フェイト
ペルゼさんに拾われてからの生活は楽しい。記憶を無くした私に親切にしてくれるし、知らない事を教えてくれる。一緒にいてくれるだけで嬉しい。寂しいのは凄く嫌だから。でも、お仕事があるらしくて家にあんまり居られなくなるみたい。私は家に居るか、アルピーノさんの所に預けられるか、嘱託魔導師になって一緒について行くか、家でお留守番するかという話になりました。私が選んだのは最初と真ん中です。アルピーノさんの所に預けられて嘱託魔導師の勉強をしています。今はアルピーノさんの家に向かっている途中です。
「そこを行く、お嬢さん。ちょっと一緒にどうですかっと」
「っ!?」
後ろから声を掛けられると同時に抱きしめれ、身体中に悪寒が走る。その瞬間、身体が勝手に動こいて雷を纏わせた肘打ちを入れると――
「ひぎゅっ!?」
――私に返ってきた。
「残念。俺様には効かねえぜ」
「んん~~~っ!!」
口に布をあてられて動きを封じられた私は念話で助けを求め――
「けっけっけ、一名様、ご案内~ってな」
――意識を失いました。
ペルゼイン
管理局に与えられた執務室で大量の書類データを処理している。殆どを部下任せにしているのだが、少将という立場がらどうしても書類仕事は多くなる。これでも実働メインなので少ない方らすうのだが、補給の申請や物資使用状況の説明を読んで許可を出さないといけない。もっとも、部下が纏めてくれているのだが。
『少将、アルピーノさんからお電話です』
特設こちらにかけてくるなんて珍しいな。フェイトに何かあったか?
「繋いでくれ」
現れた通信用モニターの回線が入れ替わる。
『はい』
直ぐに焦った表情をしたアルピーノが映し出された。
『大変よ! フェイトちゃんがまだ家に来てないの!』
「なに?」
『約束の時間からもう2時間も立ってるし、連絡もつかないの! 流石に寄り道しているにしても不安だからサーチャーを飛ばして探していたんだけど見付からなくて……』
「誘拐か」
フェイトを狙う転生者や転移者は多いとは思っていたが、このような直接的な手段を取るとは……。
『どうしよう……』
「対策はしてある。少し待て」
端末からフェイトの位置情報を探す。もしもの為に発信機をフェイトには内緒で渡してある。デバイス、装飾品共に魔法的物は反応がない。科学技術の方を調べると反応が出た。
「場所は……」
『調べてみるわ』
直ぐに場所を教えるとサーチャーを飛ばしてくれる。俺はその間にもしもの為、陸軍に出動要請と俺自信が出撃する為の申請を行っておく。
『ど、どうしよう……服と鞄だけが見付かった……』
「最悪のケースか」
映し出された現場の映像にはフェイトの破かれた服の残骸と荷物が捨てられている。血の跡がない事から殺されたり怪我をさせられてはいないようだが……プロの仕業だな。管理局少将の権限で辺り一帯の監視カメラの映像を取り寄せて精査するように情報部を動かす。
『ゼスト隊長とクイントがミッド地上で人身販売組織を追っているそうです。もしかしたら……』
「その可能性もあるな。ゼスト隊と空いている陸軍を全て動かす」
『職権乱用なような……』
「問題ない」
『……』
「何も問題ない」
通信端末を操作してゼストに連絡を入れる。原作とは違い、随分と若い姿が画面に映る。
『緊急回線とは穏やかじゃないな。何が有った?』
「俺の身内が攫われた。これより陸軍を……いや、空も動員してミッド地上の大掃除を開始する」
『思いっきり私情も含まれているが、いいだろう。こちらの情報を提供するが、逃げられないか?』
「その為の空軍だ。ミットチルダの全域を封鎖して検問を儲ける」
『許可は降りるか?』
「任せろ」
『了解した。アルピーノ、自宅から協力してくれ』
『任せてください』
必ず助け出す。その為には使えるモノは全て使ってやる。最高評議会からの依頼であるアインスト退治を一時凍結し、こちらを優先すると伝えるだけで評議会はこちらに賛成してくれるだろう。後はあちらにも連絡を入れて手伝って貰おう。
人気のないところに移動し、秘匿回線である男に連絡する。
「頼みたい事がある」
『ふむ。君からは面白い生物のサンプルを貰ったから出来る限りの事をしようじゃないか』
「では、フェイトの事だ。行方を探して貰いたい」
『プロジェクト・フェイトの子か。いいだろう。協力しようじゃないか。その代わり、こちらにも連れてきてくれ。クローン体には興味がある。短命で死なせるには惜しいからね』
「了解した。よろしく頼む」
『任せたまえ』
これで裏からも手を回せる。少なくとも逃がす事はないだろう。