いきなり許嫁候補!? ~分家序列最下位からの成り上がり?!私、望んでませんから!ほっといてくださいよ!~ 作:天野建
最後に私、大海であるが、ネイちゃんとの辛い別れを経て、本家から車で1時間ほどのところにある私立学園の幼年部に転園した。
転園にあたり、軽い面接はあったものの、異能による試験はなく、入学を許されたのである。
小学部に上がる際には異能の精査や審査があるらしいが、幼年部においてはそこまではないらしい。
7歳にも満たない頃から序列はつけられないということか。
審査されれば、序列底辺になるであろう私である。幼年部では序列関係なく過ごせるということは、私にとっては幸いである。
私にとって今回の引っ越し案件で、一番辛かったことは、言わずもがな、我が幼稚園の友、ネイちゃんとの別れであった。
私は最後の別れをする為、晶露様に事情を説明して、父に連れられて我が最初の母園である幼稚園へと向かった。
我が友、ネイちゃんは意外とドライで豪胆であった。
これが永遠の別れでもない。お互いに元気で過ごそうと笑って言い放たれた。
私が目が潤むのを必死に押さえようとしているのに対し、実にあっさりなネイちゃんであった。
もしや私はネイちゃんの中で、それほど重きを置かれていなかったのか?と疑ってしまったくらいである。
が、ネイちゃんの手が、何かを我慢するようにきつく握られ震えているのに、私は気づいてしまった。
ああ、我が幼稚園の友よ。
一瞬でも疑った私を許して欲しい。
私は決して君との友誼を忘れない。
私は彼女の精一杯の強がりを尊重した。
そしてこのつながりを保つべく、ネイちゃんに私が厳選したレターセットを渡し、文通することを約したのであった。
私たちはまだ5歳、文明の利器のトップクラスに属するであろうスマホなるものを自由に操ることは許されていない。まことに遺憾である。
もう少し成長すれば、許される日も来よう。それまでは文での縁を続けよう。
我が幼稚園の友、ネイちゃん。
次に会える日を私は楽しみにしている。
絶対にまた会おう!
私はそう誓いつつ、世話になった幼稚園を後にしたのである。
ああ、我が友、ネイちゃんに幸あれ!
さてここで、私が日常の3分の1以上過ごすことになるであろう、新しい学び舎、五識学園についてもう少し詳しく説明しておこうと思う。
諸君もお気づきであろう。
そう学園の名前が判明したのである。
学園の名前は五識学園。
学園の名前の由来はあるのであろうが、たいして興味もないので、掘り下げていない。
私に役立つ項目であるなら、おのずとわかるだろうから、それまでは放っておく。
さて、この五識学園は幼年部から大学までのエスカレーター式の一貫教育を謳っている学校で、文武両道、克己復礼(こっきふくれい)を推奨している学校らしい。文武両道はともかく克己復礼とはね。今時それを掲げるか?そこまで気にして入学する生徒はほんの一握りだろう。
入学してくる子どもはおそらく我ら一族のように特殊な力を尊び、それを生業の主軸とする家であろう。これが他人事であれば、堅苦しいけど励んでくださいと突き放せるが、それが自身に降りかかるとなれば、笑ってなどいられない。
エスカレーター式の学校という強みを生かし、幼き頃から私欲を捨て、一族に貢献を、そして道を外すな等々叩き込んで行くのであろう。
前世の貴族教育を彷彿させる。
その前世の記憶があるので、抵抗感はあるものの、表だっての反抗はしない。
それは間抜けがすることである。
己をしっかりと持てばいいだけの話である。
先を続ける。
私の年齢を鑑みれば、転園先は幼年部である。
幼年部の所年齢は赤子を少し脱した、3歳から。
右も左もわからぬ幼児が多い。
小学部に上がっていない子らである。
幸か不幸か各家の序列など不明。そして幼年部においてはまだ学校での序列づけは行われていない。
それはそうである。この年齢ではまだ異能が発現していないか、していてもまだ不安定であろう。
何よりもよちよち歩きを脱したばかりのお子様には、まだ志など皆無であろう。
先に触れた学園の指針など、私以外気にする子供はおるまい。
いや、油断は禁物か。
もしかしたら、晶露様のような聡明なお子がいるかもしれぬ。
足をすくわれないように注意はしておくことは肝要であろう。
以上のことから、私がわきまえていれば、意地の悪いことを仕掛けてくる子もいなかろう。
ありがたいことである。
こびへつらうことはないが、目立たず控えめに過ごすこと。これ重要である。
おそらく小学部に上がり、異能を精査されたとして、私の異能は底辺に近かろうと思う。
なにせ、攻撃力皆無であるからな!
ここで粋がって、小学部に上がった時に馬鹿を見るのは自身である。
幼稚園、ここでは幼年部での授業とは、親元を離れる訓練、生活習慣の訓練、および自身で思考し行動する訓練などある。勉学などは更にその先になる。また集団での自身の行動のあり方なども学ぶ場と言えよう。
その為残念ながら、私が望む書架なるものは存在しなかった。
あるのは教室の片隅にある小さな書架である。
そこには幼児向けの絵本がある。我が新しき学友は楽しそうにそれらを先生に読んでもらっている。
それらの光景は私を和ませるが、私が望むものでは残念ながらない。
私は先生の1人をつかまえ、どうか小学部にある図書室の閲覧の許可をと強く求めたのであるが、認められず、涙を飲んだ。
本を汚すことはしないし、なくさいからと必死に訴えたが、認められなかったのである。
しかし私は諦めはしない。
またしばらくしたら、打診してみるつもりである。
私の人となりをみてもらえれば、きっと許可をしてくださるに違いないと希望を持っているのである。
一区切りがあまりに短いので、連投稿しました(カクヨムと小説家になろうとのマルチ投稿の関係で話数をあわせてます)
幼稚園の友、ネイちゃん、お気に入りキャラデス。
ぜひとも、今後も活躍させたいデス。