9番ピッチャー そこのおまえ   作:Potoooooooo

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伝説

 契約6年目のシーズン、シアトルは開幕からいきなり球界を騒がせた。前年まで控えやマイナーで出場機会をうかがっていた若手が次々に結果を残し、数年前のトレードで獲得した選手たちも、それまでの停滞が嘘だったかのように打ち始めた。柏田、ドミンゲス、ローズのコアスリーも、若い選手たちにすべてを任せるほど衰えてはいない。新しい戦力が彼らの負担を減らし、休養を挟みながら起用できるようになったことで、むしろ打線全体の厚みは前年より増していた。

 

 投手陣でも同じことが起きていた。ローマックの放出によって生じた穴を一人で埋められるような投手はいなかったが、若手先発がローテーションに定着し、ブルペンにも新しい戦力が加わった。誰か一人に頼るのではなく、複数の選手で失った戦力を補う形が出来上がりつつあった。

 

 そして、その中心に真英がいた。開幕から、真英の調子は明らかによかった。開幕戦でいきなり投球数を100球未満に抑えて無四球完封勝利。傍目には、真英の投球はいつも通りに見えた。しかし、データは真英の投球がさらに進化していることを示していた。これまでもじわじわと伸びていた奪三振数を維持しながら、四球数を減らしたのである。この年の真英は、究極のコマンド力を持つピッチャーとして完成していた。

 

 そこへ、これまでとは比較にならないほど味方が点を取った。シアトルは開幕戦に勝つと、そのまま一度も負けることなく白星を重ねた。五連勝が十連勝になり、十連勝を超えても止まらない。接戦ではブルペンが逃げ切り、大差をつけられた試合では終盤に打線が追いついた。先発が崩れた日には野手が救い、打線が沈黙した日には投手陣が一点を守った。

 

 気がつけば、開幕からの連勝は20まで伸びていた。前年まで何年もポストシーズンで最後の壁を越えられなかったチームが、シーズン開始から一か月も経たないうちに、今度こそ何かが違うと思わせるだけの結果を残していた。

 

 もちろん、20連勝が終われば普通に負ける日も来た。若手が壁にぶつかることもあれば、柏田たちベテランが休養のためにスタメンを外れることもあった。夏場には故障者も出た。それでも、以前のシアトルのように、一つの不調をきっかけにチーム全体が沈むことはなかった。

 

 数年前から少しずつ集めてきた若い戦力が、ここに来て初めて選手層の厚さとなって表れた。誰かが調子を落としても、日替わりでヒーローが生まれる好循環が続いた。

 

 真英もまた、開幕以降も投げまくった。むしろシーズンが進むにつれて、その投球は凄みを増していった。大量のイニングを投げながら防御率を二点台前半に保ち、これまで以上のペースで三振を積み重ねる。それでも球数は極端に増えず、七回、八回と進んでも簡単にはマウンドを譲らなかった。

 

 34歳の投手である。本来なら、これまで積み上げてきた投球回の多さも含め、いつ衰えが始まっても不思議ではない年齢だった。

 

 しかし、衰えるどころではなかった。シーズンを通して真英は22勝を挙げ、防御率は2.14。投球回は290回に達した。前年まで二年連続で最多勝を獲得していた投手が、34歳になってさらに成績を伸ばしたのである。

 

 若手の台頭と旧来の主力の踏ん張りが最後まで噛み合ったシアトルは、春先の勢いを完全に失うことなく勝ち続けた。開幕20連勝という歴史的なスタートを切ったチームは、そのまま100勝を大きく超え、アメリカン・リーグでも屈指の成績でレギュラーシーズンを終えた。

 

 数か月前まで、解体が近いとまで言われていたチームとは思えない成績だった。そして、シアトルの選手たちにとって重要なのはここからだった。レギュラーシーズンで強いことなど、もう何年も証明している。欲しいのは、その先だった。

 

