スキルの詳細は簡潔に!!   作:たまみ

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紙で書いて渡してくれる?

 砂埃の舞う室内でオレは人を待っていた。窓開けてるのに風がないから埃っぽいな。尻の下では、不良たちが苦しげなうめき声を漏らしている。強めに気絶させたはずなんだが……丈夫な連中だ。

 

「劣等種のくせに、安斎(あんざい)さんが黙っちゃいないぞ」

「マナティーくん?前に倒したことはあるよ。大したことはなかった」

「能力は成長するんだよ。体を鍛えるよりもずっと早くな。今、謝れば半殺しですましてやる。今の安斎さ────」

 

 ………興味ないわ。それにオレは戦いにきたワケじゃない、迷惑行為をやめてほしいからきたんだよ。それなのに何で喧嘩売ってくるのか。手下がやられたからって殴りかかってくる方がおかしいだろ。

 

 それに実銃もってくるとかナイ。下手したら死んでたぞ。自制も品性もないこいつらが、どうして実銃なんて持ってるんだ。まあ、ドラッグ仲間から流れてきたんだろう。

 

 乱雑な足音が階下に響く。ようやく来たか……………マナティーくん。

 

「遅かったじゃん、マナティーくん。お仲間のラッコくんたちはお休みの時間になってるよ」

「俺は雷虎天塞団(らいこてんさいだん)の安斎だ。いい加減殺すぞてめぇ」

「雷虎よりラッコのほうが合ってるよ、お友達とお手々を握ってないと流されちゃうし」

「殺すっ」

 

 マナティーくんが拳を振り上げて突っ込んできた。前も同じように突っ込んできて負けたのに学習能力はないのか?こいつやっぱ頭弱いな。しかも可愛げもない。麻薬臭いし、汗臭い。

 

「ねえ、ラッコくんたちに、「飲食店にお金持たずに入っちゃだめだよ」って教えてよ」

「死ねっ。死ねぇぇぇ」

「それと「夜に大きな音を出しちゃいけません」も教えないとダメだよ」

「うるせえぇ。俺らはスキル持ちなんだ。お前ら劣等種なんかどうでもいい。俺らの縄張りで生きてるだけ感謝しろ」

 

 劣等種ですか、そうですか。海棲動物たちから見ればそうかもしれないけどさ。生憎、ここは陸地だ。海みたいに泳げないよ。そろそろかな。

 マナティーくんが脆くなっていた床を踏み。足が少し引っかかった。今だ。

 

「死ねぇ────え」

「じゃあねマナティーくん。次に会った時は人懐っこくなっているんだよ」

 

 オレの飛び後ろ蹴りがマナティーくんの顎に直撃する。そして、糸が切れたように倒れた。また喧嘩になっちゃったな。帰ろ────っと。

危ないな。後ろから飛んできた雷撃を何とか避けられた。だけど、これはマナティーくんのスキル?気絶させたのに?

 

「uAAAaaa」

「マナティーくん?どうしたの。腐った海藻でも食べた?」

 

 獣の唸り声のような音がマナティーくんから響く。でも呼吸はしてるから声じゃないな。咆哮のような音がマナティーくんの腹部から轟き、雷撃が部屋中に飛び散る。あ、ラッコくんたちに当たった。意識はないのか?

 そして、マナティーくんの皮膚が鈍い光沢を帯び始める。あれは……………昆虫の外骨格か。マナティーくんがゲンゴロウくんに変身した。

 

「uAAAAAAAA。雷虎団の次、なんで……………ママ…………kooOOOOO」

「頭が潰れた?大丈夫じゃ、ないな逃げるか」

 

 ゲンゴロウくんの頭が漏斗みたいに細長くなる。脳はもう無事じゃないでしょ。窓から飛び降りる。念のため開けててよかった。

 ラッコくんたちのバイクへ着地する。サスペンションが壊れたけど、命よりは安い。

 

「MooOOO,GRRRRRRRR」

「四階から落ちても無傷か────危な」

 

 雷撃をバイクを盾にしてしのぐ。なんで頭がそんな形になっても生きてるのかな。手足も漏斗みたいになってるし。外骨格がある制服着たヒトデみたいだ。でもスリムになった、あとは手足を戻せばモテると思う。

 

