コイツは俺に任せて先に地下5階に行ってくれ」
「……分かった、君に任せる♣︎死ぬなよ♠︎」
僕は真人という呪霊を虎杖に任せて地下5階に向かった。
地下5階には先に向かっていた父さん達がいた。
そこには偽夏油も五条悟を封印した呪物もなかった。
「遅かったな、神楽。まあ、私達もだけどな」
「既に偽夏油は五条悟の封印された呪物を持ち去ったか♦︎ならば、此処からは敵戦力をできるだけ削ぐ戦いになった訳だ♣︎」
「バラけるか?」
「いえ、固まって動いた方が良いでしょう。敵の戦力が未知数な今、可能な限りの戦力を結集させて敵を叩いた方が得策でしょうから」
「相手の出方が分からんのが痛いな。これでは次にどんな爆弾を落とされるかも分からん」
「外に出ましょう。仲間と合流して敵の位置を暴き、全戦力で挑むべきです」
僕達は七海さんの言葉に頷き移動を開始するのだった。
・オリ主
冥土が見えたけど楽しかった❤︎
・宿儺
初めて全力の捌を耐えた相手に大興奮。
良いとこで中断させられて超不機嫌。延々と虎杖の中で文句を垂れてる。
実は伏黒恵への影響を考慮して領域の範囲をかなり絞っていた。