世界の終わりに、何の話をしようか 作:獅子唐の遺跡
ただ、感謝を。
運命
…。
……。
………。
やぁ、待たせたかな?ちょっとレポートの整理に追われててね、簡潔に纏められるものをわざわざ長くするという、提出に必要な謎の条件に苛立ちを覚えたところさ。
うん、大丈夫。ちゃんと提出済みだ。■■■■先輩に協力してもらって———なんだい、その顔。
あぁ、妬けてるのか。こんなにも私は君を愛しているのに、まだ信じてくれないんだ。
そんな君には、今日もまた話をしようか。……いや、話を逸らそうとしてるわけじゃないから……。
じゃあ、今日の話はナシってことで———……ったく、嫌なら最初から言わないでくれよ。
はぁ……。
ん?怒ってないよ、こんなやり取りも楽しいなぁって。
今日の話は、「運命」について。
自分に都合良く「運命」って言葉を使う人がいるだろう、人は一生における幸福の上限が決まっているんだけど、彼らの言う
しかも人や物事に定められた傾向と結末。そう定義してしまえば楽なんだけど、そんな簡単なものじゃないんだよね。
そう定義すると、総ての生き物の人生を全うすること、それすらも運命に沿って仕立て上げられたものになってしまう。私は、そうは思わないんだよ。というか、この気持ちまでも運命なんていう変なものに操られているという事を認めない。
君との出会いも、「運命」なんて言葉で軽々しく言い切っていいものじゃないんだよ。
今日に至るまでの全て、私たちを待つ明日、それらを疑うことなく動き続けた事こそが「運命」だ。
誰にも知られずとも、たゆまぬ努力を積み上げて掴み取った刹那の現実こそが「運命」なんだ。
沢山の縁の糸が絡み合い、絶望した先で「自分」を見て、真に自分が守りたかったもの、守りきれなかったものを、全て失ってから初めて知った。
真の運命は、蜘蛛の巣のように阿弥陀状に絡んではいないということも、同様にね。
我思う故に我あり。しかしながら、我以外が我思う故に我あり。
運命も同じさ、運命という存在を知らない人にとって運命なんてただの言葉でしかない。
逆に運命を知れば逃れられないとも言える。
たとえ私が間違っていて、運命が君の結末を規定するなら。
その結末へ至るまでの走る速度と、その足跡の深さを決めるのは———いつだって私や神ではなく、泥を啜りながら進むことを選ぶ君自身の意志。そうだろう?そうであって欲しいよ、私も。
でもさ、こうやって君に話せることが「運命」によるものだとするなら、自分の自由意志なんてどうでもいいやと思えてしまう時もあるんだよなぁ。ふふ、惚れた弱みってやつだ。
思い返してみれば、今の君に惹かれる要素はないんだけど……ちゃんと惚れられた事が嬉しいよ。
一応言っておくけど、悪口じゃないからね?ちょっとした、君の知らないこっちの話だよ。
はは、今度は何度でも話をしてあげよう。君の知らない話を、私の知っている全てを。
互いの道が分かたれるその時まで、ゆっくりと、君のペースに合わせて話し続けよう。
だからさ、私を忘れないで、側に居てくれよ?
…。
……。
………。
私を愛してくれて、ありがとうね。
お疲れ様でした。おやすみなさい。
===
いずれ輝きを失うと分かっている。
いずれ他の輝きに呑まれる未来は確実である。
しかし、今この舞台を彩るのは私たちだけである。
この世界に神はいない。全能にて全能は屠られた。
よってこの
自然に笑えました。心より幸せだと感じました。
陳腐で、ありきたりな言葉で表すのでしょう。とても幸福だと。
故に、幾度なく繰り返したとしても恨むことなく。
私は声を大にして叫ぶのだろう。
「ああ、世界はこんなにも美しい」と。
うん‐めい【運命】
1 人間の意志を超越して人に幸、不幸を与える力。また、その力によってめぐってくる幸、不幸のめぐりあわせ。運。「運命のなせる業」「運命をたどる」
2 将来の成り行き。今後どのようになるかということ。「国家の運命」
引用元-コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E9%81%8B%E5%91%BD-35734