いきなり許嫁候補!? ~分家序列最下位からの成り上がり?!私、望んでませんから!ほっといてくださいよ!~ 作:天野建
念の為一言言っておく。
私は晶露様とお出かけするのがいやな訳ではない。
晶露様は空気を読むのが、とてもお上手である。
私が集中して何かしている時は、邪魔をすることが滅多にない。
今回私の異能の増量計画研究においても、そうであろう。
ならば一緒に出かけても問題はないであろう。
問題なのはどう外出許可をもらうかである。
晶露様の言を信じれば、易いかもしれぬが、晶露様はまだ3歳である。
「ねえさま?それでもやはりだめですか?」
私が黙りこくって考えてしまったことで、自分が邪魔なのではないかと思ってしまったらしい。
もし私が邪魔と言ったならば、わかりましたと引き下がるだろう。
晶露様は聞き分けがよすぎるのだ。
周囲を困らせるわがままは、私のお引っ越し案件だけらしい。
そんな晶露様の願いを無下にできるか?いやできまい!
これでだめだししたならば、晶露様はやりたいことを言わなくなってしまうだろう。
それはいけない!
もっと我を通してもよいのである!
私以上に、家族に対してな!
こう考えている私に否やはない。
「いえ。申し訳ありません。私も晶露様とおでかけできるのは、楽しいかなっと思いをはせておりました」
「ほんとうですか!」
「はい。なので、しっかりと計画を立てて、若君に許可をとりましょう」
「はい!はい!」
晶露様は全開の笑顔で、私に抱きついてきた。
無心の笑顔である。
打算まみれの私には少し辛い。
「俺も!俺も行くからな!」
はいはい。もちろん連れて行く。お前にはだしになってもらわなくてはならないからな。
よいだしになって欲しい。
ということである。
おわかりいただけただろうか。
問題の2つめは本家のご子息の同行の許可をとることである。
墓穴を掘ったわけでは決してないのである!
最後、問題の3つ目。
これはいわずもがな。金である。
シンプルである。
これは本家絡みの業務ではない。
あくまで私の異能を伸ばす為の外出である。
つまりは交通費などは自費である。
大事に貯めた、私のなけなしのお小遣いを放出するしかないが、それでは少々心許ない。
が、問題点2をクリアすれば、問題点3は自ずと解決する可能性が高い。
そうである。前向きに考えるのだ。
晶露様との外出であれば、自動車での移動の可能性が高い。
交通費が浮く。うむ。ありである。晶露様との外出ありである。
しかし、今回のことで思ったが、今後研究や検証で外出することも増えるかもしれない。
なんとか自分が使える金を確保する方法を考えておかねばなるまい。
私が解決しなければならぬ課題が、1つ増えたか。
成人前の身では、課題は次々と立ち
しかし、今は目の前の案件に集中だ。
他のことは後で良い。
晶露様をお連れする。困難度が上がったが、それ即ち、クリアすれば、お金の件も解決、楽しみが倍増することを意味する。
1人で行くよりも、2人、3人で行った方が楽しきだろう。
そして人数が増えたほうが、やれる事も増えるのである。
私は両親そして、本家、若君を納得させるべく提案を練った。
そして臨んだ外出許可案件、最初のプレゼン相手は若君である。
なぜ両親ではないのか。
それは本家の方々を説得できれば、両親も自ら同意をするからである。
本家の言は絶対。本家から申し出があれば、それは即ち命令。己の意思など二の次なのである。
さすれば、ターゲットは若君に絞るべきであろう。
なお今回晶露様が絡むとはいえ、主体は私、分家序列最下位灰咲家の娘である。
したがって、当主、もしくは前当主に直接プレゼンをすることはない。
そして晶露様が絡むからこそ、かろうじて若君が話をきいてくれるのである。
晶露様にとって、この外出が有用か否か。
否であれば、即刻外出申請は却下になるであろう。
私は晶露様にとって、この外出は有意義であると示してみせる!
そう意気込む中、私はお忙しい若君を晶露様のお部屋までご足労いただき、プレゼンを行ったのである。
正直な心情としては、晶露様をお連れして、楽しい思い出を1つでもお作りしたいという思いを前面に押し出したかったのであるが、これを理由として許可が下りるとは思えなかった。
情に訴えても若君はうんとは言うまい。
もしそれで安易に許可が下りたならば、本家の家族関係はもっと暖かなものであったことであろう。
若君の、いや本家の基準は、あくまで益があるか否かである。
私はその益をこの場で示さねばならない。
私は情けを捨て、利の権化と化して、プレゼンに臨むのである!
一区切りがあまりに短いので、連投稿しました(カクヨムと小説家になろうとのマルチ投稿の関係で話数をあわせてます)