反逆の王子は実力至上主義の世界で優しい世界を望む   作:evejanjan

27 / 27
第4章-船上の裏切り者
休暇の終わり


 客船のロビーには、島では聞くことのなかった音が満ちていた。

 

 磨かれた床を叩く靴音。

 

 自動扉の開閉音。

 

 遠くで流れる、穏やかな音楽。

 

 冷房の風が、日に焼けた肌へ触れていく。

 

「生き返る……」

 

 池が大きく息を吐いた。

 

「ベッド。シャワー。冷たいジュース。文明って最高だな」

 

「お前、島にいる間も同じこと言ってたぞ」

 

 須藤が呆れたように返す。

 

「失って初めて分かる大切さってあるだろ?」

 

「一週間も経ってねえだろ」

 

「十分長いって!」

 

 山内が二人の間へ割り込んだ。

 

「とりあえず飯だろ。レストラン、食べ放題らしいぞ」

 

「マジで?」

 

「俺、肉食う。肉」

 

「先にシャワーにしない?」

 

 スザクが苦笑する。

 

 三人の服や髪には、まだ潮と土の匂いが残っていた。

 

 須藤が自分の袖を嗅ぎ、顔をしかめる。

 

「……飯の前に風呂だな」

 

「だろ?」

 

「枢木も来いよ」

 

「うん。その前に荷物を置いてくる」

 

「逃げんなよ。水泳の再戦もあるからな」

 

「今日はもう十分泳いだと思うけど」

 

「勝ち逃げは許さねえ」

 

「分かったよ」

 

 スザクが笑う。

 

 その横を、平田が名簿を手に通り過ぎた。

 

「須藤君たち、部屋番号は確認した?」

 

「端末に来てるだろ?」

 

「確認した人から移動して。荷物を置いたら、一度だけ連絡を入れてほしい」

 

「まだ人数確認すんのか?」

 

「念のためだよ。堀北さんも先に医務室へ行ってるから」

 

 平田の声に、須藤の表情が少しだけ引き締まる。

 

「分かった」

 

「池君と山内君もね」

 

「はいはい」

 

「二人とも返事が軽いよ」

 

 平田は困ったように笑い、次の生徒へ声をかけた。

 

 誰かが指示を求めることはなかった。

 

 荷物の置き場所。

 

 体調の確認。

 

 部屋へ戻った生徒の把握。

 

 必要なことは、平田と周囲の生徒たちの間で進んでいる。

 

 ルルーシュはその流れから少し離れ、吹き抜けの二階を見上げた。

 

 白い制服を着た乗務員が、生徒たちを客室へ案内している。

 

 そのさらに奥。

 

 教師が二人、通路の角で短く言葉を交わしていた。

 

 一人が端末を確認する。

 

 もう一人は、生徒たちの人数を数えている。

 

「ルルーシュ」

 

 隣から呼ばれた。

 

 スザクが荷物を片手に立っている。

 

「行かないのか?」

 

「今行く」

 

「そう言いながら、さっきから同じ場所にいるよ」

 

「見ていた」

 

「何を?」

 

「教師を」

 

 スザクが視線を追う。

 

 教師たちは会話を終え、別々の通路へ消えていった。

 

「無人島試験は終わったよ」

 

「そうだな」

 

「まだ何かあると思ってる?」

 

「ないと考える理由がない」

 

 スザクは周囲を見た。

 

 ロビーでは、島から戻った生徒たちが笑っている。

 

 床へ座り込み、飲み物を手にしている者。

 

 客室へ走っていく者。

 

 他クラスの友人と試験結果を話している者。

 

 緊張は、ほとんど残っていない。

 

「疲れてるんだ」

 

 スザクが言う。

 

「休ませる時間も必要だろ?」

 

「この学校が、生徒の疲労を心配していると?」

 

「そこまでは言ってないよ」

 

「なら、答えは同じだ」

 

 ルルーシュは歩き出した。

 

 スザクも隣へ並ぶ。

 

「でも、少しくらい休んでもいいんじゃないかな」

 

「休むことと、警戒を解くことは別だ」

 

 スザクが少し考える。

 

「池には、期待と判断は別だって言ってたよね」

 

「あれと一緒にするな」

 

「同じようなものだろ?」

 

「違う」

 

 スザクは小さく笑った。

 

 二人はロビーを抜け、客室へ続く通路へ入る。

 

 壁には船内施設の案内が表示されていた。

 