 さて、四階から落下して無傷だった以上、今のオレの攻撃で傷はつかない、逆に纏っている電撃で死ぬ。どうしたものか。でもなんで今、攻撃してこない?感覚器官が潰れているからか?────雷撃は落下してから放たれた。何らかの衝撃で反射して放つと考えたほうがいいな。

 

かちり

 

 ゲンゴロウヒトデくんのお腹からそんな音がした。こっちに向かってくる。うわ、意外と速い。直線じゃ追い付かれるな。バイクの座席で跳躍して、対面にある廃ビルの二階に跳ぶ。そして、廃墟のビルからビルへと飛び移る。

 

「パルクール、動画で予習しておいてよかった」

 

 ガチンガチンガチン

 

 四肢と頭だった部分を地面に、壁に突き刺しながらオレを追ってきた。でも、動きがどうも変だ。なんと言うか曲がる時に動きが止まる。ほら、そのまま進めばいいものを、一瞬だけ減速してる。

 

「誰かに、操られても、してるのか────あっつ」

 

 雷撃がオレの真上を通り過ぎる。ちょっと、髪の毛が焦げた。でも操られていることは確定したかな。オレに照準を合わせるとき、縦を合わせてから横に合わせてきたと思う。

 

 ゲンゴロウヒトデくんの右脚の部分がオレの右側に向く。オレはサイドステップをして、配管に飛び移る。やっぱり配管の高さに合わせてから、左右に動かしてる。だからオレがやるべきことは、上下に動くことと善側のスキル持ちに助けを呼ぶこと。ここに一番近いのは、富良(とみりょく)超能力学校。

 

 ガチンガチンガチンガチンガチンガチン

 

 動きが雑になったな操っているのは人か。お腹にある何かは受信装置みたいなものだろう。廃ビルの中を走り、骨組みしかないとこから跳ぶ。ここから先はビル群がないから体力勝負。

 

ガチンガチンガチンガチンガチンガチンガチンガチンガチンガチン

 

 ゲンゴロウヒトデくんの足の速さ遅くなってない?四十キロくらいまで落ちた。そして希望が見えた。富良の制服を着た人がいる。

 

「助けてくださいーゲンゴロウヒトデくんに襲われていて────」

()()()()()。劣等種相手に雷虎が負けるとは思っていなかった。だが、監督責任が俺にはある」

 

 富良の制服を着た男が剣をオレの胸に突き立てた。あ、死ぬなこれ。剣が引き抜かれる。血のしたたる剣が視界に入った。意識が遠のいていく だれか たす け  て

 

 

 花の匂いがする。でもどこか作り物みたいだ。熱いな、空が燃えている。視界がはっきりしてきた。天を覆っていたのは巨木だ。燃えているのは枝と葉。そして、どこか懐かしい少女がいた。誰だっけ。

 

「死ぬの遅すぎでは?まったく能力者相手に喧嘩売り続けて、なんでその年まで生きていたのやら」

「────」

 

 声が出ない。目の前のソシャゲに出てきそうな和服を着た少女は地面に突き刺してあった刀をオレに向ける。

 

「一度しか言いません。あなたにスキルを返します。あなたのスキルは『冬不知花姫(ふゆしらずのはなひめ)』。常時発動型のスキルです」

 

 オレにスキルあったの?返すって何?オレあげた記憶もないんだけど。

 

「攻撃をしたり、攻撃をジャストガードすることで『春の種子』を獲得します。『春の種子』が『花蔵(はなくら)』を満たすことで『冬不知花乃國(ふゆしらずばなのくに)』を展開し、『春の種子』は『冬不知花(ふゆしらずはな)』に成長します。そのとき、『春告衣』はるをつげるころもを装着します。『春告衣』を纏っているとき、通常攻撃が強化通常攻撃に変化し、移動能力が向上します。強化通常攻撃を行うと、『冬不知花』が一定量、『実を抱く枯花』に変化します。『実を抱く枯花』は────」

 

 あー何言ってるのか分からないよ。図にして渡してほしいな……………ダメですか。あとスキルって一文で能力書けるじゃん。『手から水を出す』それくらいじゃん。なんかソシャゲのキャラ紹介みたいなのを、口頭で理解できるわけないじゃん。

 

「────また、『千花の咎』を一つ消費して『冬不知花』を『花蔵』の最大値分獲得できます。……………ふぅ、これがあなたのスキル、『冬不知花姫(ふゆしらずのはなひめ)』」

 