 ポストシーズンでもシアトルの勢いは続いた。ディビジョンシリーズを勝ち抜き、真英たちは再びリーグ優勝決定シリーズまで進んだ。そして、そこで待っていたのは、カンザスシティだった。真英がメジャーリーガーとして最初に所属した球団である。

 

 かつて真英とともにプレーした選手の多くはすでにチームを去っていたが、長い再建の間に集められた若手が成長し、カンザスシティもまた強豪へと姿を変えていた。

 

 その中心にいたのが、ホイットニー・ジュニアだ。打撃・走塁・守備、全てにおいて隙のない究極の5ツールプレイヤーとして、カンザスシティどころかメジャーを代表する遊撃手としての地位を確固たるものにしていた。昨年、一昨年と2年連続でMVPを受賞し、今季もまた、その最有力候補の一人である。

 

 そして、もう一人の有力候補と見られていたのが真英だった。文字通りローテーションピッチャー二人分の働きをしながらサイ・ヤング賞確実という成績を残した彼を、MVPに推す声は多かった。

 

 二年連続MVPのスーパースターと、34歳にしてキャリア最高のシーズンを送った投手。ワールドシリーズ進出を懸けた戦いは、まさに頂上決戦に相応しい組み合わせとなったのである。

 

 シアトルが何年も越えられなかった最後の壁。その向こうにあるワールドシリーズへの道を塞ぐように、真英の古巣が立ちはだかった。

 

 ▼

 

 リーグ優勝決定シリーズは、シアトルの本拠地で幕を開けた。真英は第1戦のマウンドに上がり、カンザスシティ打線と対峙した。警戒すべきは、ホイットニー・ジュニアだけではない。彼の後に控えるバッターたちにも最大限の警戒が必要だった。特に、ファーストを守る3番のパスカッチは、40本を超えるホームランを放った強打者だ。彼は、シアトルが真英を手に入れるために、カンザスシティに対価として支払った3人のプロスペクトの内の一人でもあった。

 

 先頭打者を三振に仕留め、迎えたホイットニーJrの打席。彼は打席に入る前、不敵な笑みを浮かべた。今この瞬間を楽しんでいる――そんな感じだった。対する真英は、淡々とセットポジションに入った。いくら強打者といえども、やることは変わらない。ローズのミット目掛けて、ボールを投じる。

 

 ストレート。カットボール。2球で追い込んだが、そこからがさすがの強打者だった。際どい球を見送り、ファウルで粘る。10球粘られた末、結局その打席は三振に仕留めたが、次の打席では初球を叩かれて長打を許した。そして続くパスカッチに、打球をセンターに弾き返される。俊足を飛ばして三塁を蹴るホイットニーJr。センターからドミンゲスが矢のような送球を本塁に返す。しかし、ホイットニーJrの足が上回り、先制点を許した。

 

 だが、真英はカンザスシティ打線を、その1点に抑えた。シアトル打線も中盤に相手先発を攻略して逆転すると、終盤にもダメ押し点を入れて、真英は8回を投げきって降板した。最後にシアトルはクローザーのJ.J.ピッツを送り出した。ピッツは今季からクローザーとなった若手のピッチャーで、十分な点差があったものの、勝利を盤石とするために、監督のグリフィンは彼を送り出すことを躊躇しなかった。そして、ピッツはその期待に応え、最終回を3人で終わらせた。こうしてシアトルは、6対1で初戦を制した。

 

 第2戦でも、シアトルの戦い方は崩れなかった。カンザスシティがパスカッチの本塁打で先制したが、シアトルの先発ジョージ・カービンが追加点を与えずに粘り、打線が中盤に逆転した。一人の主力に頼らなくても点を取れることが、この年のシアトルの強みだった。七番、八番の打者が出塁して上位へつなぎ、柏田やローズたちが還す。試合後半には点差を広げ、ブルペンも危なげなくリードを守った。

 

