オープン戦での登板を重ねるにつれ、真英が任されるイニングは少しずつ長くなっていった。周囲では
緊張感のあるピッチングが続く。しかし真英は持ち味を十分に発揮して、大崩れしなかった。ストレートとカットボールを投球の中心に据え、打者がその二つへ意識を向ければ、低めへチェンジアップを沈める。球種は三つしかない。それでも高さと左右を変え、同じリリースから投げ分けることで、メジャー級の打者たちにも狙いを絞らせなかった。
初登板のあと、次は三回を無失点に抑え、その次には先発として四回まで投げた。登板を重ねても四球はほとんど増えず、空振りや見逃しで奪う三振は、日本で投げていた頃より明らかに多かった。
打者を力でねじ伏せているわけではないが、対戦した打者たちは球速表示と実際に感じる速さの違いに戸惑い、追い込まれればカットボールを警戒せざるを得なかった。首脳陣の評価も、登板を終えるたびに上がっていった。
圧倒的な速球を持たない日本人投手が、メジャーのキャンプで生き残ろうとしている――そう見られていたのは、最初のうちだけだった。スプリングトレーニング終盤には、真英は先発候補の一人として、当然のように登板予定へ組み込まれていた。
そして、選手たちの間でも、真英が話題に上がることが増えていく。ある日の練習後、レギュラーキャッチャーのペラザが、ロッカーで着替えていたウッドに話しかけた。カンザスシティ一筋でプレーしてきたペラザは、投手陣からの信頼も厚く、チームの中心選手の一人だった。
「オマエサーンは日本でも、あんな投げ方だったのか?」
「ああ、全然変わってないね。びっくりしたよ。いいピッチャーだろ?」
「あんたの言う通り、いいピッチャーだ。クイックも速いし、牽制もうまい。コントロールもいい。こっちとしては助かるよ」
キャッチャーらしい視点で、ペラザは真英を評した。それに対して、ウッドは自分が考える真英の一番の長所を口にした。
「オマエサーンの一番すごいところ、知ってる?」
「お、なんだ?」
「疲れないんだよ。毎度七回でも八回でも投げて、それでも一年間平気な顔して投げきってた」
「
「ソレナ」
「ソレナ?」
ベテラン二人がそんな会話をしていることなど露知らず、真英はオープン戦最終登板に挑んだ。
先発として予定されているのは5イニングまで。ここまでの結果には手応えがあったが、それで開幕ロースター入りが保証されたわけではない。マイナー契約で海を渡ってきた真英にとって、この日の登板は、首脳陣が開幕ロースターを決める最後の判断材料になる。
そう考えると、試合前はいつもより落ち着かなかった。けれども、マウンドへ上がり、いつものようにルーチンをこなしてセットポジションに入ると、余計な考えは頭から消えた。真英にできることは、これまでと変わらない。ストライクを先行させ、打者の反応を見ながら、最も打ち取りやすい球を選んでいくことだけだった。
初回から安打は許した。それでも走者を溜めず、カットボールで空振りを奪い、高めのストレートで打者の目線をずらした。打者を圧倒するような派手さはなかったが、真英は危なげなくアウトを重ねていった。
登板が進むにつれて、身体から余計な力が抜けていった。三回、四回と進むにつれ、球は走っていった。五回には二死から走者を背負ったものの、最後の打者をショートゴロに打ち取った。ショートが軽快に捌いてファーストに送球するのを見届けて、真英はファールラインを跨いだ。
真英は5回を被安打2、無失点で投げ終えた。四球は一つも与えず、球数にもまだ余裕があった。
ベンチへ戻ると、ペラザが真英の肩を軽く叩き、笑顔でサムズアップした。
「ナイスピッチング、オマエサーン」
「ありがと、サンキュー」
「アリガトサンキュー!」