 マズい途中聞き逃しちゃった。でも最初から理解できなかったから良しとするか?いや、長すぎだろ。固有名詞八個くらいでてきたぞ。文字で書いてあるのを何度も試してようやく理解できるかな、くらいだろ。一度で理解できる奴なんかいないぞ。

 

「要は戦っていると強くなるので、その状態を維持し続けるのがコツのスキルです……………私もこのスキルを使っていたことはありますが、全て理解しているわけではありません。どうかご武運を」

 

 なんとなく分かったぞ。戦い続ければいいんだろう。

 少女はオレを抱きしめ、そのまま刀をオレの背中へ突き込む。刃は少女の胸まで貫いていた。

 

「この刀は『常春の枝』、『花蔵』の最大値を底上げし『千花の咎』のストックを増やす効果があります。私からのせんべつです こふっ」

「────」

 

 オレ、今日二回刃物で刺されてんですけど。厄日かな。あ、また気分が遠のいていく。まてオレどうなってるの?肉体はどこにあるのがただ しい  の

 

 

 

「雷虎を消費する価値がこれに有ったのか?ただの劣等種にしか見えないが」

「身体能力はそれなりにありますよ、中位のスキル持ちくらいなら運が良ければ勝てます」

「運のない奴だ、能力者になっていればそれなりに重宝してやったものを」

 

 ここはどこだ?袋の中か?こう、ビニールで包まれているような。ビニールというより頑丈な布か。この感触知ってる。死体袋だ。

 

「焼くのは明日にしますか?今日の夜、大規模戦闘起きる予定ですし」

「そうだな。焼却炉代は馬鹿にならん、上からも抑えるように言われている」

 

 扉が閉まる音がした。二人の足音が小さくなっていく。さて、出るか。

 

「痛っ。なんだ?刀?」

 

 手が切れたんだけど、死体袋に刀なんて入れるか?いや、さっきの少女が餞別とか言ってたな。これで死体袋を切るか。

 

 死体袋から抜け出し、周りを見回す。死体袋が幾つか処置台の上に置かれているが、台車に積まれているモノの方が多い。処置台の死体袋は顔写真が付いている。あいつらの仲間だったのか?

 

 

「扉閉まってる…………えい」

 

 刀で扉の鍵を切る。この刀何て名前だっけ、『とこはるのえだ』とか言ってたな、『常春の枝』か。鞘とかないの?とりあえず棚に置いてあった布で刀を巻く。無いよりはマシ。ベルト緩んでいたから締め直す。

 扉から出ると、白い廊下が目に入る。どっちが出口につながってる?左に行こう。

 

 歩きながら扉のプレートを見る。慰安室、サーバー室、コーヒー室、紅茶室。コーヒー室と紅茶室の扉には弾痕があった。…………物騒。すると、少し前の扉から、眼鏡の少女が出てきた。オレンジ色の髪に濃い赤い筋が入ってる。スジハナダイみたいな子だ。

 

「こんにちはー」

「お疲れ様です」

 

 挨拶をする。バレなかったな。処置台の死体袋の数からして、かなり人数がいるんだろう。全員把握してるわけじゃないでしょ。何も起きないでくれよ

 

 オレの願いは、スジハナダイさんの首に下げていたスマホが鳴ったことで断たれた。まさかバレた?

 

「はい、朱音です。……………はい、わかりました。……………あの~時間ありますか。霊安室の扉が壊れているらしくて一緒に確認してもらうことってできます?」

「…………………………はい」

 

 扉にセンサーでも付いていたのか。まいったなあ。

 オレはスジハナダイさんの後ろを歩き、来た道を戻る。コーヒー室、紅茶室、サーバー室、慰安室………霊安室。スジハナダイさんが扉の写真を撮る。さて、どうしたものか。

 

「鍵が壊れている……………あの、先に扉開けてくれません?」

「いいですよ」

 

 扉を開け、中に入る。うん、オレが出た時と何も変わってない。

 

「……………とくに異常はないですね」

「そうですか……………入りたくないなぁ」

 

 別に死体が襲ってくるわけでもないし、なんで躊躇するんだろう。

 スジハナダイさんがおそるおそる部屋に入っていく。部屋の中を何枚か撮ると、急ぐように部屋を出た。

 

「手伝ってくれてありがとうございます。どの部署のひ────」

 

 その先は言わせない。スジハナダイさんの腹に拳をめり込ませる。身体が折れた隙に背後へ回り、腕を首へ回して締め落とした。

 

