「はぁ~」僕はここ最近で一番大きいため息をついた。そりゃそうだ。だって、今まで興味も、知る必要もないと思っていたことの普通しれないところまで全てにおいて聞き、「全部覚えてね。」と言われたのだから。もう無理だ。脳が限界突破しそうだ…。そのとき、セツさんからもらった刀士専用の腕輪からアラームが鳴った。
リリリリリリ!
「これって…!」
僕はついさっき習ったばかりの知識を掘り起こす。このアラームが鳴った時は鬼獣が出現したとき!アラームが鳴り終わると同時に腕輪から地図が表示される。ここから近い!そう思って、準備しようと部屋をでようとしたとき、
「凜斗君!さっそく仕事だよ!」
先にセツさんが入ってきた。
「あ、はい!えっと、何を準備すれば…?」
「この袋の中に全部詰めたからとりあえず制服に着替えて。車手配しとくから、着替え終わったらすぐ行くよ!」
セツさん、準備早すぎない?って、僕も制服に着替えなきゃ。刀士は一目見て刀士だとわかるよう(銃刀法違反で捕まらないよう)制服を着て活動する。僕の制服はまだ届いておらず、セツさんが昔着ていたのを使わせてもらう。よし、着替えられた。
「セツさん、着替えれました。」
そう言って廊下に出ると、セツさんは
「了解。こっちも車来たし、行こうか。」
僕たちは車に乗り込んだ。
「えっと、セツさん。」
「ん?何?」
「僕、刀ってどうすれば…。そもそもあんまり刃物になれていなくて。」
「ああ。この袋の中に入ってるよ。颯刀家に代々伝わる、当主だけに使用が許された『颯刀』ていう名刀。刃物になれてない問題は安心して。刀が導いてくれる。明日位に強烈な筋肉痛に襲われるだけだよ。」
うわー。聞きたくなかった。
「あとの必要なものとかは特にないし、メインは凜斗君にやってもらうけど、オレも、ちゃんとやるから。」
「はい…。」
『目的地付近です。』カーナビの音声が流れる。
「よし、あんまり近すぎると車が壊れちゃうし、行こうか。」
「はい!」
現場にはまだ僕たちしかいない。まずは、状況確認だ。現場は、ビルが立ち並ぶ街中。逃げ遅れが3人。大型が1体。小型が4体。強さは10あるクラスの大型が4。小型が2。と弱め。
「凜斗君、この大型、あんま強くなさそうだし、凜斗君に頼むよ。僕は小型と救助をする。」
「分かりました。」
いや、ノリで言ったけど不安しかない。でも、やるしかないというのも分かる。
僕は背後から鬼獣に近づく。刀はもう抜いてある。思い出せ。あの時に感じた強い力を。思い出せ。あの、感覚を。
ダッ!やっぱりジャンプ力がおかしい。ってのは置いといて。僕は刀を振り上げる。すると刀が緑色の光を放ち、風が吹く。これが導いてくれるって事か!風を使って、こいつを両断してやる!
「颯刀両断!」
自然と口に出たこのセリフ。言いたくて言ったんじゃない。本当に自然に。
ブシャッ
鬼獣の血が飛び散る。そののち、雨のように上から振ってくる。
「討伐、成功だ…!」と、喜んだのもつかの間。
「うわっ」
僕は急なめまいに襲われた。倒れかけたところをいつの間にか来ていたセツさんにキャッチされる。
「お疲れ様~。凜斗君、大丈夫そう?」
「なんか、急にめまいがして…。」
「そりゃ急にあんな強い力使ったらそうなるよ~。」セツさんは笑いながら言う。これって笑いごとなのか?
「強い力?」
「うん。さっき君が使ってた『颯刀両断』は出力がめちゃくちゃ高かったからね。とどめを刺すときは、確かに『颯刀両断』を使わないと仕留められないんだけど、出力が大きすぎると副作用でめまいとか、やりすぎたら命にもかかわるんだよ。だから、これからは気を付けてね。」
「それ、やる前に教えてほしかったです。」で来たかどうかは分かんないけど!
「あ、そろそろ鬼獣処理班が来るね。メディアが来たら面倒だし、帰ろっか。報告書も書かなくちゃだね。」
「はい。」
僕たちは車に向かって歩き出した。