あれから、日野下さんはスクールアイドルクラブのお手伝いをして、気付けばスクールアイドルになっていた。
あの先輩も話がしたいと言ってきたけど、あれ以来会ってないんだけど、なんだっただろう…。
それはいいんだ。
ここ一週間ずっと、中庭でライブをしてる日野下さんが居た。
「本当によくやってるよ…」
「そうね」
「!?」
廊下の窓から日野下さんを見ていたら、あの時の先輩に話しかけられた。
「あっ…あの時の」
「どうも。私は乙宗梢。スクールアイドルクラブの部長よ」
「ああ~なるほど。どうりで…」
乙宗先輩から自己紹介をしてもらって、ようやく辻褄があった。
というか、ステージ上で踊っていたからスクールアイドルクラブに居るのは分かるんだけど、部長さんだったか。
「先日、貴方に話があるって言ったわよね」
「はい。物凄く怖かったんですけど…」
「ふふっ、そんな怖くしたつもりは無かったのだけれど」
「そうなんですね…」
話が続かない。
っていうか、乙宗先輩がちょっと怖くて…何を話したらいいのか分からない…
「早速なのだけれど」
「えっ…あ、はいっ」
「あなたって服とかって作れるのかしら?」
「ええ、一応作れますけど…」
「良かったわ。そんな貴方に要件があって_」
********
「ふ~ん…梢がね…」
「なんだやっぱり知ってたか」
その日の夜。僕はめぐちゃんの部屋に居た。
昼間、乙宗先輩に頼まれていた事をめぐちゃんに話していた。
「私がスクールアイドルをやってた事を知らない蒼に文句を言いたいんだけど」
「仕方ないよ…制限あったし…」
「そっか…叔母さんって厳しかったもんね…」
「まぁね…」
僕のお母さんは、テレビにも出るような凄い人。
厳しいって言っても、なんでも強制させるような人じゃないよ。携帯だって1時間は使わせてもらってた。
「叔母さん元気だった?」
「うん。めぐちゃんにまた会いたいって言ってたよ。めぐちゃんの事鍛え直さないとって言っといてって言われた」
「げっ…私が生活できてないのバレてる…!」
めぐちゃんのお母さんも厳しいんだけど、めぐちゃんは叔母さんと僕のお母さんにかなり怒られていたのを思い出す。
「そんな事はどうでもいいんだけどさ。蒼は梢の依頼どうするの?」
「うーん…やってもいいんだけど…自分の時間が作れるか心配になっちゃって…」
「あー」
乙宗先輩に頼まれことは、ライブで使う衣装の作成を手伝って貰えないかって事だった。
日野下さんみたいにマネージャーをやってとか言われると思ったけど、思ってなかった事だったから、悩んでいる。
「自分の時間も必要だもんね蒼は」
「うん」
「それなら断ってしまえば?梢だって、ちゃんとした理由があれば分かってくれる筈だし」
「でもさ、なぜか僕の名前を知ってたんだよ。断ったら断ったでなんか…怖くない…?」
「蒼は心配しすぎなんだよ!嫌だったら断っちゃえばいいだけの話でしょ!」
「それも…そっか…考えすぎか僕の」
「そうそう!蒼は自分の事をもっと大事にしたらいいんだよ」
「うん。そうするよめぐちゃん」
「それでよし!それじゃあ、めぐちゃんが話を聞いてあげたから…」
「うん?」
「私の部屋の掃除と夜ご飯作ってくれない?」
「相談しただけなのに、その対価があまりにも多すぎる件について…」
「なんだとごらぁ〜?」
この後、乙宗先輩にめぐちゃんと相談したことをそのまま伝えたら。悲しそうな表情をしていたけど、分かってくれた。これでとりあえず。自分の時間は確保できそうで助かった。
来月は中間テスト。翌々月には撫子祭がある。
色々と大変だけど、頑張ろうと思う僕なのであった。
季節が流れるの早いですが、ルリちゃんを早く出すためなので許してね