9番ピッチャー そこのおまえ   作:Potoooooooo

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メジャー初登板

 カンザスシティは、敵地で行われた開幕カードを二勝一敗で終えた。勝利したのはいずれも僅差の接戦で、負けた試合は投手陣が打ち込まれており、このチームの戦い方を象徴するかのようだった。

 

 シーズン開幕から五戦目。本拠地開幕カードの第二戦が、真英にとってメジャーリーグの公式戦初登板となった。

 

 相手は同地区の強豪、クリーブランドだった。前年の地区王者でもある。

 

 前日の本拠地開幕戦には敗れている。連敗を避けたいという意味でも、カンザスシティにとって軽い試合ではない。まして真英は、メジャー契約を保証されずにキャンプへ参加し、スプリングトレーニングで結果を残したことでローテーションの最後へ滑り込んだ投手である。通用しなければ、次の機会がいつまで与えられるか。

 

 試合前の選手紹介で名前を呼ばれ、真英はダグアウトからグラウンドへ出た。先発投手への期待を込めた拍手は聞こえたが、大歓声というほどではない。地元のファンにとって、真英はまだ正体の分からない新加入選手だった。ただ、現地放送局が真英の選手間での呼び名を取り上げたおかげで、『オマエサーン』の声が時折聞こえてきていた。

 

 今日は特別な日だ。日本から、両親も応援に駆けつけている。どこにいるのかは分からないが、姿は探さないようにした。緊張するからだ。それは、小学生の頃から変わっていない。

 

 真英がマウンドへ上がると、スタンドからの歓声が一段大きくなった。スプリングトレーニングとは観客の数も、球場の空気も違う。公式戦の初球を待つ打者の後ろには、本拠地の観客と、これまでの実績を背負った地区王者の打線がいる。

 

 ついにメジャーのマウンドに立った。しかし、ここはゴールではない。スタートだ。真英はいつものセットポジションに入り、捕手のサインを確認した。

 

 初球を投じる。

 

 先頭打者は外角ギリギリいっぱいのストレートを見送り、判定はストライク。続く球をファウルにすると、最後は外へ沈む球に手を出し、力のないゴロをショート正面へ転がした。最初のアウトを取ると、肩に入っていた余計な力がわずかに抜けた。立ち上がりはいつも、どこか緊張する。不安定なことが多いのだ。

 

 続く打者には、初球を打ち返されて安打を許した。しかし、走者を背負っても同じだ。真英は走者を見ながら投球動作に入って、普段と同じ間合いで次の打者へ投げ込んだ。鋭い打球が右中間へ伸びたが、右翼手が長い距離を走って追いつき、フェンスの手前で捕球する。これでツーアウト。

 

 続く四番打者には明確な弱点があった。外にカットボールを3球続け、その全てを振らせて三球三振に仕留めた。試合前でミーティングした通りだった。打者が苛立つようにヘルメットを投げ捨てたので、真英はちょっとびっくりしながらダグアウトに戻った。途中、捕手のペラザとはハイタッチを交わした。

 

 二回以降も、真英はクリーブランド打線を相手にアウトを積み重ねていった。

 

 安打は許す。粘られて球数を使う打席もある。それでも四球で自分から走者を増やさず、得点圏へ進まれても、一人ずつ打者を処理した。失点したのは四回だった。

 

 二死から安打を許し、続く打者に甘く入ったストレートを捉えられ、左中間を破られた。一塁走者が生還し、なおも二塁に走者が残った。真英は新しいボールを受け取ると、マウンド上で一度だけ息を吐いた。一点取られたくらいでは、動揺はしない。そして、次の打者はカットボールでバットを折った。ショートに弱いゴロが転がる。

 

 ショートを守るホイットニーJrは、前進して素手でボールをキャッチすると、そのまま流れるような動作で鋭い送球をファーストへと送った。ウッドの体が目一杯伸び、打者走者が駆け抜けるよりも先に、ボールはミットに収まった。一塁審判が派手な動作でアウトを宣告する。