 敵地へ移った第3戦では、カンザスシティが意地を見せた。シアトル先発のジェームズ・モイラーに序盤から猛攻を浴びせてノックアウトすると、最終的にシアトル投手陣から六点を奪う。シアトルも終盤まで食い下がったが、この試合はカンザスシティが制した。

 

 しかし、一敗したことでシアトルの勢いが大きく揺らぐことはなかった。第4戦では序盤から打線がカンザスシティ投手陣を攻め、今季ブレイクしたエドガー・オルルッドが大爆発。2本のホームランを含む4安打8打点の活躍で、シアトル打線は最終的には二桁得点を挙げ、シリーズ成績を3勝1敗とした。

 

 あと一つ勝てばワールドシリーズ進出が決まる第5戦には、再び真英が先発した。カンザスシティにとっては後がない試合であり、序盤から打者は積極的に振ってきた。待っていても、甘い球はなかなかこない。追い込まれれば伝家の宝刀カットボールがある。

 しかし真英は、その心理を逆に利用して、打ち気を逸らす投球術でカンザスシティ打線に狙いを絞らせない。ただし、ホイットニーJrにはこの試合でも安打を許した。彼には3安打と打たれたが、得意の足を使わせず、後続を断って小技も完全に封じ込んだ。

 

 シアトル打線は序盤に柏田のホームランで二点を先行すると、中盤にも追加点を挙げた。大量得点こそなかったが、この日の真英には十分だった。終盤になっても球数は大きく増えず、八回を終えた時点でも交代を告げられることはなかった。

 

 九回にも真英がマウンドへ上がった。先頭打者を内野ゴロに打ち取り、続く打者にはカットボールを振らせて三振を奪う。二死となったところで打席へ入ったのは、ホイットニーJrだった。

 

 最後まで簡単な打者ではなかった。ファウルで何球も粘られたが、真英は際どいボール球へ逃げ続けることなく、ストライクゾーンの中で勝負した。最後に投じたカットボールをホイットニーJrが捉えると、鋭い打球が真英の足元を通り抜けた。しかし、その先には、まるで打球方向を予期していたかのように、セカンドのワンがいた。ワンは逆シングルで打球を捕球すると、ノーステップでファーストに送球する。そして、ホイットニーJrの足が届く前に、ボールはファーストミットに収まった。

 

 アウトが宣告されると、シアトルの選手たちが一斉にグラウンドへ飛び出した。シアトルは4勝1敗でカンザスシティを下し、初のリーグ優勝を果たした。そして、ついにワールドシリーズ進出を決めたのである。

 

 シリーズを通して、カンザスシティが力のない相手だったわけではない。ホイットニーJrは本塁打を含む長打を何本も放ち、シアトル投手陣にとって最後まで厄介な打者であり続けた。それでも、この年のシアトルには一人のスターの活躍だけでは崩れないだけの選手層があった。先発が試合を作り、打線は上位から下位まで得点に絡み、誰かが不調なら別の誰かが穴を埋めた。

 

 真英も二試合に先発していずれも勝利し、第5戦では最後まで投げ切った。何年も越えられなかったリーグ優勝決定シリーズを、この年のシアトルは接戦の末に辛うじて突破したのではなく、シーズンを通して見せてきた力をそのまま発揮して勝ち抜いたのである。

 

 そして、初めて辿り着いたワールドシリーズでは、さらに大きな相手が待っていた。数年間にわたってメジャーの頂点に君臨し、連覇を続けているロサンゼルスだった。

 

 ▼

 

 この六年間、メジャーリーグの頂点には常に同じチームが立っていた。ロサンゼルスは六年連続でワールドシリーズを制覇し、短期決戦では何が起こるか分からないと言われる野球において、誰も成し遂げたことのない王朝を築いていた。

 

 今季も勝てば七連覇となる。アメリカン・リーグを制したシアトルが最後に越えなければならないのは、単なるナショナル・リーグ王者ではなく、六年間誰もワールドシリーズで倒すことのできなかったチームだった。

