世界の終わりに、何の話をしようか   作:獅子唐の遺跡

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意外とアイデアが出たり出なかったり



繁殖

 

 

……はっ。

八つ当たりみたいな話になりそうだが、自分の中で残しておけば酷い事になる。

ガス抜きみたいなものだし、聞いてるふりでもしていてくれないか?

 

今回の話は、『繁殖』について。

言葉に表してみれば、ひどく無機質に感じる。

表現している行為は生命の執着にまみれ、とても生々しいというのに。

自分の一部を削り、熱を分け与え、写し鏡を未来へと遺す。

己の死を前提にしながら進む行為、そうとも捉えることができるだろう。

 

だが、私には分からない。

私が持っていない、持てない権能だ、それは。

たとえ持っていたとして、自ら刈り取るであろう命が増えて何になる。

虚無の海からは対価なしに大地を掬い上げられるが、それは戻したとしても何の益もないからだ。

同じなんだよ。私が子を産めたとして、そこには意味がないだろうから。

 

しかし、私は『繁殖』の定義を変えてみることにした。

それは肉体の遺伝子を遺すことでも、子どもを生んで数を増やすことでもない。

 

———"他者の中に、消えぬ自分を植え付けること"

 

君と私が言葉を交わし……まぁ、私が話している事が多いが、定義や思想を語りかけている。

君は話を聞いて胸に刻み、時に困惑し、時に聞き流して、時に優しく微笑む。

その瞬間、私という存在は確かに君という器に根付くんだ。

 

逆もまた然り。

君の眼差し、温もり、吸気すらも私の内側を犯し、塗り替えていく。

一度誰かの感情や思想が根付き、芽吹いてしまえば消えることはないだろう。

色欲。罪の原因となる感情と結びつくものでもあるからね。

肉体的な意味だけでなく、承認欲求的な意味も含めての『繁殖』さ。

 

……ただの共依存、侵食とも言えるだろう。健全な社会なら、病的な考えだと一蹴される。

社会は効率よく増えることを望んではいるが、二人だけという独立を許しはしないのだから。

けれど、世界に二人しか残らなかったとしたら?

 

社会が滅び、時を戻して進むしか道が残されていない時。

理を捻じ曲げることが許された終末の時。

生命に許された行為は、互いに自らの存在を植え付けることだけだ。

 

私が君を送り出すまでに、少しの話をしたように。

君が私に、消えぬ愛と孤独の苦しさを残し続けたように。

 

君の温もりが消えたとして、私が一人残されたとしても、私の胸の中には君が残っている。

まぁ、何度も何度も本物を失い続けているから、育み続けるのも限界なんだけどね。

それでも最後に選ぶかもしれない『死』の時まで、私の心の奥底には君がいる。

君の面影を思い返しながら死ねるのさ。

 

君が望まないことを、私は望まない。

だけど、君が私から受け取った愛だけは、どうか拒まないでおくれ。

……時間だ。しょうもない話だった、付き合わせてすまない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"歩みを止めず、もう少しだけ先へ進む時間"

"君がその足を止めて、永遠の安らぎと共に虚無へと至るその時まで"

"私は君の中に私を育て続け、君という存在を私の中で抱きしめ続けるのだ"

 

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