かなりの人がそとに避難できたと思う。
「これで、全員か…?」
これで全員なら残るはセツさんだけだ。セツさんは、強い…と思う。けど、あの量だぞ?本当に大丈夫なのだろうか。かと言って自分が行っても、迷惑になるだけだろうか。さっきみたいにやけに冷静に死ぬってことだけ分かってなにもできないだけになってしまうんだろうか。沈黙の中、図書館の中からは小型の鬼獣が少しづつこちらに向かってきているような気もする。つまり、セツさんが十分に足止めできていないってことか…?
もし、このままセツさんが鬼獣にやられてしまったら…。多くの市民は助かるだろう。もう大半は避難所へ向かっているのだから。でも、セツさんはどうなるんだ…?
僕は、いつのまにか図書館の中へと走り出していた。
息切れしながら読書スペースの方へとやってきた。途中、鬼獣がいたが、なんとか本棚に隠れてやり過ごした。鬼獣の死体もあったのでやっぱりセツさんが倒したんだろう。
「ハァ、ハァ」
セツさんの声だ!
…。今、やっと脳が冷静に判断できるようになったらしい。いやいやいや、どう考えても僕がいたって迷惑だろ。うん。帰ろう。その方がきっといい気がする。そう思ったその時、カキーン!金属系の何かの音がした。バッと振り向き、セツさんの方を見ると刀を持っていない。さらに、僕のほんの数メートル先にはセツさんのものと思われる刀が。
セツさんは刀が飛んで行った一瞬のスキを突かれて鬼獣につかまった。やばいぞ、これ。どうすればいいんだ?
「凜斗くん?!」
セツさんが僕の存在に気付いたらしい。
「すぐに、逃げ…。いや、凜斗くん!そこにオレの刀があるだろ!それを使ってこいつを倒せ!」
「は?!」
いやいや、無理だって。詳しくは知らないけど、鬼獣を倒すには刀士の家系のそのなかでも一部の才能がある者しか使えない、刀を使うと聞いたことがある。一般家系出身の僕にできるわけない!
「君なら、できるはずなんだ!」
できる?僕に?僕にセツさんのことを助けられるのか…?今にも鬼獣はセツさんのことを食べそうだ。
いつのまにか、僕は走り出していた。セツさんの刀を取る。刀ってこんなに重いのか…?!でも、やらないとセツさんが死んでしまう!そこからは、鬼獣の動きがやけに鮮明に見えた。どこを攻撃してくるとかどこを攻撃したら効果的とか、不思議と分かった。鬼獣を切ろうと思ってジャンプしたら信じられないくらい高く飛んだ。僕って、こんなにジャンプ力があったのか?!
刀が風をまとう。
これを振り下ろしたらいいんだよな?
「やぁぁぁ!」
ザシュッ!
鬼獣が崩れ落ちる。解放されたセツさんはシュタッ!という音とともに着地。すごいと思う。
ていうか、これ、ぼくがやったのか?!困惑しているとセツさんが話しかけてきた。
「凜斗くん、ありがとう。助かったよ。-それより、やっぱり君だったんだね。颯刀家の当主様は。改めて、よろしくお願いします。凜斗様。」