 

 第1戦、本拠地で迎えたワールドシリーズ開幕戦のマウンドに真英は上がった。初回、先頭の大仁田にホームランを許していきなり失点を喫したが、その後は立ち直った。

 

 ストレートをコーナーに決め、カットボールで空振りを取る。時折混ぜられるチェンジアップにも、ロサンゼルス打線は手こずった。気づけば、あっという間にイニングは7回まで進み、真英は味方の反撃を待った。

 

 そしてその裏、待望の得点が入る。打線は、山諸の前に抑えられていたが、球数を投げさせることには成功していた。7回、代わってマウンドに上がったリリーフピッチャーに、シアトル打線が襲いかかった。

 

 連打を浴びせてあっという間に同点に追いつくと、ヒートアップする本拠地のファンの声援を背に受け、主砲ローズが勝ち越しタイムリーを放ち、この回一挙3点を奪った。

 

 もはや真英には、この2点のリードで十分だった。試合後半になっても、真英のピッチングはまるで変わらなかった。ロサンゼルス打線に対して、僅かな綻びすら見せない。そのピッチングにバックの守備も応え、難しい打球をヒットにさせなかった。

 

 真英は最後までマウンドを譲らず、9回を投げきった。シアトルが3対1で初戦を制したのである。

 

 しかし、ロサンゼルスは初戦を落とした程度では揺らがなかった。第2戦ではシアトルの先発カービンを序盤から攻略し、第3戦でも一度はリードを許しながら中盤に追いつき、終盤にはブルペンから勝ち越した。シリーズは一勝二敗となり、シアトルは早くも追う側へ回った。

 

 第4戦、真英は中3日でマウンドに上がった。このまま、ロサンゼルスに流れを渡してはならない。自ら直訴しての登板だった。さすがのグリフィン監督にも躊躇はあった。しかし、投手コーチやトレーナーと共に真英の状態を確認して、最終的にはゴーサインを出した。

 

 敵地ロサンゼルスのスタジアムは、文字通り揺れていた。試合開始前から、その熱気は頂点に達しているかのようだった。

 

 一方のシアトルの選手たちには、試合前から嫌な雰囲気が漂っていた。2連敗を喫し、負ければ後がなくなる一戦。特に若い選手たちにとっては、それが重圧となってのしかかっていた。試合前のミーティングで、監督が選手たちを集めた。

 

「今日はマサが投げる」

 

 グリフィンは面々を見回した。

 

「やることはいつもと同じだ。自分を疑うな」

 

 続いてキャプテンのドミンゲスが立ち上がり、吠えた。

 

「全員で勝つ。勝ってシアトルに帰るぞ!」

 

 チームはそれに奮い立った。初回、相手先発を攻めて、2点を先制し、敵地のファンを黙らせた。しかし、ロサンゼルスの監督は先発を早々に降ろし、ブルペンからリリーフを送り込み、流れを作らせない。

 

 今度はその裏、先発マウンドに立った真英は、一死からサードゴロを打たせた。そのゴロを三塁手がファンブルしてランナーを出してしまう。嫌なムードが漂うと同時に、敵地ファンのボルテージは再び上昇していく。

 

 しかし、真英がその嫌な流れを、3番、4番を連続三振に仕留めて、完全に断ち切った。真英に人を奮い立たせるような言葉はない。だが、そのピッチングが全てを物語っていた。

 

 打線もそれに応えた。5回に1点、さらに8回に1点を追加して援護した。真英は8回を無失点で投げきると、9回のマウンドをクローザーのピッツに託した。そして彼はロサンゼルス打線を三者三振でシャットアウトし、シアトルはシリーズ戦績を2勝2敗の五分に戻したのだった。

 