 レストラン。

 

 プール。

 

 映画館。

 

 スポーツジム。

 

 生徒たちが利用できる区域には、色付きの印がある。

 

 その一方で、上層階の一部には印がなかった。

 

「立入禁止?」

 

 スザクも気づいたらしい。

 

「乗務員用の区域じゃないのか?」

 

「それだけなら、案内へ載せる必要はない」

 

 ルルーシュは表示へ指を触れた。

 

 地図が拡大される。

 

 三階と四階。

 

 廊下の奥に、複数の小さな部屋が並んでいる。

 

 名称は表示されていない。

 

 だが、船の構造から見て客室ではない。

 

「会議室か」

 

「分かるの?」

 

「扉の間隔が違う」

 

 スザクは地図と実際の通路を見比べた。

 

「僕には同じに見えるけど」

 

「お前は人を見ていろ」

 

「適材適所ってこと?」

 

「そういうことだ」

 

 ルルーシュは表示を戻した。

 

 その横を、Aクラスの生徒たちが通り過ぎていく。

 

 先頭に葛城がいた。

 

「部屋へ戻った後は自由行動だ。ただし、連絡が取れる状態にはしておけ」

 

 短い指示に、生徒たちが頷く。

 

 葛城の周囲には、無人島でも行動を共にしていた生徒が多い。

 

 だが、全員ではなかった。

 

 少し離れた場所を歩く生徒たちは、葛城の言葉を聞きながらも、彼の側へ寄ろうとはしていない。

 

 ルルーシュの視線に気づいたのか、スザクが小さく尋ねる。

 

「Aクラス?」

 

「ああ」

 

「何か気になる?」

 

「一つのクラスに、中心が一つとは限らない」

 

 葛城たちは角を曲がり、姿を消した。

 

「Dクラスは?」

 

「今のところ、中心を必要としていない」

 

「いいこと?」

 

「状況による」

 

 歩きながら、ルルーシュは端末を開く。

 

 学校から届いているのは、客室番号と船内施設の案内だけ。

 

 帰港日時の記載はない。

 

 旅行日程にも、次の予定は表示されていない。

 

 島へ向かう前には、最低限の行程が示されていた。

 

 今回は、それすらなかった。

 

「帰る日が書いてないな」

 

 スザクが横から画面を覗き込む。

 

「本当だ」

 

「気づいていなかったのか?」

 

「帰れるようになったら帰るんだと思ってた」

 

「船旅で使う考え方じゃない」

 

「島では使えたよ」

 

 ルルーシュは端末を閉じた。

 

 通路の途中で、数人の教師とすれ違う。

 

 茶柱はいない。

 

 別クラスの担任らしい教師が、生徒のいない部屋へ入っていった。

 

 扉が閉まる直前、室内に並べられた机が見える。

 

 一つの大部屋ではない。

 

 同じ広さの部屋が、通路の奥へ続いている。

 

 教師の数。

 

 用意された部屋。

 

 決められていない帰港日時。

 

 制限されていない端末。

 

 自由に接触できる他クラスの生徒。

 

 そして、無人島試験を終えた直後の解放感。

 

 次の試験がある可能性は高い。

 

 そこまでは読める。

 

 だが、その形まではまだ見えなかった。

 

「スザク」

 

「何?」

 

「他クラスの生徒に、島でのことを詳しく話すな」

 

 スザクの表情が変わる。

 

「次の試験に関係する?」

 

「可能性がある」

 

「何を話さなければいい?」

 

「判断の理由。誰が何に気づいていたか。クラス内で、誰がどこまで情報を持っていたか」

 

「結果はもう出てる」

 

「結果から分かることと、過程を知って分かることは違う」

 

 スザクは少し考え、頷いた。

 

「分かった」

 

「全員へ言い回る必要はない」

 

「どうして?」

 

「警戒していること自体が情報になる」

 

「じゃあ、聞かれた時だけ気をつける」

 

「それでいい」

 

 その時、通路の先から平田が現れた。

 

「二人とも、ちょうどよかった」

 

「どうした?」

 

 スザクが尋ねる。

 

「部屋の確認が終わったよ。体調が悪い人は、今のところ堀北さんだけ」

 

「堀北は?」

 

「医務室で少し休んでから部屋へ戻るって」

 

「そう」

 

 スザクの肩から力が抜けた。

 

 平田は端末へ目を落とす。

 

