翌日、僕たち新入生一同は、寮のロビーに集められて、寮母さんから説明を受けた。
門限厳守、夜は明かりが少なく、山奥だから当たり前といえばそう。
そして、バスは金沢駅行きの週末に一度のみ。おかけで昨日は苦労した。
金沢に行くにしても、事前に外出申請をして、許可書を貰わないといけないけど。そこらへんは、うん。大丈夫だろう。
そして、それを聞いた同級生達の反応は様々だった。
『聞いてない』 『晴れやかな学生生活が』みたいな事を言う子が多かった。
そんな中、教室に僕は居た。
「…はぁ…」
前の席に居る青髪をツインテールにした女の子が、はっきりと聞こえるくらいのため息を吐いていた。まぁ…分からない事もない。名前は確か_
「って、えぇ!?」
青髪の女の子が隣に座っていたオレンジ髪の女の子を見て、かなり驚いていた。
うむ…知り合いなんだろうか。いや…知り合いならこんな驚き方はしないか…
「あー…さやかちゃんだー…同じクラスだったんだー…やったねーあははー…」
明らかに落ち込んでいる。
原因は、今朝の話だろうけどね。
さやか?ちゃんは、どうしたんですか?と彼女に聞き返すと、彼女は
「人はパンのみに生きるにあらず、だよ、さやかちゃん…希望がなくっちゃ、ひとは生きていけないんだ…あたし、新生活でぜったい花咲こうって決めてたのに。規則、規則、厳守、規則でさ。このままじゃ、しおれちゃうよ…」
なんかこのまま聞いてたら、こっちまで影響を受けそうだと思った僕は、そっと席を立ち、教室を後にし、気づいたら学校の外に出てきていた。
近くにあったベンチに腰掛けて、僕はこう呟く
「やっぱり、伝統校なだけあって規則は多いんだなぁ…」
「何か困ってるの?」
「うわぁ…びっくりした…」
振り向くと、そこには白髪のショートカットの女の子が居た。
胸元のリボンがめぐちゃんと同じ緑色だった。つまり…先輩か…
「ごめん…驚かせるつもりじゃなかった…」
「それはもういいんで気にしないでください」
「うん。ここで会ったのもなにかの運命」
ん?何か変な方向に話が進んでいるような気が…
「ボクは、夕霧綴理だ」
「えっと…僕は音羽蒼です」
「うん。分かった。あおって呼ぶよ」
随分とコミュニケーションが高い先輩。
「それで聞きたいんですけど…」
「うん?」
「夕霧先輩は、ここで何してたんですか?」
「スクールアイドルの勧誘さ」
「スクールアイドル…?」
「そう。スクールアイドル」
スクールアイドル…ラブライブだったか。
僕らが小学生の時にテレビでよく取り上げられていたのようなそんな記憶がある。興味は無いけど
「そうなんですね、先輩もやってるんですか?」
「うん、見習いスクールアイドルだけどね」
「み、見習い…?」
スクールアイドルにも見習いなんてものがあるのか…?
「そう。だから、ボクは頑張らないといけないんだ」
「なるほど」
先輩の言葉に、戸惑いながらもそう返す。
「それで、この後ライブをするんだ、だからキミにもきて欲しいんだ」
「えーっと…」
逃げられないように、腕をがっしりと掴まれて、凛とした目でじっと見つめられる。うん…この先輩、かなり美人だよな。
「だから、きて欲しいんだ」
「…分かりました。ライブ見に行かせてもらっても良いですか?」
「うん。キミの期待に応えるライブをしてみせるさ」
随分と自信満々な先輩だ。
「そこまで言われると見たくなってきました」
「良かった。じゃ、待ってる」
と言って夕霧先輩は、僕に手を振って去っていった。
って、ライブを観に行くって言ったのは良いけど、ライブの場所ってどこだ…?
そのまま、学校を歩き回っていると、騒がしい音が聞こえてきて向かった場所は体育館だった。
そして、体育館に着いた頃には既にライブが始まっていた。
「みんな、きょうは来てくれてありがとうね。次は、もうひとりのスクールアイドル、夕霧綴理のステージよ。最後まで楽しんでいって」
夕霧先輩ではない、先輩がそう挨拶をして、入れ替わるようにして夕霧先輩が出てきた。
どうやら間に合ったみたい
そして、先輩はカッコいい系統の曲に合わせてダンスをする。
「…凄いっ…」
自分が思っていたよりも、凄いパフォーマンスに圧倒された。
先輩が自身を凄く持っていたのが凄く分かった。
「夕霧綴理先輩…追ってみようかな…」
僕がそう呟きながら余韻の残る体育館を後にするのだった。