反逆の王子は実力至上主義の世界で優しい世界を望む 作:evejanjan
『役割』
放課後。
終礼のチャイムが鳴ると、生徒たちは思い思いに席を立った。
「掃除当番、始めよう」
誰かがそう声を掛ける。
池は窓を開け、山内はゴミ箱を抱えた。
櫛田は雑巾を配り、軽井沢は机を整える。
教室は自然と動き始める。
ルルーシュも黒板消しを手に取り、黒板へ向かった。
「ランペルージ」
須藤が机を持ち上げる。
「悪い。そっち」
「ああ」
二人で机を運ぶ。
短いやり取りだけだった。
その間に、池が机の列を揃え、山内がゴミ袋を結ぶ。
窓際では、雑巾が一枚足りないことに気づいた櫛田が、予備のある棚へ向かっていた。
その前に、ルルーシュが棚から一枚取り出して差し出す。
「ありがとう」
櫛田は小さく礼を言い、すぐに掃除へ戻った。
誰も急がせない。
誰も指示を出さない。
それでも教室は少しずつ奇麗になり、整頓され、元の姿へ戻っていった。
掃除を終えた須藤が箒を壁へ立て掛ける。
「……助かった」
照れくさそうにそれだけ言い残し、教室を出ていく。
ルルーシュは小さく頷いた。
黒板に目を向ける。
さっきまで並んでいた文字は、もう一つも残っていない。
窓を閉める音がした。
いつの間にか、教室の喧騒も小さくなっていた。
静かな放課後だった。
『信頼』
何気ない日常の、何気ない放課後。
教室を出ると、後ろから足音が近づいてきた。
「ランペルージ君」
振り返ると、平田だった。
「今から帰りかい」
「ああ」
平田の言葉に短く返答する。
「僕も今から帰ろうかと思ってたんだ。一緒に帰ろう」
「構わない」
二人は並んで廊下を歩き出す。
窓の外では、運動部の掛け声が校庭へ響いていた。
しばらく無言が続く。
やがて平田が口を開いた。
「須藤のこと」
「ああ」
「ありがとう。」
ルルーシュは前を向いたまま答える。
「俺は事実を並べただけだ」
平田は苦笑した。
「それでも、僕は迷った」
ルルーシュは何も言わない。
「君は違った」
夕日が廊下を赤く染める。
平田は少しだけ照れたように笑った。
「だから……助かったよ」
それだけだった。
二人は何も言わずに昇降口まで歩いていく。
そこで平田が足を止めた。
「また明日」
ルルーシュは一瞬だけ平田を見る。
「……ああ」
平田は軽く手を振り、校門の方へ歩いていった。
その背中が下校する生徒たちに紛れていく。
昇降口では、友人を待つ生徒たちが他愛もない話で笑っていた。
部活動へ向かう者。
寄り道の約束をする者。
誰もが明日のことを話している。
ルルーシュは夕焼けに染まる空を見上げる。
そして、静かに歩き出した。
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