刀士には三つの大きな家系がある。
焰刀家、澪刀家、雹刀家だ。それ以外にもあったけど消滅したとかなんとか…。
って、
「は?!」
僕が当主?!そんなわけあるか!
「まあまあ、落ち着いてください。オレがこの目であなたが鬼獣を倒す瞬間を見ました。間違いありません。あなたが、颯刀家の当主、颯刀凜斗様です。」
「いえ、何かの間違いです。そもそも、僕の苗字笠凪なんで。」
「いいえ。間違いではありません。颯刀家の者でなければこの刀は使えない。けれど、あなたはその力を引き出して鬼獣を倒しました。あなたが当主です。苗字が笠凪なのは、今は分かりませんが、まあ調べたら多分分かると思うので。」
「違います。」
「違くないです。」
「違いますってば。僕、本当にただの男子高生なので。というか、なんでそこまで断言できるんですか?」
「さっき、刀を使えたのもありますが、オレはあなたと出会う前から、颯刀家の当主を探していたんです。オレもあなたと同じ、颯刀家の生き残りなのでずっと当主様を探しておりました。まさか、それが凜斗様であったのは驚きではありますが、間違いではありません。」
セツさんは大真面目な顔でいう。正直ここまで言われるともう反論できる材料がない。あ、でも。
「…新手の詐欺とかじゃなくてマジなんですか?」
「マジです。そもそも、刀を使えるのは才能のある、刀士の家系の者のみ。つまり、刀の使えたあなたは絶対に刀士の血が流れていると言うことです。と、いうわけで。凜斗様、少々お付き合いいただいてもよろしいでしょうか?」
「…?」
セツさんに連れられてセツさんの家までやってきた。正確には颯刀家の本拠地らしい。
「凜斗様、ここが、颯刀家の本拠地であり、本日から凜斗様のご自宅となります。」
「は?!なんでですか?!」
「あなたは颯刀家の当主様でございます。他の刀士の家系でも家の本拠地が当主様のご自宅となっておりますゆえ。」
「ていうか、今更なんですけど、なんで敬語なんですか…?」
「さきほど申し上げといるとおり、あなた様は当主様。オレが敬語を使うのはあたりまえでございます。凜斗様は敬語を使われる必要はございません。」
「あの、なんだか落ち着かないので前のままじゃだめですか?年上の人に敬語を使われるのはちょっと。」
「そうですか。では、公の場では使わせてもらいますが、2人だけの時は前と同じ感じでいこうか?凜斗くん。」
セツさんの口調が前に戻ってほっとした。この方が安心する。
「お願いします。」
セツさんはにこっと笑うと
「じゃあ、色々はじめるね。まず、凜斗くんはこれからオレと一緒に刀士をしてもらいます。」
あー。こうなる気してた。
「あっ、でも、その前に本名から話しておいた方がいいかな。」
「本名?」
「うん。刀士は身バレ防止のためにペンネーム的な感じなのを使うんだよ。例えば、名前から一字抜いたり、読みを変えたり。オレの場合は、本名は颯刀稀節。それで、下の名前のキセツから、キを抜いて、セツってなのってるんだよ。まあ、多少名前っぽくなくけどいけるけど、大体の人は名前をいじってるね。」
そういうもんなのか。僕の場合、なににしようかな。
そこから、刀士の説明がはじまった。まず、刀士は鬼獣がでたときに現場に向かって鬼獣を討伐。後処理は鬼獣処理班に任せてあとは刀士の本部まで行って報告と報告書づくり。収入は月に一度国から支払われる。また、当主は一か月に一回、他の家との会議が行われる。三つの家系にプラスして颯刀家のような、すでに滅びたが、当主が発見された家系は参加しなければならないらしい。すでに気が重い。
途中で親の許可とかって。って聞いたが、セツさんは「あー。国がいつの間にかとってるから問題ないよ。」と言っていた。そういうもんなのか。
そして最後に
「凜斗くん、最後にペンネームだけ決めとこっか。思いつきそう?」
ペンネームか。じゃあ、リントだから…
「リトにします。間のンを無くして。」
「いいと思うよ!じゃあ、明日からがんばろうね。」
リト、僕はこの時、これからこの名が世界に知れ渡っていくことを知りもしなかった。