いきなり許嫁候補!? ~分家序列最下位からの成り上がり?!私、望んでませんから!ほっといてくださいよ!~   作:天野建

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第120話 私、はっと気づく+第121話 私、外出先、吟味中

 私はそこで遅まきながら、次の外出先が私の願望によるもので、晶露様の行きたい場所が入っていないことに気づいた。

 しおりを作りきる前に、確認しておくべきであろう。

 常日頃晶露様の為の口にしておきながら、自身の願望が前面に出すぎているのではないか?

 との諸君の鋭い指摘が聞こえてきそうである。

 全くその通りで、反論の余地はない。

 私は今更ながらであるが、隣に座る晶露様に聞いてみることにした。

「晶露様」

「はい」

「もっと早くに聞かねばならなかったのですが、晶露様が行きたいところはないですか?」

「いきたいところ」

「はい。このしおりにない場所でかまいませんよ。パワースポットを調べているうちに気になった場所などなかったですか?」

 私の興味は異能に大いに振られているが、通常であれば娯楽施設、遊園地なる場所に幼児は興味を示すのではないであろうか。とはいえ、まだ晶露様は5歳とまだお小さいので、遊園地に行ったとしても乗れる乗り物が限られてしまうかもしれないが。

 晶露様はしばし考えたのち、お答えになった。

「ぼくは、ねえさまといっしょにいられるところであれば、どこでもよいです。ねえさまとロウがいて、おそとでごはんをたべられたら、とてもうれしいです」

 そう言うと、にこりとお笑いになられてた。

「晶露様」

 私は晶露様の望みを聞いて、胸が一杯になってしまった。

 あまりにもささやかな願いである。

 胸が苦しい。しかしここで涙をみせるべきではなかろう。

 私の心は大人である。

「さようですか。わかりました!おいしいお弁当を持って、ピクニックもしましょう!」

「はい!」

 そしてそのうち遊園地なる場所にもお連れしよう!

 しかし今はパワースポットを優先させていただこう!

 晶露様、ありがとう!

 

 

 晶露様の言質はとった。

 私は存分に、私の行きたい場所を優先させていただく!

 さて、今回近場でかつ小さきパワースポットなれば、一日で一気に回ってしまいたいが、難しいか。

 我らはまだ幼児、体力と相談しなくてはなるまい。

 3箇所ある候補地。

 うん。この中から晶露様に選んでもらうか。

「晶露様」

「はい」

「この3箇所の中で、どこに一番行きたいですか?」

 効率を考えれば、自ずと順番が決まろうが、ここは晶露様の好奇心が高めのところから行こうと思う。

 少ない選択肢であるが、選んでくれてよいのである。

「いえ、ぼくはねえさまとおでかけできれば、どちらからでもかまいません」

 なんとも模範的な答えである。

 これらの目的地は、私の探究心から発したものであるのも、答えの一因になっているのであろう。

 誠に申し訳ない。

 最近、したいことをしたいと言ってくれるようになってはいるが、まだまだである。

 今後、もう少しわがままを言っていただくように鍛えねばなるまい。

 晶露様には、それでちょうどいいのである。

 そもそも今回の外出目的について、制限はかかっていない。

 新宿御苑に行く際には、ロウの能力向上目的であったが、今回私は敢えてそこに言及せず、また若君もお尋ねになられなかった。

 私の意図は明確である。

 私自身の能力の向上の為に外出したい!建前なしに!である。

 若君が目的に言及しなかったのは、私が異能の探究目的であるとバレバレだからかもしれない。

 異能の探究は、本家の生業に深く関わっているものであり、それに興味を持つことは、本家にとっては望ましいことであるからであろう。私の立場である、筆頭許嫁候補としてもである。万に一つ、私の能力の上昇があれば、御の字と考えているのかもしれない。

 いや、それはないであるか。

 若君は私に、興味をお持ちではないのであるからな。

 異能についての知識の新発見があれば幸いか、ぐらいは考えているかもしれないが。

 本家の方々の異能力は、私とは桁違いの水準であり、必死に異能を高める必要がないのである。

 能力値は生まれた時点で決定される。それが定説として浸透しているのも一因であろう。

 あ、あるいは。

 私の外出目的は前回に引き続き、ロウ(妖精)の能力の開花、能力の向上と考えてくれているのかもしれない。

 それならそれでよしである。

 ならば私も割り切って考えるのである。

 私の異能力向上の考察にお付き合いいただきながら、晶露様にもできるだけ、外出を楽しんでいただく。

 私の主な目的はこの2つでよかろう。

「ねえさま?」

 はっ。いけない。また考えに没頭してしまった。

「申し訳ありません。少しぼうっとしてしまいました」

 ああ、我が幼稚園の友、ネイちゃんがここにいれば、さっさと話が進むものを!

 いや、友に頼り切りになるのもいけない。

 私自身がしっかりせねばならぬ。

 さて、どうするか。

 私は改めて、じっくりとこの近辺の地図を眺める。

 やはり一気に回るのは難しい。

 大人なれば、たやすかろうが、私たち幼児には厳しい。

「1日で2箇所も厳しいか」

 土曜日朝から出発できれば可能であろうが、土曜日の午前中は、晶露様が異能の訓練があるのである。

 その為外出できるのは、午後からである。

 となると、土曜日に1箇所、日曜日に1箇所か。

「パワースポットを回りつつ、うちにお泊まりも可能か?」

 私は考えに集中して、ついぽろりとこぼしてしまった。

「ほんとうですか!ぜひ、ぜひ、したいです!」

 しまった!楽しんだ後に、1人お部屋にぽつりと帰るのは、より寂しさが募るかもと思い、できればしたいことを口から零してしまった。

 ロウが我がいるぞと叫びたくなるかもしれぬが、妖精と人間とは、やはり違うのである。

 晶露様の期待に膨らんだきらきら目がつらい。

 若君、許可してくれるだろうか。

「き、期待に添えるように、交渉がんばります」

「はい!」

 自らハードルをあげたことを悔やみつつ、そう返事をするしかなかった。

 くう。若君との交渉後に、告げるべきだった。

 自らの軽い口を、悔やむばかりである。

 

 

 




 一区切りがあまりに短いので、連ねて投稿しました(カクヨムと小説家になろうとのマルチ投稿の関係で話数をあわせてます)
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