 次戦も、シアトルの勢いは続いた。先発のジェームズ・モイラーが7回2失点と好投すると、打線は下位が作った満塁のチャンスでドミンゲスが走者一掃のツーベースを放ち、柏田ら中軸も続いてビッグイニングを作った。最後は再びピッツがロサンゼルス打線を抑え、シアトルが一歩抜け出した。

 

 移動日を挟んで、第6戦、シアトルは本拠地へ戻った。勝てば、球団史上初のワールドシリーズ制覇が決まる。

 

 先発を任されたのはジョージ・カービンだった。序盤からロサンゼルス打線の圧力を受けながらも、簡単には崩れなかった。2回に長打を絡めて二点を失い、6回にはソロホームランで一点を追加されたが、それ以外の場面では走者を背負っても粘り、6回3失点でマウンドを降りた。

 

 打線もカービンを援護した。ワン、柏田らベテランのタイムリーで追いつくと、終盤にはエドガー・オルルッドら若手も続いて勝ち越した。4対3となり、シアトルは一点のリードを持って9回を迎えた。

 

 マウンドへ上がったのはピッツだった。第4戦、第5戦と危なげなく試合を締めてきたクローザーであり、この日も彼が三つのアウトを取れば終わるはずだった。

 

 先頭打者は速球で押し込み、右翼フライに打ち取った。世界一まで、あと二つ。

 

 続く打者には追い込んでから外角の変化球を弾き返され、センター前へ運ばれた。一死一塁となったところで、打席に大仁田が入った。

 

 ピッツは初球100マイルのストレートでファウルを奪い、続いてパワーカーブで空振りを奪い、追い込んだ。そこから一球、内角高めのストレートを見送られ、カウントは1ボール2ストライク。そして4球目。バッテリーが選んだのは内角低めのパワーカーブだった。

 

 ピッツの投じた球は、狙ったところよりわずかに高く入った。大仁田はそれを逃さなかった。振り抜かれた打球は右翼方向へ高く上がり、そのままスタンドへ飛び込んだ。世界一まであと二つだったアウトは、一振りで一点のビハインドへと変わった。

 

 4対5。スタンドを埋めていたシアトルファンが静まり返る中、ロサンゼルスのベンチでは選手たちが大仁田を迎えていた。その後、ピッツは後続を抑えた。しかし九回裏、ロサンゼルスのマウンドに上がったクローザーの前に、シアトルは得点できなかった。

 

 シリーズは3勝3敗で再びイーブンに戻った。6年間王座を守り続けてきたロサンゼルスは、敗退まであと二アウトというところから生き残った。

 

 その夜の勢いを引き継ぐように、第7戦の試合前からロサンゼルスの選手たちは活気に満ちていた。前日の逆転勝利によって、それまでシアトル側へ傾いていた空気は完全に変わっていた。

 

 そのロサンゼルスを相手に、第7戦の先発マウンドへ上がったのは真英だった。第4戦から中3日。このシリーズでは三度目の先発となる。

 

 当然、ロサンゼルスも何の対策もせずにいるわけではない。第1戦と第4戦の投球から、カウントごとの球種、打者の左右による攻め方、同じ打者との対戦を重ねたときの配球の変化まで洗い出されていた。投げてから球種を判断することが難しいなら、投げる前に予測するしかない。打者ごとに狙う球とカウントを絞り、それ以外には手を出さない。

 

 初回から、ロサンゼルス打線は事前の対策通りに、決め打ちをしてきた。だが、真英の球は、来ると分かっていても打てなかった。ストレートには差し込まれ、カットボールにはバットが空を切る。チェンジアップには強烈なブレーキがかかって沈んでいき、体勢を崩される。今更、小手先で勝負するつもりはない。研究されていることなど承知したうえで、それでも打てるものなら打ってみろと言わんばかりの投球だった。

 

 1回、2回、3回と、全て三者凡退で終わらせた。一巡目が終わり、二巡目に入っても、変わらない。アウトだけが淡々と積み重なっていく。

 

