資格を手放した元先生の繰り返した世界線での願い   作:Thinker1714

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 いつの間にかUA3000超え&お気に入り登録50を突破していました。ありがとうございます。
 まだまだ未熟なこの作品ですがこれからもよろしくお願いします


第8話 アビドスとトリニティ、そして水底の先の出会い

 カイザーとの一件が一段落し、アビドスが新たな未来へ歩み出し始めてから、数日が過ぎた。

 

 ブラックマーケットの一角に拠点を構える我が何でも屋『ノイアンファング』も、ただの何でも屋から、今やキヴォトスの裏表を繋ぐ重要な組織へと規模を拡大しつつある。

 

 そして――ある日の事務所。俺はデスクの上に広げられたキヴォトスの地図を眺めながら、今後の事業展開についての会議を開いていた。

 

「そろそろ、ブラックマーケット拠点だけじゃなくて、各地の学園自治区に正式な支部を出してもいい頃合いだと思うんだが……みんなはどう思う?」

 

 俺がそう切り出すと、部下たちはそれぞれの意見を交わし始める。

 

 拠点とする候補に挙がったのは、巨大な権力を持つ都市『トリニティ総合学園』、独自の文化と広大な商圏を持つ『百鬼夜行連合学院』、そしてもちろん、我らが活動の原点である『アビドス自治区』の三箇所だ。

 

「特にトリニティや百鬼夜行とは、今後も定期的な物流や情報共有のパイプを作っておいた方が動きやすいからな。まずは各所に打診と、正式な話を通しに行く必要がある」

 

 そう方針を固めた俺たちは、さっそくそれぞれの準備に取り掛かるのだった。

 

 別の日。

 

 アビドスの広大な砂漠地帯を臨む一角にて、俺たちは視察に訪れた関係者や協力者たちに向けた説明会を開いていた。

 

「――見ての通り、これが現在進めている砂漠化対策の『防砂林プロジェクト』の進捗状況だ。地下水脈を安定させ、根を張るタイプの耐性植物を段階的に植樹することで、かつての砂嵐による被害を大幅に軽減している」

 

(ちなみに水脈に関しては、都度スキャニングして情報をまとめている)

 

 俺が指し示す先には、緑の芽吹きを増やしつつある人工の小さなオアシスと、手入れが行き届いた防砂林の帯が広がっている。その傍らでは、アビドスの制服をまとったホシノや、生徒会会長のユメが、誇らしげな笑顔で来客たちに手を振っていた。

 

「それだけじゃありません! アビドスの砂漠の過酷な気候だからこそ育つ特殊なハーブを使った、我が校の新しい特産品『アビドス・サンドティー』も、今ではあちこちの商店街で大人気なんですよ〜!」

 

 ユメが嬉しそうに自慢の特産品を差し出すと、視察に来ていた者たちからは「まさかアビドスがここまで復興するとは」「味も香りも一級品じゃないか」と驚嘆と賞賛の声が上がる。

 

 (もう少し捻ったネーミングにはならんのかね……)

 

 苦笑しつつ、かつての寂れ果てた借金まみれの学園から、確かな特産品と環境改革を生み出す自立した自治区へ――。アビドスの復興事業が着実に実を結んでいる証拠だった。

 

 視察に来ていた面々の中には、カイザーコーポレーションのプレジデントと護衛についているジェネラル、そして大柄の白いスーツにエンジ色のマフラーをつけたオートマタがいた。おそらくPMCの理事だろう。何やら睨まれている気がするが、心当たりしかないのでプレジデントに軽く頭を下げる。プレジデントも目礼で返してきてくれたので、感触としてはいいと思っている。

 

 そして、アビドスの順調な快進撃を見届けた後、俺は次なる重要任務――トリニティ総合学園への正式な支部展開の根回しのため、トリニティ自治区へと足を運んでいた。

 

 ティーパーティーの応接室にて。

 

 正式な話を通すために待ち構えていた俺の前に現れたのは、案の定というか、盛大に機嫌を損ねているあの少女だった。

 

「――ちょっと待ってよ! なんでユウくんはアビドスの入学式になんて行ってるわけ!? 私たちトリニティの可愛い可愛いお姫様たちを差し置いて、あんな砂漠の学校にかかりっきりなんて不公平すぎない!?」

 

 ソファにどっかりと腰掛け、ミカが不満タラタラといった様子で、手土産に買ってきた大きなロールケーキをヤケ食いしながらブーブーと文句を垂れていた。

 

「……ミカさん、あまり騒がないでください。それに、ユウさんにも色々事情がおありなのですから……」

 

 その隣で、優雅な紅茶のカップを両手で持ったナギサが、どこか寂しげに、そして少しだけ潤んだ瞳を伏せながら小さくため息を吐く。いつもの上品な佇まいの裏で、彼女もまたユウが自分たち以外の場所で時間を割いていたことに、言い知れぬ寂しさを感じているようだった。

 

 トリニティの政治的な思惑や、彼女たちの面倒くさい(だが愛おしい)感情の渦に巻き込まれつつ、俺は頭を軽く掻きむしる。だが、そんな彼女たちに向かって、俺はまずは一つ、一番最初に伝えておきたかった言葉を口にする。

 

「まあ待てって。……それとナギサとミカ、改めて言うのも何だが、入学おめでとう。早速ティーパーティーの見習いをしていると知ったときは驚いたよ。色々大変なポジションに就いたみたいだけど、苦労をして周囲に迷惑かけないようにして抱え込んでないか? それに新しい友達はできたのか?」

 

「「えっ……?」」

 

 不意を突かれたように、ミカの動きがピタリと止まる。ヤケ食いしていたフォークを持ったまま、キョトンと目を丸くした。ナギサもまた、優雅に構えていた紅茶のカップをわずかに揺らし、驚いたように瞳をパチパチさせている。