 よし、生きてるな。棚から布を取り出し、刀で小さく切って口に詰め込む。ガムテープもあるのか。手を後ろで縛り、念のため足も拘束する。あとは、死体袋にでも隠す。

 

「で、出口はいずこに?」

 

 歩いてりゃ案内図くらいあるだろ。

 

 

 

「ないじゃないか案内図。あるじゃないか階段。ここは地下二階か」

 

 B2Fってあるしそうだろ。階段を上る、B1F、GF。GF?グラウンドフロアか。だとしたらイギリス系の組織なのか?人の話す声がする。階段ホールに身を潜める。

 

「これ円卓に持って行ってもらえる?」

「円卓ってどこでしたっけ」

「十三フロア。エレベーター使っちゃだめだよ。俺らは使えないから」

「マジですか。上のこういうくだらない差別いやですよね」

 

 オレはまだバレてないのか?それなら出口どこにあるのか聞いてみるか。刀を階段ホールに隠し、作業着をきた男に話しかける。

 

「あの~すみません。出口どこでしたっけ?初めてここに来たもので」

「出口は2Fにありますよ。ここ入り組んでて迷いやすいでしょ。俺も慣れるまで大変だったからよくわかるよ」

「ありがとうございます」

 

 2Fってことは三階か。ここは変な建物だな。窓もないし。とにもかくにも、出口はどこにあるのか分かった。刀を回収し階段を上がる。誰も来ないでよ。

 

 

「出口に警備員いるな。そりゃそうか……………普通に出れそう」

 

 何人かの人が警備員さんに会釈をして出て行った。扉の向こうは、もう夕方か。普通にオレも警備員さんに会釈をして外に出る。ここどこだ?外縁じゃないな、商業地区かな。似たような雰囲気がする。道端に看板があった。

 

「えー西商業地区3-1-1。電車で五時間くらいのとこじゃん。財布持ってたっけ?……………ない。帰り歩きかよ」

 

 この時間帯は帰宅する人が多い。大人がほとんどで、学生は数えるほどしかいない。まあ、商業地区はそういうものだが。外縁みたいに廃墟もないし地面もきちんと舗装されている。すこし居心地悪いな。

 

 

 満月が真上に上る中でオレは公園のブランコに座っていた。かれこれ七時間歩いた。でも、まだ全体の二割くらいしか移動できてない。

 

「不良とか襲ってきたらお金貰うんだけど。治安良すぎて不良居ないなここ。それに終電ももう行ったし」

 

 お腹減った。公園にいた蛇食べたけど、全然足りない。靴も何か合わなくて靴擦れしたし、今日は厄日だな。

 

 オレがうつむいているとブランコの鎖が擦れる音がした。

 

キィ

 

 隣のブランコに学生服の男が座っている。オレと同い年くらいの男だ。身なりはかなりいい。外縁じゃすぐ襲われそうな優男。メジナみたいな暗灰色の髪をしている。

 

「突然すみません。少し僕の話を聞いてくれませんか」

「いいよ」

「今日、僕は戦闘で初めて人を殺めてしまったんです。いつか来るものだとは知っていました。それでも、人を斬ったあの感触が手から離れないんです」

 

 何かいきなり重い話が始まったな。でも、メジナくん。そう気を落とすことはないよ、すぐに慣れる。いや、メジナくん内部の学生だろ。なら慣れないほうがいい。

 

「メジナくんは内部の子?」

「メジナ?………はい。編間学園(へんまがくえん)です。あなたは?」

「外縁住み」

 

 編間学園か、超金持ちか強力なスキル持ちしか入れないとこじゃん。どっちだ?多分スキル持ちだと思うけど。

 

「結構やる方なんだね」

「いえ、落ちこぼれですよ。強いスキルは持っていますけど、なぜか使えなくて。最近ようやく使えるようになってきたんです。だけど、それなのに……今日の戦闘で、ずっと支えてくれた友人のイノリが、僕のせいでケガをしてしまって」

「そっか」

 

 まあ、こんな話を初対面の相手にするくらいだ。相当思い詰めているんだろう。受け止めてやるか。

 

「祈里は別にいいよ、と言ってくれたんですけど。でもどうしても自分を許せなくて」

「ご飯食べた?そういう時はファミレスに一万もって使い切るまで食べるといいよ。今から行こう。メジナくんお金持ってる?」

「えっ。あっはい」

 