 一方のシアトル打線も得点できなかった。ロサンゼルスは第7戦とあって早い段階から継投へ入り、先発要員までブルペンへ回していた。打者が一巡する前に投手を替え、次々とエース級ピッチャーを惜しみなく投入していく。シアトルも何度か走者を出したが、あと一本を許してもらえなかった。

 

 スコアボードには0が並んでいく。7回に入る頃には、スタンドも何が起きているのかを意識し始めていた。真英がストライクを取るたびに歓声が大きくなり、打者がアウトになるたび、球場全体をどよめきが包みこんだ。

 

 来ると分かっていても打てない。9回まで、すべての回を3人で終わらせ、一人のランナーも許さなかった。しかし、試合は終わらなかった。

 

 シアトル打線もロサンゼルス投手陣から一点を奪えず、0対0のまま延長戦へ入った。そして10回表のマウンドにも、真英は上がった。スタジアムからは割れんばかりの歓声が上がり、真英を後押しした。対するロサンゼルス打線は4巡目に入っている。1番から3番まで、MVP級の打者が並ぶ。彼らが、真っ向勝負を挑んできた。

 

 真英も必死に腕を振った。先頭打者には粘られた。追い込んでからもバットに当てて、ファウルにしてきた。しかし真英も、ストライクゾーンで勝負し続けた。打者の目も、少しずつ慣れてきていたが、捕手のサインは変わらなかった。

 

 ――もう一球、カットボール。

 

 真英はゆっくりと頷き、セットポジションに入った。いつもと変わらぬ動作から、カットボールを投じる。投げた瞬間、周囲の誰もが甘く入ったと感じた。打者が踏み込み、バットを振り抜く――。

 

 鈍い音が鳴り響くと同時に、バットが折れた。しかし、白球は高々とシアトルの夜空へ舞い上がった。シアトルファンの悲鳴が響き渡り、ドミンゲスが全力で後方へ走った。

 

 ドミンゲスが上を見上げたまま、手のひらがフェンスに触れた。グラブを掲げる。――そして打球は、スタンドに届く前に失速し、そのままドミンゲスのグラブに収まった。悲鳴が歓声に変わった。まるで優勝したかのような騒ぎだったが、真英は落ち着いて、次の打者に対峙した。

 

 そして、危なげなく打ち取った。真英は、この日最大の危機を乗り切り、ダグアウトに戻った。選手たちが出迎え、監督が真英を抱きしめて背中を何度か叩いた。

 

 次の回はマウンドに上がらない。ベンチの誰もがそう感じていた。真英は、ベンチの最前列で、身を乗り出すようにして味方の攻撃を見守った。

 

 相手のマウンドには、9回から続投したクローザーがいた。先頭打者のワンが三振に倒れ、ドミンゲスがバッターボックスに向かう。

 

 初球の速球を見送り、二球目の変化球にはバットが空を切った。追い込まれてからは外角の球を見送り、際どい球をファウルにして粘った。

 

 タイムを取り、間を取ってから、打席に入る。――七球目。投じられたのは、外角へ逃げていくスライダーだった。

 

 ドミンゲスは思い切り踏み込み、バットを叩きつけるように振り抜いた。

 

 ――打球はライト方向へ、弾丸ライナーで伸びていった。右翼手は一歩も動けなかった。ボールはあっという間に頭上を超え、スタンドに飛び込んだ。

 

 その瞬間、スタジアム全体が爆発したような歓声に包まれた。

 

 ドミンゲスは一塁を回ったところで、腕を高く突き上げた。歓声に包まれながら、飛び跳ねるようにダイヤモンドを一周する。

 

 ホームベースの周囲には、すでにシアトルの選手たちが集まっていた。打った瞬間、ベンチから真っ先に飛び出したのは真英だった。ネクストバッターで待っていた柏田と抱き合いながら、ホームベースへと集まった。

 