慣れない英語で返すと、ペラザは面白がったように真英の言葉を繰り返した。その後、監督と投手コーチも近づいてきて、「ナイスピッチング」だと声をかけられた。真英はタオルで汗を拭きながら、マウンドを振り返った。メジャーの舞台で投げられるかどうかは、まだ分からない。ただ、少なくとも後悔の残る投球ではなかったように思う。
最後のオープン戦を終えた翌日、真英は監督と投手コーチに呼ばれた。球団は真英を40人枠に登録し、開幕の26人枠へ加えることを決めたという。
「おめでとう、マサ。メジャー契約だ」
ロブ監督は真英の手を握って、そう告げた。真英は先発ローテーションの五番手として開幕を迎えることになった。
その後、投手コーチを交えて、起用方法についての話題に移った。
初登板は、シーズン開幕から五戦目にあたる本拠地開幕カードの第二戦。相手は前年の地区王者クリーブランドだ。そしてその後は、基本的に中四日でマウンドへ上がることになるという。
通訳を通して説明を聞き終えても、真英にはまだ実感がなかった。多分、その実感はメジャーのマウンドに立った時に生まれるだろう。
滞在先へ戻ると、小春はダイニングテーブルにノートパソコンを広げていた。真英が部屋へ入るなり、画面から顔を上げる。
「おかえり。こっちにも連絡来てるよ」
「ただいま。契約の話? 早いね」
どうやら、球団から届いた正式な通知を確認していたようだ。
「うん。メジャー昇格時の条項が発動して……」
小春が難しい話をしだした。真英はウォーターサーバーからグラスに水を汲むと、向かい側に腰掛ける。
「……聞いてる?」
「むずかしい」
「はぁ~まったく。……どう? 気分は?」
小春は頬杖をついて呆れながらも、真英に向けて微笑んだ。
「ワクワクしてる」
真英は、まるで高校生の頃に戻ったかのような、無邪気な笑みを浮かべた。
【朗報】そこのおまえ開幕ロースター入り!
[名無しの代走]
背番号は70
[名無しの代走]
めでたい
[名無しの代走]
よかおめ
[名無しの代走]
問題はチームよ
[名無しの代走]
ワイKCファン、歓喜
[名無しの代走]
なんかおもったよりやれてるな…
[名無しの代走]
>なんかおもったよりやれてるな…
新人ときからおまえが得意なことやん
[名無しの代走]
>背番号は70
ユニ買ったわ
今年はこれでしのぐ
[名無しの代走]
すごいなおまえ
どうやったんだ?
[名無しの代走]
制球いい
三振取れる
イニング食える
まいったな隙がないぞ…?
[名無しの代走]
>まいったな隙がないぞ…?
ストレートが遅い
[名無しの代走]
>制球いい
>三振取れる
>イニング食える
幼馴染と結婚
もあるぞ
[名無しの代走]
そこのおまえが活躍してて俺も鼻が高いよ
[名無しの代走]
カンザスシティ自体はどうなんだい
[名無しの代走]
>カンザスシティ自体はどうなんだい
捕 ペラザ .224 35本 85打点
一 ウッド .274 24本 61打点
二 ロペス .243 4本 34打点
三 マッケンジー .229 9本 42打点
遊 ホイットニーJr. .318 24本 81打点 40盗塁
左 ハドソン .236 8本 39打点
中 クラーク .251 5本 36打点 31盗塁
右 ベネット .228 11本 45打点
指 サンタナ .250 20本 66打点
レギュラーの去年の成績はだいたいこんな感じ
ウッドとサンタナの補強でだいぶいい感じにはなった…はず
守備はガチでいいよ
[名無しの代走]
>去年の成績はだいたいこんな感じ
いけるやん…?
[名無しの代走]
大丈夫? おまえまたムエンゴ病発症しない?
[名無しの代走]
>去年の成績はだいたいこんな感じ
よくこれで勝ててるな
[名無しの代走]
>>去年の成績はだいたいこんな感じ
>よくこれで勝ててるな
勝ててないんだよなぁ…
[名無しの代走]
ナニコレ?
ファンはホイットニーJr見るしか楽しみないじゃん
[名無しの代走]
そうだが?
[名無しの代走]
ペラザもいるぞ
[名無しの代走]
いかにもスモールマーケットって感じやな