 ブランコから立ち上がり、メジナくんの手を引く。たしか二十四時間営業のファミレスが通り道にあったはず。

 

 あったあった。席は空いてるな。店に入ると、気だるげな店員さんが厨房から歩いてきた。

 

「お二人ですか」

「はい」

「お好きな席にどうぞ。注文はタブレットからお願いします」

 

 店員さんはあくびを噛み殺しながら厨房に戻っていった。オレとメジナくんは入口に近い四人席に座る。というより、ほとんどの席にはまだ氷が入ったグラスが残っていた。

 

「で、とりあえず目についたものを頼め。オレは金ないから頼まない」

「そうなんですか、それなら少しなら奢りますよ。悩みを聞いてもらったお礼です」

「えっ、いいの?ありがとう」

 

 ドリンクバー付きハンバーグセット。一番安い奴でいい。タブレットをメジナくんに渡すと、あっという間に注文上限になった。注文ボタンをメジナくんが押すと厨房から絶叫が聞こえたけど無視する。

 

「ホアァァァァァ。ワンワンワンワン」

「先輩落ち着いてください。十品です。すぐに終わります」

「ワン」

「手は動いてますね。ヨシ」

 

 メジナくん、なにか変なモノでも見たのかい?様子がおかしいぞ。

 

「それより、もっと頼みな」

「………いえ、あれでお腹いっぱいになります」

 

 少食だな。強くなるには、いっぱい食べないとダメだよ。よく見るとメジナくんの腕細いな。そもそもの胃腸が弱いのかな?体作りには苦労しそうだ。

 

「話は変わるけどさ、戦うのを止めるって選択肢もあるよ」

「それはできません。家族に認められるためにも。支えてくれた人達に報いるためにもそれはできません」

「そっか」

 

 それならしょうがないか。メジナくん責任感強そうだし。少しくらい肩の力を抜いてもいいんじゃない?

 

「ちなみにさ、どんなスキル持ってるの?」

「モノを創造できるスキルです。幼いころは父も母も僕に期待していました。でも、僕が使えないと分かると食事も別になって…………あ、そういえば名前も聞いてなかったですね。あなたのスキルは?」

八一七(はいな)。苗字はない。外縁育ちだしね。スキルは戦い続けると強くなるスキルだよ」

 

 今思い返しても、あのスキル長すぎるだろ。しかも使ったことないから、これ以上は言えないかな。

 

「あのっ、明日時間ありますか?」

「あるけど」

「編間学園の封印迷宮……一緒に来ていただけませんか?」

「いいよ」

 

 封印迷宮か、封印迷宮?何だっけ。あースキル持ちの修練場か。あれがあるから内部のスキル持ちは強いんだっけ。

 

「でもいいの?オレは外縁育ちだぞ」

「一応、僕は生徒会長に気に入られているので……………一人くらいは入らせることはできます」

 

 まあ封印迷宮は一度はいってみたかったし丁度いい。それにスキルを試してみたくはあるし。

 そんなことを考えていると、いい匂いがした。店員さんが大量の皿を持ってくる。

 

「ご注文の品をお持ちしました。ハンバーグセット、ミートソーススパゲティ、シーフードドリア、エビサラダ、ポテト、ベーコンピザ、レッドチキン、コーンスープです。デザートのプリンは食後お持ちします」

 

 並べ終わると机が料理だらけになった。じゃあ食べるか。ハンバーグにナイフを入れる。

 ……………外縁の店より質のいいひき肉使ってるな。

 

「いただきます」

「あっそうか、いただきます」

 

 そんなマナーあったな。メジナくん、育ちよくない?いや、オレが無礼者か。

 

 

「あの食べてもらうことってできますか?」

「いいよ」

 

 湯気の消えたドリアと、しなしなになったポテトをオレの前に移動させる。こんなの三十秒で食える。

 

 ポテトを束ねて口に入れる。ドリアをスプーンで搔き集め一息で飲み込む。冷めてもそこそこ旨い。

 

「ごちそうさん」

「うっぷ……………ごちそうさまでした」

 

 

 メジナくんが会計を終えて、ファミレスから出ると外が少し白み始めていた。

 

「じゃあね、メジナくん。あの公園でまた会おう」

「はい、ハイナさん。明日、もう今日ですね、また会いましょう」

 

 

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