「あと、クラスの連絡用グループを作り直した。島で使ったものは、連絡が多くて見づらくなっているから」

 

「もう作ったのか」

 

 ルルーシュが言う。

 

「うん。必要な連絡だけに使おうと思って」

 

「他クラスと話した内容も残しておいた方がいい」

 

 平田が顔を上げる。

 

「他クラス?」

 

「試験の話を聞かれた場合だ」

 

 平田は少し考えた。

 

「同じ内容を、何人にも聞いて回る人がいるかもしれないってこと?」

 

「そうだ」

 

「分かった。みんなに、細かい内容じゃなくて、誰と話したかだけ残してもらうよ」

 

「十分だ」

 

 平田は頷く。

 

「堀北さんにも伝えておく」

 

 それだけ言うと、平田は別の客室へ向かった。

 

 スザクがその背中を見送る。

 

「必要ないって言わなかった?」

 

「俺が最初から決める必要はなかった」

 

「そういう意味か」

 

 スザクは納得したように笑う。

 

「ちゃんと進んでるね」

 

「ああ」

 

 島では、何かが起きるたびに答えを求める声が上がった。

 

 今は違う。

 

 平田が必要な連絡をまとめる。

 

 堀北が戻れば、それを確認する。

 

 須藤は体調不良者の荷物を運び、池たちは自分たちで部屋へ向かっている。

 

 ルルーシュが前へ立つ理由はない。

 

 それでいい。

 

    ◇

 

 荷物を置いた後、ルルーシュは一人で船内へ戻った。

 

 スザクは須藤たちに連れていかれた。

 

 シャワーの後でレストランへ行き、そのままプールの確認をするらしい。

 

 休むという選択肢は、最初から含まれていなかった。

 

 ルルーシュは三階へ続く階段を上がる。

 

 生徒の利用区域には入っている。

 

 だが、一階のロビーほど人は多くない。

 

 通路の片側には海が見える窓。

 

 反対側には、等間隔に扉が並んでいる。

 

 扉には部屋番号だけが記され、用途は表示されていない。

 

 一つだけ、僅かに開いていた。

 

 中には長机と椅子が並んでいる。

 

 正面には大きなモニター。

 

 十人前後で話し合うための部屋。

 

 同じ構造の部屋が、少なくとも六つ。

 

 さらに上の階にもある。

 

 無人島試験では、クラス全体を一つの集団として扱った。

 

 次も同じ形式なら、これほど小さな部屋を複数用意する必要はない。

 

 クラスを分ける。

 

 あるいは、混ぜる。

 

 個人単位で情報を与え、少人数で交渉させる。

 

 教師が答えを測るのではない。

 

 生徒同士に、互いを測らせる。

 

 そこまで考えたところで、杖の音がした。

 

 一定の間隔で、硬い床を叩く。

 

 ルルーシュは振り返った。

 

 白い髪の少女が、通路の奥から歩いてくる。

 

 身体を支えるように杖をつきながらも、歩調に乱れはない。

 

 その後ろを、Aクラスの女子生徒が一人ついている。

 

 少女はルルーシュの前で足を止めた。

 

「休暇中にも、随分と忙しそうですね」

 

 穏やかな声だった。

 

 ルルーシュは半開きの扉から視線を外す。

 

「休暇だと確定した覚えはない」

 

「学校からは、自由に過ごすよう言われているはずですが」

 

「帰港日時すら示されていない自由を、休暇と呼ぶのか?」

 

 少女の笑みが僅かに深くなる。

 

「まだ、何も始まっていませんよ」

 

「始まっていないと、誰が言った?」

 

 杖の先が床を軽く叩いた。

 

 背後にいる女子生徒が、ルルーシュを警戒するように見る。

 

 少女自身は表情を変えない。

 

「お前は俺を知っているのか?」

 

「いいえ」

 

 少女は半開きの扉へ目を向けた。

 

「今、興味を持ったところです」

 

「何にだ」

 

「まだ何も告げられていないのに、次に使われそうな部屋を見ている人に」

 

 ルルーシュは少女を見る。

 

 無人島で姿を見た覚えはない。

 

 少なくとも、葛城と行動していたAクラスの集団にはいなかった。

 

 それでも彼女は、何の説明もない段階で、ルルーシュが休暇ではなく次を見ていると理解している。

 

「坂柳有栖です」

 

 少女が名乗る。

 

「Aクラスの?」

 

「所属だけなら、葛城君と同じですね」

 