 真英は感情を爆発させ、ヘルメットを放り投げて選手の輪に飛び込んでくるドミンゲスを、手荒く出迎えた。

 

 延長10回、ついに決着。

 

 ドミンゲスのサヨナラホームランによって、六年間続いていたロサンゼルスの王朝はついに終焉し、シアトルのワールドシリーズ制覇が決まった。

 


 

そこのおまえさんのポストシーズン成績wwwww

 

[名無しの代走]

今年も頭がおかしかった模様

 

ディビジョンシリーズ

1勝0敗、9回、0失点、5三振、0四球、1完封

チャンピオンシップシリーズ

2勝0敗、17回、1失点、15奪三振、1四球、1完封

ワールドシリーズ

3勝0敗、27回、1失点、20奪三振、1四球、1完封(2完投)

 

[名無しの代走]

「チートだ」

「今すぐケイ・トラックを規制するべき」

「我々はシアトルに負けたわけではない」

「アンタッチャブルだ」

 

[名無しの代走]

>「チートだ」

>「今すぐケイ・トラックを規制するべき」

>「我々はシアトルに負けたわけではない」

>「アンタッチャブルだ」

おはLA民

 

[名無しの代走]

ポストシーズンそこのおまえさんとレギュラーシーズンそこのおまえさんは別人

 

[名無しの代走]

>ポストシーズンそこのおまえさんとレギュラーシーズンそこのおまえさんは別人

別人だったらよかったのになぁ

 

[名無しの代走]

戦術そこのおまえ

 

[名無しの代走]

そこのおまえさんのWARwwwwww

10.1

 

[名無しの代走]

>そこのおまえさんのWARwwwwww

>10.1

代替不可能選手すぎる

 

[名無しの代走]

さすがにこんなん続けてたら壊れるやろ・・・

 

[名無しの代走]

>さすがにこんなん続けてたら壊れるやろ・・・

と言い続けて何年たちましたか・・・?

 

[名無しの代走]

ワールドシリーズ完全試合は1956年以来らしいぞ

 

[名無しの代走]

>ワールドシリーズ完全試合は1956年以来らしいぞ

前例あって草

さすがメジャー

 

[名無しの代走]

これは文句なしのワールドシリーズMVP

 

[名無しの代走]

グリフィン「中3日でいけ」

おまえ「はい」

 

[名無しの代走]

>グリフィン「中3日でいけ」

>おまえ「はい」

サバージアかよ

 

[名無しの代走]

>グリフィン「中3日でいけ」

>おまえ「はい」

これにはCCさんもニッコリ

 

[名無しの代走]

12月にWBC開催したら無双しそう

 

[名無しの代走]

これには柏田もドン引き

 

[名無しの代走]

日本人だから怪獣対決みたいで面白かったけど現地民は心臓止まりかけたやろなぁ・・・

 

[名無しの代走]

完全試合のせいで向こうのメディアにノーノー未遂事件掘り返されてて草

 

[名無しの代走]

>完全試合のせいで向こうのメディアにノーノー未遂事件掘り返されてて草

経験が生きたな

 

[名無しの代走]

なつかc

・・・戻ってきてくれるかな

 

[名無しの代走]

あの時の失言本部長はもうおらんし可能性はありそうだけど

シアトルが手放さなそう

 

[名無しの代走]

シアトルファン「背番号51の隣に70掲げるンゴ」

本来は生え抜き?じゃないと永久欠番は無理らしいがこれを機に変わるかもな

 

[名無しの代走]

そら(球団初のワールドシリーズ制覇に導いた頭おかしい投手なんだから)そうよ

 

[名無しの代走]

かしわだ「さすがソコたんだ」

 

[名無しの代走]

>かしわだ「さすがソコたんだ」

おまえも十分おかしいんだよ

 

[名無しの代走]

コア3も球団の殿堂入りはまず間違いない

 

[名無しの代走]

世代交代成功したし、まだしばらく楽しめるな!

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