 

「うお」

 

 思わず真英は声を漏らしていた。直後、スタジアムが揺れ、この日一番の盛り上がりを見せた。スター選手の派手なファインプレーに、ファンは歓声を上げた。

 

「ナイスプレー」

「ウェルカム・トゥ・カンザスシティ、オマエサーン!」

 

 真英が声をかけると、彼はプレーの余韻そのままに、軽快な足取りで盛り上がるダグアウトに戻っていった。 

 

 その裏、カンザスシティ打線は先頭がフォアボールで出塁すると、ホイットニーJrとウッドの連続長打で一挙二点を奪い、試合をひっくり返した。

 

 一点のリードをもらってからも、真英の投球は変わらなかった。六回を三人で終わらせると、七回には先頭打者へ安打を許したものの、続く打者を注文通りにショートへの内野ゴロ併殺に打ち取った。そして、最後の打者をカットボールで空振り三振に仕留め、真英は静かにマウンドを降りた。

 

 7回1失点。被安打5、無四球、6奪三振。球数は96球だった。監督のロブが出迎える。

 

「今日はここまでだ」

「あ、100球が目安でしたっけ」

「そう、ちょうどいい頃合いだ。いいピッチングだった」

 

 通訳を通しながら会話し、最後には握手をして、ここで降板となった。真英としてはまだまだ行けそうな手応えはあったが、次は中4日の登板だ。先発ローテーションが6人だった日本とは間隔が異なる。メジャーでは、先発ピッチャーは100球前後を目安に降板することがほとんどだった。

 

 その後、8回はリリーフが三者凡退で抑えると、9回は守護神(クローザー)がヒットと四球でノーアウト1・2塁のピンチを作るも、その後は三者三振で終え、1点のリードを守り切った。これにより、カンザスシティは二対一で勝利し、クリーブランドとのシリーズをタイに戻した。

 

 こうして真英には、メジャー初登板で初勝利が記録された。

 

 最後の打者が倒れると、真英はダグアウトの手すりから身を乗り出し、ウッドたちと一緒にグラウンドへ出た。ノーアウト一、二塁となった時点ではどうなることかと思ったが、クローザーは最後までリードを守り切った。

 

 整列した選手たちと順番に手を合わせていると、捕手のペラザが真英の胸を軽く叩いた。多分スペイン語だが、『おめでとう』と言っているようだ。

 

「ありがとう」

 

 短く答えたところへ、後ろから大きな腕が回ってきた。振り返らなくても、誰なのかは分かった。

 

「オマエサーン、オメデトー!」

 

 ウッドが真英の肩を抱き寄せ、そのまま乱暴に頭を撫でた。体格差のせいで半ば締め上げられるような形になり、真英は苦笑しながらその腕を押し返した。

 

「ジョン、痛いって」

「ハッハー!」

 

 その横では、ホイットニーJrがスマートフォンをこちらへ向けていた。

 

「ヘイ!」

「撮ってるの?」

 

 真英がどうにか笑顔を作ると、ホイットニーは満足そうに画面を確認した。試合中に見せた華麗な守備とは違い、こうしていると年相応の若者に見える。

 

 クラブハウスへ戻ると、ロブが真英を呼び止めた。

 

「これを忘れるな」

 

 差し出されたのは、試合で使用されたボールだった。いつの間に回収していたのか、表面には日付と対戦相手が書き込まれている。真英が受け取ったボールを眺めていると、ようやくメジャーで勝利を刻んだ実感が湧いてきた。

 

 取材と着替えを終えたあと、真英は球場の廊下から小春へ電話をかけた。

 

「見てた?」

『見てたよ。お父さんたちと。初勝利おめでとう』

「最後、ちょっと危なかったけどね」

『まさくんが投げていたときより、九回のほうが緊張した』

「あはは……実は俺も」

 

