いきなり許嫁候補!? ~分家序列最下位からの成り上がり?!私、望んでませんから!ほっといてくださいよ!~   作:天野建

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第151話 私、本家子分ズに感心する

 日付変わって翌日、日曜日である。

 私は朝ご飯を食べ終わり、まったりとしているところに、本家からのお迎えがあった。

 やはり来たか。

 私とて、その後の調査がどうなったのか気になるところであったので、文句も言わずに、車に乗り込んだ。

 なお、両親は、玄関でお見送りである。

 来てくれてもいいと思うよと、半分本気でお誘いしたら、2人して大きく首を振った。

 わかっていたけれど、そこまで拒否しなくてよいと思うのである。

 きっと2人は今頃居間で、リラックス三昧なのであろう。

 いいけれども!少しイラってするのである!

 異能についての知識欲があるから、本家からの呼び出しは望むところであるがな!

「ねえさま!」「おーみ!」

 本家に着くと、晶露様とロウが、玄関で熱烈なお出迎えをしてくれた。

 やはり晶露様は、起きた時に、私がいなかったことが寂しかったらしい。

 申し訳ないことをしたのである。

「お出迎え、ありがとうございます。さあ、今日も一日、一緒に過ごしましょう」

「はい!」「おう!」

 笑顔の戻った晶露様と、本家子分の松也さんに先導されて、廊下を歩く。

 ロウはもはや定位置になった晶露様の頭の上で、ご機嫌である。

 晶露様の部屋に足を踏み入れると、そこにはすでに若君がソファに座り、私を待ち構えていた。

 若君の後ろには三弥さんが立っている。いつも通りである。

「座れ」

 前置きなしである。

 挨拶もなし。そういう取り決めであったけれども。

 とはいえ、朝は普通に挨拶をしたいところである。

 それにしてもである。

 若君、私に遠慮がなくなってきていると思うのは、気のせいであるか?

 扱いが雑になっている気がする。

 それは親しみが湧いているのか、それとも許嫁候補としてではなく、部下としての扱いか。

 できれば友として、扱って欲しいが、若君を目の前にして言える訳もなく。

 私と晶露様が、並んで若君の向かい側のソファに座る。

 若君の眼の下には、うっすらとクマがある。

 また無理したのであろうか。

「お疲れのようですね」

「お前が言うか?いや、今回は手柄であったか」

 眉をよせて、1つ、首を振る。

 おお!若君、ちゃんと気づいてくれているのである!

 ふっ。一晩経って、冷静に判断してくれたのであるか。

 そうなのである!。偶然とはいえ、私は一族の大事なお役目の不備を見つけたのであるから、晶露様と2人神隠しにあったのは、不問にして欲しいと切に願うものである!

 えっ!晶露様を危険に晒したのには、代わりがない?!

 誰であるか!余計なことは、言わないように!

 それにしても、若君、顔色が悪すぎるのである。

 若君はもう少し、下の者に仕事を任せて、休むことを学ぶべきである。

 仕事をまかせることができるのも、上に立つ者の器の大きさを物語る。

 そう言いたいが、言えない。

 言える訳がない。私はしがない序列底辺の幼女である。

「なんだ?じろじろと人の顔見て。俺の顔はケーキじゃないぞ。腹が空いたなら、野衣に言え」

「違います!朝ご飯はちゃんと食べてきました!お気になさらず!どうぞ先に話を進めてくださいませ!」

 ひどいのである!せっかく若君の心配をしていたのに!私、そんな物欲しそうな顔をしていたか?

 私が内心憤慨していると、テーブルにすっとプチケーキと紅茶が出された。

「おお!ありがとうございます!」

 野衣さんにお礼を言いつつ、早速食べる。

 うーん。食後のデザート、いい!

 はっ。違うのである!お腹がすいていた訳ではないのである!ただ、出されたら、断れないであろう!

 誤解しないように!

「ケーキ、おいしいですね」

「おいしいな!」

 晶露様とロウが同意を求めてくる。そう野衣さんは、もちろん2人にもケーキとお茶を出している。

 く、返事をしない訳にはいかない。

 私は仕方なく、頷いた。

「はい」

 若君!なにそのやっぱりかという顔は!

 くう。なぜか負けた気がする。

「では、話を進めるぞ」

「はい」

 その一言で、フォークを置き、私は背筋を伸ばした。

「昨日の件、詳細が判明した。三弥は必要ないと言ったが、お前と晶露が事の発端だ。説明をしてやろうと思ってな」

 私は若君の言葉に、若君の座るソファの後ろに立つ三弥さんに、鋭い視線を向ける。

 ひどいのである!関係者には、説明の義務があろう!あろうよな?

 それにしても。

「昨日の今日で、もうわかったのですか?!」

「うむ」

 仕事が早いな。本家の子分ズ、マジ優秀である。

「さて。どこから話すか」

 若君は一瞬迷われた後、すぐに口を開いた。

「そうだな。まずはお前たちが術式陣で、飛ばされた場所はH県の島だった」

「ええ。関西に飛ばされたんですか?!」

 ふふ。私は地理にも詳しいのである。

 この世界が本当に前世と違うのか調べた時に、日本列島の地図を調べたからな!

 それにしても川の術式陣、そして洞窟の術式陣。

 遠距離可能な転移陣だったのか!

 描いた人、マジ優秀である。

 いや、場所限定であれば、単純な術式陣でも可能か?前世で視た魔法陣と似ていたが。

 これを機会に、私の記憶を掘り起こすべきか?

 とはいうものの、私は専門家ではないからな。思い出しても、大して役に立つとも思えぬが。

 それにしても!くう!もっとよく見ておけば良かったのである!

「そうだ。そしてそこを管轄していたのは、水音家の同族で、その地方の水音の総代であった。コワタミ様の水の幻像で、役目を請け負っていたの顔が判明していたからな。調べるのは簡単だった」

「さようでございましたか。それで、総代とはどのようなお立場の方なのでしょう?」

 家の一族結構日本全国に分散しているのかもしれない。

 総代か?その地方でのまとめ役のような者か?

「水音家も、本宮本家から別れ、分家水音家となった月日は長い。その間に水音の一族、他の分家もであるが、地方に傍系の同族がいる。そして地方で統括する役割を担う場合、総代と呼ばれる」

「なるほど」

 そうであるよな。分家の分家、さらには傍系同族と、複数の家に別れてしまうと、統括するのも大変である。

 ある程度権限をもった者が必要であろう。

「さようですか。それで、なぜ、その方は、お役目を放棄していたのですか?」

「放棄していたのではない。出来なかったのだ。その水音の総代が交通事故で亡くなってしまっていたのだ」

「ああー。もしかしてコワタミ様との契約を知っていたのは、その方だけだったと?」

「であるな」

 コワタミ様の言っていた通りか。

「なるほど。それで約定を知らずに、途切れてしまっていたと」

 それは不可抗力だな。仕方がない。

 今後そうならないように、コワタミ様が許可した範囲内で、対策をとるしかないであろう。

 それはもう、若君にお任せである。

 ただ、私から1つリクエストできるなら、頼みたいことがある。

 できれば、聞き届けて欲しいものであるが。

 さて、どうであろうか。




 さて、大海の頼み事はなにか?
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