世界の終わりに、何の話をしようか 作:獅子唐の遺跡
循環はこれが最後です。
……。
君はさ、怖くないのかい?
何がって……もう、自分でも分かってる筈だ。
私も分かってる。私以上に分かる奴なんて存在しない。
君は死ぬ。
どう取り繕っても、どう足掻いても、もう逃れられない。
私を
……はぁ。
この話は君が逝く前の、最後の話になるだろう。
今回は、『歴史』について。……ちゃんと、最後まで聞いてくれ。
約束だから、守ってくれよ。言ったからね。
まず歴史は、過去を知るためのものでは無い。
あらゆる視点より、よりよく進む方法を学ぶためのものだ。
結果的に道中で過去を知るだけであり、本質は知識に存在しない。
深く根付く存在が定めた、瞬間的に定められる新しい規律による、人間の生み出した新しい世界。
便利の裏に潜む影すらも描き、そこに意味を与える。
これこそが歴史だ。
この世に存在するものが神の創造物で、神は世界の創造物であるように。
創造物が手を離れ、非創作物の立場に立とうとするのはなんら不自然ではない。
ただし、「そう在れ」と望まれた場合、その限りではない。
望まれたのなら、そこには意味がある。
意味があるのなら、理解できるように落とし込む事ができる。
理解できるのなら、同じ理解の境地と同じ事例を探せる。
歴史はこれらを可能にしたんだよ。
歴史は、良い時間も悪い時間も等しく語ってくれる。
そして、何時の日か訪れる過ちの再来のない日を待ち望んでいる。
私もまた……。
そう、だな。
確かに、未だ人は争い続けて、愚かなことを繰り返し続けている。
しかし必ず、人は自らを改め、大きな過ちを犯すことなく進んでいけるだろう。
彼らが「そう在れ」と望まれた以上、迫る『運命』は逃さない。
ここで君に問おう。
私は、どう「在れ」と望まれたんだろうね?
歴史は前例がある限り答えてくれる。
でも、前例のない事象に対しては酷く脆弱だ。
似たような事象では意味がない。同一でないと、私を抑えることはできない。
…人間の歴史は、常に進み続けているよ。
無知を理由に数人が立ち止まったとしても、更に大勢が立ち止まらない限り進み続ける。
残酷に思えるほど無慈悲に進み続けている。
でも、私は果たして進んでいるのかな?
君たちは一歩ずつ、ゆっくりとだけど進む。
必ず立ちはだかる障害は解消され、前に進める。
たとえ先頭に立っていた者が倒れても、誰かが進んでくれる。
これは歴史による、歴史が示す、絶対的な事実だ。
———じゃあ、私は?
一人残されることが歴史によって裏付けられ、確定している私は?
君と別れた後、この世界から逃れることができず、終わるその時まで一人が確定している私は?
歴史は良い時間も、悪い時間も、等しく語ってくれる。
無邪気な子どものように、残酷な事実を突きつけてくれるんだよ。
何の解決にも至っていない問題をともにして、ね。
ただ一つ、こんな私に救いがあるとするなら……。
こうやって、君は苦しまずに死ねること。
孤独を知らず、死ねたこと。
おやすみなさい。
どうかこの一時だけは、安らぎが貴方にあり、甘い夢を見れますように。
……うそつき。
最後の…… 。
何かが隠れているかも…?