 二人で笑ったあと、真英は受け取ったボールを携帯電話のカメラに映した。

 

「これ、もらった」

『ちゃんと持って帰ってきてね』

「なくさないよ」

『日本で初勝利したときのボールはどこにあるの?』

「……実家かな。多分。父さんが持ってるはず」

『あとでケースを買いましょうね』

 

 小春は真英よりも先に、初勝利のボールをどこへ飾るか考え始めていた。

 

 電話を切って球場を出ると、サインを求めるファンへの対応を済ませてから、小春と両親に合流した。その夜は四人で食事をし、真英のメジャー初勝利を祝った。特に父親は真英以上に喜んでいて、飲みすぎてしまわないか心配になるほど上機嫌であった。

 


  

【速報】そこのおまえメジャー初勝利!

 

[名無しの代走]

 底ノ尾真英、メジャー初登板で初勝利 前年地区王者相手に7回1失点

 

 カンザスシティの底ノ尾真英投手が、本拠地で行われたクリーブランド戦に先発し、7回を被安打5、1失点、6奪三振、無四球に抑え、メジャー初登板で初勝利を挙げた。

 

 底ノ尾は4回に適時二塁打を許して先制されたものの、後続を断って追加点を与えず。味方打線が5回に逆転すると、その後も安定した投球を続け、96球でマウンドを降りた。

 

 カンザスシティは救援陣が1点のリードを守り、2対1で勝利。前年の地区王者クリーブランドとの本拠地開幕シリーズを1勝1敗のタイに戻した。

 

 底ノ尾は試合後、「緊張はしたが、試合が始まったら投げるしかなかった。守備にも助けてもらった」と振り返った。

 

 

[名無しの代走]

やるやんけ

 

[名無しの代走]

(ホイットニーJrの守備について聞かれ)「やばいですね」

 

[名無しの代走]

>(ホイットニーJrの守備について聞かれ)「やばいですね」

小並感

 

[名無しの代走]

やっぱりすごいっすねメジャーの守備は

 

[名無しの代走]

んほぉ~これよこれ

これが見たかったんよ…

 

[名無しの代走]

もしかして神奈川の守備であの成績だったおまえって地味にすごいんじゃ

 

[名無しの代走]

>もしかして神奈川の守備であの成績だったおまえって地味にすごいんじゃ

お気づきになりましたか

 

[名無しの代走]

そこのおまえ「僕自身、神奈川を出る喜びはあった」

 

[名無しの代走]

カンザス最高や!

ブルーウェーブズなんていらんかったんや!

 

[名無しの代走]

編成本部長「おまえが活躍していて俺も鼻が高いよ」

 

[名無しの代走]

>編成本部長「おまえが活躍していて俺も鼻が高いよ」

撃て

 

[名無しの代走]

クローザー「楽しんでいただけたかな?」

 

[名無しの代走]

守備はいいけど貧打やなぁ

 

[名無しの代走]

それはしゃーない

 

[名無しの代走]

下位打線に絶望感しかない打線…

私これ見たことある

 

[名無しの代走]

>下位打線に絶望感しかない打線…

>私これ見たことある

(任意の球団)!

 

[名無しの代走]

ホイットニーペラザウッド以外全然打ちそうにないのがね・・・

サンタナもダメくさいし

 

[名無しの代走]

サンタナさんの成績wwwwwww

.059 1本 2点

 

[名無しの代走]

>.059 1本 2点

ひどいな

 

[名無しの代走]

ま、まだ5試合だから(震え声)

 

[名無しの代走]

まだ開幕したばっかりやし

そのうち状態上がってくるやろ

 

[名無しの代走]

クローザーこわすぎィ!

 

[名無しの代走]

>クローザーこわすぎィ!

フフフ…こわいか?

去年のセーブ失敗数は10だ

 

[名無しの代走]

>去年のセーブ失敗数は10だ

ヒエッ・・・

 

[名無しの代走]

もう(完投するしか)ないじゃん

 

 

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