9番ピッチャー そこのおまえ   作:Potoooooooo

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メジャー契約

 オープン戦での登板を重ねるにつれ、真英が任されるイニングは少しずつ長くなっていった。周囲では95マイル(約153キロ)を超える速球も珍しくなく、時には100マイル(約161キロ)の剛速球を投げ込む投手までいる。その中で真英のストレートは速くても87マイル(約140キロ)を少し超える程度。そのため、コントロールを間違えれば簡単に外野の奥深くまで打球を運ばれた。

 

 緊張感のあるピッチングが続く。しかし真英は持ち味を十分に発揮して、大崩れしなかった。ストレートとカットボールを投球の中心に据え、打者がその二つへ意識を向ければ、低めへチェンジアップを沈める。球種は三つしかない。それでも高さと左右を変え、同じリリースから投げ分けることで、メジャー級の打者たちにも狙いを絞らせなかった。

 

 初登板のあと、次は三回を無失点に抑え、その次には先発として四回まで投げた。登板を重ねても四球はほとんど増えず、空振りや見逃しで奪う三振は、日本で投げていた頃より明らかに多かった。

 

 打者を力でねじ伏せているわけではないが、対戦した打者たちは球速表示と実際に感じる速さの違いに戸惑い、追い込まれればカットボールを警戒せざるを得なかった。首脳陣の評価も、登板を終えるたびに上がっていった。

 

 圧倒的な速球を持たない日本人投手が、メジャーのキャンプで生き残ろうとしている――そう見られていたのは、最初のうちだけだった。スプリングトレーニング終盤には、真英は先発候補の一人として、当然のように登板予定へ組み込まれていた。

 

 そして、選手たちの間でも、真英が話題に上がることが増えていく。ある日の練習後、レギュラーキャッチャーのペラザが、ロッカーで着替えていたウッドに話しかけた。カンザスシティ一筋でプレーしてきたペラザは、投手陣からの信頼も厚く、チームの中心選手の一人だった。

 

「オマエサーンは日本でも、あんな投げ方だったのか?」

「ああ、全然変わってないね。びっくりしたよ。いいピッチャーだろ?」

「あんたの言う通り、いいピッチャーだ。クイックも速いし、牽制もうまい。コントロールもいい。こっちとしては助かるよ」

 

 キャッチャーらしい視点で、ペラザは真英を評した。それに対して、ウッドは自分が考える真英の一番の長所を口にした。

 

「オマエサーンの一番すごいところ、知ってる?」

「お、なんだ?」

「疲れないんだよ。毎度七回でも八回でも投げて、それでも一年間平気な顔して投げきってた」

監督(ロブ)が話してたな。マーク・バレリーみたいだって」

「ソレナ」

「ソレナ?」

 

 ベテラン二人がそんな会話をしていることなど露知らず、真英はオープン戦最終登板に挑んだ。

 

 先発として予定されているのは5イニングまで。ここまでの結果には手応えがあったが、それで開幕ロースター入りが保証されたわけではない。マイナー契約で海を渡ってきた真英にとって、この日の登板は、首脳陣が開幕ロースターを決める最後の判断材料になる。

 

 そう考えると、試合前はいつもより落ち着かなかった。けれども、マウンドへ上がり、いつものようにルーチンをこなしてセットポジションに入ると、余計な考えは頭から消えた。真英にできることは、これまでと変わらない。ストライクを先行させ、打者の反応を見ながら、最も打ち取りやすい球を選んでいくことだけだった。

 

 初回から安打は許した。それでも走者を溜めず、カットボールで空振りを奪い、高めのストレートで打者の目線をずらした。打者を圧倒するような派手さはなかったが、真英は危なげなくアウトを重ねていった。

 

 登板が進むにつれて、身体から余計な力が抜けていった。三回、四回と進むにつれ、球は走っていった。五回には二死から走者を背負ったものの、最後の打者をショートゴロに打ち取った。ショートが軽快に捌いてファーストに送球するのを見届けて、真英はファールラインを跨いだ。

 

 真英は5回を被安打2、無失点で投げ終えた。四球は一つも与えず、球数にもまだ余裕があった。

 

 ベンチへ戻ると、ペラザが真英の肩を軽く叩き、笑顔でサムズアップした。

 

「ナイスピッチング、オマエサーン」

「ありがと、サンキュー」

「アリガトサンキュー!」

 

