あれから数日。
「スクールアイドルクラブ、凄かったよね!」
「うんうん!私、すっかりファンになっちゃった!」
「だよね。俺は乙宗先輩にファンだよ」
「お前の場合はスタイルが好きな女子が好きなだけだろ」
クラスメイトの子達の話題はすっかり夕霧先輩達だった。
とか言う僕も、スマホでスクールアイドルクラブの過去の映像をちょっとだけ見た。
その一方で…
「生徒会室から追い出されたんだって?」
「さすがそれは無茶だよ、花帆ちゃん…」
日野下さんは、生徒会室に突撃して、色々とやったらしい。
なんでも、金沢市内へ行くシャトルバスの本数を増やして毎日にして欲しいとか直談判しに行ったらしい。
無茶にもほどがある…
「楽しいはずなのに~…」
「まあまあ、蓮ノ空だって楽しいことはあるから」
「…楽しいことって?」
「勉強」
「宿題」
「自主学習…かな」
「ぜんぶ同じじゃん!?」
これは日野下さんに同意、めぐちゃんが聞いたら凄く文句を言うんだろうなぁ…
「うわーん!放課後に買い食いとか、学校帰りにカラオケとか、友達とかウィンドウショッピングとか、そういうのがしたかったんだよお~!」
「せめて近くにそういうところがあったら嬉しいんだけど」
「山の中だからねえ…」
何か買うにしてもバスに乗って市内に行かないとないからねぇ…
「もう私は、諦めたよ。なにも期待せず、心を殺して生きることにするから…」
「そう、それだよ!」
「えっ…心を殺すの?」
心を殺したら、それは人なのか…?
「じゃなくて!そうだよ、近くにそういうところがあればいいんだよ!」
そして、日野下さんはノートに何かを書き始めた。
「できた!」
「なにこれ」
「ふふふふっ…あのね、誘致すればいいんだよ!」
なるほど…誘致か…ってそう簡単に出来てたまるか。
「この学校の周辺にお店を招待して、そして隣におっきなショッピングモールを作ってもらうの!生徒がみんなで利用しますって言えば、きっと偉い人たちからOKもらえるよ!だって何百人もいるんだもん!」
「…ダメ、カナ?」
「す、素敵なアイディアだとか思うよ…」
「うんうん!花帆ちゃんが叶えるくれたら、私たちの高校生活もきっと楽しくなるなあ、って!そう思うよね羽音君!」
「えっ!?」
びわこさんから話を飛んでくると思ってなかったからびっくりしてしまった。
「音羽君はどう思う?」
「うん。日野下さんの案とっても良いと思うよ、でも、今から立てても僕達が蓮ノ空に居る間に出来るのかな?」
「だめかぁ~…」
そういう問題ではない気もするけど…
「私は、花帆ちゃんがそうやって頭を悩ませてるのを見るの、ちょっと楽しいよ」
「それはそうかも」
「えー…あたし、こんな学校に、通いたかったなあ」
「そこ、僕が行くか悩んだとこだ…」
「そうなの!?」
日野下さんが見ていたパンフレットの学校は、僕も行くか悩んでいた学校。
普通科は当たり前だけど、家庭科系の項目がる学校だった。
「うん、僕、裁縫が得意だから行こうかなって」
「音羽君、裁縫得意なんだ」
「それなのに、なんでここに来たの?」
「うん、知り合いがね。ここに通ってるからっていうのはあるかも」
僕がそう話すと、背後からこのクラスでは聞かない声がした。
「素敵な学校ね」
『!?』
「こ、梢センパイ!ど、どうしたんですか!?」
あっ、こないだステージに立っていた先輩だ。
「こんにちは、日野下さん。早速、先日言っていたお手伝いの件なのだけれど、きょうはどうかしら?」
「だ、大丈夫です」
「それはよかったわ。それじゃあ少し、日野下さんをお借りするわね。それとあなた、音羽蒼君よね?」
「僕ですか?」
「ええ」
「そうですけど…」
「そんな怯えなくて良いわよ。また今度、貴方と話する機会が作ればと思っているのだけれど、いいかしら?」
「は、はいっ。いつでも!」
「ふふっ、分かったわ。またよろしくね」
そして、先輩は日野下さんと連れて行った。
「今のきれいな人って、上級生の人、だよね?」
「そう、みたい」
「音羽君、先輩に何したの?」
「僕が聞きたいよ…」
本当に何があったらこうなるんだ…少なくとも、あの先輩と認識はないはず。
なのに、あの先輩は何故か僕の名前を知っていた。えぇ…なんで?