フェイトを自宅に連れて来て一週間。現在フェイトは我が家の庭で運動能力を測定している。現在のフェイトの姿は髪の毛をツインテールにした状態で白いシャツとスパッツを着ている。
「はぁ、はぁ!」
一生懸命に走っているフェイト。魔力付加も掛けているので苦しそうだ。
「もっと行けるか?」
「は、はい……」
流石はミッド式でベルカ式に検討しただけあって運動能力は高い。それにAAA魔導士だけあって魔力量も充分にある。
「よし、そこまでだ。魔力をリンカーコアから取り出せるか?」
「ご、ごめんなさい」
「謝らなくていい。これはあくまでも確認だ」
「えっと……」
「出来ないか。なら、これを持ってみろ」
「これは?」
「フェイトの訓練用デバイスだ」
使い方をなんとなく覚えているのか、直ぐに武装形態に変える事が出来た。デバイスの補助を受けて直ぐに魔力も扱えるようになったのだが、問題があった。
「わっ」
フェイトの総魔力が減少している。その代わり、魔力光の色が変わって黒くなっている。まあ、生きているだけ儲け物な状態に巻き込まれたのだから、幸運だろう。
「雷に変えられるか?」
「ビリビリ?」
「そう、ビリビリだ」
地面に座ったまま小首を傾げるフェイト。
「んー!」
魔力を生み出して変化させる為に唸ると直ぐに変換された。流石は変換資質を持っているだけはある。
「じゃあ、次は勉強だ」
「うん」
「フェイトは雷に対して才能がある。そこでだ。運動能力を強化する魔法を教えよう。先ず一つ目は脳から発せられる電気信号を加速させて反射速度を上昇させる。二つ目は電磁誘導技術を使った高速移動だ」
「? わからない」
「だろうな。ゆっくりと覚えようか。先ずは移動だ」
「はい」
フェイトと共に研究所へと向かう。そこで機器を借りて脳から肉体に電気信号が発せられる事を数値を見せて教えていく。するとフェイトは自分の身体に電撃を流しだした。
「あうっ、バチッてなった」
「気を付けろよ」
ちゃんと医者を用意しているのですぐに治せるだろうが、危ない事には変わりない。いや、そもそも出来るとは思っていないのだが――
「出来ました」
「出来たか。よくやった」
――フェイトはあっさりと成功させた。頭を撫でて褒めてやると凄く嬉しそうにする。そういえば映画やアニメで頑張ってプレシアに褒めて貰おうとしていたな。褒めて伸ばすといいかも知れない。
「甘い物でも食べに行くか」
「う、うん!」
帰りにアイスクリーム屋によって好きなのを買ってやる。
「冷たくて美味しい……」
街中をフェイトを腕に乗せて歩く。美味しそうに食べているフェイトを連れて本屋に向かう。
「好きな本を選べ」
「うん」
本を買ってから自宅に戻り、読書をさせる。その間に俺は訓練を行っていく。訓練は大事だ。いくら英雄の力を持とうとも、使いこなせなければ意味が無い。それにエレミアの神髄を使いこなす為にも厳しい修行が居た。
「私もやる」
「そうか?」
「うん」
「なら型を教えてやる」
エレミアの技術をしっかりとフェイトに根付かせる。その為には訓練が必要だ。もちろん、フェイトには休みをしっかりと与えて水と糖分を取らせる。
「よし、風呂に入るか」
「うん」
フェイトを連れて俺の身体を考えて広く作った風呂に入る。まずはフェイトの身体を洗っていく。フェイトは原作でも頭を一人で洗えなかったが、こちらのフェイトも同じだった。それにこの風呂は深いので子供を一人で入れるのは問題がある。
「ほら、流すから目を瞑れ」
「うん。ど、どうぞ」
「いくぞ」
「わぷっ」
泡を洗い流したら次は俺の身体を洗う。
「手伝うね」
「ああ」
前を洗い終わったが、フェイトの身長だと上の方には届かない。
「寝転んで」
「わかった」
酒を飲んで風呂に入る事もあるので、こけても大丈夫なようにバスマットが引かれている。そこに寝転んで背中を洗って貰う。洗い終わったらフェイトを膝の上に乗せて湯船に浸かる。この状態でもフェイトは肩までしっかりと浸かってしまう。
「ふぅ」
「気持ちいいね」
「ああ」
近くある風呂場用冷蔵庫からジュースと酒を取り出してお盆に乗せる。フェイトにお酌してもらいつつガラスの先の夜空を見上げる。フェイトもジュースを美味しそうに飲んでいるが、飲み終わると飽きたのか泳ぎだす。子供だと充分にプールとして使えるので好きにさせる。危なくなれば引き上げればいいだけだからだ。
しかし、大人化と電磁誘導技術を教えれば楽しいことになりそうだ。
風呂から上がってしっかりとフェイトの身体を拭いたら寝巻きに着替えさせる。ちなみにフェイトのはキュウべぇの着ぐるみパジャマだ。見せたらフェイトは気に入ってしまった。変なアニメを気に入るものだ。まあ、見せたチョイスが悪いのかもしれないが。ちなみにとあるシリーズの超電磁砲とかも見せる予定だ。というか、今日から見せる。
「ご飯」
「今日は……」
面倒なのでフェイトが料理を覚えるまでは宅配サービスだ。それもしっかりと月間の献立を作って栄養バランスが考えられた奴だ。管理局の中には忙しすぎて栄養バランスなんて考えない奴が多いからこの手のサービスがある。局員専用なのだが、宅配もしてくれるので助かっている。その分、金も取られるし内容もピンキリだ。もちろん、高給取りなので高いコースを選びつつ、しっかりとフェイト用の献立を作らせている。
「オムライスっ」
「絵を書くか?」
「お願い」
転生してから力だけじゃなく、器用になるように訓練は積んできたのでこれくらいは楽に書ける。
「うさぎ」
「そうだ」
簡単な奴しか書けないがな。それでも子供は喜んでくれる。
「私も書くね」
俺のに書いてくれるが、なんというか下手だ。
「うぅ……」
「頑張って練習だな」
「うん」
その後、消すのを勿体無いというフェイトを説得して食べさせる。食後、口元を綺麗にして歯磨きをさせる。次に食器の洗い方を教えながら洗わせていく。それも終わればソファーに座っていたアニメ鑑賞会だ。
「これ、私にも出来る?」
「ああ、出来る。電磁誘導技術さえしっかりとすればな。曲がらせる事とかも出来るだろう」
「頑張る」
子供は自分の好きな事ならのめり込む。それを考えるとアニメは魔法の教材に持って来いだ。明日からのフェイトの勉強に技術本が追加された。
フェイトちゃんのビリビリ小学生化計画……どう考えても怖い事にしかならない。