 同じ。

 

 その言い方が、同じ側であることを意味してはいない。

 

 先ほど見たAクラスの生徒たち。

 

 葛城の側へ寄る者と、距離を置く者。

 

 この少女は、後者の中心にいる可能性がある。

 

 ただし、今ある情報だけでは足りない。

 

「ルルーシュ・ランペルージだ」

 

「覚えておきます」

 

「随分と素直だな」

 

「興味を持った方のお名前は、覚えておきたいので」

 

 坂柳は再び扉へ目を向けた。

 

「この部屋が気になりますか?」

 

「船内を見ていただけだ」

 

「そういうことにしておきましょう」

 

「お前は違うのか?」

 

「私は散歩です」

 

「随分と都合のいい言葉だ」

 

「休暇ですから」

 

 坂柳が微笑む。

 

 互いに、それ以上は問わなかった。

 

 坂柳の後ろにいる生徒は、会話へ割り込まない。

 

 指示を待っているようにも見えない。

 

 葛城とは異なる形の中心。

 

 今分かるのは、その程度だった。

 

 坂柳はルルーシュの横を通り過ぎる。

 

 数歩進んだところで、僅かに足を止めた。

 

「次があるとして」

 

 振り返らないまま言う。

 

「あなたは、何を探しているのでしょうね」

 

「答えを知らないから探している」

 

「そうですか」

 

 杖の音が遠ざかっていく。

 

 ルルーシュはその背中を見送った。

 

 あの少女もまた、次があることを否定していない。

 

 ただ、こちらの推測に乗っただけなのか。

 

 それとも、最初から同じ場所を見ていたのか。

 

 判断するには、まだ情報が足りなかった。

 

    ◇

 

 夕方。

 

 レストランは一年生で混み合っていた。

 

「肉なくなるぞ、池!」

 

「須藤が取りすぎなんだよ!」

 

「早い者勝ちだろ!」

 

「食べ放題で取り合うなよ」

 

 スザクが二人の皿を見て笑う。

 

 山内はすでに二度目の料理を取りに行っていた。

 

 平田は近くの席で、数人の生徒と船内施設の予定を話している。

 

 医務室から戻った堀北は、端末へ視線を落としていた。

 

「休んでいなくていいのか?」

 

 スザクが尋ねる。

 

「食事くらいするわ」

 

「無理はしないで」

 

「分かっている」

 

「本当に?」

 

 堀北が顔を上げる。

 

「何度聞くつもり?」

 

「大丈夫だと思えるまで」

 

「なら、一生聞いていなさい」

 

 須藤が堪えきれずに吹き出した。

 

「お前、嫌われてんぞ」

 

「須藤君には言われたくないな」

 

「何だと?」

 

 声が重なり、周囲から笑いが起こる。

 

 ルルーシュは少し離れた席に座り、その様子を見ていた。

 

 誰も試験の話をしていない。

 

 当然だった。

 

 島での一週間は終わった。

 

 一位という結果も出た。

 

 目の前には食事があり、シャワーがあり、柔らかいベッドがある。

 

 緊張を維持しろという方が無理だ。

 

 だからこそ、使われる。

 

 疲労と解放感。

 

 他クラスとの接触。

 

 制限されていない端末。

 

 複数の小部屋。

 

 次に試されるのは、体力ではない。

 

 分けられた時、何を守るか。

 

 形式までは、まだ見えない。

 

「ルルーシュ」

 

 スザクが隣の席へ腰を下ろした。

 

 手には二つのグラスがある。

 

 一つをルルーシュの前へ置く。

 

「勝手に取るな」

 

「飲むだろ?」

 

「種類くらい聞け」

 

「水だよ」

 

 ルルーシュはグラスを見る。

 

「ならいい」

 

「素直じゃないな」

 

 スザクは自分のグラスへ口をつけた。

 

 須藤たちの席では、池が山盛りにした料理をこぼしかけている。

 

 平田が紙ナプキンを渡し、山内が笑っている。

 

「さっき、何を見に行ってた?」

 

「船内だ」

 

「何か分かった?」

 

「次がある可能性は高い」

 

 スザクの手が止まる。

 

「どんな試験?」

 

「そこまでは分からない」

 

「でも、何かはある」

 

「ああ」

 

「みんなに言う?」

 

「今は必要ない」

 

 スザクはDクラスの生徒たちを見る。

 

 島での疲労は残っている。

 

