日野下さんに学校案内をしてもらった次の日。るーちゃんはスクールアイドルクラブの練習に顔を出していた。
途中で充電切れになりそうになって、練習を抜け出し、バッティングセンターに行ったらしい。
なんで知ってるかはるーちゃんから聞いたから。そんな日の夜。
「るーちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔しますー!」
るーちゃんが僕の部屋に来たいって事でるーちゃんがやってきた。
「めぐちゃんの匂いがする」
「夏休みの間。ほぼ毎日のように来てるからねぇ~」
コップにお茶を淹れながら、るーちゃんの問いに答える。
「むぅ~めぐちゃん…ルリが居ない間に…あお君と…」
るーちゃんが何かボソボソと話している。
「るーちゃんはこのお茶で良かったよね」
「うん、サンキュー」
「無理して英語使わなくてもいいのに…」
るーちゃんは、僕の淹れたお茶をゆっくりと飲んでいく。
「ぷわぁーこのお茶、おいしいー」
そんなるーちゃんを見て、僕は癒される。本当に
「で、早速なんだけどさ」
「うん」
「約束の事覚えているよね」
「うん」
「良かった…なら、ルリ、言いたい事あるんだけど…」
るーちゃんはそう言って、身体をモゾモゾと揺らし始めた。
なんだろう言いたい事って
「あお君!」
「うん」
「ルリと」
その時だった。
「ハロめぐ~!!!」
僕のスマホから、めぐちゃんが配信で使ってる言葉が音量マックスで流れた。
「ごめん…スマホの音量下げるの忘れてた…」
「あ、うん、大丈夫だよ」
スマホの電源を切って、るーちゃんに向き合う。
「それで、さっきの話って…?」
「うん、ルリの言いたい事なんだけど…さ」
るーちゃんは一息置いて、口を開いた。
「昔、結婚の約束したでしょ?」
「えっ、あっ、そんな約束したね」
「うん、だからさ、あお君と会える事をずっと楽しみにしてたんだ。だからさ」
「ルリと付き合って欲しい」
「…ごめん…」
「…っ!なんでっ…!」
「この場面では言うのは違うと思うんだけど…僕達がした約束って、めぐちゃんに変な男が付かないように、僕が守るって事だったよね?」
「…えっ?」
「えっ?」
僕の言葉の意味を分からなかったのか、お互いに?マークが頭に浮かんでいた。
「何それ…ルリ知らないんだけど」
「僕がした約束ってそっちの事だと思ってたんだけど…」
「うぅ~!あお君のばかぁ~!!」
るーちゃんはそう叫んで、僕の事を押し倒してきた。
いきなり過ぎて、防御態勢も取れなかったので床に頭をがっつりと打ち付けてしまった。普通に痛いけど…今は、そんなことを言っている場合ではない
「ルリが、ルリがずっと思ってきたこの想いは、なんだったの!!」
「るーちゃんの気持ちは伝わったよ。僕の事が本当に好きなんだって…」
「だったら…!」
「でも…家族として好きって気持ちなんだ…るーちゃんの事を異性的に好きって気持ちじゃないんだ…そんな気持ちで付き合うなんて…るーちゃんに申し訳ないよ…」
「…っ!ルリは、あお君の事が好きなんだよっ!」
「…」
「もういい…あお君にその気がないなら…ルリにだって考えはあるからね」
るーちゃんはそう言って、僕の顔を両手で持って
「えっ!?るーちゃん?」
「これがルリの気持ちだから」
るーちゃんはそう言って、僕の唇にキスをしてきた。
その時間が数十秒続いた。
「ぷわぁ…これがルリの気持ちだから。明日から、ルリの事を好きになって貰う為にアピールするから!覚悟しとけー!」
るーちゃんはそう言って、僕の部屋を出ていった。
「あの時の約束は…勘違いだったか…るーちゃんに悪い事してしまったなぁ…」
僕がそう呟く言葉は誰にも聞かれずに、部屋の空気に消えて行った。