 慣れない英語で返すと、ペラザは面白がったように真英の言葉を繰り返した。その後、監督と投手コーチも近づいてきて、「ナイスピッチング」だと声をかけられた。真英はタオルで汗を拭きながら、マウンドを振り返った。メジャーの舞台で投げられるかどうかは、まだ分からない。ただ、少なくとも後悔の残る投球ではなかったように思う。

 

 最後のオープン戦を終えた翌日、真英は監督と投手コーチに呼ばれた。球団は真英を40人枠に登録し、開幕の26人枠へ加えることを決めたという。

 

「おめでとう、マサ。メジャー契約だ」

 

 ロブ監督は真英の手を握って、そう告げた。真英は先発ローテーションの五番手として開幕を迎えることになった。

 

 その後、投手コーチを交えて、起用方法についての話題に移った。

 

 初登板は、シーズン開幕から五戦目にあたる本拠地開幕カードの第二戦。相手は前年の地区王者クリーブランドだ。そしてその後は、基本的に中四日でマウンドへ上がることになるという。

 

 通訳を通して説明を聞き終えても、真英にはまだ実感がなかった。多分、その実感はメジャーのマウンドに立った時に生まれるだろう。

 

 滞在先へ戻ると、小春はダイニングテーブルにノートパソコンを広げていた。真英が部屋へ入るなり、画面から顔を上げる。

 

「おかえり。こっちにも連絡来てるよ」

「ただいま。契約の話? 早いね」

 

 どうやら、球団から届いた正式な通知を確認していたようだ。

 

「うん。メジャー昇格時の条項が発動して……」

 

 小春が難しい話をしだした。真英はウォーターサーバーからグラスに水を汲むと、向かい側に腰掛ける。

 

「……聞いてる?」

「むずかしい」

「はぁ~まったく。……どう? 気分は?」

 

 小春は頬杖をついて呆れながらも、真英に向けて微笑んだ。

 

「ワクワクしてる」

 

 真英は、まるで高校生の頃に戻ったかのような、無邪気な笑みを浮かべた。

 


  

【朗報】そこのおまえ開幕ロースター入り!

 

[名無しの代走]

背番号は70

 

[名無しの代走]

めでたい

 

[名無しの代走]

よかおめ

 

[名無しの代走]

問題はチームよ

 

[名無しの代走]

ワイKCファン、歓喜

 

[名無しの代走]

なんかおもったよりやれてるな…

 

[名無しの代走]

>なんかおもったよりやれてるな…

新人ときからおまえが得意なことやん

 

[名無しの代走]

>背番号は70

ユニ買ったわ

今年はこれでしのぐ

 

[名無しの代走]

すごいなおまえ

どうやったんだ?

 

[名無しの代走]

制球いい

三振取れる

イニング食える

まいったな隙がないぞ…?

 

[名無しの代走]

>まいったな隙がないぞ…?

ストレートが遅い

 

[名無しの代走]

>制球いい

>三振取れる

>イニング食える

幼馴染と結婚

もあるぞ

 

[名無しの代走]

そこのおまえが活躍してて俺も鼻が高いよ

 

[名無しの代走]

カンザスシティ自体はどうなんだい

 

[名無しの代走]

>カンザスシティ自体はどうなんだい

捕 ペラザ     .224 35本 85打点

一 ウッド     .274 24本 61打点

二 ロペス     .243 4本 34打点

三 マッケンジー  .229 9本 42打点

遊 ホイットニーJr. .318 24本 81打点 40盗塁

左 ハドソン    .236 8本 39打点

中 クラーク    .251 5本 36打点 31盗塁

右 ベネット    .228 11本 45打点

指 サンタナ    .250 20本 66打点

 

レギュラーの去年の成績はだいたいこんな感じ

ウッドとサンタナの補強でだいぶいい感じにはなった…はず

守備はガチでいいよ

 

[名無しの代走]

>去年の成績はだいたいこんな感じ

いけるやん…?

 

[名無しの代走]

大丈夫? おまえまたムエンゴ病発症しない?

 

[名無しの代走]

>去年の成績はだいたいこんな感じ

よくこれで勝ててるな

 

[名無しの代走]

>>去年の成績はだいたいこんな感じ

>よくこれで勝ててるな

勝ててないんだよなぁ…

 

[名無しの代走]

ナニコレ?

ファンはホイットニーJr見るしか楽しみないじゃん

 

[名無しの代走]

そうだが?

 

[名無しの代走]

ペラザもいるぞ

 

[名無しの代走]

いかにもスモールマーケットって感じやな

 

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