いきなり許嫁候補!? ~分家序列最下位からの成り上がり?!私、望んでませんから!ほっといてくださいよ!~ 作:天野建
私たち灰咲家の今後の身の振り方が決定した後は、速やかに実行された。
両親は支社での引き継ぎや挨拶を済ませ、本社へ移動。
借家を引き払い、私の転園もなされた。
私はといえば、抗うことなく、ただ慌ただしい流れに身を任せるのみである。
私は無力な5歳児であり、手伝えることは皆無に等しい。
できることといえば、両親をねぎらうだけである。
そうは言ったが、両親とはここ2、3日は会えていなかった。
すべての諸手続が済むまでの間、本家の母屋の客間にて私はお泊まりさせられている。
転園はすぐに済み、速やかに晶露様と通えるかと思われたが、時間がかかっている。
特殊な学園であるからなのか?
そういえば、学園の名前をまだきいていなかったな。
迂闊であった。
まあ、聞かずとも、いずれ通う学園である。
おのずとわかろう。
転園の手続きがすめば、父が送迎を受け持ってくれる筈であるが、まだ至っていない。
その為、父にも母にも会えないのである。
大変に心細いのである。
朝は学園の幼年部に向かう晶露様、小学部に向かう若君のお見送りした後、私は本家にて寂しさを紛らわせる為に、本家の書架から本を借り、客間にて静かに時を過ごしいる。
文句が出る前に、正直に言おう!
諸君には嘘はつくまい!
誰に邪魔されることなく、思うがままに本家の書架から好きな本を借りて読む日々は、まさに至福であった!
父よ、母よ、薄情な娘ですまない!
しかし、寂しいとちらりと思っているのは本当である!
ここで一言付け加えておくが、晶露様が学園からお戻りになられてからは晶露様のお部屋で過ごし、夕食を食べ、客間へと引き上げる。
ちゃんと晶露様に寂しい思いをさせないように気を配っていると記しておく。
重ねて付け加えるならば、客間へと引き上げた後、自由時間かと言われれば、それは否である。
しばらくすると、枕を両手で抱え、頭にロウを乗せた晶露様が客間の扉をたたく。
後ろにはロウの寝床を持った野衣さんが控えている。そして私は晶露様とともに、就寝するといったルーティンがしばし続いた。
そうして10日経った頃には、新しい環境が整い、私は新生活がスタートすることに相成ったのである。
ここで、必要と思われるいくつかの事項、説明しておこうと思う。
振り返ることによって、我が家の引っ越し計画に抜けがないか確認でき、加えて頭も整理される。
諸君への説明は大事なプロセスである。
まずは私たち家族が住む新しい家についてである。
社宅扱いで中古であるが、戸建てが用意された。
中古と説明したが合っているか、いささか疑問を呈する。
確かに古い家ではあるが、立派すぎるのである。
民家というより、もはや屋敷邸宅と呼んでもいいくらいの建物であった。
新しい我が家は本家から車で15分ほどのところにあった。
今まで住んでいた家よりも3倍、いや5倍は広かろう。
庭も広く、小さいながらも池まである。地下から水が引かれており、水は清浄である。
建物は2階建て。
一階部分にはキッチン、ダイニング、バスルーム、トレーニングルーム、応接間、居間、そしてなぜか使用人宿泊室。2階は両親の寝室、両親の私室。そして私個人の部屋まで設けられた。そして客間が2部屋。
ここで一言言っておく。家の大黒柱、父の近平は、役職なしの平社員である。
父には悪いが、分不相応な家である。
それにである。私室が出来て嬉しいことではあるが、5歳児に一人部屋なんて必要なかろう。
貴族の家ではないのである。庶民は子どもが小さければ、両親と同じ部屋で寝るの普通ではなかろうか。少なくとも日本においてはである。
5歳の娘には広すぎるだろう私室。不要である。
私の考えに間違いがあろうかと、両親を振り返れば、私と同様、新たなマイホームとなった家に困惑していた。
そうであろう。両親も私の考えに賛同であろうと頷きかけたが、よくよく理由に耳を傾けたところ、広すぎて部屋を掃除して回るのが大変すぎるとの言。
私は驚愕し、それ以外の理由はないのかと母に問うた。
すると、身体の鈍りを解消するためのトレーニングルームもあるので、会社だけでなく家でも励める。
家は広い割に、家賃も安い。将来のマイホーム購入の資金も貯められる。
掃除以外なにが不満があるのか。職場にも近いしと、両親2人頷きあっている。
私はそれを聞いて首を振った。
やはり両親は脳筋であると。
私もそう単純に物事を済ませたいものである!
一区切りがあまりに短いので、連投稿しました(カクヨムと小説家になろうとのマルチ投稿の関係で話数をあわせてます)