 

 俺がアビドスにかかりっきりだったのではなく、彼女たちの新しい立場や苦労、そして新しい友人関係をちゃんと気にかけてくれていたと分かったからか、ミカは少しだけ気まずそうに頬をポリポリと掻き、先ほどの威勢はどこへやら、照れくさそうに目をそらした。

 

「……べ、別に、私は元々そういった事は感覚でできるし? そんなに苦労なんてしてないけどさ……。でも、ユウくんにわざわざそんなこと言われると、なんか調子狂うな……。そう言えば友達といえば、クラスで一緒になった子がいるんだよね! 百合園セイアちゃんっていうんだけど、難しい言い回しで少しイライラするけど中々面白そうな子だったよ!」

 

「ミカさんの言う通り、最初は戸惑うことも多かったですが……ユウさんのそのお心遣い、とても嬉しく思います。ありがとうございます。私の方はまだ人となりなど掴めてないので何とも言えませんね」

 

 ナギサもふわりと柔らかく微笑み、場の空気が一気に和らいだ。

 

「よし、お互いの近況報告はこれくらいにして――本題に入ろうか」

 

 空気が引き締まったところで、俺は持参した資料のファイルを開く。

 

「今日は、トリニティ自治区内にうちの『ノイアンファング』の正式な支店を構えさせてもらえないかという相談をしに来た。今後の物資の流通や情報網を円滑にするためにも、トリニティの主要な商業区や、あるいは少し外れた利便性のいい場所あたりに拠点を置きたいんだが、立地について何かオススメや制限はあるか?」

 

 ナギサやミカと具体的な協議を重ねた結果、幸いにも主要な商業区の近くに、支店を置くための好立地な物件の目処をつけることができた。

 

「――よし、大まかな話はまとまったな。支店の認可と手続き周りは頼むよ、ナギサ」

 

「えぇ、任せてください。ユウさんのためでしたら、ティーパーティーの権限を使ってでも迅速に進めさせていただきますわ」

 

(見習いでそこまでの権限使えるのか……?)

 

 ナギサが優雅に微笑み、ミカも「アタシたちの近くに拠点ができるなら、いつでも遊びに行けるじゃん!」と満足げに頷いている。

 

 無事にトリニティでの根回しを終えた帰り道。

 

 なんとなく気になったので、俺はトリニティ自治区の隅に広がる大きな『湖』のほとりに立ち寄っていた。

 

 トリニティという巨大な自治区の端に位置しながら、どこか不自然に管理され、周辺の水流が他の区画と隔絶されているように感じたからだ。

 

「……どれ、ちょっと裏の構造を覗かせてもらうか」

 

 周囲に誰もいないことを確認すると、俺は自身の能力による『スキャニング』を湖の底へと深く展開させた。視覚情報を超えた概念的な走査が、湖底の土砂や分厚い岩盤を透かし彫りにするように、地下深くの水脈の構造をありありと描き出していく。

 

 ――ビンゴ、だった。

 

「……っ、マジかよ」

 

 スキャニングのデータが映し出したのは、湖の底のさらに深く、人工的にくり抜かれた巨大な旧時代の排水路、そして――そこから途方もなく遠い、日の光すら届かない朽ち果てた廃墟群へと繋がる『地下水脈のルート』だった。

 

 方角と距離から割り出す。その先にあるのは、かつてトリニティから切り捨てられ、今やベアトリーチェの暗躍のせいで不穏分子の温床となっているはずの場所――『アリウス分校』の勢力圏だった。

 

 表向きの平和なトリニティの足元に、こんな隠された地下水路の抜け穴が眠っていたとは。放置するには、あまりにも危険な通路だ。あえて表からではなく、この地下水脈を逆用して向こう側の懐をまさぐってみるのも一興かもしれない。

 

 事務所に戻った俺は、早速デスクに向き合うと、手元にあった廃材や余剰パーツをナノマシンで成形し直し、さらに耐水・酸素供給用の素材を引っ張り出してガリガリと図面を引き始めた。

 

 ――よし、即席の『水中用潜水装備(見た目はガンダムに出てきたゼー・ズールのような重装備リグ)』の設計はこれでいける。

 

 静まり返った夜の闇の中、俺は不敵な笑みを浮かべながら、冷たい水底を駆けるための準備を着々と進めるのだった。

 

 そして――翌日。

 

 早速この水路を実際に潜り、アリウスへと続く地下水脈をたどってみることにした俺は、出来上がったばかりの水中用装備を身に纏い、冷たい湖へと飛び込んだ。

 

 暗く静まり返った旧時代の水路を進むことしばらく。流れの先に見えてきた出口の光を目指して浮上すると、そこは殺風景で荒れ果てたアリウスの郊外だった。

 

 周囲に警戒しつつ水面から上がろうとしたその時、水辺の近くで、何やら重たそうな容器を抱えてひっそりと水を汲みに来ていた一人の少女――眩いほどの白に近い銀髪に純白の翼、藤紫色の目が特徴的な白州アズサの姿が目に入り、俺たちは互いに足を止めるのだった。

 

 




Tips 主人公の戦闘能力はまだ描写はそこまで描いてませんが強さ的に近接武器持った状態<アサルトライフルなど通常火器<イカれた武器や重火器<素手といった形になります

何故素手が一番強いかと言うと、手加減の一切の不要かつ転生特典のナノマシン(主人公は少し便利なものと思っている)と現在文字化けしている特典で下手な武器はいらない火力になるためです

今の文章量で良いのか読み足りないのかわからないので皆さんの意見を参考にします

  • 今の4千〜5千字くらいの目処
  • 5千〜1万字くらいの目処
  • 1万以上を目処
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