 それでも、全員の表情は明るい。

 

「今日くらいは、休ませたい?」

 

「違う」

 

「じゃあ?」

 

「根拠のない警告は、警戒ではなく不安を広げるだけだ」

 

「なるほど」

 

 スザクは少し笑った。

 

「何だ」

 

「前より待てるようになったと思って」

 

「何の話だ」

 

「昔なら、全部分かった顔で先に動いてただろ?」

 

 ルルーシュはグラスへ手を伸ばす。

 

「昔の話をするな」

 

「してないよ」

 

「している」

 

「分かった」

 

 そう答えながら、スザクは笑っていた。

 

 その時、二人の端末が同時に震えた。

 

 レストランのあちこちでも、短い通知音が重なる。

 

 須藤がポケットから端末を取り出す。

 

「何だ?」

 

「学校からだ」

 

 池が画面を開く。

 

 周囲の会話が、少しずつ止まっていく。

 

 ルルーシュも通知を確認した。

 

一年生全生徒へ連絡する。

指定された時刻までに、各自端末に表示された場所へ集合すること。

 

 詳しい目的は書かれていない。

 

 集合場所は、生徒ごとに異なっていた。

 

「また何かあんのかよ」

 

 須藤が眉を寄せる。

 

「休みじゃなかったの?」

 

 山内が不満そうに言う。

 

 池は自分の画面と須藤の画面を見比べた。

 

「お前、場所違うじゃん」

 

「本当だ」

 

 レストランの空気が変わる。

 

 さっきまで笑っていた生徒たちが、互いの端末を確認し始める。

 

 ルルーシュは画面を閉じた。

 

 驚きはなかった。

 

 隣のスザクが、その横顔を見る。

 

「当たったね」

 

「まだだ」

 

「何が?」

 

「試験があることしか分かっていない」

 

 ルルーシュは立ち上がる。

 

 レストランの入口。

 

 少し離れた場所に、坂柳が立っていた。

 

 彼女も端末を手にしている。

 

 周囲がざわめく中、表情は変わらない。

 

 ルルーシュと視線が重なる。

 

 坂柳は、ほんの僅かに笑った。

 

 ルルーシュは先に視線を外す。

 

 用意されていた小部屋。

 

 生徒ごとに異なる集合場所。

 

 今度は、クラスごとではない。

 

 だが、誰と組まされるのか。

 

 何を争わせるのか。

 

 どこに裏切る余地を作るのか。

 

 まだ情報が足りない。

 

 ルルーシュは歩き出す。

 

 スザクが自然に隣へ並んだ。

 

 同じ方向ではない。

 

 二人の端末に示された集合場所は、別々だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

綾小路がBクラスに配属された世界線(作者:来世に期待)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

タイトルの通り、綾小路清隆がDではなくBクラスに配属されたIFストーリーです▼PS.原作では絶好調の一部のキャラクターが、綾小路がいない関係で悲惨な経路をたどっている場合があります。正当性は保つようにしますが、ご注意ください


総合評価:3612/評価:7.91/連載:53話/更新日時:2026年02月09日(月) 21:56 小説情報

ようこそ原作主人公抜きで頑張る教室へ(作者:灰色の)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

▼よう実の世界に転生した青年、しかし物語の鍵となる原作主人公がいなかった。▼自分の能力も分からない中、彼は必死に足掻いて行く。


総合評価:3589/評価:7.95/連載:42話/更新日時:2026年08月13日(木) 20:02 小説情報

憑依した山内春樹(作者:太陽サンサン)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

原作崩壊させる高育の話


総合評価:199/評価:5.36/連載:4話/更新日時:2026年05月28日(木) 20:07 小説情報

闇深い世界で…悪化させた日々(作者:不良品の主人公)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

▼よう実の世界に転生した主人公。▼原作前に色々あったがこの学校に入学した。▼出来るだけ楽しもうと思い入った高校。▼そして彼は現実を目の当たりにする。▼そこには原作主人公、綾小路清隆がいなかった。▼


総合評価:2486/評価:7.58/連載:19話/更新日時:2026年06月05日(金) 18:26 小説情報

ようこそAクラスの教室へ(作者:yadooo)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

最も不良品であるはずの綾小路が、何故だか優秀な生徒達の集まるAクラスに配属されるIFストーリー。▼


総合評価:3662/評価:8.78/連載:32話/更新日時:2026年08月14日(金) 11:53 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>