「それじゃあめぐちゃん、よろしくね!」
「先に言っておくけど!」
「え…?な、なに?」
「…こないだは、あんな言い方して、ごめん。それと、蓮ノ空入学、おめでと」
本当にめぐちゃんは何をしたんだ。花帆ちゃんといいるーちゃんといい…
「うんっ!」
「じゃあ、私も水着に着替えてくるね」
めぐちゃんはそう言い、水着になって戻ってきた。
「あお、どうよ、めぐちゃんの水着は」
「可愛い」
「うへへ、ありがとっ」
めぐちゃんはそう言って、僕に抱き着いてくる。
「ちょっとちょっとめぐちゃん!あお君はルリのなんだけど!」
るーちゃんはそう言って、僕とめぐちゃんを引き離す。
「え~?別にるりちゃんの物じゃないんでしょ?蒼は」
「一応、告白されたけどね…」
「で、なんて返したの?」
「うっ…」
めぐちゃんにそう聞かれて、僕は胸に痛みを感じた。
「あお君が勘違いしてて、ルリが頑張ってアピールしてる所だよ!」
「ふ~ん、ってことは振られたんだねるりちゃん」
「めぐちゃん!?」
「ってことは私にもチャンスがあるってことか」
「…っ!めぐちゃんには渡さないんだからね!」
というやり取りがあってから、数分してめぐちゃんによる、るーちゃんの特訓練習が始まった。
「はい、ワンツー、ワンツー、よーし、そこまで」
「はぁ、はぁ、はぁ、どうかな、めぐちゃん」
息を切らしながらも、しっかりとやり切ったるーちゃんはめぐちゃんにそう聞く。
「うん、体力ついたね。るりちゃん。ダンスも、上手になってる」
「えへへっ、いっぱい修行してきたし」
「…それって、やっぱり、私とスクールアイドルをやるため?」
「うん!」
「…そっか。るりちゃんは昔から、私のことも蒼のことも大好きだったもんね」
「相思相愛ってヤツだねー!」
僕の事にならないと、ここまで仲が良いのは良い事だと僕思う。
「私と蒼がいないと、すーぐ充電切れになってたし」
「むぐ、武者修行してきて、だいぶバッテリー長持ちするようになったもん!大容量ルリちゃんだよ!」
「どーだがねー」
「女子、三日会わざれば刮目してウォッチング、っしょ!」
「そういえば、小学生の時にこの三人でダンス教えてもらってたよね」
「うんうん」
「そんなことあったかなー」
「めぐちゃん忘れたの!?」
「はいはいごめんね。忘れっぽくて、じゃあ、いったん休憩。水分補給しておいで、るりちゃん」
「んもー!いってきまーす!あお君いこ」
「はいはい…」
「あっ!るりちゃん、あお連れて行くなんてずるいよー!」
めぐちゃんが背後からそう言うが、僕も水分補給をしたいと思っていたのでるーちゃんに付いていくのだった。
*******
水分補給を終えてめぐちゃんの所に戻ってくると、花帆ちゃんとさやかちゃんが居た。
「あれ、二人ともどうしたの?」
「え?いや、ちょっと慈センパイにご挨拶をと!」
「ええ、ええ、そうなんですよ!」
何かあったなこれは…
「…なんか、距離ある?」
「確かに」
僕とるーちゃんがそう言うと、花帆ちゃんはめぐちゃんの元に向かっていく。
「め、慈せんぱぁい!今度あたしにもぉ、コーチしてくださいねぇー♪」
「はい!ぜひぜひ、ぜひ、お願いします!」
「うーん♪ かわいい後輩めー!」
明らかに何かあったよね。これ
「いつの間にそんなに仲良くなっちゃってぇ…!?」
「私の人徳、かな☆」
「本当かなぁ…」
僕が疑っていると、花帆ちゃんがめぐちゃんに聞いた。
「…慈センパイって、梢センパイや綴理センパイと一緒に、スクールアイドルをやっていたんですよね」
「うん、そうだよ。私と梢、それに綴理の3人はね、かつて蓮ノ空学院スクールアイドルクラブに輝く希望の星ということで、蓮ノ大三角って言われてたんだ」
「蓮ノ大三角!」
「かっこいい!」
「そういうのかっこいいよね」
僕がそう言うと、梢先輩と夕霧先輩の二人も合流してきて
「…同じように『問題児』とも呼ばれていたわね」
「問題児…」
めぐちゃんに関しては思い当たる事が多すぎて、頭が痛くなった。
「そうだね~こずもめぐも、手のかかる子だったぁ」
「綴理が言わないで!/綴理が言うな!」
夕霧先輩の言葉に、梢先輩とめぐちゃんが咄嗟に返した。
おー息ぴったし
「いっつも先輩に食ってかかったのは、梢でしょ!『こんな練習で本当に『ラブライブ!優勝できるんですか』ってぇー!」
「梢センパイが…!?」
「慈のほうこそ、本当に目立ちたがりで、先輩を困らせてばっかり。『この曲はもっと私を推したほうが、ぜったい人気出ますよ☆』だったかしら?」
「めぐちゃんがー!?」
めぐちゃんの事に関しては分かる気がする。
「それが今じゃふたりとも、こんなに立派になって」
夕霧先輩は思い出に浸っていた。
「先輩方の話を聞いていると、昔のめぐちゃんの事が気になってきました」
「ルリもルリも!」
「そうだねぇ~今から、めぐの事でも話す~?」
夕霧先輩が梢にそう聞くと、花帆ちゃんが先輩方に聞いた。
「それならあたし、聞きたい事があるんですけど!」
「花帆さん、何かしら?」
「慈センパイって、もう、ダンスできないんですか!?」
「花帆さんーー」
「うん、そうだよ」
「でも、瑠璃乃ちゃんに教えているときは、できてましたよね?」
「ステージ上じゃなければね」
「でも、それって、治ったりとか」
「しなかった。あるいは、いつ治るのかもしれないけれど、それがいつになるかはわからないかな」
花帆ちゃんの質問にめぐちゃんはそう答えて、続けて言う。
「スクールアイドルをするのは、楽しかった。私にとっては、いい思い出だよ」
「だったら、ダンスができなくても、スクールアイドルにはなれますよね!?」
「花帆さん、さすがにそれは!」
「でも、でも、だって…」
「花帆ちゃん…」
「人にはそれぞれ、その人にとってもスクールアイドルがあるんだよ。もちろん、ダンスをしないスクールアイドルがいてもいいと、私は思うよ。けどね、それは私の重い描いた夢の形じゃないんだ」
と言って、梢先輩と夕霧先輩に感謝の言葉を述べて、めぐちゃんは思い残すことはないと言った。
「ルリ!ちょっと走ってくる!」
「えっ、なに、急に」
「まだ…まだ、ルリは諦めてないんだから!いくぞー!メラメラー!」
るーちゃんはそう言って、走り出しだした。
「あ、あたしも行く!まだまだがんばれるよ!」
「では、わたしもお供します!」
「はぁ…僕も行くしかないじゃん…」
るーちゃんを先頭に、花帆ちゃん、さやかちゃん、僕と走り出すのだった。